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ぶた

食用として古くから飼われてきた家畜。独特の見た目と飼育方法から不潔なイメージがあるが、実際には綺麗好きな動物である。家猪。豕。
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「豚となりて楽しまんより、人となりて悲しまん。」

―ソクラテス

概要 🐷🐖🐽編集

偶蹄目イノシシ科・イノシシ属の動物イノシシ家畜化したもの。

ウシと同じ偶蹄目の仲間であり、広い草原に進出した種がウシに、山岳部に進出した種がヤギ、ヒツジに、そして森の中に進出した種がイノシシに進化したと考えられている。

人間とイノシシは、何十万年も同じ生息域で暮らしていたため、有史以前どころか、人間に進化する前から関わり合いがあったと考えることが出来る。


ユーラシア大陸、アフリカ大陸に広く分布するヨーロッパイノシシが原種。これは名前にヨーロッパと着けられているがヨーロッパだけに生息している訳ではなく、博物学者カール・フォン・リンネの命名によるもの。ただしインドネシア、フィリピン、マレーシアなどの島嶼部分では異なる進化を遂げた種類を家畜化している。

現在、オーストラリア、南北アメリカ大陸やその他の地域に広がっているのは、このヨーロッパイノシシを家畜化したブタである。


ヨーロッパイノシシが生息する旧世界で家畜化、ブタの飼育は始まった。日本では弥生時代に飼育が始まり、キプロスで紀元前1万1千年頃に家畜化されたことが分かっている。

美味しい肉が取れる上、飼料となるものも雑食であるため容易に集められる。土地がやせているヨーロッパでは、かつてドングリ林に豚を放牧していた。

大航海時代に初期スペイン人探検家たちが南北アメリカ大陸などにブタを持ち込んだ。これが現在まで環境破壊、外来種としての悪影響を及ぼしている。


短くゴワゴワした毛が生えている。皮は分厚い。

基本的に体毛が薄いが、探せばマンガリッツァのようなもふもふブタもいる。肉以外に毛や皮革を加工する目的でも利用された。

20世紀後半、アメリカでは住宅ブームの建設ラッシュが始まり、ペンキ用の刷毛(ハケ)に使用するため大量のブタが消費された。


皮膚や体構造が人間に近いこともあり、医療分野で様々な実験に利用されている。

体格、食性(何でも食べる雑食)、内臓の大きさや性質などが類人猿以上に人間に近い。

これを利用して移植用肝臓が届くまでの間、五日ほど豚の肝臓を使って助かった患者がいたほど。

また実験体、解剖の実習教材として活用されており、異種間移植用の臓器提供用動物としても研究が続けられている。

反面、人間に近いために人間からの感染、逆に病気の感染源ともなり易いことも指摘されている。

インフルエンザ、E型肝炎を始めとして人間と共通する感染症を多数有している。

またブタには人間に伝染する寄生虫、ブルセラ菌、アスカリス(ヒトカイチュウ)などが潜伏している危険がある。


このため、食べる時は食肉の十分な加熱が必要となる。豚肉の生食だけは何があっても絶対にダメ。ドイツ料理には「メット」と呼ばれる生豚ひき肉を食べる食文化があるが、これは専用の衛生管理をした豚肉を使うので、日本の豚肉で真似をするのはNG。ドイツでもメットが原因の食中毒がしばしば発生しているのだが、古くから根付いた食文化はなかなかやめられないようだ。


俗に「醜く太った人」を豚と呼んで罵ることがあるものの、実際の体脂肪率は14~18%程度で人間に比べれば、やせている部類に入り、ほとんどは筋肉である。

というより、食用になる赤肉は筋肉であって(脂肪はラード)、豚が通念通りの肥満体であれば過食部分は少ないことになる。

食性は雑食で蛇なども食べるが、基本的に植物の根や茎、花などを食べ、植物が中心となっている。

ウシと違い、胃が一つしかない。このため反芻はしない。

消化器官は長い間、食べ物を留めておけるように進化している。このため通念に反し、美味しいもの、栄養価の高い食べ物を好んで食べる習性があり、何でも選り好みしない訳ではない。

数ヶ月で出荷される家畜として飼育されたブタは、トウモロコシ、大豆、オートミールにビタミン、ミネラルなどの薬剤を混ぜたものを与えるが、ペットとして買う場合は生野菜を中心としたバランスの良い食事が欠かせない。


きれい好きであるため、身体を洗う泥浴び以外に寝床から離れたところに排泄する習慣がある。

ただし、これに関しては印象操作がなされており、そもそも草食動物は身体の構造上、排泄を我慢できない。従って排泄を決まった場所にするからきれい好きという訳ではない。

基本として肉食動物は、草食動物に気付かれないように排泄は我慢できるようになっており、排尿・排便が縄張りを示すものでもあるため、所かまわず排泄する訳にはいかないのである。

