概要
ガンダムシリーズにおける悪女は、「裏切り」や「大量殺戮」、「男を篭絡」を始めとする行動を採る(または「性格が気に入らない」「ウザい」「怖い・恐ろしい」等の悪印象を持たれる)等して、一部のガンダムファンから「悪女」扱いされる女性キャラクターを指す言葉である。
機動戦士Vガンダムのカテジナ・ルースを筆頭に、機動戦士ガンダム0083のニナ・パープルトンと、逆襲のシャアのクェス・パラヤの名が挙げられる扱いが多かったが、最近ではファンの年齢層や価値観の多様化によるキャラの見直しや、新たな悪女キャラの台頭などにより、宇宙世紀・アナザーを超えて壮絶な席の譲り合いが繰り広げられている。
悪女呼ばわりされる人々とその原因
※ネタバレ・偏見・中傷的表現を含みます。
殿堂入り
- カテジナ・ルース(機動戦士Vガンダム)
- 詳しくは該当リンク参照。彼女に関しては「悪女」はむしろ褒め言葉。悪女のカリスマ的存在で、序盤と終盤の落差や、トチ狂ったような発言や行動の数々や、かつてのヒロインとは思えない程変わり果てた凶悪な面構えに魅了されたファンも多い。
- ただし、この気質には「戦争に巻き込まれたゆえの発狂」の面もあり、生来の悪女気質な訳ではない。富野監督曰く「もともと何も考えていなかった女」である。戦争さえ無ければこのような悪女ぶりを発揮する事態はなかっただろう……との点で同情の余地がある。
- が、それを踏まえた上でも劇中の行動は悪女としか言いようがなく、そしてそれを招いたのが彼女自身の浅はかさである実態も否定出来ない。後述するシャクティと違い、彼女は大人であるため、他者に責任を問えない意味でも、「悪女」の誹りを免れはしないだろう。
- ニナ・パープルトン(機動戦士ガンダム0083)
- 詳しくはリンク先参照。コウと親密な関係になりながら、元彼のガトーが現れると突然未練を見せ、挙げ句地球にコロニーが落ちるかどうかの瀬戸際で、ガトーを庇ってコウに銃口を向ける、そしてそこまでしておきながら沈静化したら戻ってくる、と、身勝手極まりないムーブを見せる。上記のように「環境に狂わされた」とする声もあるカテジナに対し、完全に自分の判断でこうした行動を採っている点、そしてその動機が男である点から、悪女の言葉にはより相応しく、カテジナをおいて「ガンダム悪女筆頭」と見る人も多い。
- 小説版ではコロニー内で3人が揃った時に「ニナが傷ついたガトーを庇った心理」について 『コウに無防備な生身の人間を殺させたくなかったから』となっており、エピローグでコウもその真意に気付き「ニナが制止してくれなければ、生身の無防備な人間を撃ち殺した罪悪感を引きずり続けただろう』と考えるシーンが追加されている。実際あの時点で既にコロニーは阻止限界点を超え、ソーラレイにも耐えて、地球への落着が避けられない状況である。コウに脇腹を撃たれてもガトーはコロニーの最終軌道調整を止めなかったので、コロニーの落下地点も確定した後である。『コロニー落としを止め、止められないにしても被害の少ない地域を選ぶ』とするコウの任務は終了してしまっており、ガトーを撃ち殺したところで状況は変わらない。任務の上で必要な殺しでもなく、本当に私怨での殺人になってしまう。更に既になされたテロの責任を正式に取らせるのならば裁判にかけなければならないので、コウがやるべきは捕縛であって射殺はやっぱりダメになる。としたかなりのフォローがされている。
- ただ、例え生身の無防備な人間であったとしても、敵軍の兵士である事実に変わりはなく、それを逃がすのは利敵行為以外の何者でもない。戦場で出会った敵兵を殺害するのは十分に任務の範疇であり、これを「私怨だから殺さない方が良い、逮捕すべき」とするのは、実際の所擁護としてはかなりの無理筋。しかも、実際には逮捕を促すどころか、ただただガトーを逃しているだけである。事実、ガトーはこの後、コウとの一騎打ちに臨んでいるため、場合によっては普通にコウが戦死していた可能性も少なくない(実際には見逃されたが)。更に、その後は連邦の包囲網を突破しようと最期の突撃を行い、実際にそれなりの被害を出している。これを「殺しても状況は変わらない」とするのはあまりにも無理があり、ガトーに撃墜された戦死者やその縁者などにしてみれば、罪悪感云々で敵兵を庇われては堪ったものではない。
