「やはりアスラン・ザラが最強か……」
「世界を統べるのは、力のある者だけだ。お前にその力があるのか?」
「だが、やはり俺の敵ではない!」
CV:中村悠一
概要
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』に登場するキャラクター。
新興国ファウンデーションの女王親衛隊「ブラックナイトスコード」の隊長で、国防長官・近衛師団長を務める男性。18歳。
その立場からか、ブラックナイトスコード隊では唯一の完全専用機であるブラックナイトスコード シヴァを持つ。
専用パイロットスーツはブルーグレー、ヘルメットには青のファイアパターンのパーソナルマークが入っている。
人物
刃物のように鋭い容貌の青年。王国の軍事機関の最高責任者を任されているだけあって戦闘能力が非常に高く、モビルスーツの操縦だけでなく生身での身のこなしと剣技においても高い実力を持つ。実際、劇中ではシン・アスカとサーベルでの決闘を行い、圧勝している。
- シンは士官学校における訓練ではナイフ戦1位の実力者である。得物が短剣だったらまた結果は違っていた可能性は否定できないが、それはたられば話。なお、この時シンはかつてソードインパルスやデスティニーで行っていた対艦刀を振るう動作を取っている。
福田監督曰く “戦いは彼の核になっているもの、生きるための実感を得ているもので、それを一番の矜持として大事にしている。”とのこと。それもあってか戦士としての強い闘争心とプライドを持ち、自身が最強であることを示すべき強敵を求めている面がある。現在はかつての戦闘記録を精査した結果、自身が最強と見なしたアスラン・ザラを倒したいと望んでいる。
戦いを「神聖」なものと称し、ラクス・クラインを救出すべく単騎で突撃してきたストライクフリーダム弐式に対して「集団で対するは愚」と単独で迎え撃つなど、どこか武人らしい振る舞いを見せる(単純に一対多に強い特性を知っているゆえの判断とも取れる)。もっともこれはアウラが「姫を救わんとたった一機で挑んでくるとは泣かせるではないか」と話しかけてきたからこその判断かもしれないが。
反面、キラ・ヤマトの抹殺を狙う際はブラックナイツによる不意打ち気味の集中砲火後に追い討ちをかける、アスランとの戦いでは肝心なところでは読心を使い、それでいて奇策を使われたことには「卑怯者めが!」と憤るなど、自分にとって都合のいいところでのみ武人を気取っているようなダブルスタンダード気味な言動も少なからず見せている。愛機であるシヴァも、完全に近接格闘戦特化と見せかけて含み針じみた騙し討ち用の兵装を備えた機体となっている。一方で用途としては、抹殺対象でしかない敵(キラ)に対する、あくまでダメ押しの為のトドメの一撃としてしか使用しておらず、自身が認めた強敵(アスラン)との正面からの正々堂々とした戦いにこだわりを持っていたのは確かだ。読心も先天的に備わっていた能力であり、生まれ持った自分の力を活用しているだけであるため、裏で他人の手を借りる作戦を立てていたアスランに対して腹を立ててしまうのも仕方ないと言えるかもしれない。
コンパスの面々に他のブラックナイツと同じように見下してかかるなど、閣僚の1人として冷静な部分はあれ根本的なところでは他のアコードとそう変わりない性分をしているようである。特筆すべき点として、自ら武人であらんとする姿勢を全面に出し、強者に対しては相応の敬意も見せてはいるが、武人としては持ち合わせていて然るべきである「敗者に対する礼儀」が無い。
彼の本質を端的に表すならば、「自分が『最強』であることを証明することにこだわるバトルジャンキー」「『神聖な戦い』で気持ちよく勝利することに固執し、戦場という場所で相手の奇抜な戦略を卑怯と詰る武人気取りの子供」といったところか。いずれにしても人生経験の未熟な精神的幼稚さを感じさせる。