恐らく人間も遺伝子レベルで、そのように考えているため排泄をコントロールすることを「良い」と感じるのであろう。

ブタは、家畜なので大人しい印象があるが、実際には飼育している農家を襲って食べるという事件も起こっている。また野生化したブタは、餌をとるために狩猟行動をとり、鳥の巣、小動物を襲って食べる。

狩猟をする動物である以上、臭いに敏感になるのは当たり前である。

人間がそうであるように、毛に虫が着き、雑菌が繁殖することを嫌って長い毛が抜けた、頻繁に水や泥の中に入るうちに水を含む毛が邪魔になったのではという意見がある(水生類人猿説)。

まさに進化してしまう程のきれい好きだったのかも知れない…


水はあまり好まないが、泳ぐことはできる。

時速40kmほどで走り、1m程度の障害物ならジャンプで飛び越える運動能力の高さを誇る。しかし視力が弱く立体視ができないため、やはり得意ではない。


子供をたくさん産むので豊穣や蓄財(ブタの貯金箱)、子孫繁栄のシンボルにもなっている。一度に10~12頭ほどの子供を産む。乳首も6対12個ある。

しかし母ブタは間違って子豚を食べたり、踏み潰してしまうことが分かっている。そのため農家は子豚を引き離して飼育する場合がある。


最近では知能面も見る目が変わってきている。

犬猫や一部のクジラ類などよりもその知能は高いとされ、数少ない「鏡を理解できる」動物の一つ。物覚えが良く忠誠心も高いのでペットとしても人気がある。

見た目の通り鼻も利くので「警察豚」としての利用が本当に検討されていたが、「と比較した場合時間が三倍かかる」、「階段が降りられない」という問題があって結局断念された。


ゾウの鼻がそうであるように、ブタの鼻も人間の手のようにモノを掴んだり、触って対象を確かめることが出来る。

ブタの鼻は頭蓋骨から伸びる長い鼻骨と軟骨で出来た円盤状の部分からなり、柔らかく繊細である。この鼻を使って地面の中の根や虫を掘り返して食べることが出来る。またボルトを外す、ドアを開け閉めするなど知能の高さに裏打ちされた使い方をしている。

円柱を切り落としたような鼻の表面は、鼻鏡(びょうきょう)と呼ばれる。犬と同じように常に湿っている。

鋭い嗅覚に着目し、ヨーロッパではトリュフを探すために利用された。


歯は上下、3.1.4.3対3.1.4.3の44本。

前歯(切歯)が6本、犬歯は長く伸び、これを磨いて鋭くする。前臼歯8本、後臼歯6本。奥歯は食べ物を細かく磨り潰すために使う。


蹄は主蹄と副蹄の二つに分かれている。普段は外側の大きい主蹄で体重を支えている。

もともと指は4本あったが、第1指が退化し、第2指は後ろで浮いており、地面には接地していない。残る大きな第3指と第4指で立って体重を支えている。


目が小さい印象だが、これは頭が大きいためで大きさ自体は人間とほぼ同じである。

眼窩は頭部側面に着いており、視野は300度ほどある。しかし深い森の中で進化したためか、視力は人間で言う0.1よりも低く、青以外の色は認識できないため、ほとんど目は見えていないものと考えられている。そのため、聴覚・触覚・嗅覚に頼っている。


悪印象編集

ユダヤ教及びイスラム教では、旧約聖書にある食に関する禁忌を概ね守っている。そのため蹄が割れていない動物かつ一度消化した物を再び噛み砕く反芻(はんすう)を行わない動物の肉を不浄とする(尚且つ、宗教的に決められた適切な方法で屠殺した動物の肉でなければ不浄)。豚の場合は蹄が割れているが反芻をしないため、やはり不浄な動物とされ、口にすることを禁じている(この定義に厳密に沿えば、哺乳類ではウシ科の家畜、即ちウシ、ヤギ、ヒツジ以外がほぼ食肉出来ない事になる)。

上述したように旧約聖書の『レビ記』に書いてあるので厳密にはダメなのだが、ムバラク政権時のエジプトでは、イスラム圏である上にブタに関するタブーがないコプト教徒(エジプト周辺に土着しているキリスト教一派)に関する保護のようなものがあり、「イスラム教徒のお肉屋さんが豚肉を売る」ことがあったそうである。但し当時のエジプトで取材していた松本仁一は、豚肉の確保に苦労しているように、一般的には出回らない。


このような禁忌が生まれ旧約聖書に明示された背景は色々と考えられるが、荒れ地での放牧飼育が多かった中東周辺では家畜はウシ、ヒツジ、ヤギが古代から主流で身近であり、ブタやウマ、ラクダなどが特に古代ユダヤ人にとって「新しい家畜=異教徒の家畜」だった事に由来するのかもしれない。


キリスト教では特にその手の禁忌はない。イエス様曰く「外から入ってきたものに人の心を汚すことはできず、腹におさまった後で厠(トイレ)に流されてしまうだろう」とのこと。

