概要
蛙化現象とは、ずっと好きだった男性が振り向いてくれた途端、相手を「気持ち悪い」と感じてしまい好意をなくしてしまう現象。
「片思いから両思いになると突然相手が嫌いになる」と一見矛盾した心理で、主に女性に発現するものだと考えられている。無論男性でも発現し、いわゆる「釣った魚にエサをやらない」状態がそれに当てはまる。
「もし両思いになったら、自分は相手に何をしてほしいか、何をしてあげられるか、どうやって付き合っていくか」を考えていない思考が、蛙化現象の原因になっているとも考えられている。
単に相手に興味がなくなるだけでなく、生理的な嫌悪感を抱いてしまう心理状態に陥るが多いのが特徴。
グリム童話の「カエルの王子様(カエルの王様)」が由来だが、こちらは逆に「カエルが美しい人間の姿になったことで恋に落ちる」話である。
特徴
相手を好きなのに「気持ち悪い」と思ってしまう
相手が好きだったはずなのに、なぜか「気持ち悪い」と思ってしまう変化が挙げられる。単に相手に興味が持てなくなる、気持ちが冷めるだけでなく、相手の行動について生理的な嫌悪感が湧いてくるのが多いのが特徴。
相手の顔を見たくない、同じ空気を吸いたくない、一緒にいるとイライラするなど、相手をあからさまに不快に感じるケースも。
自己嫌悪感を抱く
蛙化現象が起こると、相手に対して嫌悪感を持つだけでなく、自分に対しても嫌悪感を持ってしまう。自分から好きになって告白をしたのに相手を嫌いになってしまった場合には「相手に申し訳ない」と自己嫌悪に陥る場合も。
相手を騙してしまったような罪悪感を感じ、恋愛に対する自信をなくしてしまうとも考えられる。
理由
両思いになるまでの過程の方が面白いから
一般的に、恋愛中の交際において男性は「結果」を重視する(セクシャル)のに対し、女性は結果に至るまでの「過程」を重視する(ロマンティック)と考えられている。
つまり、両思いになるまでの過程、好きという気持ちが実るまでの時間が楽しいので恋愛していた、もしくは行為に至るまでの「焦らされている」時間が楽しかったのであって、両思いという結果、その後の関係構築を得ても「思っていたほど嬉しくない」と感じてしまうと考えられる。
両思いの次の目標がなくなるから
片思いの間は、相手を振り向かせる、思いを伝えるのを目標にしている。しかし、一度両思いになって目標が達成されても、次の目標がわからなくなってしまい気持ちが冷めてしまう。特に、完全に両思いになる前に関係がある程度進展している(例えば、恋人になる前からデートに行ったり、ハグやキスをしたりしているなど)ような場合、実際に付き合い始めた後の具体的な目標を見いだせず、交際の意義やモチベーションがなくなる。
男性の蛙化現象はこのパターンが多いとされる。
理想と現実のギャップに気付いたから
片思いの間は、自分の中で勝手に相手を美化する傾向がある。自分の都合の良いように相手のイメージを作ってしまい、いざ付き合うようになると、それまで知らなかった相手の側面が見えてきて、「理想の中の相手」と「現実の相手」のギャップに幻滅してしまう。また、理想が高ければ高いほど嫌なところが目につきやすくなり、反動で嫌いになりやすくなる。
自分を「好きになった」相手に失望したから
好きな人を元々「手の届かない存在」と思っていた場合、付き合えても「自分とは釣り合わないのでは……」「相手にはにはもっと素敵な人が似合うのに、どうして自分なんか……」と不安を覚える。自分に自信がないからこそ、そんな自分を好きになった相手に魅力を感じなくなり「自分を好きになるような見る目のない人と付き合いたくない」と、ある意味では矛盾した感情を抱いて失望してしまう。
自分が傷つかないようにしたいから
両思いになれるのは嬉しいものだが、恋がずっと続くとは限らない。仲良くなればなるほど、いつかは別れるかもしれない、振られてしまうかもしれないと、恋愛に臆病になってしまう。
せっかく振り向いてもらえた相手から離れようとするのは、いつか訪れるかもしれない失恋を無意識に恐れての行動とも考えられる。
恋愛を受け身に考えているから
相手に愛を与えてもらう、愛の証として何か施してもらうことを望むのは間違いではないが、恋愛とは、相手が自分に何かを与えてくれるのを待つだけの一方的なものではない。
自分は受け身で、相手に対する期待しかなければ、期待通りでない相手を受け入れられなくなるのも当然。
性行為への興味関心の程度、セクシャリティが合わないから
性行為は近代の恋愛を考えるにあたって重要な要素となるが、人によって「子供が欲しいとき以外はセックスをする必要がない」ということもあれば「毎日セックスをして思いを確かめ合いたい」ということもある。アセクシャルのように「性愛」にそもそも関心がない人、ポリアモリーのように同時に複数の人と「性愛」関係になることを望む人、バイセクシャル・パンセクシャルなど複数の性に恋愛感情を抱く人などさまざまな指向・思想があり「恋愛と性交」に関する感覚が必ずしも同じとは限らない。
過度な理想化とも重なるが、このすり合わせがうまくいかないと、いわゆる「ぬいペニ」の一種として「相手に性欲があること」自体にショックを受けたり、性交やそれに繋がりそうな場面にストレスを感じたりするようになる。
誤用
2022年ごろからSNSを中心に「相手の嫌なところを見てしまい恋愛感情が冷める」などの誤った使われ方が広まり、それどころかこちらの意味合いが流行語として定着しつつある。
また、中には「自分に対して蛙化してしまう」といった使い方も確認されている。
誤用が正しい使われ方よりも定着してしまった言葉は珍しくないものの、わざわざ「蛙化」という言葉を用いるよりも「失望」や「幻滅」などの既存の言葉で十分に表せてしまうような表現であるため、誤用について批判されることもしばしばある。
蛇化現象
TikTokを中心に生まれた言葉で、蛙化現象とは真逆に「恋人のどんな部分を見ても可愛い・かっこいいと感じる現象」で一般的にはダサいとされる行動も恋は盲目とばかりに許せてしまう。
蛇の由縁は、「蛙」と字体が似ているのもあるが獲物を丸飲みする生態で、「全てを受け入れる」部分をヘビの生態に喩えた、もしくは「蛇に睨まれた蛙(恐怖で身がすくむ様子)」を「恋人に釘付けになって動けなくなってしまう」と解釈したという説が唱えられているが、詳細は不明。
関連項目
仮面ライダーギーツ:第47話にて、五十鈴大智がケケラの人物像をこのように揶揄した。ただし作中では「意中の相手への想いがある時に急に冷める」とだけ端的に要約して説明されており、ケケラの意中の相手である桜井景和は振り向くどころか、むしろ決別を宣言したばかりであるため、よりにもよって『クイズ王』とされている大智が堂々と誤用する形になってしまった。
反転アンチ、可愛さ余って憎さ百倍:「好意が嫌悪感や不快感に変わる」ことを示す表現の一つ。
カエル化…物理的にカエルになってしまうのはこちら。