「きっとだぞ!キラ!俺はお前を信じてる!」(第10話「分かたれた道」より)
人物
プロフィール
キラ・ヤマトの友人の1人。
ヘリオポリス・学生組のまとめ役的存在で温厚な性格をしている。
ザフトによるコロニー襲撃に巻き込まれてアークエンジェルに避難し、人手不足のためブリッジのCICを担当する事になる。後に、オペレーターに席を移した。
フレイ・アルスターの婚約者だったが、その婚約は一方的に破棄されてしまう。コーディネイターによって父親を殺された復讐の道具とするために、彼女は地球降下後にキラとの関係を深めていった。サイの存在は彼女にとって邪魔でしかなかったのである。(この三角関係は監督の福田己津央が『無限のリヴァイアス』からヒントを得た可能性がある。この作品でも主人公と弟と幼馴染の少女を同じ声優達が担当)
キラはフレイとの関係を否定しないばかりか、フレイは優しかった、他の誰も自分の気持ちを分かってくれなかったとしてサイを拒絶。主人公であるキラに恋人を奪われてしまったような格好となるのだった。
キラへの対抗心からサイは自らもストライクを操縦できる事を証明しようとするが、ナチュラルの彼がキラ専用にOSを調整された機体を満足に動かせる訳も無く失敗。嗚咽とともに悔し涙を流した。
「ううううっううううううううくうぐううううあああああぁぁうっうあああああっあぁうあぁ…」
フレイの一件やストライク操縦の失敗から、キラとの間に確執が生まれ塞ぎ込んでいた。だが、元々の人柄の良さからか、その後キラがイージスとの戦いで相打ちとなり行方不明になった際には心配と悲しみの感情を見せた。
行方不明に際してフレイが縒りを戻そうとしてきたが、周囲を顧みない彼女の独り善がりな言動や本心(復讐心で近付いたキラに本当に惹かれていたこと)などから拒絶した(ただし、後述のフレイの最期では、別れたとはいえ思うところはあった模様)。
以降、トールを失い精神的なショックを受けていたミリアリアを気遣い続け、退役するカズイを励まして笑顔で送り出した。
アラスカ基地をめぐる戦闘にて、行方不明となっていたキラとも再会を果たす。
その際、キラを憎いとも思ったが、キラが死んだと思われた時すごく悲しかった、憎み切れなかったという本心を打ち明けることで、和解を果たしている。
その後も自らの意思で艦に残り、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦までの激戦を戦い抜いている。結果的には、キラに劣らず精神的に大きな成長を遂げたともいえる。
スペシャルエディションでは、フレイが乗る脱出艇がラウのプロヴィデンスに撃墜された時に、どこか哀しげな表情で彼女の名を呼んでいた(HDリマスター版では驚愕した表情に変更されている)。
PS2用ゲーム「機動戦士ガンダムSEED 終わらない明日へ」でアスラン・ザラ視点のストーリーモードで新規制作されたアニメパートでは、三隻同盟に参加して間もないアスランをアークエンジェルの食堂で見掛けた際にミリィやマードックと共に自己紹介をし彼と打ち解けた。
作中において降りかかった災難から、視聴者からは可哀想な人という扱いをされがちだが、そのような悲惨な境遇にあっても、友人へのいたわりを忘れず、率先してメンタルケアを行う姿は、作中屈指の人格者と言えよう。
ただし、彼が善人であることは確かだが、非の打ちどころがないとは決して言えない面がある。
サイはナチュラルとコーディネイターの確執について無頓着な一面があり、悪意のない無自覚的な差別意識を持っている。実際に軟禁されていたラクスの歌を聞いた際に「きれいだなぁ」という素直な感想を述べたが、キラの前で「でも、やっぱ、それも遺伝子いじって、そうなったのもんなのかな?」という失言を無自覚に行ってしまっている。小説版ではキラとのいざこざの直後に「キラなんてコーディネイターじゃないか」と考えてしまい、その際に自身の差別的な考えを自覚し、自己嫌悪を覚えている。
そのため、知らず知らずのうちにキラと自分たちは違うという疎外感を彼に与え、精神的なダメージを蓄積させていったという面は無視できない。