- まあ彼女の場合は0083の作り込みの甘さの被害者の側面もあるが。実際の所、0083はニナ以外の行動も大分おかしい(かく言うコウ自身も内通者であるシーマを私情で攻撃・撃墜し、結果的にコロニー落とし阻止失敗の遠因を作っているため、そこを追求されるとニナを批判出来ない所ではある)。
- なお、0083は前期に監督を務めていた加瀬充子が7話で離脱しているため、『そもそもニナがガトーと古い知り合いだったのは、後期の監督である今西隆志の後付』とする説も、一部で語られている。だが、今西は最初期から0083に関わっており、あくまで前半は加瀬との共同監督なだけである(ただ、「加瀬の離脱後に作風が大きく変わった」と見るファンは多い。今西が後期しか担当していない誤解は、それも原因の一端である)。
- また、序盤のニナとガトーが出会うシーンで、ニナが「誰!?」と問いかけているのも、後付説が唱えられる原因の1つ。今西は後に「ニナにガトーの顔は見えていなかった演出をしていたが、視聴者には分かり辛かった」と自責の念を述べている。
最初期メンバー
かつては当確だったが、新勢力の台頭によって候補レベルにまで落ちた方。
- クェス・パラヤ(逆襲のシャア)
- ウザイ・ワガママ・自己中の三つを備えた女の子。チェーンとアムロとの関係に嫉妬してネオ・ジオンに逃亡し、私情で戦場を好き勝手にしていた。かつては三人目候補筆頭だったが、新たな悪女ヒロインの台頭や、「GUNDAM EVOLVE 5」における綺麗なクェス化によって近年では候補止まりに落ち着いている。また、13歳という多感な年齢や、戦争についての認識不足、家庭を全く顧みず堂々と愛人を連れている父親等々の事情を鑑みれば仕方ない面もあり、早い時期から以下のキャラクター達と熾烈な席の譲り合いを繰り広げてきた。
新勢(3人目候補)
どのキャラもカテジナやニナほどのインパクトや説得力に欠ける為、未だ候補止まりの方々。
宇宙世紀
- キシリア・ザビ(機動戦士ガンダム)
- ザビ家の長女。オデッサの鉱山基地を味方の将兵達がいるのにもかかわらず爆破させ(この行動にはマ・クベでさえも躊躇した)、更にはランバ・ラルへのドムの支給を取りやめてホワイトベース隊撃墜のチャンスを潰し、実兄であるギレンも暗殺してジオン敗北を決定付けた存在。
- 漫画THEORIGINではザビ家の次男であるサスロ・ザビを暗殺し、更にキャスバルをも暗殺するべくシャア・アズナブル(本物)等の、無関係の一般人が乗った宇宙船を爆破させる。父殺しをしたギレンを排除する大義名分が欲しいが為に、ソーラレイ発射前にギレンに対して実父がレビル将軍と停戦協定のため密会する集合場所の位置座標を伝え、ソーラレイを発射させた後ギレンを暗殺する等、悪行度がかなり上がっている。
- 悪行の度合いではカテジナやニナを遥かに上回り、明らかにトップクラス。にもかかわらず三大悪女になかなか名前が上がらないのは、悪女の言葉から連想される「女の情念ゆえの悪」が感じられず、政治的野心によって行動している悪人の一面が強いためだろう。
- ザビ家の長女。オデッサの鉱山基地を味方の将兵達がいるのにもかかわらず爆破させ(この行動にはマ・クベでさえも躊躇した)、更にはランバ・ラルへのドムの支給を取りやめてホワイトベース隊撃墜のチャンスを潰し、実兄であるギレンも暗殺してジオン敗北を決定付けた存在。
- シーマ・ガラハウ(機動戦士ガンダム0083)