一方、普段の冷徹さとは裏腹にアグネス・ギーベンラートが“月光のワルキューレ”と知ると「強き者は美しい」と発言したり、いきなり泣きついてきても取り乱さずに、彼女の欲しがっている言葉をかけるなど、紳士的な一面もある。
エルドアを離れる直前、彼女に「来るかい?」と誘う様子からも彼女に関心があるようだ(この台詞についてはある作品のオマージュ説がある。詳しくは後述)。
- シュラがアグネスを連れて行った理由だが、小説版の地の文によれば「これでもそれなりに優秀なパイロットだ」「彼女の腕を惜しんでのことだった」とのことだ。
- 声を担当した中村悠一は「彼女を利用するためにファウンデーション側に引き込む役どころでもあるので、相手の心情を利用する狡猾な面を強調するお芝居を心がけました」「シュラがアグネスを引き込みましたが、彼女がこちらに来る余地があるから勧誘したというか、利用するために声をかけたと思っています。(中略)シュラは意図せず彼女に突き刺さる誘い文句を言えたのか、思考を読み取って必要な言葉を発したのかはわかりませんが、アグネスとのシーンでは『君は特別だよ』という空気を出すことを考えていましたね」などとコメントしている。
女性を誘惑して利用する強かさを持つ一方、戦いのみを重んじて生きてきたためか、性的なことには免疫がない様子。そのために終盤では思わぬ醜態を晒してしまう羽目になった。
彼の正体はアウラによって生み出されたデスティニープランを管理し、人々を導く者たちコーディネイターを超えた存在「アコード」の1人。
他のアコードたち同様にアウラに忠実。「力こそ全て」とする傲慢かつ尊大な言動を見せはする一方、逆上したアウラがレクイエムの照準をキラに変えろと言い出した際はオルフェと揃って困惑する様子も見せていたりと意外と冷静な面もある(これに関してはキラを仕留められていなかった事実に驚愕していた側面が強いと思われるが…)。
劇中での活躍(ネタバレ注意)
序盤ではオルフェの代理でプラントに行き、ハリ・ジャガンナートと会っている。
ラクス率いる世界平和監視機構コンパスの一行をファウンデーション領内に出迎え、そんな中でシンと剣での決闘を行い、圧倒的実力差を見せつけた。
その夜、モビルスーツの格納庫にいるとアグネスがやってくる。キラに拒絶されたことで自信を喪失していた彼女に抱きつかれて「ねえ、私、綺麗じゃない?魅力ない?どうして私じゃいけないの!?」と泣き叫ぶ彼女を「君は美しい。『月光のワルキューレ』」と慰め、後に彼女がコンパスを裏切る要因となる。
エルドア地区では当初ユーラシア連邦からの制限により他のルドラ共々静観していたが、マッチポンプによって行動制限が解除されると出撃。
更なるマッチポンプにより暴走したキラが軍事境界線を越えたため、撃墜許可が出るとキラのライジングフリーダムを攻撃する。
「貴様は勝てない。それがお前の運命だからだ」
激しい攻防の末にライジングフリーダムを追い詰め、最終的に戦闘不能にすることに成功する。
アグネスの乱入によってライジングフリーダムがさらに破壊されるのは静観していたが、アグネスのギャンシュトロームに不意打ちを仕掛けて現れたズゴックには即座に応戦。
剣やビームマントを駆使して近接戦闘を挑むも、爪の連撃や新型リフターを駆使した格闘技術で捌かれる。
その動きを見てズゴックに乗るのがアスランと確信するが、仲間がユーラシア領内に侵入して放った核ミサイル着弾の時間が近かったので「邪魔者は核攻撃で抹殺出来る」と判断し、アグネスを連れて戦場から離脱。これが後々のキラ達の反撃を許すことに繋がってしまう。
宇宙に上がった後はアルテミス要塞でアウラの側近をしていたが、ストライクフリーダム弐式が現れたため、シュラは「キラを今度こそ抹殺する」と意気込んで出撃するも、その時にストライクフリーダム弐式を操縦していたのはアスランだった。
