アスラン・ザラ「俺達にだってわかってるさ!戦ってでも守らなきゃならないものがあることくらい!!」
機体データ
型式番号 | ZGMF-X09A |
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分類 | 装備換装型・強襲用モビルスーツ |
所属 | ザフト→三隻同盟 |
開発 | プラント、ザフト(統合設計局) |
全高 | 18.56m |
重量 | 75.4t |
装甲材質 | フェイズシフト装甲 |
動力源 | 核エンジン(MHD発電) |
パイロット | アスラン・ザラ |
概要
プラント国防委員長パトリック・ザラの勅命の下、ザフトが技術の粋を尽くして極秘裏に開発を進めていた『ZGMF-Xシリーズ』の試作型モビルスーツ(MS)。
極秘に開発計画が進行し、C.E.71年4月1日にフリーダムと共にロールアウトされた本機は、同日にプラント最高評議会議長に就任したパトリックの「ナチュラルに“正義”の鉄槌を下し、コーディネイターの真の“自由”を勝ち取る」という過激化した反ナチュラル思想に基づき正義を意味する英単語「Justice」を由来とし「ジャスティス」という名を与えられている。
しかし、当のパトリックが息子のアスランに本機を託して最初に命じたのは強奪されたフリーダムの奪還のみならず、相手がコーディネイターであろうが奪取に関わった者全員の抹殺という無慈悲なものだった(フリーダム強奪に関わってるのはコーディネイターしかいない)。
主人公のライバル兼相棒キャラが駆る当代最強クラスの機体でありながら、本編中に設計データが主要勢力に流出した機体である(開発元のザフトは当然のこと、クルーゼの思惑のもと連合がフレイ・アルスター経由で得たNJCのデータが本機とフリーダムの設計データだったために連合にも渡っている)。
上記の経緯により連合とザフトの間では事実上のフリー素材と化した機体であり、純粋な直系機こそ存在しないものの、ザフトでは本機の装備の改良型や本機を前駆型とするZGMF-X23S セイバーが開発され、連合でもリフター(ファトゥム-00)を参考にI.W.S.P.を発展させたジェットストライカーが開発された。
直系にあたる後継機として、C.E.73年終盤にロールアウトされたZGMF-X19A インフィニットジャスティス、C.E.75年にロールアウトされたSTTS-808 イモータルジャスティスが存在する。なお、前者はファクトリー(ターミナル)製、後者はオーブ連合首長国の国営軍事企業モルゲンレーテ社製と、本機の設計データ・運用データは継承しつつも開発元・製造元が異なる。
インフィニットジャスティスについては、ザフトにて本機と同時期に開発されていた原型機(後に諸事情により開発が中止され封印)をクライン派が奪取し、ファクトリーにてアスラン専用のワンオフ機として仕上げた機体であり、性能としては紛れもなく後継機(直系機)でありながら機体そのものとしては兄弟機に近い。
型式番号
型式番号「ZGMF-X09A」の読みは「ゼットジーエムエフ エックスオーナインエー」。
「ZGMF」は「Zero - Gravity Maneuver Fighter(無重力下用機動戦闘機)」の略で、ザフト製の全領域型MSであることを示す。
「X」と「A」は「eXperiment Atomic(試作機 核動力搭載型)」を意味する。
「09」はジン、シグー、ディン、バクゥ、ザウート、グーン、ゾノ、ラゴゥと数えて9番目に制式化した機体の番号として与えられている(技術試験機であったため解体処分が決定していたドレッドノートと、ビーム兵器実装のために本機よりも制式化が遅れたゲイツは除外されている)。以降は、X10A(フリーダム)、X11A(リジェネレイト)、X12A(テスタメント)、X13A(プロヴィデンス)まで連番が続いている。
総じて、「ZGMF-X09A」とは「無重力下用機動戦闘機 試作9号機 核動力搭載型」という意味になる。
余談
初期案では9番目に登場するガンダムタイプとデザインされており、頭部にも9を意味するNOVAの刻印が付けられている。ちなみに、フリーダムの初期案の仮称は「ガンダム10号」で、本機はガンダム9号と言ったところか。
設計・性能・開発経緯
分類「装備換装型・強襲用MS」の通り、本機のバックパックは換装機能も兼ねたリフターとなって飛翔し、本体とのコンビネーションにより敵機を翻弄する戦術も可能となった。また、リフターはフリーダムのウイングユニットよりも大型であるがそれでも機体を含めた総重量はゲイツより軽い(ちなみに『SEED』シリーズを通してMS形態にて大気圏内を飛行可能なガンダムタイプの中ではフリーダムに次いで2番目に軽い)。さらに、大推力のリフターによりその総推力は603,200kgもあり、高機動機とされているフリーダムの527,000kgさえ上回る(おそらく当時のMS内最高で、対抗馬となりえるのはレイダー程度)。
詳しくは「ファトゥム-00」の項にて後述するが、機体コンセプト(正確にはバックパックのコンセプト)は「フライトユニットを接続し機動性を向上させる」というアイデアの発展形であり、エールストライクと類似したものとなる。そのため、イージスを彷彿とさせる外観とは対照的に、実態は(ザフトが唯一鹵獲できず設計データも持っていない)ストライクに近いものとなっている。また、既存アイデアの発展形がコンセプトという点は、コンセプト自体が新機軸なフリーダムのウィングとは対照的と言える。
射撃武器の総火力こそフリーダムに譲るが、ビームサーベル、ビームライフル、対ビームシールドといったオーソドックスな武装に加えて、ビーム砲、実体弾砲(機関砲)、レンジの異なる格闘武器(ビームブーメラン)を備えており、全体的なバランスが良く汎用性に優れている。そのため、一対多での戦闘向きなフリーダムと比べると強力な敵MSとの一対一での戦闘に向いている。加えて、フリーダムと異なりビームライフルを除く全射撃武器が大掛かりな変形無し(ノーモーション)に使用できるため、速射性・即応力においては勝っている。また、フリーダムにこそ劣るとはいえ当時のMS内では上位の総火力であり、砲撃を集中させれば(ハッチ部で装甲が薄かったとはいえ)ジェネシスの強固な外装を破壊できる。
フリーダムやZGMF-X13A プロヴィデンス、ZGMF-X11A リジェネレイトといった兄弟機と異なり、大火力の装備がないため核エンジンを持て余していると言われがちだが、本機からブーメランを引いてレールガンを足したような武装構成をしているYFX-600R 火器運用試験型ゲイツ改の稼働時間が最大でも5分未満(バッテリーを増設して約10分)なほどに燃費が悪いため、本機もまた核エンジンありきの機体である。型式番号的にもフリーダムより先に設計が完成しており、前身は本当に核エンジンを持て余していた試験機ドレッドノートのみであることを考えれば、フリーダムのようにバッテリー駆動では2発撃つだけでエネルギー切れになる武装を核エンジン頼りで撃ちまくるという狂気染みた冒険ができなかったのも当然と言える。さらに言えば、フリーダムと異なり換装機であるため、ザフト所属であり続けたなら大火力の専用換装装備が開発されていた可能性もある(ある意味でそれを実現したのがミーティアとも言える)。
