概要
日本では多くの地方で「肉」と言えば豚肉を指す位ポピュラーで、鶏肉と並んで最も一般的な食肉と言える(近畿地方では牛肉の食用も盛んで、「肉」と単純に記した場合多くは牛肉を指す。近畿では豚肉は単に「豚」と呼ばれる事が多い。「肉まん」と東日本では呼ばれるものが近畿では「豚まん」と呼ばれているのが解りやすい事例だろう)。
日本では弥生時代から古墳時代頃に食べられていたが、その後長らく養豚は廃れており、イノシシ肉を「薬」として食べていた程度の時代が続いていた。関東地方で一般化したのは関東大震災の後であるが、沖縄から豚が伝来した鹿児島県では江戸時代から盛んに食べられていた(西郷隆盛も豚肉が大好物だったとされる)。また、沖縄県の豚肉料理はその独自性とメニューの豊富さで有名。
中華料理で最も多用される食材のひとつで、ドイツ料理などの西洋料理でもハムやソーセージなどの豚肉加工品が多用される。宗教的にタブーとする人々が多い食材でもあり、イスラム教徒やユダヤ教徒は豚肉を食べない。
注意
豚肉はヘルペスウィルスやトキソプラズマ、E型肝炎などのウイルスやカンピロバクターなどの細菌類による感染症、有鉤条虫などの寄生虫の危険があるため、生食してはいけない。特に有鉤条虫に寄生されると脳や眼球にダメージを受ける(かなりグロい写真が出て来るため検索には要注意)。必ず肉は白くなるまで火を通してから食べる事。生ハムは薫製済みであるため生肉ではない。
しかし日本では一部の大衆居酒屋などで豚のレバーなどの刺身や生焼け料理が出されていた。
2012年の牛肉レバ刺しの規制に伴い、代替として豚のレバ刺しを提供する店やそれらを求める客が増えてE型肝炎患者が倍増したことを受け、食品衛生法に基づく規格基準の改正が行われ、2015年6月12日より施行された。
現在は豚の生肉、内臓を非加熱のまま飲食店で提供する事、生食用の豚肉販売が禁じられており違反すると2年以下の懲役か200万円以下の罰金が刑罰として科せられる。
日本ではイスラム教徒のインドネシア人に対し、雇い主の男性が豚肉を食させるというドッキリを仕掛け、これをTwitterに掲載し炎上したことがある。これはパワハラであるし、国際問題になりかねない行為なので、悪気のないいたずらであろうと本人の意志に反して食べさせてはいけない。ただし、イスラム教徒が豚肉を知らず知らずのうちに、あるいは飢えや脅迫されてやむを得ず食べることになっても罪とはならない。中には「神の名を唱えれば問題ない」と主張し豚肉を好んで食べるイスラム教徒すらいるが、これは多くのイスラム教徒に受け入れられている考え方ではない(豚肉を平気で食するイスラム教徒のいる理由についてはハラールの記事を参照)