概要
CV：一条和矢
オーブ所属の海軍軍人で、階級は一佐。「トダカ」は名字で下の名前は不明。
無印のオーブ攻防戦の流れ弾で、家族を失ったシン・アスカを保護し、プラントに移住出来るように計らった。
しかしオーブはその後セイラン家による支配と腐敗が進行していった。これが全ての悲劇の始まりとなった。
ユニウスセブン落下の際、地球のために命を賭けて懸命に破砕作業を行ってくれたザフトのタリア・グラディス率いるミネルバ隊。
しかしセイラン家が実権を握っているオーブが中立国としての立場をかなぐり捨て大西洋連邦との同盟が結ばれる…予定であった。
アンドリュー・バルトフェルドから警告を受け、首長カガリ・ユラ・アスハの謝罪の後にミネルバはオーブを出航する。
しかしミネルバが出航後に待ち構えていた地球軍と…背後からはオーブ軍。
タリア・グラディス艦長も苦い顔でこう呟いた。
「領海内に戻ることは許さないと…つまりはそういうことよ。どうやら土産か何かにされたようね。正式な条約締結はまだでしょうに。やってくれるわね、オーブも」
この恩知らず極まりない行為にカガリがユウナ・ロマ・セイランを非難するも、逆に「国は貴女のオモチャではない！いい加減感情でものを言うのは止めなさい！」と一喝されてしまう。
さらに不味いことに、司令部にはカガリに味方する者は誰もいなかった。
国際常識的にも、国内外の法的にもアウトなのはユウナの方なのに、ユウナの根回しと印象操作で「実権もないお飾りの姫のカガリが感情論でものを言っているだけ」ということになってしまったのである。
悲しいことに、劇中この決定の不味さを明確に理解していたのは現場のトダカ一佐だけであった。
「以前国を焼いた軍に味方し、懸命に地球を救ってくれた艦を撃て…か…。こういうの、恩知らずっていうんじゃないかと思うんだがね、俺は」
「警告開始！砲はミネルバの艦首前方に向けろ！絶対に当てるなよ！」
四面楚歌の状況のミネルバ隊だったが、シン・アスカの一騎当千の活躍により窮地を抜け出す。
しかし、シンのオーブへの悪感情は極まっていた。
- 小説版では、皮肉にも決して当たらないはずのオーブの威嚇射撃の咆口こそがシンにオーブが（カガリが）自分達を見捨てたとの怒りを溢れさせてしまうこととなる。
そしてそれが後の悲劇に繋がってしまうことになる。
さらにセイラン家の横暴によりカガリはどんどん孤立して自信を失い、「オーブのために」ユウナと結婚するしかないと思い詰めるようになってしまう。
そんな異常な精神状態に陥っていたカガリを、フリーダムに搭乗したキラ・ヤマトが式場から連れ去った。
我先に、と逃げ出すセイラン家の一族、セイラン派の軍人達。
腐敗際まれりの政略結婚式が破壊されたのを尻目に、トダカ一佐は「対応は慎重を要する」という本部からの指示を理由に一切の攻撃を命じず、アークエンジェルにカガリを託し潜行する姿を敬礼して見守った。
その後、オーブ黒海派遣軍の司令として空母タケミカズチに乗艦し、黒海、クレタ沖海戦において因縁のミネルバとの指揮を執る。
ババ一尉の特攻による戦死を「それでいいんだよ！」と言いきったユウナに、トダカも静かに覚悟を決める。
戦艦タケミカヅチを贄（にえ）にすることを。
本来前に出る意味が無い空母を前進させ、「オーブは最期まで連合と共に戦った」という形にしつつも、戦闘停止を呼び掛けるカガリに応える為、ユウナ・ロマ・セイランを壁に叩き付け、「ユウナ・ロマ・セイラン（呼び捨て）ではなく、国を守るべく戦う」と宣言。
撃沈間際に退鑑を部下に命令し、部下らに「志(こころざし)あらばアークエンジェルへ行け！！」と命令した。
一方、そんな事情は知らないシン・アスカは、――――燃え盛るタケミカヅチのブリッジの中に人影が見えた気がしたが――――ためらいなくソードインパルスガンダムの刃でブリッジを真っ二つにする。シンの憎悪を映すかのような炎が人影をのみつくした。
シンは知る由もなかったが、かつて自分を保護して亡命の手続きも行ってくれた恩人を手に掛けてしまった図であり、そしてシン同様、トダカ自身もまた対峙したパイロットが、かつて自分が保護した少年であることを最期まで知らないままという視聴者目線から見ればやりきれない悲劇であった……。
そうしてタケミカヅチは撃沈され、トダカは「古きよきオーブ」に殉じて戦死した……。
他方、タケミカヅチ、そしてトダカ一佐の壮絶な最期に敬意を示してネオ・ロアノークは静かに手を挙げ、礼を取った。
その後、セイラン家がロード・ジブリ―ルを匿ったことで始まったオーブ防衛戦において、カガリの参戦によりユウナが追放されると、タケミカヅチのクルーやトダカの行動に共感した者たちが軍の中核となっていった。
総評
良くも悪くも「軍人らしくない」トダカの性分は物語に大きな影響を与え、ババ一尉と同じくセリフの通り国を守るために自らを犠牲にした行動は高く評価されている。
しかし、その行動は単純ではないとはいえ理解できなかった視聴者の一部からバッシングを受けるという、まさにCE・ひいてはガンダム作品の無法ぶりを全身で受けることになった人物ともいえよう。
作中最もオーブ軍の置かれている危機的状況（ザフト軍からはミネルバ騙し討ちの恨みを買い、地球軍からは捨て駒扱いで最前線に立たされる）を理解していた軍人であり、「彼がもっと地位の高い軍人として物語に関わっていたら、オーブ軍は多くの被害を出さなかっただろう」という意見もある。
劇場版『機動戦士ガンダムSEEDFREEDOM』にて
トダカの誇り高い精神はオーブ軍に語り継がれており、カガリがセイラン家を追い落として以降は英雄として尊敬されている。
劇場版ではマリュー達に乗っ取られた(という建前の)ミレニアムをオーブ軍が追うが、オーブの軍人達は「トダカ海将仕込み」（戦死後二階級特進している）としてミレニアムに当てないように砲撃し、ファウンデーションの野望を阻止せんと出航する彼らを見送った。
トダカ自身は一介の「敗軍の将」に過ぎず、カガリの国家元首としての正統性やオーブ軍の腐敗の尻拭いのために利用されているきらいはあるが、決してトダカは何も残せずに悲劇的な死を遂げた訳ではないのである。
それはつまりいつかシン・アスカが「恩人」である彼の死の真相を知る可能性でもあるのだが…、それはあくまで視聴者の想像に任されている。
スパロボでは
作品によって、生死が分かれることがある。
スーパーロボット大戦Z
タケミカズチが出ないため、ベン・ウッダーの搭乗鑑であるガルダ級の艦長として登場。
ベンとは互いに認め合っており、最期は一緒にユウナと反発して特攻した。
死亡するのは変わらないが、シンに討たれる最期ではないためまだマシと言える。
スーパーロボット大戦L
本作では、名前だけの登場。
セイラン家に牛耳られたオーブが地球連合軍と同盟を組んでからもオーブに残り、オーブ奪還後はカガリからキサカと共にオーブを任されている。
そのため、シンに討たれる悲劇的な展開も無し。
最終決戦後、ステラと結ばれたシンと再会出来たかもしれない。