- 軍務に忠実で大義を胸に戦う者が多い0083におけるジオン軍人の中でも、毒ガスや裏切り、裏取引といった汚い手段を厭わない行動をしているため悪女として名前が上がりがち。しかし、彼女がそのような行動に走ったのは、汚れ仕事ばかりを引き受けてきたにもかかわらず、その責任だけを擦り付けて尻尾を切ったジオン上層部への不信感と復讐心からである。
- 1年戦争が終わった後も戦争犯罪人扱いされた彼女は、生き残るために裏切りや裏取引などの手段も採りつつ宇宙海賊を続けるしか無かった。毒ガス作戦についても、作戦決行時は「致死性の無い催涙ガス」としか聞かされておらず、自分が意図せずコロニーの住民を大量虐殺してしまった事が耐えがたいトラウマになってしまっている。
- 知らなかったから悪くない訳ではないだろうが、軍に忠実だったにもかかわらず一方的に切り捨てられ、生き残るために手段を選べなかった事情や前述の毒ガスのトラウマなど、彼女の境遇に同情的なガンダムファンも多い。
- レコア・ロンド(機動戦士Zガンダム)
- ナディア・ロナ(機動戦士ガンダムF91)
- 娘に対する愛情こそ本物であり、クロスボーン・バンガードの蛮行にはレジスタンスの一員として抵抗はするなど、一定の良識は備えている……が、それ以外の感性が全滅しているレベルで欠けている毒親。実父が掲げた『コスモ貴族主義』を嫌い、(主に家から出る目的で)最初の夫と結婚するも、夫の「義父が『自分を後継者にしてくれた恩義』に報いる」べく尽力する姿に辟易し、娘を連れて最初の出奔を実行、夫の後の凶行を助長する事態に繋がる。再婚した夫も『うだつの上がらない人間』と判るや、「ロナ家の人間に自分の所在が知られないように」を口実に夫に娘を押し付けて再び出奔、結果的に娘がロナ家に囚われる事態を生むなど、とても結婚適齢期に達し、かつ出産を経験した成人女性とは思えないほど、非常識かつ我が儘の限りを尽くしている。
- このように『自分の意思だけを強引に押し通し、気に入らない事態には周囲にそれを押し付けて逃げ回る』のに終始する姿はエゴイストそのものであり、彼女の強烈極まりないエゴが劇中の大半の悲劇の引き金になっている以上、諸悪の根源と断言しても仕方がない人物(実行犯こそカロッゾとその腹心だが、ナディアの『大人としての自制心』の欠落と『妻としての無責任』さや、それに端を発した彼女の出奔から、カロッゾがコンプレックスを拗らせ貴族主義に傾倒・狂気に染まっていく様などを鑑みると、カロッゾのみは人にもよるが哀しき悪役に相当する)。
- 上記の通り、ナディア自身は父が掲げた思想を嫌い、父のみならずカロッゾとさえも決別したが、彼女の言動の根本は正しく「貴族の傲慢さ」そのものであり、彼女自身も無自覚のままに貴族主義に傾倒していた風にも見えるのは、皮肉でしかなかろう。
- 後述されるシャクティと同じく「本人に悪意がない」点こそ擁護できるものの、「では、悪意がなければ全て赦されるか?」と問われれば「ノー」なのも事実であり、見方によっては無自覚のまま悪行に邁進した人物とも切り捨てられる。
- シャクティ・カリン(機動戦士Vガンダム)
- 彼女自身は決して悪女などではなく、むしろ聖女タイプの良い子なのだが、その頭の中はお花畑であり、しかも意思の強さと行動力だけは人一倍ある為、彼女が良かれと思って動けば動くほど、結果的に彼女の為に何人もの人が死ぬ事態を生むと、無自覚の死神であり元凶。それゆえ彼女を悪女扱いする人もチラホラ。しかしやはり悪意が無い以上、悪女とは断じ難い。
- 何より、Vガンダムの主題が「大人に振り回されて戦争に巻き込まれた子供たち」である事実を考えると、そもそもそんなシャクティ(たち子供)を戦場に連れ出している大人が全ての元凶でもある。ガンダムシリーズに多くの少年兵が登場し、何より主人公ウッソが(富野監督が「こんな出来すぎた少年は嘘だ」との意味で『嘘・鋭敏』と名付けたほどに)良い子である為に視聴者も麻痺しがちだが、そもそも一介の少女であるシャクティの行動が、大人の命を左右できる時点でおかしいのだ。
