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エンジェルダウン作戦

えんじぇるだうんさくせん

エンジェルダウン作戦とは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』PHASE-34において行われたザフトによる対アークエンジェル作戦である。
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概要編集

C.E.73年12月、ザフトにより行われたアークエンジェル討伐作戦。プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルのもとに企画、実行された。


ミネルバ隊連合オーブ合同艦隊の交戦に武力介入し、理由や勢力も不明瞭のまま(実際のところはオーブ軍に対し停戦を呼び掛けていた)ZGMF-X2000 グフイグナイテッドZGMF-X23S セイバーZGMF-1001 ザクファントムを破壊し、甚大な被害を被らせたZGMF-X10A フリーダムとその母艦であるLCAM-01XA アークエンジェル(以下「AA」と表記)を破壊することを目的とする。


デュランダルとしてはアスラン・ザラをその的確過ぎる話術で説得した件からAAがどういう勢力は知っているのだが、自身の計画の最大の障害ともいえるアークエンジェルを討伐するべくこの作戦を推進した。ミネルバ艦長タリア・グラディスもまた彼らの事は理解していたが、司令部に異議申し立てを却下された以上「正式な作戦」であり実行に移した。


作戦の流れ編集

今作戦開始以前、デュランダルは「戦争が終わらないすべての諸悪の根源」として軍需複合企業体ロゴスの存在を打ち明ける演説を敢行し、世論の支持を獲得。シン・アスカらミネルバのクルーたちは議長が付いている自分たちが「正義」であると微塵も疑うことなく作戦に身を投じることとなった。


西ユーラシアからオーブ連合首長国へ移動中だったAAを、ザフトのウィラード隊が勧告なしに攻撃。カガリ・ユラ・アスハオーブ連合首長国へ移送することを目的としていたAAクルー一同は「オーブの機体であるムラサメで反撃すればそれを理由にオーブの立場がますます悪くなる」というキラ・ヤマトの懸念から「ムラサメを一機たりとも失うことなくオーブに持ち帰る」ことを理由に、フリーダム単独の出撃を余儀なくされた(同じ理由でストライクルージュも出撃していない)。AAもまたザフト機に直接弾丸を当てないという戦いを強いられるが、それでもアークエンジェルに放たれた攻撃はAAのCIWSやフリーダムの攻撃によって何とかしのぎ、ザフトのモビルスーツも無力化していった。


そこにミネルバがウィラード隊と合流し、作戦はミネルバに移譲されウィラード隊は一時後退した(なおこれはウィラード隊長の「自分の部隊の損失を最小限にしてミネルバ隊を矢面に立たせる腹積もり故である)。


ベルリンでのデストロイステラ・ルーシェの一件からフリーダムを憎悪するシンはフリーダムを倒すべく何度もシミュレーションを行い、フォースインパルスでフリーダムへ対処する。

悪夢

フリーダムが機体のメインカメラや武装を破壊して無力化するという戦い方をすることを見抜いていたシンは機体の頭部や腕部のみを動かしてビームを回避し、フリーダムに肉薄。互いにビームサーベルを使っての接近戦となり、離れたタイミングでインパルスはシールドを放り投げ、そこにビームライフルを撃つことでビームを反射させフリーダムの左肩に被弾。すぐさまインパルスは空いた左手でビームサーベルを使用するも、フリーダムによってインパルスは頭部と左腕を失う。しかしシンはとっさにインパルスを各パーツに分離させて破損したチェストフライヤーをフォースシルエットごと直接ぶつけるという奇策を使い、さらにコアスプレンダーの機関砲で爆破する荒業でダメージを与え、さらに新しいチェストフライヤー、フォースシルエットと合体することで再度フリーダムに挑む。


一方、ミネルバはタリアによってAA艦長マリュー・ラミアスに投降勧告を行うが、マリューは「本艦にはまだ仕事がある」として投降を拒否。本格的戦闘に突入した。撃墜命令が出ているにもかかわらず独断で投降勧告を行ったタリアに対し、ウィラードは彼女の「甘さ」に痺れを切らして攻撃を再開させている。


