シン・アスカ「シン・アスカ、ジャスティス、行きます!」
機体データ
型式番号 | STTS-808 |
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全高 | 18.50m |
重量 | 71.62t |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
動力源 | ??? |
開発 |
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所属 | 世界平和監視機構コンパス |
パイロット | シン・アスカ |
概要
ZGMF-X19A インフィニットジャスティスの運用データを基に開発された世界平和監視機構コンパス所属の新型機。コンパス内ではシン・アスカの搭乗機として、彼が所属するヤマト隊で運用されている。
機体本体の設計はオーブ連合首長国(モルゲンレーテ社)、武装の開発・製造はプラントの二大兵器メーカー(やザフトの統合設計局)が担当するなど、国家・体制の枠を超えた最新技術が集結している。
大気圏内と宇宙を往還するコンパスの活動範囲に対応するため、オーブ国防軍が運用するMVF-M11C ムラサメの可変技術を導入した飛行型モビルアーマー(MA)への変形機構を採用している。MA形態であればポジトロニック・インターフェアランス(陽電子砲によって生じる前面の真空状態と磁場)による補助こそ必要だが、単機かつ短時間による大気圏離脱が行える。
兄弟機のライジングフリーダムと共通のフレームを採用しており、運用方法に応じた機体や武装のバリエーションを生み出せるマルチロール的な特性を持つ。
全高は歴代ジャスティス系列機と大差ないが、重量は71.62tまで軽量化され、歴代で最も軽量な機体となっている。また、トサカを抜くとその形状は同フレームのライジングフリーダムと大差ない。
アスラン・ザラの専用機であるインフィニットジャスティスの運用データを使用して製造された機体だが、アスラン当人はオーブ国防軍に残留しておりコンパス所属では無いことに加えて、コンパスの後方支援組織ターミナルに出向中だったため、アスランが本機に乗ったことは一度もない。
なお、ルナマリア・ホークの台詞から本機をシンに託したのはヤマト隊隊長キラ・ヤマトの意思であることが明かされており、ヤマト隊においてもライジングフリーダムに追随もしくは匹敵する性能を持つ本機をシンに任せたのはキラなりの信頼の表れだとルナマリアは話している。物語序盤にはキラやシンに対してアグネス・ギーベンラートが自身にジャスティスを譲るようにけしかける場面もあったが、アグネスへ本機が渡るようなことは無く、一貫してシンの搭乗機として扱われている。
性能面では、後述する様々な要因によりブラックナイトスコードに対しては後れをとる(これについては本機に限らずC.E.75時点の殆どのMSがそうなのだが、例外はこいつくらいだろうか)が、実際は兄弟機と同じく当時のコンパスが所有するMSとしては間違いなく最強格の性能を持っており、武装面ではフリーダムよりも相性は良いと考えられる。そのため、常にブラックナイトスコード(本機の場合は主にグリフィン機)が直接相手をしつつ、的確に無人機の火力支援(ミサイル)によりダメージを与え、最後は隙を突く形で撃破している。キラが駆るライジングフリーダムほど警戒はされていなかったが基本的な対策は変わらず、ある程度の脅威として認識されていたと思われる。
外見
インフィニットジャスティスの運用データが使用されているものの、全体的にインフィニットジャスティスやジャスティスよりもセイバーに類似した要素が目立つ。カラーリングもピンク味が強かったジャスティス系統よりもセイバーやイージスのような強い赤となっている。
機構
頭部
ジャスティス特有のトサカ状のセンサーモジュールは、センサーがトサカの根本へ一極化し、完全なアンテナとなっている。
額には従来機と同じく型式番号を示す「808」のほか「IMMORTALE(イタリア語で「不滅」)」の文字が刻まれ、これまでような型式番号の読み替えではなく機体名に掛かる単語となっている(これはライジングフリーダムも同様で、イタリア語で「増大・上昇」を意味する「AUMENTO」が刻まれている)。