ちなみに、リフターに大量の機関砲を搭載してる上に、本体に搭載している機関砲も4門あるため、威力を問わない総砲門数に限れば計13門と、フリーダムの計7門を上回る。
出力・推力
C.E.のMSは基本的に出力やスラスター総推力が不明となっている場合が多いのだが、出力はフリーダムと共に作中にてラウ・ル・クルーゼやムルタ・アズラエルが入手した設計データに8,826kWと記載されている。
スラスター総推力は一部書籍にて603,200kgと記載されている(総推力の出典の1つはサンライズの監修が入った「『機動戦士ガンダムSEED』コズミック・イラ メカニック&ワールド」であるため公式設定である可能性が高い)。
機体構成
全体的には同日にロールアウトした兄弟機のフリーダムと共通点が多い。一方、(型式番号的に)フリーダムより設計が先行してきた機体であるためか、ZGMF-Xシリーズ内でも特にゲイツやシグーといった既存のザフト製MSの面影が残っている。
コクピットなどのフリーダムと共通のものはZGMF-Xシリーズを参照。
動力源は核エンジンを参照。
頭部
フリーダムと同様、初期GAT-Xシリーズの意匠を汲んでいる。
トサカ状のセンサーモジュールはイージスのデータが取り入れられた形状でありつつも、ジンやゲイツといったトサカの付いたザフト製MSの伝統がうかがえる。
胴部
外見は若干異なるが、内部構造やコクピットの内装はフリーダムと同じである。
コクピットハッチを覆う胸部上面の装甲の両側部に機関砲のような部位が存在するが、特に言及されることは無く、作中でも機関砲として使われたことはなかったため詳細は不明なままである。後継機のインフィニットジャスティスでは、この部位がコクピットブロック前面両側のエアインテーク・ダクト上部へ移動した上で「MMI-GAU26 17.5mmCIWS」という機関砲となった。
脚部
外見はGAT-Xシリーズの特徴部分を反映しているものの、胴体や脚部の鋭利なフォルムはザフト製MSのシグーを連想させる意匠となっている。
マニピュレーター
フリーダムと同じ仕様の新型であり、角ばった指を持つ。その可動は人間の手とほぼ同様の動きをすることが可能であり、ビームライフルやビームサーベル等の手持ち装備を正確に扱える。
スラスター
背中に接続している双発機のリフター「ファトゥム-00」をメインスラスターとしている。リフターには、その両舷に縦に二連結されたジェットエンジンを1基ずつ、胴部左右にサブスラスターを1基ずつ、胴部下面(黒いエアインテーク・ダクトのような部分)に2基ずつの計8発のスラスターが備えられている。
本体の背面側部、太腿、股間、足裏にはサブスラスターが内蔵されている。この背面側部のサブスラスターはフリーダムがメインスラスターの両脇に搭載しているものと同位置かつ同形状である。足裏のサブスラスター群は爪先にある1基と踵にある1基の計2基という一般的な仕様となっている(フリーダムも同様)。
本体のサブスラスター群のみでも滞空可能な程度の推力を持つ。
OS
G eneration
U nsubdued
N uclear
D rive
A ssault
M odule
(Complex)
核エンジンを運用するための新型OS[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]を搭載している。
表示される英文の意訳は「抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体」、さらに意訳すれば「ニュートロンジャマーの影響を受けない核エンジンを用いた強力な兵装群を搭載したMS」となる。
「Series AVIC-T1 Justice LA-SE3P」とも表示されており、「Justice」という表記から搭載時点で本機用の調整が施されていることがうかがえる。
武装
「MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル」、「MA-M20 ルプス・ビームライフル」、「ラミネートアンチビームシールド」はフリーダムの記事に記載が詳しいためそちらも参照。
MMI-GAU1 サジットゥス20mm近接防御機関砲
頭部(厳密には両頬)に計4門内蔵されている対空防御機関砲。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。「サジットゥス」はラテン語で「矢」を意味する。
GAT-Xシリーズの「75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルン」と比較すると口径はかなり小さいが、その分連射性に優れる。加えて小口径なためか、機関砲系の装備では珍しく左右に2門ずつ内蔵されており実質的な2連装となっている。
開発時期的に、フリーダムやゲイツの「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲」と同じくZGMFを冠するザフト製汎用型MSに搭載された初の固定火器に該当する(それまで固定火器を持つザフト製MSはバクゥ系列・グーン系列・ザウート系列といった、装備を保持できるほど器用なマニピュレーターを持たない局地戦用機体のみだった)。また、型式番号的にピクウスよりこちらの方が先に開発された可能性が高い。
本機とフリーダムに搭載された火器の殆どは火器運用試験型ゲイツ改にて評価試験が行われているが、本装備に関しては後述する「RQM51 バッセル・ビームブーメラン」と異なり時期的には完成していながら試験が行われていない。
後継
様々な派生を経て、インフィニットジャスティスに「MMI-GAU26 17.5mmCIWS」、イモータルジャスティスに「MMI-GAU27Q 20mm 近接防御連装機関砲 ヴァンダーファルケ」といった発展モデルが搭載されている。また、これらよりも設計の古い本装備の直系改良モデルである「MMI-GAU4 サジットゥスⅡ 20mm CIWS」がインフィニットジャスティス弐式に搭載されていることが確認されている。
この他はフリーダムの「MMI-GAU2 ピクウス76mm近接防御機関砲」の項目に解説が詳しいためそちらを参照。
RQM51 バッセル・ビームブーメラン
両肩に装備されているビームブーメラン。ザフトでは初となるビームブーメラン。手に持ったまま小型のビームサーベルとしても使用できる。