一方、何度武装を破壊しても復活するインパルスにキラは徐々に余裕を失っていく。ビームサーベルの一撃も機体の分離によって避けられ、直後に強烈な一撃を食らい左翼を損傷。さらにビームライフルを失い撤退を余儀なくされたフリーダムを逃さず、左翼を失い機動力が低下していることもあってインパルスは猛追。ミネルバからソードシルエットを射出したインパルスはフラッシュエッジを投擲、フリーダムはシールドで受け止めるがバランスを崩し海面まで追い詰められた。


AAはミネルバとウィラード隊の攻撃から逃げるため水中への逃亡を選択。武装の都合で水中戦ができないミネルバはタンホイザーを展開。AA同様水中に撤退しようとしたキラはAAにタンホイザーが命中したことに気を取られた隙を突かれ、インパルスのエクスカリバーが炸裂。限界まで出力を上げたエクスカリバーはフリーダムのシールドと腹部のPS装甲を貫き、フリーダムも最後のあがきとビームサーベルを突き刺したが頭部を破壊するだけにとどまった。直後、タンホイザーの余波による大規模な水蒸気爆発が発生しフリーダムとインパルスはそれに飲み込まれた。


黒煙の中残されたのは、大破しフェイズシフトダウンを起こしつつも佇んでいるインパルスのみだった。


キラが死んだと思ったアスランは絶叫し、シンはコクピットでステラに仇を撃ったと狂ったように笑うのだった。


作戦結果編集

作戦に邪魔なフリーダムを倒した、という点ではザフトの、というよりシンの勝利と言えた。

しかし戦闘後のAWACSディンによる現場検証から船の体積に対し残骸が少なすぎるとしてAAは撃沈できていないと推測されていた。その推測通り、ミネルバのタンホイザーはAAのエンジンに命中したかと思われたが直撃は免れており、損傷に留まっていた。マリューの咄嗟の判断で第一エンジンを切り離し爆破することであたかも轟沈したかのように見せかけていたのだった。

フリーダムもまたコクピットを含むボディ部分は無事であり、エクスカリバーが突き刺さる直前キラがニュートロンジャマーキャンセラーを強制停止させたため核爆発は起こさずにギリギリ生き残り、海中でカガリの乗るストライクルージュによって救出された。


フリーダムを撃墜した功績を認められたシンはデュランダルから新たに新型モビルスーツであるデスティニーを受領した。

この作戦からアスランはデュランダルに不信感を覚え、のちに議長とレイ・ザ・バレルの会話によって議長の本音をある程度知ったこととアスラン自身を取り巻く状況の変化が決定打となりザフト脱走につながる事態となった。アスランはフリーダムを撃墜したことをネタに「仇取ってあげましたけど?」と挑発してきたシンに対し、「キラはお前を殺そうとはしていなかった!」として鉄拳制裁を見舞い、二人の間にできた溝はもはや修復不能なレベルにまで広まってしまっていた。気持ちはわかるがこの作戦についてはたびたびのやらかしと違って命令通りなのでシンに責任があるとは言えない。しかしキラがアスランのかつての友人と知っていて戦闘後に悪意しか感じられない挑発をしてきたシンもシンであり、これさえなければアスランも仕方のないことと我慢していた可能性はある。

だがこれ以降シンはオペレーション・ラグナロクでの功績からFAITH権限まで与えられますます増長していき、デュランダルに利用される道をたどることとなった。


…だがこの作戦、デュランダル的には目的を果たせずにいた。というのも、彼の目的は「キラの抹殺」。先述の本作戦を発令した経緯もまた嘘ではないが、自身の計画にキラは明らかな障害であるために彼の存在を疎ましく思っていた。AAとフリーダムという戦場において強力無比だった戦力を潰すことも彼にとっては口実に過ぎなかったのである。


キラ陣営からしてみれば、最大戦力であるフリーダムを失ったことは痛手だがAAは身代わりにした第一エンジン以外損傷はなく、「カガリをオーブに送り届け、オーブ介入の口実を与えない」という目的は達成できている。結果としてこの作戦は目標を達成できたキラ陣営の勝利で、ザフトは「試合に勝って勝負に負けた」と言えるだろう。