アナザー
- ディアナ・ソレル(∀ガンダム)
- 彼女自身は悪女とは言えないものの、地球降下作戦によって地球と月との戦争の原因を作ってしまった他、ギンガナムの裏切りの一因でもある為、悪女扱いされる場合もしばしば。もっとも、地球との戦争はディアナをはじめとするソレル一派を月から追い出し、月の実権を掌握しようとしたアグリッパの陰謀でもあり、ギンガナムの裏切りは言いがかりに近いものだったのだが。
- シャクティと同じく、本人に悪意は全く無いのだが、不幸な偶然の連続と彼女を利用しようとする者によって害悪が撒き散らされる、善意の元凶と言える存在。もっとも世界観としての都合であるため、悪女の代名詞として挙げられる扱いは全く無い。
- キエル・ハイム(福井晴敏版∀ガンダム)
- フレイ・アルスター(機動戦士ガンダムSEED)
- 主人公であるキラ・ヤマトと同じ学校に通う学生であり、大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターの娘。キラの同級生であるサイ・アーガイルの婚約者でもあった。父親を殺したコーディネイターに復讐するために同じコーディネイターであるキラを利用し、戦場に駆り立てると同時に肉体関係まで結ぶ。キラを利用した動機としては、コーディネイター同士が殺しあうよう仕向けたかった、父を見殺しにしたキラが苦悩する様を見たかったとの意味合いもある。婚約者であったサイには冷たく当たるものの、想い自体を完全に捨てたわけではなく、それに感づいたキラはますます精神に変調を来たし、更に戦いにのめり込んでいく。
- 復讐の為に男を惑わし利用する、利用している男すら私怨の対象である点では相当な悪女だが、それらの要因はひとえに父を失った悲しみである。中盤から後半に至っては己の行為を反省し、キラとの対話と和解を望むも、敵に利用された上に非業の死を遂げる、精神世界でキラ本人に謝罪と反省の弁を述べるなど、同情の余地が全くないわけではない。しかし行動が余りにも目に余るため、かつて海外の不人気キャラ投票では「クレイジーサイコビッチ」とも呼ばれ、現在も脈々と続く「クレイジーサイコ〇〇」スラングの金字塔的存在。
- ラクス・クライン(機動戦士ガンダムSEED)
- 王留美(機動戦士ガンダム00)
- ソレスタルビーイングのエージェントとして活動しつつも、敵であるトリニティやアレハンドロ、イノベイター側にも協力し主人公らを陥れた。その目的は世界を混乱に陥れるであり、彼女にとってソレスタルビーイングもイノベイターもそのための道具でしかなかった。主人公らの味方のフリをしつつ影で暗躍して、周囲や世界を全く考えず、平然と贅沢な生活を送っていた様はまさに性悪女に相応しい行いであり、一時はラスボス説すら囁かれたものの、イノベイターがより暗躍する二期では彼女の出番は少なく、二重スパイのような存在のまま終盤で野望も虚しく退場し、目立った活躍はなかった。主人公達も彼女の暗躍に気付いておらず、裏切られた印象すら無い。世界を裏から操り牛耳ろうとしたものの、より力を持つイノベイターの手のひらで踊らされ何も得られず退場……意味では、悪女よりは道化的なポジションのキャラクター。
- ネーナ・トリニティ(機動戦士ガンダム00)
- いきなり気まぐれで結婚式場に襲撃をかけ、この事件でルイス・ハレヴィは片腕と両親・親族を失った。幼稚で善悪の区別も付かない子供の行動そのものであり、ある意味00シリーズとしては初めて登場した、純粋な悪意による加害行為であった。その後、あっさりサーシェスに兄達を殺害されて以降は目立った出番は無く、2期では王留美の小間使いのような存在になっていた。ファンからは兄達を殺された痛みから人として成長するか、もしくは相変わらず悪女としてはっちゃけて大暴れしてくれるかを期待されていたが、活躍が無いままに最終盤に王留美を裏切って殺し、その直後にルイスによって復讐された。自分自身の復讐の機会は与えられず、因果応報的に自らが復讐者に殺される中でも、最後の最後まで我の強さを出した絶叫は印象に残る。