胴部
構造は歴代ジャスティスと似通っており、コクピットも同じく胸部に存在する(ハッチの開閉方式等も全く同じ)。
一方、機体設定では動力が明言されていないため不明となっている。撃墜時に核爆発を起こしていないが、切断箇所がZGMF-Xシリーズがニュートロンジャマーキャンセラーを内蔵している腰部だったため、核分裂炉である可能性も捨てきれない。
また、胸部上部に内蔵されていた機関砲は、初代ジャスティスのようにセンサーと思われるものに変更されている。
コクピット
歴代ジャスティスよりもさらに範囲の大きい全天周囲モニターを採用しており、視認性が大きく向上した。
全天周囲モニターの採用に伴い、前方や上部を物理的に占領してたメインコンソールの各種計器やビデオ通話用小型モニターはフレキシブルかつ半透明な空中投影型ディスプレイに一新され、必要に応じて全天周囲モニターの内側に表示されるようになっている。
シートのヘッドレスト横には緊急脱出用のジェットパックが備え付けられている。
スラスター
メインスラスターはリフターシステムの「DF2Mk3 スカイダート リフターシステム」に搭載されたスラスター群が担っており、歴代のジャスティス系統の構成と同じである。
また、本体の肩、腰部背面、脛後面、足裏にはサブスラスターが内蔵されている。
変形
新たに戦闘機型モビルアーマー(MA)形態への変形機構が搭載されている。機構は同じ内部フレームを持つライジングフリーダムと殆ど変わらない。このMA形態のフォルムが奇しくもイージスと同系統のレイダーに類似している。
武装
基本的にはインフィニットジャスティスを参考にしているが、前述のリフターの分離・合体機能とビームサーベルがオミットされている他、ライジングフリーダムには存在するビームシールドも本機には搭載されておらず、全体的に武装数が減少している。
MMI-GAU27Q 20mm近接防御連装機関砲 ヴァンダーファルケ
歴代ジャスティスと同じく、頭部左右に連装2門ずつの計4門を内蔵された機関砲。「ヴァンダーファルケ」はドイツ語で「隼」を意味する。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。
型式番号を見るにストライクフリーダムの「MMI-GAU27D 31mm近接防御機関砲」の小口径・連装版にあたる。
余談
インフィニットジャスティスに搭載された連装機関砲は「MMI-M19L 14mm2連装近接防御機関砲」とMMI-GAUとは別系列になっていたが、本機ではジャスティスのようなMMI-GAU系列(の連装式)に戻っている。
MA-M727A3 高エネルギービームライフル
ライジングフリーダムと同型の携行式ビーム砲。マティウス・アーセナリー社製。本機のものはラインが赤く塗装されている。
詳しくはコチラ。
MA-F2D2 ヴィーセルナーゲル ビームブーメラン
両腰にマウントされたビームブーメラン。「ヴィーセル」と「ナーゲル」はドイツ語でそれぞれ「イタチ」「爪」を意味する。
切断力は非常に高く、一度の投擲にてデストロイの右腕を両断するだけでなく胴体にまでダメージを入れている。
ビーム刃を延長することができ、通常のビームサーベルを持たない本機の携行格闘装備としても用いられる。
用途も含めた形態はデスティニーに装備されていた「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」やその原型であるジャスティスの「RQM51 バッセル・ビームブーメラン」に近いが、本装備はマティウス・アーセナリー社製の新系列となっている。そのためか、デスティニーやジャスティスと異なりフェイズシフト装甲が施されていない。
余談
- フラッシュエッジ系列の技術がフィードバックされていれば、その軌道修正に簡易ドラグーンを用いている可能性が高い。
- 腰部にマウントする形式のビームブーメランは本装備が初となる。