ただしフリーダムを失った影響も発生しており、宇宙にいるエターナルが危機に瀕した際に単独で大気圏を脱出できる機体(=PS装甲機)がストライクルージュしか残っていなかったためにキラはこれを使用したが、既に主力量産機のザクウォーリアにも抜かれるレベルの型落ちであるストライクルージュはキラの高い技量や新型ストライカーパックのオオトリをもってしても耐え続けることはできず、オオトリを損失した上ストライクルージュも大破してしまう結果となった。


そして、この一件と後のアスランの脱走を経て、「デュランダルが自分達の敵」と確信したアークエンジェル隊とクライン派は本格的に彼との戦いを開始する事になり、最終的に彼の最終目標だったデスティニープランの強制導入を防ぐ事に成功する。


また、フリーダムを撃墜した張本人であるシンには「フリーダムキラー」なる異名が付く事になるが、終戦後、あの時命令を出したデュランダルの本当の目的を知ったシンは、和解はできたもののキラに対して深い罪悪感を抱くことなり、その異名は当人にとって最早悪名以外の何物でも無く、この作戦は色んな意味でザフト側にはマイナスの結果にしかならなかったのだった。


…ちなみに、ミネルバ隊と合同でエンジェルダウン作戦を決行したウィラード隊隊長のウィラードという人物は、良く言えば慎重、悪く言えば狡猾ないかにもなベテラン軍人であり、ウィラード隊での総攻撃を具申する副長を鼻で笑い、

「フン、貴様は知らんのだろう?アラスカもヤキン・ドゥーエも。功を焦って取り逃がしたらそれこそ取り返しがつかんぞ。今後のこともある。ケツはきっちりインパルスとミネルバに持ってもらえ。命令どおり、我が軍のエースにな。」

と、冷静に判断しつつも自軍の損失を抑えられるよう立ち回っていた。

アークエンジェル側からすれば手酷い痛手を負わされた相手であり、ミネルバ隊とも因縁がありそうな人物なのだが、彼はあくまで投降勧告を行ったタリアがザフト軍人としては比較的穏当な人物であることを示すだけの役割の存在だったのか、エンジェルダウン作戦以降特に出番は無い


ザフト側の事情編集

「ちなみに何でそもそもAAはザフトに討伐命令が出されたの?」という話だが、これはアークエンジェルの戦闘介入によりハイネ・ヴェステンフルスの戦死という人的被害を出した(ハイネはFAITHの実力者であり、直接葬ったのは地球連合軍第81独立機動軍ガイアだったが、AAが要らぬ横やりを要れなければ死ぬことは無かったという見方が大きい)こと、そして何より、あまりにもザフトの作戦を妨害したためにザフト側の経済的損失が馬鹿にならなくなったという理由が大きい。デュランダルの持論・演説にもある通り、「戦争は経済活動」なのであり、視聴者側から見れば「AAはオーブの正統な姫であるカガリを護る騎士」「悲惨な戦争を止めようと駆けつける正義の味方」に見えるが、ザフト側からすれば「何度も作戦を妨害されたばかりか新型機を含む多数の戦力を無勧告で破壊されて大迷惑」と言う話である。


戦争に第三勢力として介入するということはそういうことであり、「停戦を呼び掛けており、多少の攻撃や反撃はあれど積極的な攻勢には出ていない」からといって、「敵と見なされない」理由にはならないのである。


エンジェルダウン作戦の嘘編集

所属目的不明艦として討伐作戦を組まれている本作戦だが、AA隊はアスハ派であり国の代表であるカガリ・ユラ・アスハが名乗り出る事で所属や行動目的をハッキリと表明しており、それに添った行動が行われている。

言うなればオーブの戦争介入を防ぐという目的かつ非戦のアスハ派であり代表首長を確保した亡命政権として確立しているのである。

これに沿っていない行動はターミナルからのエマージェンシーで行われたベルリンの介入だが、議長が情報操作をして無かった事にした為対外的には否定材料にならない。


この一連の流れをタリア艦長は軍の正式な報告としてあげている筈なのだが、議長が自軍に嘘をついて所属不明の武装勢力という濡れ衣を着せており、随伴していた艦隊がその事に疑問を抱いている描写はない為上記の報告を故意に握り潰している可能性が高い


また軍への被害が理由でAA隊というオーブの亡命政権を撃つことが正当化されるなら、初めから所属不明艦という嘘をつかなければいいのであり翻って「被害が出ているから政治的に可笑しい行為ではない」というのは否定されてしまっている。

