概要
オーブ連合首長国が保有する軍事組織。作中では本土防衛地上軍・陸軍・海軍・国防宇宙軍の存在が確認できる。
同国の国軍であり、オーブの「他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない」の理念を守る「国土防衛」のための武力でもある。そのため、C.E.73年~74年の大戦までは、災害時を除き海外に派遣されたことはなかった。オーブの人間で構成されるため、大半はカリスマ的指導者であったウズミ・ナラ・アスハへの信頼が高い。
C.E.73年以降は、第1次連合・プラント大戦の反省に基づく国防戦略の転換(本土・領海の領域警備重視から外洋制圧能力強化による積極防衛重視)により、ムラサメやM1アストレイのシュライク装備と言った航空戦力の配備や、それらを主力艦載機とするタケミカズチ級航空母艦の配備による空母機動部隊の編成がなされている。また、同年末には第1次連合・プラント大戦を生き抜いた後にオーブへ亡命したアークエンジェルクルーたちを始めとした面々が編入している。
しかし、第2次連合・プラント大戦下のオーブはセイラン家による支配と腐敗が進行し、それは軍司令部にまで広がっていった。ウズミ亡き後、実質的に実権を握ったセイラン一派によりオーブと大西洋連邦は秘密同盟を結ぶ運びとなり、オーブ出港直後にオーブ軍艦隊の追撃を受けたザフトのミネルバは待ちかまえていた地球軍に挟み撃ちにされる。この出来事は地球軍とオーブ軍の正式な同盟条約締結前であり、攻撃を受けたミネルバ艦長タリア・グラディスも苦い顔をしていた。カガリはミネルバ攻撃の指揮を執るユウナを非難するも、逆に「国は貴女のオモチャではない!いい加減感情でものを言うのは止めなさい!」と一喝される。さらに不味いことに、司令部にはカガリに味方するものは誰もいなかった。劇中オーブ側でこの決定の不味さを明確に理解していたのは現場のトダカ一佐だけだった。ミネルバ隊が危機に陥いるなか、シン・アスカが『SEED』に覚醒しミネルバは窮地を脱したが、シン・アスカはオーブ軍の「裏切り」に怒りと失望を覚え、母国オーブと決別することを選ぶ。
セイラン家は政権掌握を正当化するためカガリとユウナの結婚式を挙行するが、明らかな政略結婚を懸念したキラ・ヤマトはフリーダムを用いてカガリを誘拐し、アークエンジェルとともにオーブを脱走、セイラン家に反感を持つトダカ一佐のような理解者もいたが、国に忠誠を誓うババ一尉をはじめとするオーブ軍人の一部からは「カガリ姫は国を捨てて逃げた」と思われ、彼らの失望と怒りを買った。
キラ達アークエンジェルはカガリ発案の下、武力でザフト軍VS地球連合軍・オーブ軍による三つ巴の戦争に介入、各軍パイロットの命を奪わない介入にシンやアスラン・ザラに無意味な武力行使と思われ、彼らの怒りを買った。
オーブ軍の戦況はカガリに忠誠を誓い彼女を守るもの、国から逃げたカガリを憎悪し戦意を向上させものが、それぞれにミネルバのモビルスーツ隊と戦い、次々に撃墜されていくものの圧倒的物量で2機のモビルスーツを大破させてミネルバを追いつめ(その間、アスランもキラに撃墜され)ていくが、シンの一騎当千の活躍により、ミネルバ追撃艦隊とモビルスーツ隊は壊滅、ユウナと生き残りの乗組員を逃がしたトダカ一佐は多くの将兵を喪った責任を取り旗艦・タケミカズチと運命を共にした(かつてシンの亡命の手助けをしたトダカが彼の手で撃たれたという悲劇は視聴者しか知らない)。
これに伴い、アークエンジェルにはミネルバ戦に参加したタケミカズチの乗組員とモビルスーツ隊の生き残りが加わると、しばらくの間、ザフト・地球連合・オーブのいずれにも与しないスカンジナビア王国に匿われ連合・ザフト両軍に対しても攻撃を加えることとなる。その責任等から庇おうとしたカガリの判断によりアークエンジェルはオーブ軍に編入され、セイラン家の失脚後、デスティニープラン阻止のため宇宙に派遣された。
デスティニープラン阻止後、オーブ・プラント・大西洋連邦により世界平和監視機構コンパスが創設され、アークエンジェルクルーを中心とした人物がこちらへ出向している。また、その情報支援機関となったターミナルへの出向も確認されている。
戦力