- 「MA-F」という型式番号は、本装備とライジングフリーダムの「MA-FZ51 ヴェルシーナ ビームサーベル」、インフィニットジャスティス弐式の「MA-F2002 スピッツェシュヴァート ビームホーン」だけが冠している。
MMI-S2M5/X カルキトラ ビーム重斬脚
膝から足先にかけて展開されるビームブレイド。マイウス・ミリタリー・インダストリー社製。型式番号から考えるとインフィニットジャスティス弐式に装備されている「MMI-S1M7 トーニトゥルス ビーム重斬脚」の後継モデルと思われる。
インフィニットジャスティスの「MR-Q15A グリフォン ビームブレイド」と同様の装備に見えるが、ビームの刃が湾曲している点で異なる。
余談
本装備やトーニトゥルスの「ビーム重斬脚」はビームの刃が湾曲しており、設計段階から脚部の高出力ビームサーベルでの運用が想定されている初の武装となっている。
一方で、グリフォン系列は空力ウイングへ内蔵する事が想定された直刀タイプの装備であり、系列の装備がガイアの姿勢制御ウイングやファトゥム-01のウィング部に内蔵されている。逆に言えば、インフィニットジャスティスの脚部搭載が想定外であったと言える。
RQM75 フラッシュエッジ4 シールドブーメラン
上部先端にビームブレイドの発生器を内蔵し、表面に2基のスラスターを備えた実体シールド兼射出兵装。型式番号とペットネーム的におそらくザフト(統合設計局)製。
大型とされるジャスティスの「ラミネートアンチビームシールド」に匹敵するサイズであり、両側面からウイングを展開することにより大気圏内外問わず自力飛行することができる。リフターが分離・合体不可能となった本機にとって、リフターに代わりMS支援空中機動飛翔体を担っている。歴代のリフターは分離時に本体の機動力が大きく低下するという問題を抱えていたが、本機では解消されている。一方、本機の防御兵装は本装備のみなため、本装備を射出している間はビーム兵器に対して脆弱となる。
射出兵装としてだけでなく、上下を逆に持ち替えビームブレードを発振することにより、マウント状態のインフィニットジャスティスの「RQM55 シャイニングエッジ ビームブーメラン」と同じように近接武装としても使用できる。発生器がビームサーベルよりも大型なためか、105ダガーの対ビームシールドを両断し、デストロイの陽電子リフレクターを貫通するほどの威力を持つ。一方、刃渡りはビームサーベルより短い。
ビーム射撃を防いでいることから、その材質はラミネート装甲素材か対ビームコーティングを施した通常装甲と思われる。また、ミサイル攻撃に晒されても無傷なほどの実弾耐性も併せ持つ。
MA形態時はビームライフルの固定を兼ねて機体底面(胴体前面)に配置される。さらに、取り外した状態(MS形態)での大気圏突入にも対応しており、大気圏突入の断熱圧縮により一切融解していない。
厚みこそあるが実体シールドの例に漏れず対艦刀の類が天敵であり、ブラックナイトスコード ルドラの「OWC-QZ200 対モビルスーツ重斬刀」により切断されている。
型式番号的とペットネーム的にデスティニーの「RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン」の発展型と思われ、自力飛行時の遠隔制御には歴代フラッシュエッジのように簡易ドラグーンを用いている可能性が高い。また、型式番号上はライジングフリーダムの「RQM73 フラッシュエッジG-3 シールドブーメラン」の後継モデルとなるが、こちらのビーム発振器は上部先端の1基のみとなっている他、ビームライフルのマウント機構も簡略化されている。
運用
シンがドラグーンの扱いに慣れていないためか、本機の白兵装備としては最大威力なためか、主に左腕に装備された状態にてビーム近接武装として運用された。
射出しての運用をほとんどしなかったのは防御を優先していた可能性もある。
余談
作中では、白黒なため色は変わっていないものの、VPS装甲展開時のエフェクトが乗っている(撃墜時にもフェイズシフトダウンのエフェクトが乗っている)。同系列のフラッシュエッジG-3にも乗っているため、意図的=VPS装甲が施された装備な可能性がある。VPS装甲と対ビームコーティングを併用したシールドについては、アビス(とインフィニットジャスティス)という前例が存在する。