実際プラントの為を思うのであれば非戦のアスハ派であるカガリの後ろ盾になり連合からオーブを離脱させる策戦後の懐柔策、最低でもオーブ自体を二分させる事による弱体化が出来る為こちらの方がより政治的に適切である可能性があるのは否めない説がある。


ここでもアーノルド・ノイマン伝説編集

キラとシンの戦いに注目が集まりがちであるが、このエンジェルダウン作戦は間違いなくガンダム史上最強操舵手ことノイマンの『DESTINY』での見せ場である。


「吹雪かつ山間部」という著しい視界不良に加え、事前にミネルバがジャミング弾を発射していた事でAAの熱センサーも麻痺した中、突如前方から現れたミネルバの副砲イゾルデによる攻撃を、ノイマンは独断で船体を90度ロールさせて回避し、ザフト軍は「あれを避けるのか!?」と驚愕していた。


海に出た直後に撃たれたタンホイザーは潜航準備中だったためか流石に避けられず潜航直前に大ダメージを負ってしまうも、轟沈偽装の為に被弾したメインエンジンの一部を分離という状況ながらなんとかオーブまで逃げ延びている。


スパロボでは編集

スーパーロボット大戦Z』では、エンジェルダウン作戦に相当するシナリオにおいてシンがフリーダムを撃破する点は変わらないが、リアル系女性主人公ルートにおけるシンは、「憎しみだけでフリーダムと戦うな」とセツコ・オハラカミーユ・ビダンに事前に忠告されていたため、シン&ルナマリア残留フラグに必要な条件を満たせば、戦闘後にシンがステラを殺された憎悪に身を委ねてフリーダムを撃墜したことを深く後悔している描写が見られる。

また、本作におけるアスランは優柔不断な態度を自軍部隊に批判されたため、戦闘後はミネルバ艦内の自室に閉じこもるほどに落ち込んでいたが、条件を満たせば次のシナリオでシンに励まされている。


スーパーロボット大戦K』では比較的原作通りであり、AAをいかに撃沈させず、画面端の目標地点まで到達させるかが鍵となってくる。

精神コマンドや強化パーツでAAの移動力を確保しよう。


スーパーロボット大戦L』では、ステラが死亡しないためミネルバ隊とAA組は良好な関係を築くが、本作でのエンジェルダウン作戦ではラクス・クラインが自分の存在、そして暗殺未遂事件を公表し、交渉は決裂してしまう。

やむを得ず戦うことになるが、侵略者・クトゥルフが乱入する。

「どうやら私達が争っている場合じゃなくなったようね」と、タリアはアークエンジェル組と休戦・共闘する道を選ぶ。

その後、タリアはAA側と示し合わせてアークエンジェルの轟沈を偽装した。

偽装を見抜いたレイ・ザ・バレルはデュランダルに密告したが、侵略者に対抗する策を考えていたデュランダルは敢えて見逃がしている。


スーパーロボット大戦DD』では、3章Part9「仕組まれた悪夢」にて再現。

本作におけるベルリン市街戦で、ムルタ・アズラエル率いるディスコード・ディフューザー策略により、デストロイから解放しようとしたステラをキラが殺したと誤解したシンは、原作と違い、事前の対策も無しでキラが駆るフリーダムを撃墜。

戦闘後、アスランはシンに詰め寄ったが、本作のアスランはかつて共闘したディバイン・ドゥアーズを信じており、同時にオーブ解放作戦で家族を失った過去もあり彼らを逆恨みしているシンのことを心配しているため、彼を殴らなかったものの誤った発言をしてしまう。


シン「どいて下さいよ。これ以上何か言われたら、俺は…」

アスラン「俺は…何だ? どうする気だ?」


この時、シンは精神的にもう限界であり、アスランの「どうする気だ?」という言葉は致命的なまでに不適切だった。

レイにそのことを指摘されたアスランはシンに、「…シン、言い過ぎた。すまない」と謝罪しその場を収めた。


関連タグ編集

機動戦士ガンダムSEEDDESTINY

フリーダムキラー…のちにファウンデーション王国女王親衛隊ブラックナイトスコードのメンバーグリフィン・アルバレストによって呼ばれたシンの異名。

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