狙いに気付き要塞に戻ろうとするもドラグーンに阻まれた上、アスランはシュラに対して「心を読めるんじゃなかったのか? 使えないな」と挑発(これはアスランの放った次戦への布石でもある)。
シュラはまんまとそれに引っかかってしまい「殺す!」と逆上、要塞に戻ろうとしていた直前の行動も忘れた上集中力も乱され時間稼ぎをされてしまう。結果的にラクスを救出されてしまい、キャバリアーアイフリッドとストライクフリーダム弐式に逃げられるが、要塞が爆発を起こしていたため止む無く帰投する。
月面・メサイア墜落跡での最終戦では、ザフトのクーデター軍のザクウォーリアを攻撃していたキラのストライクフリーダム弐式の前に現れ、これと交戦。ライジングフリーダム戦とは打って変わって粘られてしまい、ライフルの片方を破壊したのみで手こずっていたが、増援にカルラが合流し2機でストライクフリーダム弐式を攻撃。ウイングや武装各部を損傷させ、更には超過駆動によるフェイズシフトダウンを起こさせることにまで成功。再び短針投射システムで戦闘不能にしようとしたが、突如現れたズゴックに庇われてしまう。
そして、ズゴックの中から現れたアスランのインフィニットジャスティス弐式と交戦。数合の衝突の末、アスランの強さを認めつつも「だが、やはり俺の敵ではない!」と自分には及ばないと勝ち誇り、思考を読んでこの戦いを終わらせようとするが……それを予見していた(あらかじめ思考を読むように挑発しておいた)アスランは、裸のカガリ・ユラ・アスハがキスを迫ってくるビジョンを脳裏に浮かべた。
まったく予想外のものを見せられてしまったシュラはあまりの衝撃に動揺し悲鳴を上げた。
「貴様!神聖な戦いの場で何という破廉恥な妄想をッ!」
中村によるとアスランの妄想を見せられて動揺する場面で福田己津央監督からは「大袈裟にリアクションしてくれ」と注文されて全力でやろうと思ったとのこと。(ちなみに絶叫した時は赤面してないが「神聖な戦い~」の時はうっすらと赤面している)。それでも気を取り直して再度思考を読むが、インフィニットジャスティス弐式は読んだ思考とは全く違う動きを取り、背後を取られ機体の右腕を損失してしまう。実はアスランはシュラが取り乱した隙にインフィニットジャスティス弐式の操縦権を地球にいるカガリに移すという奇策で読心を対策していたのだ。
- 「なーんだリモートか」などと言ってはいけない。詳しくはキャバリアーアイフリッドの記事を参照して欲しいが、C.E.世界ではNジャマーによって遠距離通信はかなりの制約が生じており、その結果遠隔操作による無人機は殆ど存在していない。そんな環境下でコンマ一秒の操作の遅れが命取りとなるMS戦闘で「月面と地上の間でタイムラグほぼ無し」(※地球と月の距離は約38万kmあり、実際は光速での通信でも約1秒のタイムラグが生じる)のMS遠隔操作対応可能な操作技術は、まさにオーブの、いや人類の科学の結晶である。
- 『アニメージュ』2024年4月号のインタビュー記事で監督は「リモートの切り替えは、カガリやメイリンと打ち合わせていて。「カガリ」と呼んだらカガリにコントロールを渡す、それを相手に読まれないよう妄想をする、という戦術です。カガリがアスランのクセを見抜いて動いていたわけではなく、自分は左に動くから迷わず右に行け、隙を突いてリニア砲で背中を狙え、と事前に伝えていました。心を読んでくる敵が相手ですから、行動の主導権はカガリたちではなくアスランにあるわけです」
