概要
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』におけるシュラ・サーペンタインがアスラン・ザラを表した台詞。
本編序盤、キラ・ヤマトやラクス・クラインたち世界平和監視機構コンパスは、ブルーコスモスの新盟主たるミケール大佐の捕獲作戦に参加するため、ファウンデーション王国を訪れていた。
中庭ではファウンデーションの近衛隊ブラックナイトスコードのシュラとリュー・シェンチアンが剣術の訓練を行っていた。激しく剣をぶつけ合う二人だったが、シュラが弾き飛ばしたリューの剣がキラの目の前にまで飛んできてしまう。シュラはいい機会だとばかりにキラとの手合わせを申し込むが、キラは生身での剣術を学んでいないため申入れを断る。するとブラックナイトスコードたちはキラを小馬鹿にし始める。キラを愚弄されたことに苛立ったシン・アスカは、キラの代わりにシュラの相手を引き受ける。
力強く剣を振るうシンだったが、シュラは華麗に受け流し、シンの首元に刃を突き付けてみせた。その実力にたじろぐシンに目もくれず、半ば不満そうに、「やはりアスラン・ザラが最強か」とつぶやくのだった(これに対しシンは「はあ!?誰があんな…!」と食ってかかったが、キラに制止された)。
実際のところ
- 今作のアスランはコンパスには参加せず、オーブ国防軍からターミナルへ出向しそちらのエージェントとして別行動をとっていた。本格的に登場するのは、ファウンデーションの罠にはめられコンパスが窮地に立たされたところをズゴックに乗って救援に現れるという衝撃的な場面だった。途中からの参戦かつ戦闘シーンこそ少なかったものの、本作では最強と言われるだけの実力を示すと同時に様々な意味で印象的な名(迷)場面がいくつも存在する。
- 精神的な揺さぶりをかけた上に初手は複数機での不意打ちだったとはいえ、あのキラが駆るライジングフリーダムをほぼ一方的に撃墜したシュラのブラックナイトスコード シヴァ相手に本気を出せないズゴックで格闘戦を繰り広げる(ただし両者のMSパイロットとしての実力に差があることを示すかのように、僅かな交戦で汗をかくアスランに対して、シュラは余裕綽々な様子を見せていた)。
- ラクスを奪われ精神的に追い込まれ泣き言を漏らし始めるキラを修正しようと殴り合い…というかキラの攻撃全てを捌きながら一方的にぶちのめし本音を吐露させる(止めに入ったシンを気づかずに殴る)。
- キラに成り済ましてストライクフリーダム弐式を駆り、キラの空間認識能力を前提に設計されているスーパードラグーンを初見ながら使用してみせた。
- 再戦では読心能力を持ちながらもあえて使わなかったシュラを「心が読めるんじゃなかったのか?使えないな」と煽って精神的な揺さぶりをかける。
- ブラックナイトスコード シヴァとブラックナイトスコード カルラ相手に超過駆動を強いられフェイズシフトダウンを起こしたストライクフリーダム弐式に向けられたシヴァの攻撃をズゴックで庇い撃破された…と思いきやズゴックの中からインフィニットジャスティス弐式で現れそのままシヴァとの戦闘を続行。
- 挑発に乗ったシュラの読心に「全裸のカガリ・ユラ・アスハがキスを迫ってくるところを妄想する」というとんでもない方法で逆に揺さぶりをかける。なお、小説版ではカガリの姿を思い浮かべながら、戦いに勝って彼女の元に帰ることを誓ったのだが、あまりに生々しくイメージしたため結果的にエロ妄想になってしまった。
- さらに読心で先読みされることを想定し、リモートでカガリに操縦させて裏をかきシヴァを損傷させる。
- 何とか立て直したシュラにインフィニットジャスティス弐式のシールドを弾き飛ばされ、さらには右腕を切られ撃破寸前……と思いきやシュラが一瞬油断したところに、SEEDを覚醒させ最後まで隠していた頭部のビームホーンでコクピットを突き刺してシュラを抹殺し、そのまま縦に両断して撃破(小説版では、この時に至ってもシュラは慢心して本気で戦っていないと描写されている)。
と八面六臂の活躍を見せた。その結果ファンも冗談混じりに「アスランが最強」というシュラの分析を受け入れざるを得なくなったのだった。
シュラがどのような基準でアスランこそ最強と断定したかは不明だが、MS戦闘での強さに限った評価ではない可能性もある。仮定ではあるが、生身での白兵戦も戦士の強さとして評価対象になっているのであれば、双方で非常に高い実力を誇るアスランを最強と評価したのは妥当と言える。
ところで
劇場版においてアスランが見せた「強さ」とは、手段を選ばずに敵を策に陥れることで勝利するといったものであり、アスランに目をつけていた割にはそうした狡猾さも兼ね備えた軍人としての有能さを見過ごしていた点は残念と言わざるを得ない。
また、今回の決戦における「入念に対策を練った上で勝負に挑む」というやり方はコズミック・イラを舞台にした外伝シリーズの「もう一人の主人公」ポジションで「最強の傭兵」とも呼ばれる叢雲劾と同じ戦術である。
「最強と他人に評価されたもう一人の主人公」同士が似たようなやり方に収束するのは不思議な縁が感じられる。
もっとも、劾の方は破廉恥な妄想を戦術には組み込まないだろうが…
余談
公開当初は「やはり最強はアスラン・ザラか」という文面で使用される例も多く見られた(シュラは下調べしたうえでの発言なのでこちらだと少し違和感のある台詞にはなる)。
覚え間違いというパターンの人も少なくはなかったようだが、こちらの文の場合(主に掲示板等で)「やはり最強は」「〇〇か」と分けて使用してネタにできるため、こちらを使用していた、というパターンも多かった。