CV:佐久間レイ
概要・人物
機動戦士ガンダム0083の1話から登場し、本作のヒロインを務める。年齢は21歳。
ガンダム1号機・2号機の開発に携わっているアナハイム・エレクトロニクスのシステムエンジニアで、主にシステムソフト開発を担当している。連邦サイドだが、月面生まれの所謂ルナリアンにあたる。ピーターという父親が存在するが、過保護的な性格にうんざりしている。
ルナリアン故に技術畑かつ自身の開発したガンダムに対する愛着が凄まじく、一見清楚に見えて実は結構な変人気質である。
元々は試作型ガンダムの戦闘データの所得・管理を理由にアルピオンに同乗していたが、宇宙に上がった後半では負傷兵の救護をするなど技術面以外の仕事もこなすようになる。
コウに対しては当初は特別な感情は抱いていなかったが、我武者羅に戦い続ける彼に心惹かれていく。そしてコウが無理に地上戦仕様のガンダムで出撃した際は、1話と異なりコウの身を案じて行動を起こしていた。メカオタクでもあるコウとは意外と相性が良かったのかもしれない。
しかし中盤においてガトーと過去に恋仲であったことが発覚(ケリィの反応を見るにかなりの付き合いだった)。その後は一度は恋愛感情を抱いた男と今愛している男との対立に心を痛めていく。
そしてコロニー落下が確定的となった最終盤面において、落下するコロニーにコア・ファイターで潜入し、ガトーを射殺しようとするコウを止めるため、コウに銃口を向ける。その後はガトーに付いて彼を救おうとするも気絶させられ、ジオンの関係者によって救出され戦闘空域を後にした。
戦後の扱いは媒体によって異なり、先行公開された劇場版では消息は明かされず、OVAではコウの元へと戻った。当時の漫画版ではガトーとの関係自体がなかったため普通に終わっている。
ファンからの評価
序盤の『主人公コウ・ウラキを値踏みするような言動』、『人間よりも自分の作品でもあるガンダムを真っ先に心配する』、そしてラストで『地球にコロニーが落ちるのが確定的となった瀬戸際で昔の恋人に情を移しコウに銃口を向ける』などの戦況より私情を優先した行動の数々によって、カテジナ・ルースやクェス・パラヤなどと並んで、(最初期の)『ガンダム三大悪女』と呼ばれている。
そのため、視聴者から本作の真のヒロインはシーマ様とまで評されている。
行動や心情に関するフォロー
一般的には「ニナがガトーのコロニー落としを後押しした」と認識されているが、実際は既にコロニー落としの成功が確定的な場面においての行動である。つまり、この時点でコウにはガトーを射殺するべき合理的な理由がなく、ただ自分の感情に任せてガトーを追っていたとしか言いようがない。また、ケリィとコウの決闘にも生身で割って入っており、この時に過去へ囚われ続けるガトーの信念を詰るように「みんながちょっと我慢すれば済む話なのに!」と叫んでおり、ジオンの再興を望むその行動や心情には賛同していなかったことは窺える。
また、OVAリリース後に刊行された小説版では、OVA版の結末を元にしつつ補足が行われ、ニナの行動に対してコウ自らフォローする考察が追加された。それによれば「ニナが自分を止めたのは裏切りではなく、無抵抗のガトーを衝動的に射殺すれば必ず罪悪感と後悔を味わうことになるのを避けるためだった。もし殺していたら自分(コウ)は当時の罪悪感を一生引きずることになっただろう。」と語り、そんなニナの真意を察せなかったことを悔いる…ということで、ニナの行動の理由付けとなっている。
考察
そもそも本作品はジオンという過去の存在を過度に美化するガトー、ジオンが過去に行った虐殺作戦に加担した苦しみで復讐鬼となったシーマ、ジオンの兵士時代を懐かしむジャンク屋のケリィなど何かと過去に執着するキャラクターが多い。
そういう意味では彼女もまた同じく元彼のガトーという過去の存在に囚われているキャラと言える。
なお意図したものかは不明だが、本作は過去に囚われた上記のキャラ達が総じてろくな末路を迎えていない。
一方でニナは、本編の終盤で今の彼氏であるウラキに対して一瞬悲しんだ表情を見せるがすぐに笑顔を見せている。
つまり元彼のガトーとの関係を完全に終わらせ、過去に対しての決別をしたということがうかがえる。
過去の因縁から抜け出すことが出来なかった彼らとは違って非常に明るく、対照的な描写がなされていると言えるかもしれない。
ニナの設定の矛盾
ニナがガトーを好きだったという設定には矛盾があると指摘されている。
第一話のある場面にてガトーの顔を直視している(描き方)にもかかわらず、「誰なの!?」と悲鳴を上げている(一応監督は最初期から0083に関わっており2号機のハッチで見えなかったと後付で説明してはいるが、ガトーが反応しないのがおかしいし、その後ガトーが事件に関わっていることを知っても長らく動揺しなかったなどの矛盾が生まれる)。
この矛盾の原因は、はっきりと明らかにされていないが、当時スタッフやキャスト間でも矛盾に対する指摘があったという。
作品の途中で(最初期から関わっていたとはいえ)監督が代わるのは相当な事態であるため、少なからず影響もあったのかも知れない。
....そもそも、ニナがガトーを好きだった設定を書いた脚本家は第一話の脚本家と違うという点や、本作品は長期間に渡って制作されたOVAであるという点を考えるとおのずと答えは見えてくるかもしれない。
コミカライズ版
加登屋みつる氏の手掛けたコミカライズ版0083では、最初から最後まで徹底してヒロインとして描かれている。
コウをあしらう・からかうといった年上の女性らしい姿を見せつつも、徐々にコウに惹かれていき、彼をガンダムのパイロットとして認めていくといった流れとなっている。
特に顕著なのが、アニメ本編での迷ゼリフとなってしまった「そういう事じゃあないのよ」を発言した場面である。
アニメ本編ではコロニー内部でガトーをかばってコウに銃口を向けたシーンで発せられたセリフだが、本作ではコウを試作三号機に乗せることを渋った際に自分の実力が不足しているのかと憤るコウに対しての返事として呟いている。
これは試作三号機が操縦に負担が大きい機体であること、ガトーとの戦闘でコウが死にかけてしまったことを受けて彼の身を案じたもので、即座にコウの頼れる上官であるベルナルド・モンシア中尉から「ニナさんはお前を心配しているんだ」とフォローされ、さらにモンシア中尉からコウの能力は確かなものだから安心してくれと励まされたことで、ニナがコウに試作三号機を託すことを決意するという名シーンとなっている。
そして本作では最終的にニナの支援を受けたコウがコロニー落としの阻止に成功、粉々に砕け散ったコロニーの破片が星の屑として夜空を彩る様をコウとニナが二人並んで眺めるシーンで幕を閉じる、と言った流れとなっている。
『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』
コウ・ウラキの戦闘開始時などの掛け合いに登場。彼と共に宇宙世紀やアナザーを問わず、様々な時代で活躍した僚機や敵機の戦術やスペックについて語らう。また、機体だけでなくパイロットの方にも興味を示しており、コウに対してゲルマン忍術を習得したらと毒づいている…宇宙世紀の人物に対してその要求は酷ではなかろうか。
パイロットを操ればデータが取り放題ではないかと画策したり、敗北した際にはコウよりも自機が壊された事を心配するなど、アレな所も健在である。
しかしながら、キャタピラやビーム避けのコーティングを1号機に取り付けようというコウの提案に対し、それもありだと考える憎めない所も。
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マリーメイア・クシュリナーダ…後のガンダム作品で佐久間女史が演じたキャラクター。