度重なる奇策に翻弄される中、再び自力操縦に切り替えたアスランからの反撃を受け、追い詰められながらもインフィニットジャスティス弐式のシールドを弾き飛ばした上片腕を斬り落とす。「やはり俺の方が上だ!」と勝利を確信したシュラだったが、次の瞬間コクピットにビームの刃が直撃した。インフィニットジャスティス弐式に改造された際に追加された隠し武装で、見事なまでのカウンターとして使用されてしまったのである。
アスラン「強さは力じゃない!生きる意思だ!!」
「お、俺が負ける……!?」
自らの実力に絶対の自信を持っていたファウンデーションの武神は、機体ごとその身体を両断され、その最中ですら自身の敗北という事実を受け入れきれないまま機体の爆発に巻き込まれて戦死した。
歴戦の強者であり、自身も「最強」と評していたアスランを相手に一歩も引かないその戦いぶりは、間違いなくブラックナイツはおろかC.E.全体を見てもトップクラスの実力を証明するものではあった。
が、当のアスランに「使えない」と散々見下され、「破廉恥な妄想」を見せつけられて取り乱す様を晒し、悪ふざけ一歩手前の奇策の数々に翻弄された末に敗北するという散りざまは、戦士を自負する彼にとってあまりにも屈辱的なものになってしまったのだった。
だが、戦場という命のやり取りを行う場において騎士道精神を求め、戦士としての力だけに溺れた彼らしい末路であるとも言える。
余談
演者の中村悠一は、過去において
『ガンダム00』にてグラハム・エーカー(ミスター・ブシドー)
を演じており、今作で6作目の出演となる。
中村が演じるガンダムシリーズのキャラで、最後まで主人公側と敵対して徹頭徹尾悪役として描かれたのはシュラが初めてである。
悲運の強敵
アグネスを寝返らせた割に女性への免疫が薄かったようで、カガリの裸ビジョンであそこまで狼狽していた様子からも、アグネスと一線を越えるまでには至らなかったと思われる。実は演じている中村も同じ見解である。
笑いを誘うアスランの作戦に引っかかったこともありネタにされがちではあるが、裏を返せば「あの」アスランが奇策を用いなければ勝利出来なかった強敵である。
実際アスラン自身もシュラを初交戦で「できる」と評し、フルパワーを出せないズゴック形態のままでは息を切らせるほどギリギリの攻防を強いられ、シュラは平然としている。
- 『アニメージュ』2024年4月号のインタビュー記事で監督は「最初に戦った時、まともにやり合っても勝てない力量の相手だとわかった」と述べている。
月面での決戦でアスランがインフィニットジャスティスを自力操縦に切り替えてからも戦いは拮抗、破廉恥な妄想で精神を揺さぶられて尚も食い下がり、前大戦時にリフターを自発的に失った以外はこれまで無傷を誇ってきたインフィニットジャスティスの腕を切り落とすという初の大きな損傷を与えている(無印ジャスティスでも本体は一切被弾していないため、『アスランが乗るジャスティス系列本体』にダメージを与えた事例は初である)。
- 尤も、『アニメージュ』2024年4月号のインタビュー記事で監督はこれは『肉を切らせて骨を断つ』アスランの戦術であると明言されている。
また、「アスランのエロ妄想で動揺して倒された」と勘違いされがちだが、あくまで妄想は策の初手でしかなく、それどころかシュラは妄想をくぐり抜けてその奥にあるアスランの思考を読み、ちゃんと激闘を繰り広げている。アスランの仕掛けた色々と常識外な奇策のせいで「情けない負け方をした男」という印象がつき、結局そのまま敗死したので汚名返上の機会も失われてしまった、というのは彼にとって不幸というほかあるまい。
ただ、戦闘技術やセンスに関してはほぼ文句のつけようがない反面、核攻撃後にキラやアスランの死を確認しなかったこと、アスランの仕掛けた奇策がことごとく有効打になってしまっていること、勝利を確信した際に生まれた隙を突かれて敗北したことなど、慢心や実戦経験のなさに由来する戦略眼の甘さやメンタル面の隙はところどころにうかがえる。
