「下がれ、ナディアである!」
「加害者が被害者ぶるのはおやめ下さい」
CV:坪井章子
概要
ロナ家当主マイッツァー・ロナの娘で、カロッゾ・ロナの元妻、ベラ・ロナの母親。奔放で自己の願望に忠実な女性。
ロナ家の思想は肌に合わず、元より嫌っている。そのためか、ロナ家とは無関係な立場にあった研究者のカロッゾと結婚した。しかし、当のカロッゾを婿に迎えるなりロナ家のために尽くす行為に走り、マイッツァー・ロナに心酔しロナ家の思想に染まった挙げ句、「ロナ家の婿養子」と化した彼に幻滅。
当時まだ幼かった娘のベラ・ロナを連れ出し、シオ・フェアチャイルドと共に駆け落ちしてロナ家を出奔してしまい、娘には真実を隠し「シオ・フェアチャイルドの娘セシリー・フェアチャイルド」と教えて育てた。
しかし、シオは優柔不断で今一つうだつの上がらない男であったために彼にも愛想を尽かし、「ロナ家に居場所を悟られないようにするため」と称して、娘を連れては追手から逃げ切れないと判断したのか実家から連れ出したはずの娘をシオのもとに置いて、1人行方を晦ましてしまう。結果的に、娘の居場所を知られてしまうことになる。
自分勝手極まる行為をしたナディアだが、娘への愛は本物らしく、シオが娘の居場所を実家に知らせたとして姿を現すと、彼を問い質し(ちなみにシオはこの件を「偶然見つかってしまった、仕方がなかった」と弁明している)、ベラを取り戻すためにシオを伴ってロナ家を訪れる。なお、当のベラは再会した母親に対しては冷めたような反応をしていた(それでも話し合いの機会を提案していたが)。
……しかし、この行為が2人にとっての運の尽きとなってしまう。
シオは死亡し(明確なシーンはないが、シオが倒れた直後にナディアが「人殺し」と叫んでいるため抹殺されたものと思われる)、自分も拘束され連行されてしまうという末路を辿った。
小説版ではシオは死なず、ナディアも拘束されるが、不問とされている。いずれの作品でも、以降の消息は不明。
徹頭徹尾自身の欲望に忠実な人物で、およそ大人として・親としての理性を感じられない自己中心的な振る舞いから視聴者からの評価はすこぶる悪く、「胸糞悪い」「こいつの我儘がそもそもの原因」と悪しざまに言われることも少なくなく、いわゆる宇宙世紀3大悪女の議論の俎上に挙げられることもしばしば。
余談
「夢を追い続ける人」を愛する傾向が強く、カロッゾ・ロナは科学者として、シオ・フェアチャイルドは小説家として、それぞれが夢を追う姿から結婚している。
カロッゾは、ロナ家の中では立場の弱い婿養子ながら、義父のマイッツァー・ロナから信頼された事でロナ家の考えに心酔していったのだが、ナディアはロナ家の考えを嫌っていたため、仲違いしてしまった。
シオは、ナディアとセシリーを支えるために安定した仕事に就こうとパン屋を開業したが、小説家として成功するために足掻いていた姿をシオから感じられなくなり、「実家に居場所を知られないため」と言う理由こそ並べているが、本心では既にシオへの気持ちは冷めている節がある。
映画F91や小説版F91におけるマイッツァーの思想の話しや、近年の作品(※)で明らかにされる実兄ハウゼリー・ロナの本性、そのハウゼリーを実の家族以上に信頼してハウゼリーの暗殺劇から鉄仮面と化したカロッゾ・ロナの心境などが描かれた事で、ロナ家の家系は危険な思想・理念を掲げている人物が多い。
ナディアはロナ家の危険性をはっきり理解しており、娘をロナ家の思想に染められる事を危惧して、ロナ家から出奔する覚悟ができる点では紛れもなく『まともな感性』を持つ女性ではあった。
※:機動戦士ガンダムガンダムF91プリクエル、機動戦士ガンダムF90FFなど。
関連項目
カロッゾ・ロナ:最初の夫、後にナディアが彼に三行半を突き付け、実家から出奔する形で離婚した。
シオ・フェアチャイルド:2番目の夫、こちらも三行半を突き付けられ出奔されるも、一応はまだ籍がある模様。
セシリー・フェアチャイルド:カロッゾとの間の娘。
ハウゼリー・ロナ:兄。
マイッツァー・ロナ:父。思想の不一致で毛嫌いしていたが、当のマイッツァーも出奔した娘に愛想を尽かしていた模様。
毒親:カロッゾ・ロナの凶行に隠れがちだが、ナディアの行為は端的にはこれ。しかも彼女の勝手な行動が、劇中のカロッゾの暴走の一因となった。少なくとも歴代主人公の母親をとやかく批判できるような人物ではない。