ライジングフリーダムのフラッシュエッジG-3はフリーダムのラミネートアンチビームシールドを参考にしたカラーリングをしているが、こちらは特にジャスティスのシールドとの関連性は見受けられない。
DF2Mk3 スカイダート リフターシステム
歴代ジャスティスのファトゥム系列とは別系列のリフターシステム。本機はインフィニットジャスティスを参考にしているが、ファトゥム-01が持っていた着脱機能を排したことに加えてMA形態時に用いる大型機首パーツと干渉することから本体部分も殆ど省略され、後退翼と翼が接続している二連式スラスター部分のみとなっている。一方、翼は大型化しており(形状も含めてレイダー系統のものとよく似ている)、翼の根元部分には大型スラスターが搭載され、推力増強による運動性向上に寄与している。
余談
型式番号の付いたリフターシステムは初であり、名称に「リフター」を含むリフターシステムも本装備が初となる。
Mk-1 高エネルギービーム砲
スカイダートの上部左右に内蔵された射撃武装。開発元は不明。
MA時は正面砲門となる。
ビーム砲はウイングとは別のバックパックに接続されており、MS時のビーム砲を正面への射撃は劇中では未使用且つ、設定画や立体化物では上向きで固定されているため、MS時に使用できるかは不明
劇中での活躍
オルドリン自治区戦
劇中冒頭、深夜(午前1時37分)にオルドリン自治区のザフト軍基地付近へ侵攻を開始したブルーコスモスを止めるべく、ライジングフリーダム、ゲルググメナース、ギャンシュトロームと共にミレニアムから発進、モビルアーマー(MA)形態へ変形して大気圏突入を敢行する。
隊長のキラ・ヤマトより政府施設の防衛を指示されていたことから積極的に打って出ることはせず、唯一の防御兵装であるシールドを地表に突き刺しその陰に民間人を庇いつつ、地上の105ダガー2機と飛来するミサイル3基を正確無比な射撃にて迎撃、ビームサーベルにて斬りかかってきた105ダガーに対しても身体を捻るだけで回避しつつ左手に握ったビームブーメランにて胴体を両断する。
その後は隊列を組んでいたオルドリン守備軍のジンとゲルググメナースの下へ駆けつけ、シールドにてビームを防ぎつつビームが途切れた瞬間にビームブーメランを投げて105ダガー2機の頭部と右腕ないしビームライフルを切断して無力化する。
その直後、ライジングフリーダムによるデストロイの沈黙に伴い戦線をカナジ市街まで下げて態勢を立て直そうとブルーコスモス部隊に対して,オルドリン軍幕僚がカナジを制圧して現ブルーコスモスの指導者であるミケール大佐を追い立てるよう指示したため、ザフトのMS部隊がカナジに進軍を開始する(午前4時15分)。これをライジングフリーダムが止めに行ったが、本機は他の友軍機と同じく臨戦態勢を維持したまま待機していた。
オルドリン自治区の戦闘終了後はアークエンジェルへ着艦し、メンテナンスを受けた。
その後、宇宙のミレニアムへ帰投するために、アークエンジェルの艦底に懸架された状態で高高度まで上がり、アークエンジェルがローエングリンを発射したと同時に他のヤマト隊の機体と共に発進し、ポジトロニック・インターフェアランスを活かして大気圏を離脱する。
エルドア地区合同作戦
ファウンデーション王国との合同作戦でもミレニアムから他の艦載機と共に出撃し、アグネス・ギーベンラートやヒルダ・ハーケンのギャンシュトローム2機と共に敵MS部隊の無力化を担当する。MA形態に変形して前線に急行、MS形態に変形して制動をかけつつ着陸ざまにシールドブーメランにて対ビームシールドごと105ダガーを切断して無力化する。また、他の105ダガーへ駆け寄りながらビーム重斬脚によりそのビームライフルを切断、すぐさまビームライフルで頭部を撃ち抜いて無力化した。その直後、突然現れたデストロイ(現地で補修を受けた機体)の下へ急行する。デストロイと接敵してすぐにシールドブーメランを射出、加えてビームブーメランも投擲し、シールドブーメランにて右腕の陽電子リフレクターを突破しつつその発生器を切り付け、続くビームブーメランにて右腕を両断し、胴体にまでダメージを与える。そして、左手にてビームブーメランを抜刀しつつライジングフリーダムと共に低空飛行にてデストロイに急接近し、そのコクピットにビームブーメランを突き立てて撃墜する。