これについては演者の中村氏も「多分勝敗を分けたのは人生経験の浅さ。経験というものが足りていないし、遺伝子の段階で優劣がついていると思い込んでいる。言うならば人間力で負けた形でしょうか。その部分は作品テーマでもある気がするので、興味深かったです」と語っている。
- 監督「アスランは勝つためなら何でもするので、作戦を考えさせたら一番頼りになります。コイツには絶対勝てないですよ。いやらしい男です。(「シュラもかわいそうに……」と同情するインタビュアーに対して)正面切ってまともに戦おうとしたほうが悪いとも言えますね。戦争ですから」
結局のところ、強さの中で「力」以外を軽視し、勝つことのみを自身の価値としてこだわっていたこと。対して倒すべき宿敵と見定めた相手であるアスランは、勝敗に関わらず「生きること」に意味を見出していた分精神性において大きくアドバンテージを取っていたのが、シュラ・サーペンタインにとっての運の尽きであった。
相対したのがキラかシンであればこんな顛末は迎えなかっただろうにと同情する声も多いが、シュラ自身もシンとの剣術試合の時点でアスランと戦う気満々だった以上、こういう結果に終わるのは必然だったのだろう。
ちなみに劇場版の描写では何故かMS戦の腕を生身での戦いで判断しているように見えるが、小説版によると、アスランを「最強」と判断したのは、数いるパイロットの戦闘映像を何度も見て分析していた故。
- 中村は「福田監督が『戦闘面で一番強いのはアスラン』と話していたことで。僕の中では、一番強いのはキラだと思っていたんですよね。言われてみると確かに、シュラの中のパワーヒエラルキーではアスランの下にキラ、シンと順序立てしていて、彼がキラたちを戦闘で圧倒しているシーンもあるんです」と述べられている。
- 公式設定や作中ではキラがMS乗りとしては最強と述べられている。しかし、「いかに才能・素質があろうと努力しなければ開花することはない」のはスーパーコーディネイターの記事で述べられている通り、キラは「剣など使えない」「兵士としての訓練さえ受けていない」と小説版でも明記されている。
初期のキャラ設定
監督は両澤氏が手掛けたファウンデーションキャラ4人の初期プロットをXで公開された。「ファウンデーションメンバーの設定はだいぶ変更になってますので、違いを見てもらうのも良いかも。特にアウラ」との事。
シュラ・サーペンタイン(アコード/19歳/男)※
「力が全てじゃ無いなんて、弱いヤツの言い訳さ。本当は欲しい癖に、誤魔化してるんだ」
オルフェ達の中でも一番強いMSパイロット。その力量はキラを上回る。力を自己存在証明と考えており、力が全て。力にしか興味が無い。歪んでもおらず、心から本当に「力のあるものが全てを決めるのが世界」と考えている。目前の相手の思考を感じる能力があるため、戦闘では無敵。
シュラとアグネスの関係性
シュラとアグネスの関係性であるが、上記の通りで「アグネスがシュラに弄された」のであるが、この2人の描写を見るに明らかに男女の一線は越えていないと思われる。
敗因が残念過ぎる…。
アグネスは別に以前からファウンデーション王国と通じていたわけではなく、シュラもアグネスの名前と異名は知ってはいたが容姿も知らず、その実本人とは出会って数日しか経っていない。その辺りの事情も考えるとシュラがオルフェと違いマトモ過ぎたと言える。
もっともシュラの場合は「勝つことが俺に与えられた役目。それが俺の存在する意味だ!」であり、強い相手を倒して自分こそが最強だと証明したい気持ちが強い。そこらを踏まえると、そういうことへの興味が薄いだけなのかもしれない。
最終決戦の後、アグネスがシュラの死を知って何を思ったのかは映画では描かれていない。