ソードストライクとの交戦データから「ビームブーメラン マイダスメッサー」の有用性に着目が集まり、これを参考と言う経緯で開発された装備であり、本機の製造後期(C.E.71年3月頃)に完成して搭載に至った。そのため、火器運用試験型ゲイツ改にて評価試験が行われていない。
ビーム刃の力場と空間の干渉作用を利用して投擲軌道を制御することができ、投擲後は自力で位置と姿勢を調節しながら戻ってくる。そのため、空力特性を無視した形状ながらブーメランのような軌道を描くことができ、大気が無いために揚力が働かない宇宙空間でも問題なく戻ってくる。C.E.世界では砲身の向きから照準を予測してビーム砲撃を回避するテクニックが定石となっているため、弧を描く非直線的で独特な軌道は回避しづらい上に不意を突きやすく、作中でも戻りの軌道を失念したレイダーが背後から右脚を切断されている。
至近距離で発振されたビーム兵器に対しては無力なフォビドゥンのゲシュマイディッヒ・パンツァーにとって天敵と言える飛び道具であり、作中においてゲシュマイディッヒパンツァーに明確なダメージを与えた唯一のビーム兵器となった。
後継
ザフトでは「エースパイロットにしか扱えない」と割り切り、連合軍よりも更なる模索で高性能化と多機能化が行われている。
C.E.73年に開発された後継モデルとしては、ソードインパルスに搭載された「RQM60 フラッシュエッジ ビームブーメラン」が採用されている。こちらは実体刃と連結機能を持つことに加え、簡易ドラグーンを搭載することにより誘導兵器として更に磨きがかかっている。さらに、同年の内にこのRQM60からデスティニーの「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」へと発展した。こちらには実体刃や連結機能はなく肩にマウントされていることから、簡易ドラグーンを除けば本装備の仕様や用途に限りなく近い。これらフラッシュエッジ系列の発展型として、C.E.75年までにライジングフリーダムの「RQM73 フラッシュエッジG-3 シールドブーメラン」とイモータルジャスティスの「RQM75 フラッシュエッジ4 シールドブーメラン」が開発されており、これらはビーム刃を展開しつつシールドの質量と合わせた遠隔操作突撃武装として使用できるが、「ビーム刃を展開して飛翔し、簡易ドラグーンにより制御する手持ち装備」としての側面が強くなり過ぎた結果、もはやブーメランとは名ばかりの装備となっている。
さらに、後継機であるインフィニットジャスティスに採用されたのが「RQM55 シャイニングエッジ ビームブーメラン」である。こちらはフラッシュエッジの前に開発された独自発展形であり、「MX-2002 ビームキャリーシールド」へマウントされるに伴って大型化されている。また、ビーム発振部分がシールドの先端に位置するようにマウントされており、白兵装備として使用されることも多い。
他には開発元こそ異なるが、C.E.75年までにプラントの兵器メーカー(マティウス・アーセナリー社)が開発したイモータルジャスティスの「MA-F2D2 ヴィーセルナーゲル ビームブーメラン」も存在する。
余談
実はデザインが完成した時点での肩のパーツは、シグーやディンからの発展を意識して付けられた物であり、存在しなかったこの装備は本機が作中に登場する際に追加で設定された。この関係か放送当時に発売された立体物ではこの装備が付属しておらず、EXTENDED MS IN ACTIONで初めて再現された(ただしこの時点ではまだ別パーツで、本格的に着脱・変形も再現されたのはRGから)。
MA-M20 ルプス・ビームライフル
フリーダムと同型のマティウス・アーセナリー社製ビームライフル(カラーリングは異なる)。本機の主装備。
核エンジンの恩恵により、デュエルやストライクなどのGAT-Xシリーズを始めとしたバッテリー駆動機のビームライフルを遥かに凌駕する出力と安定した威力を誇る。
フリーダム同様、不使用時は腰部背面のマウントラッチにて保持することができる。
後継
直接的な発展型として、後継機であるインフィニットジャスティスの「MA-M1911 高エネルギービームライフル」が存在する。こちらはインフィニットジャスティス専用に改修されたことによりフォアグリップ不採用など取り回しを重視した構造となっている。
この他はフリーダムの記事を参照。
MA-M01 ラケルタ・ビームサーベル
フリーダムと共通のマティウス・アーセナリー社製ビームサーベル(こちらはカラーリングまで同じ)。
柄頭同士を連結させると「アンビデクストラス・ハルバード」と呼ばれる双刃状態となる。その刃渡りは片方の刃だけでも本機の全長より長くなり、両刃を含めるとその全長は40mを超える。パイロットのアスランがこの状態を多用しており、フリーダムとは対照的に通常状態で使用されたことは殆どない(また、この事実によりアスランはインファイターと思われがち)。
フリーダム同様、不使用時は両腰のサイドスカート上部のマウントラッチにて保持されている。
後継
アビス以外のセカンドステージシリーズが共通で装備する「MA-M941 ヴァジュラビームサーベル」の他に、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスに搭載された「MA-M02G シュペールラケルタ・ビームサーベル」という直接の発展型が存在する。さらに、このMA-M02Gは「MA-M02S ブレフィスラケルタ」「MA-M02G シュペールラケルタ」と派生して、インフィニットジャスティスの「ファトゥム-01」に内蔵されている。
この他はフリーダムの記事を参照。
余談
初期ビジュアルではストライクダガーと同じく黄色のビームサーベルだったが、本編では初期GAT-Xシリーズやフリーダムと同じ桃色となっている。さらに、本編では一切披露していない二刀流(しかも逆手)だった。
また、ゲーム作品などではサーベルを持ったまま手首を回転させてシールドのように使うこともある。
ラミネートアンチビームシールド
フリーダムと同型のラミネート装甲を材質に用いたシールド(カラーリングは異なる)。
直撃したビームを熱に変換した上でシールド全体に分散させることによりダメージを無効化する。しかし、ビームを長時間受け続けるとシールドの冷却が間に合わなくなって熱の拡散効率が悪化し、融解・変形してしまう。作中では、カラミティのスキュラを受け止めてそのまま砲口までビームを押し返した際に、シールド表面が焼け爛れたような状態となった。しかし、パイロットのアスランはこの程度のダメージは大したこと無いと判断しており、補給や整備を必要としなかった。
余談
作中にて本機が負ったダメージは本装備へのものだけであり、ジャスティス本体は一切ダメージを負うことがなかった(なおダメージは無かったものの1度だけ実弾が被弾したことはある)。
フリーダム同様、本機の持つ機構や装備の中では唯一後継ないし発展型が存在しない。
MS支援空中機動飛翔体「ファトゥム-00(ダブルオー)」