デストロイ撃墜後は、MA形態に変形し直してライジングフリーダムと自分についてきたギャンシュトローム2機と共にミケールの指揮所へ向かう。その道中ライジングフリーダムと別れるも、そのまま指揮所へ直行、対空砲火を潜り抜けながらビームライフルにてリニアガン・タンクとミサイル車両を破壊しつつ、105ダガーをビーム重斬脚にて両断しながら着陸し、続けざまにリニアガン・タンク2台をビームライフルにて破壊する。
その後は敵MS部隊と交戦していたが、シンがキラの危機を感じ取ったため、取っ組み合っていた105ダガーのライフルとシールドをシールドブーメランにて切断しつつ、キラを助けるためにその場を離れる。しかし、行く手をブラックナイトスコード ルドラ2機(ガーネットとエメラルド)に阻まれたため交戦を開始する。ビームライフルにて対応するがフェムテク装甲により無効化され、ガーネットとエメラルドからのビーム射撃はシールドにて防ぐないし回避するも大量の無人機からミサイルによる集中砲火を受ける。前方はシールド、それ以外はVPS装甲にて防いだことにより本体にダメージはなく、そのままエメラルドと交戦を続けるも、ビームライフルが効かないことに加え、その機動力と残像に翻弄され、重斬刀の一撃をビームブーメランとシールドを組み合わせて防いだところに再度ミサイルの集中砲火を受け、今度は無防備な背面に集中して受けてしまったために左翼の半分・左肩の先端・右足先を損失する。
その後もエメラルドに対して善戦するが、アークエンジェルが轟沈する様に気を取られた隙に機体の速度を乗せた重斬刀の一撃を受け、咄嗟にシールドにて防御しつつビームブーメランにて反撃するも、ビームブーメランをシールドにて往なされた上にシールドごと腰部を両断されたため機能を停止する。シンは即座にコクピットから脱出し、ジェットパックにぶら下がりながら自分を握り潰そうとするエメラルドのマニピュレータを回避していたが、掴まるすんでのところでヒルダのギャンシュトロームに助けられた。なお、ヒルダは牽制と攪乱を兼ねてフェイズシフトダウンしていた本機の上半身に向けて大量のミサイル(小説版ではビームライフル)を発射、ミサイルの直撃により爆発した本機を目眩ましにしてシンをコクピットに収容、戦域より離脱した。なお、この意図的な爆破の前から爆発の兆候(スパーク)が見えており、どの道爆発していたものと思われる。
ただでさえ爆発したことに加え、核ミサイルにより戦域が吹き飛んだことから残骸は発見されていない。
ちなみに、初撃の集中砲火から撃墜されるまで約20分間も戦闘をしていたことになり、キラ共々全力が出せない状況下にてかなり粘っていたことがわかる。また、本機が撃墜されたシチュエーションは、「母艦の撃沈に気を取られた隙を突かれる」「対艦刀によりシールドを貫通されて撃墜」「右手のビームサーベルにて苦し紛れに反撃」「シールドにて守ったのがコックピット(胸部)ではなくその下の部位」「コクピットが胸部にあったことからパイロットは無事」と、エンジェルダウン作戦にてシンのインパルスがキラのフリーダムを撃墜した時とよく似ている。
余談
ライジングフリーダム同様、作中にて正式名称で呼ばれることは一度もなく、終始「ジャスティス」と呼ばれ続け、各人の機体識別にも「FREEDOM」と表示されていた。
パイロットの評価
前半の主役機であるライジングフリーダムのパートナーでありながら、パイロットであるシンからの扱いがあまりよろしくないことで話題になった。
と言うのも本編後半、(相手が悪かったとはいえ)シンは本機の後に乗った機体での戦闘中に「ジャスティスだったから負けたんだ!」と発言しており、実際そのまま格上の性能を持つ複数のルドラを無傷にて撃破している。だったら最初からイモータルジャスティスの構成をデスティニー寄りにしてやれば…と言いたいところだが、そもそもコンパスの活動目的は紛争の調停であり、「出来るだけ敵を殺さないように無力化した」と「積極的に敵を殺して回った」では、停戦後や和平の交渉といった戦後処理における意味合いが全く異なってしまう。