- 尚、中の人の影響からか、外道寄りのキャラクターながらも人気はそれなりなのもあって、劇場版ではネーナの(遺伝子上の)オリジナルが登場した。
- マニィ・アンバサダ(Gのレコンギスタ)
- ルインのガールフレンドでノレドの友人。アーミィに編入したルインや海賊についていってしまったベルリとノレドの行方を捜すためにアーミィに志願。戦闘のどさくさに紛れてメガファウナに乗り込みノレドらと再会し、しばし行動を共にし金星まで同行する。遠くまで来た事で余計にルインへの恋慕が強くなり、金星からの帰りにジット・ラボから入手した「ジーラッハ」のパイロットとなると、ルイン会いたさから作戦行動中に戦線を離れ単身彼の乗るガランデンへと向かい彼との再会を果たす。当初はマスクにベルリを殺さないよう説得を試みるが無理とわかるとマスクに同調し「今までいい思いしてきたんだからルインのために死んで!」と言いながら本気で襲い掛かってくる。
- 戦後はルインと共にアーミィを離れ、二人旅を楽しんでいる様子が見られる。
ガチの悪(敵)役なのに候補に入ってない皆様
- ハマーン・カーン(機動戦士ガンダムΖΖ)
- Ζ・ΖΖ、2作に渡りラスボスを務めたみんなのアイドル。結果的に漁夫の利を得る形でアクシズを一大国家にするなど、優れた指導者であるが、シャアに振られてしまったことを引きずるなど内面の弱さや、ΖΖラストでジュドーの強さに敬服して自ら負けを認める潔さといったところに惹かれるようだ。何気にZZガンダム後期OP「サイレント・ヴォイス」は彼女の内心を歌ったものでもある。
- ファラ・グリフォン(機動戦士Vガンダム)
- ギロチンを使って反乱軍を処刑するなど、狂気度ではカテジナと同等かそれすらも上回るほどの悪女ではあるが、彼女の場合は最初から最後まで敵であり、悪であり続けた他、強化人間として改造されたり、味方によって宇宙漂流刑に処されるなど、同情できる要素もあった事からあまり名が挙げられる事はない。というかそもそも知名度が…
- ポゥ・エイジ(∀ガンダム)
- 地球と月の戦争の発端を作った事実上の戦犯。地球降下の際には攻撃禁止命令を受けていたにもかかわらず、(地球側から先に攻撃されたとはいえ)自身の命や機体に危険が迫っていた訳でもないのに感情的になって玩具と評した敵機相手に数km先まで焼失させる対艦ビーム砲で反撃、それがキッカケで戦争に陥ってしまった。しかも、その反撃が後の地球側の和平会議参加者の親族を焼き払い、月側の最高権力者で穏健派だったアジ大佐を殺害してしまい、最初の和平会議は最悪の形で決裂し、しかもアジ大佐の後釜に強硬派のフィルがつくことになり、地球と月の関係を拗れさせた遠因となっている。
- しかし、上官のお気に入りだったためお咎めなしで前線に身を置き続け、上述の自身の行いを棚に上げて地球人を蛮族と呼ぶなど差別感情丸出しで、武力行使する気も満々のタカ派。状況判断力を著しく欠いており、核兵器の不発弾を持った相手にビームを撃ってあわや誘爆という状況になったことも。上記のディアナよりよほど性質が悪いが、狂気的な描写がないせいか、悪女と言うより「(頭の)悪(い)女」だからか、あまり名を上げられることはなかった。
- また、「こんなんじゃ下士官以下のパイロットのクズだ!」と言う当人の台詞があるように、自身の愚かさについて自覚している節もある。上官でありながら彼女の罪を諌めもせず、お気に入りと言うだけで重用しているフィル(彼も差別意識丸出しのタカ派)にも、多大な責任があると思われる。