本機最大の特徴である、本体と分離合体可能な重武装のMS支援空中機動飛翔体。大型かつ大推力のフライトユニットでもあり、グゥルやインフェストゥスといったザフト製航空機の流れを汲んでいる。グゥルのように上に乗ることができるためか、通称は「リフター」。
両舷のエンジンブロック(ジェットエンジン)と本体部分によって構成され、普段は背中に装着されたメインスラスターとして機能し、高い飛行機能を発揮する。本体との接続形態をはじめその主な用法として「フライヤー形態」「飛行形態」「リフター搭乗形態」が存在し、これらを使い分けることにより機動性を変化させて状況への対応能力を向上させる。
エンジンブロック側部に接続された後退翼は並列した2つの可動軸と1つの回転軸を備えており、コンパクトに折り畳むことができるだけでなく、状況に応じて最適な空力特性を得ることができる。加えて、その両翼端までの長さは本体の全長以上あり、その形状からフリーダムのウィングユニットと異なり大気中で揚力を得ることができ、得られる揚力も大きい。しかし、投影面積が増えて被弾のリスクが上昇するためか、作中では翼が展開されないことも多い。
前述した通り、機体後方を向くスラスター(エンジン)を6発も持ち、フリーダムを超える総推力を誇る。さらに、胴体下面にもダクト状の平面スラスターを2発搭載しておりVTOL(垂直方向推進)にも対応している(FINAL-PHASEのヤキン・ドゥーエへ突入するシーンで青白く光っているのが確認できる)。
MS本体から分離して運用する際はパイロットによる遠隔操作や自律AIでのオート運用を切り替えながら分離して敵を攻撃したり囮として使用したりすることができ、より多彩な戦法を取ることが可能となる。
本体同様フェイズシフト装甲を持ち頑丈なため、射撃武装を使って射撃戦に徹するだけでなく、敵機へ体当たりすることも想定運用に入っている(作中でもレイダーやフォビドゥンへ体当たりを行っている)。
開発構想
フライトユニットを接続して機動性を向上させるというアイデア自体はエールストライクによって既に実現されているが、本装備はそのコンセプトをさらに推し進め、前述の通り自立支援機として分離かつ遠隔操作可能にするといった多角的に扱うことができるユニットとして進化させたものである。つまりは進化の結果、エールストライクとスカイグラスパーの連携を単機で行えるようにしたと言える。そのため、サブフライトシステムとしての機能はおまけに過ぎない。
原型
火器運用試験型ゲイツ改にはこのリフターの原型が装備されている。こちらは本装備のエンジンブロックにあたる部分に稼働時間を延長させるための追加バッテリー(パワーパック)が搭載されている。さらに、本体中央部には縦に並んだ2発のスラスターが搭載されており、本装備と比較すると中央部が肥大化している。
また、本体との接続部の形状も異なり、後述するフライヤー形態を取ることができない。
後継
後継機であるインフィニットジャスティスの「ファトゥム-01」が存在する。こちらは主翼がアスペクト比の大きな可変翼へ変更されており、スラスターの推力の引き上げも施され、より強力な空間機動が可能となっており、さらにはその機動性を活かした近接戦(突撃)特化な仕様となっている。一方、占有スペースに比して威力の低い実弾兵装は省略された。
さらに、地球連合軍が構成(構造)を参考にしてジェットストライカーを開発している。
また、技術的繋がりこそないものの、換装装備に対して自立支援機ないし無人機として自律飛行機能を持たせるというコンセプトは、エクリプスの「EW452HM マニューバストライカー」「EW453R ライジンストライカー」やストライクルージュの「EW454F オオトリ」、アカツキの「大気圏内航空戦闘装備 オオワシ」といったオーブ製ワンオフ機たちに引き継がれている。さらにオオトリから発展し、インフィニットジャスティス弐式の「M2X32E フォランテス」開発に繋がっている。
フライヤー形態(ハイマットモード)
リフターを前面に展開した形態。
リフターの推力と揚力を最大限に発揮させることができる状態であり、加速性能や機動性が上がる(特に大気圏内において有用)。
スラスター類が軒並み後方へ向くが、胴体下面にあるスラスターを用いることにより垂直方向へ推力を得ることができるため、失速して揚力を失っても墜落することは無い。
詳細は当該記事を参照。
飛行形態
ファトゥムを背面に接続したまま翼を広げた形態。敵地への急速な電撃侵攻に適する。
最もコンパクトな形態なため高機動戦闘時以外は基本的にこの形態を取り、戦艦などに収容されたり直立して待機したりする際はもこの形態で翼を閉じた状態を取る。
リフター搭乗形態
リフターに搭乗した状態。立体的な機動戦闘において効力を発揮する。
出番が最も少ない形態であり、作中で数回、遠距離からの偵察や白兵戦闘で使用された程度である。
一応、フライヤー形態と同じくファトゥム-00に搭載されている各種射撃武装が前方に向くため砲撃戦に適性があり、物語後半のOPではフリーダムと並んでこの形態による一斉射撃を行うシーンが描かれている。
MA-4B フォルティス ビーム砲
リフターの前部に2門搭載されている高出力かつ速射型ビームキャノン。マティウス・アーセナリー社製。「フォルティス」はラテン語で「強力」を意味する。
ジン等の「M69バルルス改 特火重粒子砲」やバスターの「超高インパルス長射程狙撃ライフル」の技術が転用されている。
上下方向には可動するため、内蔵式ビーム砲というジャンルにおいては比較的広い射角を有している。
発展型として、セイバーの「MA-7B スーパーフォルティスビーム砲」、ファトゥム-01に搭載された「MA-6J ハイパーフォルティス ビーム砲」が存在する。前者は本装備をバッテリー機用に改良したもので出力・連射性ともに本装備と遜色のない性能を有しており、後者は本装備とMA-7Bの中間(つまり改良途中の型落ち)にあたる。
M9M9 ケルフス旋回砲塔機関砲
エンジンブロック上部に1門ずつ搭載された実弾砲塔。型番からしてマイウス・ミリタリー・インダストリー社製(ジンの「MMI-M8A3 76mm重突撃機銃」の系列と思われる)。「ケルフス」はラテン語で「鹿」を意味する。
砲塔は球形をしており360度全方向に発射できる。ただし、フォルティスとは対照的に上下方向の可動はない。
GAU5 フォルクリス機関砲
エンジンブロックからフォルティス砲身間に左右で2門ずつ(計4門)内蔵された機関砲。型式番号からしてマイウス・ミリタリー・インダストリー社製(サジットゥスも属するMMI-GAUの系列と思われる)。「フォルクリス」はラテン語で「鳥」を意味する。
ケルフスと異なり可動域が皆無なため射角がリフター前方に限定されているが、必要に応じて弾種を炸裂弾や徹甲弾に変更することができる。
M.E.T.E.O.R.02
オプション装備。
モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機(Mobilesuit Embedded Tactical EnfORcer)、通称「ミーティア」の2号機。
詳しくはこちら。
接続の際、本機はライフルとシールドをミーティア側の収納スペースに格納の上、腹部に接続してくるミーティアの接続マウントとメインユニットに干渉しないようにフライヤー形態を取り、ミーティアのアームユニット(ウェポンアーム)に付いているハンドルをマニピュレーターで掴むことにより、一連の接続シークエンスが完了する。
フライヤー形態で接続することでファトゥム-00の全火器が正面方向を向くため、ミーティアの各種兵装と合わせ総数83門のミーティアフルバーストを行うことができる(一応各種機関砲も使えるが射程が短い上ミーティアのミサイルを自ら撃ち落とす可能性があるため作中では未使用)。本機のマルチロックオンシステムもこの砲門数に対応しており、もはやいくつロックオンしているのかわからないレベルに同時ロックオンする。
活躍
C.E.71年5月2日(PHASE-32)
オーブ連合首長国の群島海域の小島にてキラ・ヤマトの駆るストライクを撃墜した功績を讃えられたアスラン・ザラがラウ・ル・クルーゼの口から「ザフトからネビュラ勲章と共に最新鋭機が授けられる」という通達を受けた際に、ディアクティブモード状態にてデッキに収められた本機が整備されているワンシーンが映し出された。
ちなみに、後期主人公機であるフリーダムの初登場はPHASE-34であるため、これよりも2話早い初登場だった。
C.E.71年5月17日(PHASE-36)
5月5日に発生したフリーダム強奪事件後、パトリック・ザラの勅命でフリーダムの奪還ないし破壊(に加え、関わった人物や施設の抹殺・排除)任務を与えられたアスランは本機を受領、本機が収容されていたデッキより直接出撃する。
その後、5月20日に地球へ降下し、6月13日までアラスカやパナマをはじめザフトが軍事作戦を展開した地域を中心に各地を転々としながらフリーダムを捜索して回った。なお、ザフト内でも最高機密である本機がその間どのように補給を行っていたかは不明である(一応、大気圏内であれば吸入した空気や水を電気伝導体に見立てて電磁的に注排出する超伝導電磁推進が行えるため推進剤は消費しない)。
C.E.71年6月13日(PHASE-38)
フリーダムの捜索かつアスランが自身を見つめ直す一環としてストライクを撃墜した(イージスを自爆させた)小島へ訪れ、海岸沿いに着陸する。この際、本機の頭部デザインの基とされたイージスの残骸を目撃している。
C.E.71年6月15日(PHASE-38~39)
オーブ解放作戦が展開されているオーブへ訪れ、その主戦場となっていたオノゴロ島の港口上空にて地球連合軍の後期GAT-Xシリーズと交戦し劣勢に立たされているフリーダムを発見する。これを見たアスランが任務より自身の意志(キラと正直に話し合うこと)を優先したため、レイダーのツォーンからフリーダムを庇う形で参戦する。当初はキラから警戒されていたがアスランが自身に課せられた任務の内容と共に本心を話した後はフリーダムと共闘し、息の合ったコンビネーションで3機を圧倒、そのまま薬切れによる撤退を余儀なくさせる。また、大西洋連邦側の実質的指揮官であったブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルも後期GAT-Xシリーズが撤退したことで本機とフリーダムがフリーとなった現状ではストライクダガーで応戦しても全滅すると即座に判断し、全軍を一時撤退させたため戦闘は一旦終了した。なお、あまりに迅速な撤退判断だったためオーブ側からは撤退理由がよく分かっていなかった。
連合が一時撤退した後、そのまま空中で暫くフリーダムと向かい合っていたが、日が傾き始めた頃に戦闘終了後の疲労困憊と被害確認のためにアークエンジェルやオーブ国防軍が一時駐留していた港口へフリーダムと共に着陸する。乗降用クレーンでアスランを降ろし、フェイズシフト装甲を展開したままアスランとキラの再会を見届けた。この際、正体不明なMSであることに加えてパイロットがザフトの軍人だったためオーブ国防軍からは特に警戒されていたが、キラの呼びかけにより警戒は解け友軍ないし援軍として扱われている。
その後はモルゲンレーテ社の工廠に収容され、コンテナを椅子代わりに休憩するアスランとキラの眼前でフリーダムと共にオーブ技術者たちからメンテナンスを受けた。なお、この時点ではアスランと本機への警戒は完全に解けておらず、その様子を遠巻きに観察ないし監視していた人物が一定数存在した。
C.E.71年6月16日(PHASE-40)
早朝から戦闘再開となるが、ザフトとしての立場を捨てきれないアスランが意志を固めるまでに時間を要したために出遅れ、工廠から直接出撃して3機の猛攻により防戦一方を強いられていたフリーダムを助ける形で途中参戦する。カラミティとレイダーを同時に相手取り、リフターを用いた陽動によりエネルギーを浪費させてカラミティをガス欠寸前まで追い込み、水中からの奇襲によりレイダーのミョルニルを破壊することで数的不利を覆して2機とも撤退させる。
この時、ボズゴロフから遠巻きに観戦していたクルーゼ隊によりフリーダムと後期GAT-Xシリーズはデータを採取されていたが、本機は出遅れたことが功を奏したのかデータを採取されずに済み、7月1日にこのデータを受け取ったパトリックから任務放棄と見なされなかった(一方、フリーダムはオーブへ渡ったものと判断された)。
この戦闘の直後、ウズミ・ナラ・アスハからの離脱命令を受けてカグヤ島のマスドライバーへアークエンジェルや残存のオーブ軍共々集結する。ウズミから宇宙への脱出作戦を聞かされた後、数少ない大気圏内飛行能力を持つ機体として、フリーダムと共にアークエンジェルおよびクサナギの発進援護を担当する。マスドライバー周辺の上空に陣取り、先に発進したアークエンジェルを狙う後期GAT-Xシリーズ3機を牽制する。一足遅れたクサナギの発進を確認したと同時に、3機の攻撃を避けつつマスドライバーで急加速するクサナギへ追いつこうとする。援護時の位置取りの関係により先行していたフリーダムがクサナギの甲板へしがみつくことに成功し、レイダーの「80mm機関砲 M417」がリフターに掠りつつも、フリーダムの伸ばした手を取る形で無事着艦する。なおも追ってくる3機に対しては、フリーダムのバラエーナ・クスィフィアスと同時にフォルティスを海面へ向けて発射することで大量の海水を巻き上げて攪乱し、甲板に掴まったまま宇宙へ上がった。
C.E.71年6月18日(PHASE-41)