その上、対ルドラ戦ではフェムテク装甲により本機の持つビーム射撃では攻撃が一切通らなかったことに加えて無人機の火力支援が非常に厄介であり(撃墜時の被弾を除いて本機が被弾したのは無人機のミサイルのみ)、幾らシンの技量があっても如何ともし難く、必然的に敗北を喫することになってしまった(さらに言えば、切り札であるSEEDの任意発動が行えないシンにとって戦況の混沌具合に動揺してSEEDの誘因となるテンションを上げきれなかったことも大きい)。再戦時は「フェムテク装甲対策の携行レールガン」「僚機による無人機の露払い」「序盤から最高潮のテンション」「SEEDの副次効果による読心の無効化」に加えて「デスティニーの圧倒的機動力」をもって圧倒しており、「(高威力の実弾兵器を持たず機動力もデスティニーに劣るイモータル)ジャスティスだったから負けたんだ!」という発言はシンの主観としては妥当な評価だった。
なお、小説版ではシンが「火力においてデスティニーよりイモータルジャスティスの方が上」と認識していたため、少なくともデスティニーと共通の武器種に関してはイモータルジャスティスの方が上と思われる。
機体性能的にはビームブーメランやシールドブーメラン、ビーム重斬脚とフェムテク装甲にも有効な装備が揃っている本機は、接近戦に持ち込みさえすれば、決してブラックナイトスコードシリーズ機に相性が悪いとは言い切れない。
しかし、メンタル面の「キラが自分を頼ってくれない」という不安が影響したシンのやる気の問題、シンに本来向いていた一撃戦法ではなくキラを意識した不殺戦法をとっていたなどの理由も大きいと思われ、
加えて小説版では本機を託されたシンの心情が描写されており、自分の搭乗機があのアスランが乗った機体の後継機という事でどこか複雑な心境であったことが明かされ上に、
「アスランのイメージがついたジャスティスなんか」とまで言われてしまった。なお、「アスランのイメージがついた」というのは完全にシンの個人的な感想であり、既に専用機を持っていたアスランはイモータルジャスティスに搭乗したことはない。つまり、アスランのお古に乗せられているわけではないが、2度の大戦にていずれもアスランがジャスティスを駆って大活躍して英雄視されたことを考えると、「ジャスティス=アスラン」のイメージがつくのも無理はないと思われる。
シンは年相応に純粋な一面があるため、それっぽく誤魔化してやれば本機も活躍できたかも知れない…。
とはいえ、「ジャスティス」の名を関するモビルスーツは「フリーダム」と並んでクライン派(及びその流れを汲む公的組織)を象徴するフラッグシップモデル的な機体であるため、ある意味それを欠くことは(これまでの機体の入手の経緯はともかく)組織の威信に関わるとすら言える。さらに、フリーダム系列機のパイロットを務めてきたキラと並び立つジャスティス系列の本機を与えられるということは、彼の幼馴染にして親友であるアスランと並ぶほど絶大な信頼と期待を寄せられるのも同義であるため、当のアスランに思うところのあるシンの「複雑な心境」は「キラの信頼とアスランとのわだかまりによる心理的な板挟み」に起因するとも思われる。
このような様々なデバフ要素を抱えてしまったイモータルジャスティスもまた、ライジングフリーダム同様に状況が悪かった悲運の機体と言えよう。
余談
- 型式番号が「STTS」と、ザフトの従来機「ZGMF」・地球連合の従来機「GAT」・オーブの従来機「MBF」「MVF」の何れにも当てはまらないものが使用されている。
- 兄弟機のライジングフリーダムと合わせてコンパス所属機としての新規型番と目されていたが、オーブ国防軍にも採用されているムラサメ改(モルゲンレーテ製)の型番としても使われている。また、コンパス所属機のゲルググメナースやギャンシュトロームはプラント製のためかザフトの型番のままである。
- インフィニットジャスティスと比較すると、武装数の減少やリフターの分離・合体のオミットなど要素的には劣って見えるものが目立つ。