キラは度重なる戦闘で肉体的にも精神的にも多大な負担を強いられていたが、彼の本心を理解してくれる者がフレイ以外にはいなかった。そのため、彼女の誘いに乗ってしまったのも無理のないことである。
このように明確な長所と短所を併せ持つ人物であり、その意味では現実味があるキャラクターとなっている。
続編である『機動戦士ガンダムSEEDDESTINY』(スペシャルエディション)では、モルゲンレーテと思われる企業に勤める一幕が見られた。
コミックボンボンで掲載された高山瑞穂による漫画版『機動戦士ガンダムSEED キラとアスランの激闘』では、アニメ版では見られなかった熱い一面が見られ、オペレーション・スピットブレイク後に戦争に対する不満を爆発させ、トノムラに鉄拳制裁を受けた。
その後
※この先ネタバレ含みます。
続編には登場せず、ファンから動向が心配されていた(サイ役だった白鳥は総集編でナレーターとしては参加していた)。
が、映画「機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM」にてオーブ官僚の中に彼がおり、SEED終了から実に約21年(より正確には20年4ヶ月程)越しにサイの安否が確認された。
その後はミリィと揃ってオーブ軍制服を着用していた事から軍所属になっているのは確定の様だが、前述のシーンではカガリにかなり近い位置に立っていたのでオーブ官僚内でも上位の立ち位置にいるものと推測される。
残念ながらセリフは無かったが、初期からのファンから彼の再登場を喜ぶ声が多数あがっていた。
更に、映画公開17週目の入場特典のアスランのアフターカットポストカードではアスランとカガリの再会をミリィと共に祝うサイの姿も描かれている。
なお、キラと直接絡む場面こそ無かったものの、当のキラがある場面で皮肉にもかつてのサイと似たような役回りを演じていた。
ゲーム作品
アーケードゲーム『機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T.』では、ストライクに一度乗った縁なのかプレイアブルキャラとして参戦。
キラとの同乗とはいえ同じく一度乗った事のあるマリューを差し置いての採用となった。
やはりというか、キラを意識した台詞を言う反面、フレイに関する台詞が彼女が亡くなったかのような口振りになっている(「フレイ、見ていてくれ!」「フレイ、俺を護ってくれ!」など)のでゲーム中のサイはフレイ没後かも知れない。
アニメの続編では出番は無かったが連ザシリーズでは続編『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II』にも引き続き登場。
ビジュアルは前作のままだが、キラ達に合わせてか所属がオーブに変更されている(そこから約18年後、先述通りFREEDOMにて実際にオーブ軍所属となる)。
またこちらのPS2移植版『機動戦士ガンダムSEED DESTINY 連合vs.Z.A.F.T.II PLUS』に収録されている「P.L.U.S.モード」でもミッションを進めると登場するが、基本的にヨタヨタウロウロと周囲を歩いては止まり歩いては止まりとフリー対戦モードのレベル1CPU未満の行動しかしないうえ、独自のモーションとして時々躓きアニメ同様にorz体勢になってしまう。(ブリッツのランサーダートなどの行動不能状態にする武装を地上で受けた時の特殊ダウンの流用)
なお、アニメ本編で続編に直接登場しなかった連ザ2のプレイアブルキャラの内、前作最終回時点で生存していたのはサイのみである(他のSEEDのみの登場キャラは全員DESTINY時点で戦死している)。
関連イラスト
こちらは公式でオーブ軍所属になる前に描かれたイラスト。
関連タグ
アーノルド・ノイマン…彼の操艦技術の象徴であるバレルロールの始まりは、グーンに苦戦していた際にサイが「上部の砲の射線が取れれば」と言ったのを聞いたマリューが閃いたため。
グゥド・ヴェイア、アンドレイ・スミルノフ…中の人が同じガンダムキャラ繋がり。