クサナギの合体シークエンス完了まで同陣営のMS全機と共に護衛につき、終了と共にクサナギへ着艦する。クサナギ内にて行われた今後に関するミーティングとM1アストレイの調整が落ち着いた後、クサナギがM1アストレイで一杯だった(作中描写でもMS用ハンガーではなく人や物資が往来するための空スペースに直立する形で強引に収容されていた)ため、パイロットのアスラン、フリーダム(キラ)と共にアークエンジェルへ移乗した。
また、このミーティングにてムウ・ラ・フラガにより問い質されたアスランが自身の意志を共有したことから彼への警戒は完全に解けた。
その後、水源を必要としたアークエンジェルらはレドニル・キサカの提案とアスランの情報提供により、6月18日から30日にかけてL4コロニー群へ移動を行い、無人ながら設備が生きていたコロニー・メンデルを一時拠点に定める。
C.E.71年6月下旬(27日か28日、PHASE-42)
父パトリックの本心を問い質すべくプラントへ帰国しようとするアスランへ貸し出されたシャトルと同じ格納庫に収容されている本機が登場する。この時のアスランは、パトリックの下へ強力無比な本機を戻すことの危険性やアークエンジェルの貴重な戦力として本機を残しておく必要性から危険を承知でアークエンジェルに残っていた連合製シャトルでの帰国を選択した。さらに、プラントから戻らなかった(戻れなかった)場合として本機をディアッカ・エルスマン(当時の三隻同盟所属パイロットで本機を操縦可能な数少ない1人)へ託そうとするも「…いやだね。あんなもんにはお前が乗れよ」と本人に断られ、代わりとしてキラにその後の対処を頼もうとしていた。しかし、キラも「君はまだ死ねない」「君も、僕も、まだ死ねないんだ」とそんなアスランの態度を遠回しに非難していた。
C.E.71年7月1日(PHASE-42)
本機自体は登場しないが、ヴェサリウス内にてラウが本機とフリーダムの設計データを閲覧した際、ディスプレイに本機の3Dモデルが表示されている。また、3Dモデルと共に全高(Height)・重量(Weight)・出力(Capacity)・動力(E-Battery)といった仕様も表示された。
なお、このデータは6月26日にプラントへの召還命令を受け帰国したラウがパトリックへオーブ解放作戦の報告をしたその足で密会用のバーへ向かって極秘裏に入手したものである(実は、目的としていたのは本機とフリーダムの設計データの方であり、ニュートロンジャマーキャンセラーのデータの方は意図せず手に入ったに過ぎない)。
C.E.71年7月12日(PHASE-43~46)
メンデルの宇宙艦船用ハッチ内にて、7月1日にザフトから脱走してきた(メンデルに到着したのは7月5日)エターナルからアークエンジェルやクサナギに対して物資提供が行われている際に、キラ・アスラン・マリュー・ラミアス・ラクス・クラインの間で艦載機についての相談が行われ、エターナルが本機とフリーダムの専用運用艦であることからそちらへと移乗することが決定し、迅速に移乗しようとする。
しかし、その直後にドミニオンが襲来したため、移乗を中止してそのままアークエンジェルからフリーダム・ランチャーストライク・バスターと共に出撃、フリーダムと共に前衛を担当し、ほぼ同時にドミニオンから出撃した後期GAT-Xシリーズの3機と交戦する。この時、ランチャーストライクとバスターはアークエンジェルの援護に回っていたことに加え、宇宙戦に不慣れだったクサナギがスペースデブリ(テザー用のメタポリマーストリング)に引っ掛かって身動きが取れなったところをフォビドゥンに狙われたため、カラミティとレイダーの相手をフリーダム1機に任せ、クサナギ(とコロニーの残骸を除去していたM1アストレイ)の援護に回った。小惑星群を駆使した奇襲によってアークエンジェルを一時的に無力化したドミニオンの次なる標的となったことでフリーダムが一気に劣勢となったのを確認すると、その援護へ回るためにバッセルと起点とする袈裟斬りのコンビネーションでフォビドゥンのゲシュマイディッヒパンツァーを損傷させつつニーズヘグを叩き切って一時的に無力化し、フリーダムのもとへ向かう。レイダーの突撃でバランスを崩して無防備を晒したフリーダムへ放たれたカラミティのスキュラへ間一髪で割り込み、シールドで防ぎきるだけでなくそのままカラミティへ押し返して砲門を破壊した。
デブリから脱出したクサナギの参戦によりドミニオンが一時撤退した際、アスランがその機械工学の知識を活かして中破したアークエンジェルの修理に出張ったため、同陣営のMSたちのように戦艦を護衛することなくエターナルへ収容される。
また、戦闘の途中にラウの気配を感じてメンデル内に向かったまま戻らないランチャーストライクとそれを追ったバスターはおろか、その救援へ向かったフリーダムまで戻らなかったため、修理が一段落した後に出撃しようとするもこれ以上戦力を割けないとするラクスの主張により許可されなかった(ちなみに最初は本機もフリーダムと共に救援に向かおうとしていたが、ドミニオンの脅威が残っている現状を考慮したキラによって止められた)。
後期GAT-Xシリーズ3機が再出撃する形で戦闘が再開した際には、スキュラにより焼け爛れたシールドはそのままにエターナルから再出撃し、単機で3機を同時に相手取る。アスランが最初からSEEDを発動して応戦していたことに加え、アズラエルの指示により連合側が本機(とフリーダム)の鹵獲を狙ってコクピット部分へのビーム攻撃を避けていたこともあり、リフターを駆使して数的不利を軽減しつつの防戦一方ながらフリーダムが戻ってくるまで無傷で耐えきった。
その後はレイダーとフォビドゥンを相手していたが、戻ってきたフリーダム(キラ)がヴェサリウスから救命ポットにて解放されたフレイ・アルスターの声を聞いて激しく動揺、戦意を喪失してしまい、その隙を突かれフリーダムが損傷・無力化され、それでも単機にてフレイの乗る救命ポットを回収しようと先行した際には即座にカバーへ回る。フリーダムの鹵獲を狙うレイダーとフォビドゥンに対処しつつ、アークエンジェルからの撤退指示(信号弾)を確認した後は、バッセルの不意打ちでレイダーの右脚を破壊し、フォビドゥンのニーズヘグの一撃を回避したのに合わせてフリーダムの手を引いて後退する。なおも追撃を試みたフォビドゥンに対して殿を務めたバスターが割って入り牽制射撃を行ったのもあって無事にその場を切り抜ける。そのまま、アークエンジェルの上部デッキに着艦してヴェサリウスの最期を見届け、戦闘宙域からの離脱が完了した後にフリーダムと共にエターナルへ帰投した。
この後、後述する第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦までの2か月の内に強化モジュールミーティアの運用テストを行っており、実戦投入に備えている。
C.E.71年9月26日(PHASE-47~48)