- 動力についてはバッテリー説が濃厚だが、「機構」の項目でも述べた通り、核駆動機のOSと思しき画面が表示されていることから、核駆動機の可能性も捨てきれない。
- 劇場版パンフレットのインタビューにて「ワンオフ機ではなく正式採用機という設定」と語られている。それに基づいてデザインも「ライジングとイモータルは装備が異なるだけで同じ機体」と発注していたが全く異なるデザインが提出され、監督もそれがカッコよかったことから採用した。そのため、同じくらい全長と携行装備以外は兄弟機の面影はなく、デザインラインもワンオフ機となっている。
- 『グレートメカニックG 2024 SUMMER』にて公開されたインフィニットジャスティス弐式(新ジャスティス)のデザイン変遷にて、その第二稿ラフが本機をベースにインフィニットジャスティスの頭と肩を付けてフォランテスを背負わせたようなデザインをしている(厳密にはそこにイージスを彷彿とさせる脚部先端の爪も付いていた)。そのため、本機のデザインはインフィニットジャスティス弐式の初期デザインの再利用と思われる。
- ライジングフリーダムが17.8mと原型機からかなり小型化されたのに対し、イモータルジャスティスは18.5mと少し縮んだだけの高さに見えるが、これは頭頂のトサカで全長を稼いでいるだけのものである。実際このトサカはインフィニットジャスティスのものより長い。HGを並べてもライジングフリーダムと図体は大差なく、トサカを払ってしまえば同じくらいの全長になる。
- C.E.においてMS形態で大気圏内を飛行可能なガンダムタイプとしては、ライジングフリーダム、フリーダムに次いで3番目に軽い。ガンダムタイプ以外ではディン系列が群を抜いて軽く、形態を問わなければエクリプスの方が軽い。
- アスランは「歴代ジャスティス系列に搭乗」「SEED発現」した戦闘ではどちらの条件下でも一度も負けたことがなく(ストライク対イージスは相討ち)、今回素直にイモータルジャスティスに乗った場合普通に負けていた可能性が高い(シンは「ジャスティスだから負けた」とは言ったものの、この事態はアスランが乗ったところでどうしようもない状況だったのは言うまでもない、むしろそういう状況になるように仕組まれていた)。皮肉にもシンに機体を譲ったことで連勝記録は途切れなかったどころか、物語終盤でアスランの無敗伝説はさらに更新されることとなった。
- ただし、武装面に関してはフェムテク装甲にも有効なものが揃っているため、ブラックナイトスコードに対しては純粋に性能不足だった点は否めない。
- 一応フォローすると、シンがアークエンジェル轟沈に気を取られるまで戦闘に支障が出るほどのダメージは無く(リフター左翼の先端・左肩先・右足先が欠損した程度)、ライジングフリーダム共々ブラックナイトスコードにある程度対抗できるスペックは有すると思われる。さらに言えば、それらのダメージは無人機からのミサイル攻撃によって負ったものであり、撃墜時の一撃を除いてブラックナイトスコードの攻撃に被弾したことは無かった。
- 「ジャスティスの系列機なのだからアスランが乗るだろう」という予想に反して、実際に搭乗したのはシンであった事に驚いたファンもいたであろう。前作のアスランは中盤まではパイロットと機体の戦闘スタイルが噛み合わない専用機やギルバート・デュランダルに利用されながらの迷いによる不調のために目立った活躍が無かったが、戦う意味を見出して復調した終盤ではかつての愛機の後継機で目覚ましい戦果を挙げている。ジャスティスの名を冠する本機を引き継いだことにより、本作におけるシンの動向もそれに準えられたとも考えられる(裏切りは同僚が行ったが)。
- サンライズの『機動戦士ガンダムSEEDシリーズ グランプリ2024』では、ジャスティス系列最下位となる31位にランクインし、視聴者人気においても不遇な機体となってしまった。
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関連機体
前駆型
兄弟機
母艦
技術的関連機体
ZGMF-X23S セイバー(接点は不明だが類似点多数)