福田監督は舞台挨拶でアグネスはシュラに殺される予定だったと明かし、月刊ガンダムエース5月号でも、「シナリオではアグネスは死ぬ予定でした。アスランとシュラの戦いに入っていって『邪魔をするな』とシュラにやられる予定だった。それを見たアスランが怒ってシュラを倒す展開だった」けれど「ここでアグネスが死んでも、誰かの感情や物語が動くとは思えなかった。あと何より、これだとアスランがカッコよすぎるんじゃないかと」と変更になった理由が語られた。
シュラが“月光のワルキューレ”と知ってアグネスを見た際、エフェクトがかかっていた為、一目惚れした説(ファウンデーション国到着時や謁見時でも顔は見えたのに無反応)や無自覚に惚れてた説も一部視聴者の中ではある。しかし、前述にある監督の話を踏まえるにアグネスへの思い入れはなさそうだ。
小説版にて
小説版上巻ではシュラがアグネスをダンスに誘うシーンがある。周囲が自分を抜きに楽しんでいることに内心憤怒していたアグネスを「踊っていただけるかな『月光のワルキューレ』?」と誘い、踊り終わると「強き者は美しい」と発言(小説版は中庭で言っていない)。サーペンタイン団長と言われて名前呼びを促したりなど、この一連のやりとりでアグネスを何度もときめかせ、彼女の承認欲求を満たした。
ちなみにシュラのダンスはオルフェのように優雅ではないが、力強く巧みらしく、アグネスはうっとりとそのリードに身を任せた。ダンス踊れるんだ……しかも上手いんだな、シュラ……。
下巻に二人の絡みはない。またシュラからアグネスへの言及もなかった。アグネスの方は「あの女をまるで女神のようにあがめ奉って、「姫」「姫」とうるさい。癪に障ること甚だしい。だが、不満を表したらシュラの機嫌を損ねそうだったので、おとなしくしている」「期待したほどシュラが構ってくれない」と苛立ちを募らせていた。
不平不満を溜め込みつつもアグネスはシュラに本気で熱を上げていたようで、「私だって、好きで」に続く言葉は、シュラが好きだったから彼についたのよ。であった。
全ての戦いが終わりシュラもほかのアコードも皆いなくなった。勝ち馬に乗ったと思ったのに。アグネスは憤り、自分の運の悪さを嘆き、自分を哀れんで泣いた。
シュラは強くて素敵で、私にふさわしい人だった。
私だって愛のために戦ったのよ。
意固地に心の中でそればかりをくり返していた。
オマージュ?
シュラがアグネスに「来るかい?」と言った台詞は、逆襲のシャアでシャア・アズナブルがクェス・パラヤを誘う時に言った台詞「行くかい?」のオマージュでは?という説がある。
好きなシーンや印象に残ったシーンを聞かれた中村氏はこの台詞をあげ、「シャアとクェスのシーンを想起させてテンションが上がりました」と話されている。
(『キャラクターアーカイブ』のインタビュー記事より抜粋)
アグネスもクェスをモチーフにしているという考察があるので、そう考えるとシュラとアグネスの関係性にもまた違ったものが見えてくるのではないだろうか。
名前の由来
シュラの名前の由来は恐らく仏教の守護神である修羅(別名阿修羅)であると思われる。修羅はインド神話のアスラを仏教に取り込んだものであり、搭乗機のシヴァもインド神話の神の名前であるためそこからの連想の可能性も高く、アスランと戦ったのもどこかセンチメンタリズムな運命を感じるだろう。
ちなみに同じく中村が演じたグラハムは00本編にて「阿修羅すら凌駕する存在」と発言した他、ゲーム版00(PS2版)において「柔肌を晒すとは、破廉恥だぞガンダム!」(ガンダムヴァーチェ、ガンダムナドレ)なるセリフがあったりする。
名字の「サーペンタイン」は火縄銃(アルケビュース)の前世代型に当たる銃の名称である。
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機動戦士ガンダムSEED FREEDOM ファウンデーション王国