国産のモビルスーツや空母を運用している他、提携している国営軍需企業モルゲンレーテ社がC.E.世界でもトップクラスの技術を有していることから強力なイメージを持たれているが、実際は小国相応の戦力しか有していない。
C.E.71年6月15~16日にかけて大西洋連邦により敢行された「オーブ解放作戦」では、ムルタ・アズラエルが独断かつ迅速に動かせる範囲の戦力を相手に、アークエンジェル・ストライク・フリーダム・バスター・ジャスティスという錚々たる援軍があったにもかかわらず2日ともたず降伏している。また、この戦闘では大西洋連邦のモビルスーツ上陸部隊の大半をストライク・フリーダム・バスターが蹂躙していたことに加え、艦隊戦もアークエンジェルが率先して奮闘しており、オーブ軍は若干蚊帳の外だった。ちなみに、アズラエルはジャスティスとフリーダムだけでモビルスーツ部隊が蹂躙されて自軍が負けると判断しており、ジャスティスとフリーダムを抑えていた後期GAT-Xシリーズ3機の撤退に合わせて全軍の一時撤退を命令していた。
C.E.73年12月にザフトにより敢行された「オペレーション・フューリー」では、ミネルバ・ボズゴロフ級10数とそれらに艦載されたモビルスーツ83機を相手に、派兵で戦力を割いていたことに加えて国防本部の命令系統に問題があったとはいえ、開戦して数時間で本土への攻撃を許すほど追い詰められている。この時は、カガリが国防本部を掌握して命令系統を整え、アークエンジェルとストライクフリーダムの加勢によりザフト側のモビルスーツを蹂躙しつつザフト側の旗艦セントヘレンズを撃沈することによって劣勢を覆した。
C.E.74年、最大戦力であるアークエンジェルとストライクフリーダムはコンパスへ(ただしストライクフリーダムはフリーダム強奪事件で撃墜され使用不能となる)、インフィニットジャスティスもターミナルへクルー・パイロット共々出向してしまっているため、大国を正面から迎え撃つことができる戦力は殆ど残っていない(とはいえ、オーブに何かあれば出向先から駆けつけてくれる間柄ではある)。
関連キャラクター
カガリ・ユラ・アスハ:C.E.73年以降は将軍。
ユウナ・ロマ・セイラン:カガリ不在時のみ将軍。
レドニル・キサカ:一佐。
トダカ:一佐→海将。
アマギ:一尉。
ソガ:一佐。
ババ:一尉。
M1アストレイ隊
亡命者
いずれもC.E.73年末に編入している。
キラ・ヤマト:准将。C.E.74年よりコンパスへ出向。
アスラン・ザラ:三佐→一佐。C.E.74年頃よりターミナルへ出向。
アンドリュー・バルトフェルド:一佐。C.E.74年頃にザフトへ復帰。
メイリン・ホーク:階級不明。C.E.74年頃よりターミナルへ出向。
マリュー・ラミアス:一佐。C.E.74年よりコンパスへ出向。
ミリアリア・ハウ:三尉。
アーノルド・ノイマン:三尉→一尉。C.E.74年よりコンパスへ出向。
コジロー・マードック:曹長。C.E.74年よりコンパスへ出向。
ダリダ・ローラハ・チャンドラII世:一曹-三曹のいずれか→二尉。C.E.74年よりコンパスへ出向。
ネオ・ロアノーク→ムウ・ラ・フラガ:一佐。C.E.74年よりコンパスへ出向。
保有兵器
モビルスーツ
- MBF-M1 M1アストレイ
- MBF-M1+EF-24R M1アストレイ シュライク装備型
- MBF-M1A M1Aアストレイ
- MVF-M11C ムラサメ
- MVF-M11C 偵察型ムラサメ
- MVF-M12A オオツキガタ
- MBF-02 ストライクルージュ
- MVF-X08 エクリプス(オーブ国際救助隊が所有)
- ORB-01 アカツキ
- ZGMF-X20A ストライクフリーダム(C.E.73年末に編入)
- ZGMF-X19A インフィニットジャスティス(C.E.73年末に編入)
モビルアーマー
- ミストラル
- メビウス(ヘリオポリスに配備)
艦船
- イズモ級2番艦「クサナギ」
- クラオミカミ級
- イージス艦
- タケミカズチ級
- 補給艦
- アークエンジェル(C.E.73年末に編入)
その他
- 主力戦車リニアガン・タンク
- 自走リニア榴弾砲
- 連装高射機関砲
- 戦闘ヘリコプター