第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦では、ミーティアを装備して出撃する。プラントに向けて放たれたMk5核弾頭ミサイルを同じくミーティアを装備したフリーダムと共にミーティアフルバーストで迎撃する。直後、戦場に居合わせたイザーク・ジュールからガンマ線レーザー砲ジェネシスの発射を勧告され回避できるよう立ち回り難を逃れるが、ジェネシスが直撃した連合は艦隊の半数を失い撤退を開始する。それに合わせて三隻同盟も撤退を開始するが、撤退する連合に対してプラントへ核を撃ち込まれかけた怒りから執拗に追撃を行うザフト兵を目撃したフリーダムがミーティアをパージしてこれらの無力化を行ったため、ミーティアを装備したまま協力する。ミーティアを装備したままなために小回りが利かないながらもフォルティスと「93.7cm高エネルギー収束火線砲」を駆使して多数のジンを無力化していく。その結果、ザフト側からヘイトを買い、フリーダム(とフリーダムがパージしたミーティア)と共に集中砲火を浴びたため撤退する。
エターナル内でザフト技術者から最低限のメンテナンスと補給を受けた後、連合とザフトの再衝突に合わせて核ミサイルとジェネシスの発射を防ぐために再びミーティアを装備して出撃する。
C.E.71年9月27日(PHASE-49~FINAL-PHASE)
ジェネシスの破壊を第一目標として友軍と共に連合とザフトの部隊を次々と無力化していく中、アズラエルの指示によりドミニオンとピースメーカー隊の母艦数隻が核攻撃のためにジェネシスからプラントへ進路を変更したため、マリューの指示によりクサナギとエターナル、ストライクとM1アストレイ隊にジェネシスを任せ、アークエンジェルと他MSと共にその後を追う。ピースメーカー隊を確認した際には急加速して急行、SEEDも発動して、放たれた無数の核ミサイルをミーティアフルバーストにより撃ち落としていく。その際にピースメーカー隊の護衛を担当していた後期GAT-Xシリーズの3機とも交戦する。ミーティアの圧倒的な火力を活かして優勢に立ち回るも、フォビドゥンにはゲシュマイディッヒパンツァー、レイダーにはその機動力をもって対応され撃墜には至らなかった。一方、カラミティについてはフリーダムのビームソードによる真向斬りを回避した隙を突くように背後から急加速してビームソードで轢き殺すという奇襲により撃墜している。
フリーダムがピースメーカー隊最後の母艦を撃墜したことをもって核ミサイルの脅威が排除された後は、補給を受けることなくその場(ドミニオン)をアークエンジェルとバスターに任せ、ミーティアを装備したままフリーダム・カガリ・ユラ・アスハ駆るストライクルージュと共にジェネシスへと向かう。この時、ミーティアの速度に追いつけないストライクルージュをリフターの上に乗せている。また、その途中にキラがラウの気配を感じ取ったためフリーダムがアークエンジェルのもとへ引き返している。
先行していたクサナギとエターナルがジェネシスの破壊に苦戦しているのを見て破壊よりも制御を奪った方が早いと判断し、ミーティアをパージしてストライクルージュとそれを援護するために合流したM1アストレイ2機と共にジェネシスの制御室があるヤキン・ドゥーエ基地への突入を試みる(パージしたミーティアの消息は不明)。ヤキンの激しい対空砲火を突破し、火器運用試験型ゲイツ改などを撃破。生まれた隙を突いて出撃用ハッチから突入を成功させ、そのハッチ内にあるドッグにてフェイズシフト装甲を展開しつつコクピットハッチも開いたまま、アスランが制御室を制圧して戻ってくるまで待機した。
制御室にて、ナチュラルへの復讐に憑りつかれたパトリックによりヤキンの自爆シークエンスが起動しており、その自爆と地球に照準を合わせたジェネシスの発射が連動していることが判明し、それらを解除できなかった(つまり制御を奪うことができなかった)ため、再度ジェネシスの破壊へ向かう(ちなみに解除を試みた時点での残り時間は1785秒だった)。陽電子砲さえ防ぎきるジェネシスの外装であったが、外装が一段と薄いメンテナンス用ハッチ部へ一斉射撃を行って破壊し、その内部へ侵入する。その際に追ってきたストライクルージュに対しては破壊に巻き込まないためにリフターをぶつけて妨害した(その後のリフターの消息は不明)。そして、ジェネシスの中枢部(反応炉)まで辿り着き、本機を自爆(核爆発)させることによりジェネシス本体を完全に破壊した。なお、この核爆発はジェネシスの発射にギリギリ間に合っておらず、発射口付近にいたプロヴィデンスの核爆発により一次反射ミラーが破壊されたことが要因となり実質的な不発に終わった。しかし、全軍が確認できるほどに大規模だったこの爆発が契機となってアイリーン・カナーバによる全軍への停戦要請の通信が行われ、それが許諾されたことにより戦闘は終了し、その後停戦協議に入ることとなった。
本機は自爆により完全に消滅したが、パイロットであるアスランは妨害にもめげずにジェネシスの中枢部まで追ってきたストライクルージュに乗り込んでジェネシス内部から脱出したため生還している(なお、ストライクルージュと合流した時点で残り時間は60秒を切っておりギリギリだった)。
作劇的に、主人公であるキラ(フリーダム)とラウ(プロヴィデンス)によるラストバトルが戦局を殆ど左右しないものであったため、代わりにアスランが駆る本機が目立った戦闘は無いながらも最も戦局(人類の存亡)を左右した活躍を見せる形となっている。
また、フリーダムと違い、機体が一切残らなかったため続編には登場しない。
ユニウス条約締結後
フリーダム同様その活躍は伝説級であり様々な陣営で語り継がれている。パイロットの正体や素性が不明なフリーダムとは異なり本機のパイロットがアスランであることはザフトでも知られており、ルナマリア・ホークがアスラン本人に対して「元ザフトレッド、クルーゼ隊。戦争中盤では最強と言われたストライクを討ち、その後、国防委員会直属特務隊フェイス所属。ZGMF-X09A ジャスティスのパイロットの、アスラン・ザラでしょ?」「お父さんのことは知りませんけど、その人は私達の間じゃ英雄だわ。ヤキン・ドゥーエ戦でのことも含めてね」と語っていることから、アスラン共々英雄扱いで教本に載ったと考えられる。
また、本機の外見も比較的周知されているようであり、本機の後継機であるインフィニットジャスティスを見たタリア・グラディスがギルバート・デュランダルへ報告した際に「ジャスティスと言って差し支えないでしょう」と述べている。
バリエーション
大戦終結後に開発されたセカンドステージシリーズの1機。
セカンドステージシリーズでも特に本機やフリーダムの要素が濃く、パイロットも相まって事実上の後継機にあたる。
また、デザインはイージスや本機のものを踏襲している。
ファクトリーにて開発された直系の後継機。
第二次連合・プラント大戦で活躍後改修を受け、ZGMF-X191M2 インフィニットジャスティス弐式へと生まれ変わる。
インフィニットジャスティスのデータを使用してオーブにて開発された後継機。
関連動画
立体物
過去に様々なブランドで出されてはいるものの、フリーダムと比べるとなかなか立体化の機会には恵まれない傾向が強い。