アイルランド(島の別名が「豚の島」)の守護聖人聖パトリックは一介の豚飼い稼業から身を起こしてクリスチャンになっているし、大昔、神官が兼業で養豚をしていたこともあった。そのため伝承でスワインハード(豚飼い)は何となくありがたいものとして登場する。

豚肉はじめ食への禁忌を持たないことは、古代ローマ帝国においてキリスト教が広範な地域に広がる事を容易にしたともいえる(古代ローマはじめ欧州ではブタは欠かせない家畜であった)。


そういう宗教的なところ以外でも、泥浴び、エサとなる植物を嗅ぎ分け掘り当てる際に泥まみれになる事、その為に進化した鼻を大きく釣り上げる等の独特の形状をもつ顔、体形から、不潔肥満暴食間抜け等の醜いイメージがある。

蔑称・罵倒語として使われることも多い。ただし各国で微妙にニュアンスが異なる。例えば日本では後述するように見下すニュアンスで「豚野郎」と言われているが、ドイツでは人道を外れた行為をしでかした相手に対し、「人でなし」「畜生」などのニュアンスをこめて「Du, Schwein!(このブタ野郎が!)」という言い方をする。

雑食であるため人を食べるケースもある(参考)ことも、悪い印象を与えている場合がある。


日本においても悪印象は概ね共通。「私腹を肥す悪人に対して」「相手を馬鹿にする・下等な存在として見下す時」「自分の容姿を気に病んで自虐する時」等に用いられ、「豚」と呼ばれて喜ぶ人はあまりいない。

その為、キャラクターの設定・デザインとして豚を扱う場合、状況によっては嫌悪感を持つ人もいるかもしれないので注意。


豚と縁起物編集

一方で豚の多産性や繁殖力、バイタリティは縁起の良いものとされた。

  • 十二支の「猪」は本来ブタを指す。そのため中国・韓国・ベトナムなど中国暦の影響が強い地域においてブタは多産の縁起ものである。日本では養豚が定着しなかったため、イノシシ(野猪)に「猪」の字があてられた。
  • ハワイのオアフ島には、カマプアアという豚の神様がいる。普段は美男子の酋長として君臨するが、戦などで本性を現すときは八つ目の大豚に変化する。また、彼は地面を鼻で掘って耕す。
  • オーストリアやドイツでは新年の幸運は豚が運んでくるという言い伝えがある。また「豚を手に入れた(棚から牡丹餅)」「豚を持っている(運がいい)」という慣用句もある。
  • 近年の日本においては、「トントン(豚豚)拍子に事が進む」ことにあやかり、豚のお守りや小物などが売られている。
  • 北欧神話ではフレイヤの化身とされていたり、あるいはフレイヤの愛人オッタルの化身としてフレイヤの乗る車を牽く役目をになっている。

ブタの野生化編集

元は猪で、生命力も非常に高い事から、養豚場から逃げ出す等で環境が家畜から野生に変わったとしても特に問題なく生活が可能。長い年月の中を野生で生きていると先祖返りが起こり、全身に剛毛が生え牙も長く伸び、猪と殆ど変わらない姿になる(牙は豚である時も伸びているが、危ない為に人為的に切られている)。

近年、東日本大震災の影響で、避難区域にあたる場所で大量の豚が野生化している。その結果、野生の猪との交配によってイノブタが大量発生する事態になり、その中でも富岡町ではすでに数百頭のイノブタが生息している。これも豚の繁殖力の高さがモノを言わせた結果なのかもしれない。


主な品種編集

  • ヨークシャー
  • バークシャー
  • ランドレース
  • ハンプシャー
  • デュロック
  • メイシャン
  • アグー
  • アヨー
  • ミニブタ

豚をモチーフにしたキャラクターや諸作品等編集

特撮編集

スーパー戦隊シリーズ編集


仮面ライダーシリーズ編集

漫画・絵本等編集


神話編集

ゲーム編集

ネットスラング編集

※これらは基本蔑称であるため、使いどころには注意して頂きたい。

罵倒的な意味で編集

その他編集

キャラクターのモチーフとしての扱い編集

大体太ったイメージのせいかパワーキャラの扱いが多い。また罵倒として使われることも。

関連項目編集

ブタ ぶた表記揺れ、どちらもイラストは1000程度ある)

(漢字表記の一つ)


商品関係編集

貯金箱…(18世紀イギリスで「pygg(陶土) bank」を「piggy(豚の) bank」と聞き間違えたものが始まりとされる。また、豚には捨てるところがなく、繁殖力もあるのでそれにあやかったという説もある。)

蚊取り豚…正しくは蚊遣豚と言い、蚊取り線香を入れる容器の一種。上記の貯金箱と同じく様々な言われがある。


動物関係編集

動物 哺乳類 /ケモノ イノシシ

家畜 養豚場 ペット

黒豚 子豚 ミニブタ

豚鼻 豚耳 ブー ブーブー ブヒ

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