また、アスランが搭乗した各機体のなかではインフィニットジャスティスの立体化が先行しがちという弊害があり、たいていインフィニット~の後に立体化される。
ガンプラ
コレクションシリーズ、HG SEED、1/100、BB戦士、RG、MGにてラインナップ。
全てのキットでファトゥム-00の分離⇔合体が可能なギミックが再現されているのだが、フライヤー形態にするためにはフォルテスビーム砲とアンテナが干渉するので、大抵のキットでは一度頭部を外してから展開し付け直す必要がある。
またフリーダムと違い、HG SEEDの発展型とも言えるHGCEでは未だに立体化は実現していない(インフィニットジャスティスは立体化済み)。
HG SEEDでは放送当時に発売されただけあって、作り自体は古いものの色分け自体は良好であり、
フリーダムには付属しなかったクリアのビームサーベルエフェクトがあったりと優秀なキットとなっている。ただし、ラケルタビームサーベルをアンビデクストラス・ハルバード形態には出来ない。
また、1/100はこのキットをサイズアップしただけであるが、色分け部分が増えているなど一応はアップデートされている。
RGでは、RGシリーズ初期にラインナップ。
RGというだけあった色分けが完璧。その他武装類も完璧に再現されており、他にはMGでしか再現されていないパッセル・ビームブーメランが付属する数少ないキットである。
また、ファトゥム-00をスライドし展開することで大型化させることができるようになっている。これによってアニメ同様のポーズを取ることができるなど、ポージングの幅を利かせている。またこのスライド機構により、頭部を外さずにフライヤー形態にできるなど非常に画期的だったため、後に発売されたMGにも採用された。
しかしながら、初期に発売したRGのため全身にアドバンスドMSジョイントが採用されている。特に、このジャスティスガンダムは股関節が貧弱であるとして有名であり、まともにポージングさせるのは困難である。それ故、ファトゥム-00のウイング部分で支えたり、フライヤー形態時に支える用のパーツが付属したりと工夫がなされているが、それでも立たせるのがやっととなっている。プロポーションの出来が良い故にかなり残念な声が挙がっている。
1/100サイズは長らくSEED1/100シリーズシリーズでしか展開されていなかったが、アニメ放送15年目の2017年6月についに初のMG化が決定した(インフィニットジャスティスの方は2008年10月にMG化している)。
MGの特徴として、ラケルタビームサーベルのアンビデクストラス・ハルバード形態用にわざわざ専用のビームエフェクトが新造されているという点がある。要はクリアピンクのビームエフェクトのランナーがMGフリーダム Ver.2.0で使われている汎用的なものではなくリーチがさらに伸びているオリジナル仕様なのである。
また、RGと並びパッセル・ビームブーメランが再現されている数少ないキットとなっている。
アクションフィギュア
2000年代にはMS IN ACTIONおよびEXTENDED MS IN ACTIONで発売。
2012年のHDリマスター放送によりROBOT魂でも発売され、その後プレミアムバンダイ限定でMETAL ROBOT魂でも発売された。
フリーダムと違い、METAL BUILDでは一切発売されていない。
なおほとんどの立体物にも言えることだが、ファトゥム合体時頭部アンテナとフォルティスビーム砲がもろに干渉するため、細心の注意を払う必要がある(特にファトゥムを水平にして肩に載せる場合)。
特にアンテナの方は細いため、気にせず動かしてたらアンテナがボキッと逝ったり、吹っ飛んで紛失したりなんてことも...
インフィニットジャスティスの場合は最新フォーマットのHGCEで干渉部分に可動軸を設けることでリスク回避を払った造形になっている。
無印ジャスティスではRGにてファトゥムそのものを横に広げる機構が取り入れられている(が、広げたら肩に干渉して結局前に出せない)。
余談
デザインについて
デザインの元ネタとなったのは『機甲戦記ドラグナー』に登場するドラグナー1型。
SEEDの監督が新人演出家だった頃に同作に関わっており、飛翔翼型リフターや連結型サーベル等にそのリスペクトがあると語っている。
講談社「機動戦士ガンダムSEED オフィシャルファイル メカ編vol.3」において「装備換装型強襲用MS」という表記があり、ファトゥム-00以外の装備に換装する云わば「ザフト版ストライク」として本機が設定されていた可能性がうかがえる。しかし、ジャスティスそのものがザフトを離れたためにファトゥム-00以外の装備が登場することは無かった。ひょっとしたらドラグナーのようにキャバリアー0や、仮設リフターに値する装備があったのかもしれない。
双葉社「『機動戦士ガンダムSEED』コズミック・イラ メカニック&ワールド」にて掲載されたデザインの発注メモによれば、ジャスティスの初期案は換装装備の一つとして大型MAとドッキングするというものであり、基本装備は両腕にそれぞれ装備したライフルとソードの両形態を持ちシールドまで付いている複合兵装、さらにはコアファイター式の分離機能まで持っていた。この大型MAの形状は対艦ミサイル発射管とウェポンアームが省略されメインユニットが少し小さくなったミーティアであり、結果的に形や運用方法は変わってしまったがファトゥム-00以外の換装装備としては登場していた。
最初はフルバーストモードのフリーダムをリフターで運ぶ設定だったというのはデマ(発注メモでもリフターに乗っているのはジャスティス自身で、フリーダムとの連携に関する記述は一切存在しない)。初期案段階では多様な武装と形態を持つ代わりに飛行できなかったフリーダムに対して、飛行可能なほどの機動力を持つという形で差別化が行われていた(高速戦用のMA形態まで存在した)。しかし、最終的にフリーダムが飛行可能となったため、その名残はフリーダムの1.14倍ある総推力程度となった。
コアファイターの分離機能は両機とも省略されたが、フリーダムはソードストライカー要素が省略された代わりにレールガンが追加されるなどの足し引きが行われたのに対し、ジャスティスは初期案の要素の多くが省略された割に追加要素が殆どない。
相方のフリーダムや後継機のインフィニットジャスティスの方が人気とは言え本機もまた人気機体ではあり、『全ガンダム大投票 40th』では80位(『SEED』シリーズ内8位)、『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024』では17位となっている。
関連イラスト
関連項目
登場作品
所属(組織・分類)
ザフト製MS・戦艦 ZGMFシリーズ ZGMF-Xシリーズ(ファーストステージシリーズ)
関連機体
後継機
兄弟機(ZGMF-Xシリーズ)
母艦
参考機・実験機