ターミナル(ガンダムSEED)
たーみなる
各国の非戦派が集まって結成された非政府組織。
第一次連合・プラント大戦の際にシーゲル・クラインが立ち上げたレジスタンス組織を前身とし、同大戦にてプラントの独立戦争が核戦争はおろか地球生命の根絶寸前まで発展した恐怖から、各国上層部の非戦派がこれを調停または介入する組織の必要性を痛感したことにより結成された。
C.E.73年では組織は急速に拡大し、地球連合・プラント(主に旧クライン派)双方の非戦派有力者が参画しているのみならず、ジャンク屋組合やD.S.S.D等の民間の組織にも点在し、かつて世界を掌握していた一族内の穏健派さえ参画している。その参画者の多様さから各国にエージェントが存在し、各国政府の情報機関並みの情報力を有しているとされる。
また、秘密工場ファクトリーを保有し、加えて兵器部品の製造レベルではかつてオーブ連合首長国に在籍していたロンド・ミナ・サハクも関与しており、彼女の保有する工廠を使用することができる。そのため、基礎設計からの立ち上げは出来ないようだが奪取データを元にすれば、正規軍の主力兵器には一歩劣るものの高性能な新型機を開発・製造することができる。
総じて、絶滅戦争の阻止を旗印にして様々な立場の人々が集結あるいは協力している組織と言える(正にNGO)。しかし、その寄合的な組織構造は反コーディネイター・反プラント思想によって国を超えて人々が団結しているブルーコスモスにも似ている。
C.E.75年(『SEED FREEDOM』)には、似たような理念により設立された世界平和監視機構コンパスの情報支援組織となっている。相変わらず各国に情報網があるようで、短期間でファウンデーション王国女王アウラ・マハ・ハイバルの経歴(メンデル勤務時代の写真付き)と目的を突き止めている。
前述の通り各国・各組織にエージェントがいる一方、その組織規模に対してMSパイロットについては(MSの新規製造能力を持つにもかかわらず)ラクス・クラインに近い人材しか確認されていない。登場しているターミナル所属と思しきパイロットはヒルダ・ハーケン、ヘルベルト・フォン・ラインハルト、マーズ・シメオンの3名だが、この3名は旧クライン派であり、戦後も世界平和監視機構コンパスに参加しているため、純粋なターミナルの所属というよりはラクスがターミナル経由でMSを用意したとも考えられる。また、外部協力者としてキラ・ヤマト、アスラン・ザラ、アンドリュー・バルトフェルドにも専用機を用意しているが、彼らもターミナルの所属ではない(キラとアスランはオーブ、バルトフェルドは無所属)。特にキラとアスランに関しては、わざわざ数年かけて彼ら専用に設計・開発したC.E.73年時点の最新鋭ワンオフ機まで用意し、しかも返却されてすらいないあたり、そもそも信頼できる外部協力者に戦力を渡すことを念頭に工廠を持っているだけの可能性すらあるが、詳細な経緯等は不明である。
加えて、MS運用に欠かせない軍艦の保有状況も不明瞭であり、C.E.75年ではラクスが降りたエターナルがターミナル所属になっていることが確認されているもののそれ以外については依然不明となっている。
少なくとも、ラクス、バルトフェルド、ストライクフリーダム、インフィニットジャスティスと、保有する人材と戦力の大半が搭載されていると言っても過言でない状態のエターナルがザフトに発見され、逃げ回ることしかできなかったあたり、自由に動かせる戦力は殆どないと思われる。
また、ギルバート・デュランダルの提唱した「デスティニープラン」発表後のメサイア攻防戦に際しても、ドムトルーパー3機に加えてザフト製戦艦を援軍としてオーブ・連合軍に加勢しているが、これらもターミナルの固有戦力というよりは旧クライン派の戦力であった可能性がある。
非政府組織故にユニウス条約の対象外であり、ニュートロンジャマーキャンセラーやミラージュコロイド・ステルスを搭載した兵器を運用しても(抱かれる印象はともかくとして)公的に問題にはならない。
その結成過程故にいずれの陣営にも属していないことになっているが、設立にシーゲルが関わっていることからクライン派とは非常に密接な関係にある。そのため、彼の娘であるラクスに絡んで言及されることが多く、ともすればラクスの私兵組織のように言われることすらあるが、実際は高度な権限は持つものの完全な指揮権や統轄権は保有していないらしく、組織の現状把握と現場指揮を目的の一つとして危険を冒してでも宇宙に上がる必要があった程度には彼女との連携は弱い(緊急時の戦力として想定していたフリーダムの完全修復についても隠居していたオーブの国営企業モルゲンレーテ社へ個人的に依頼している)。オペレーション・フューリーの際に援軍としてオーブ国防軍に加勢したドムトルーパーの援軍についても、ラクスはカガリ・ユラ・アスハとマリュー・ラミアスに対して「彼らはわたくし達にお味方くださる方々です。どうかそのように」と述べるに留まっている(最も完全な私兵だったとしてもそのように言う人物でもないが)。
とはいえ、設立過程から非常に強い影響を有しているようで、ターミナルかそれに近いものとして登場する戦力は全てラクスの関係者又は旧クライン派と思しき戦力である他、旗艦のエターナルに乗船し、陣頭指揮を執っている。
第二次連合・プラント大戦後にコンパス総帥へ就任し、その支援組織となったターミナルとの関係も継続していると推察されるが、直接のコミュニケーションをとった様子はない。
キラ・ヤマトとは、協力者の中でも最高峰のパイロットであることから、持ちうる開発リソースを潤沢に用いて彼の専用機を2年もかけて開発するほどの関係にある。その一方、彼にインフィニットジャスティスの開発の陣頭指揮を任せていたとされているが、隠棲中の2年間にラクス以上の深刻な精神状態だった彼が兵器開発を陣頭指揮をするとは劇中描写とは矛盾点が多く、今一つ考えにくい。
また、C.E.73年におけるアークエンジェルの所属組織というわけでもない。『SEED DESTINY』の時点では思想が近い彼らに対してどちらかと言えば好意的という立場に留まり、それ故に最低限の支援(情報・物資の提供)を行っていたに過ぎない。ユーラシア連邦西部地域にて地球連合軍がデストロイを中核とした部隊による大規模な殲滅作戦を展開した際にはアークエンジェルに対してエマージェンシーを発令し、現場へ急行させている。なお、これについては事実上のスポンサー故にある程度の指示権があってのことなのか、単純にあまりにも酷い惨状故にエマージェンシーを出し、それにアークエンジェルが人道的に応じたのかは不明瞭である。いずれにしても、オーブへの帰国が最優先だった当時のアークエンジェルにとっては完全な寄り道であり、結果的にエンジェルダウン作戦にて全滅しかける遠因となった。
第二次連合・プラント大戦後はオーブ連合首長国との繋がりも強くなったようであり、アスランとメイリン・ホークがオーブ国防軍から出向している他、彼らの乗機という形でインフィニットジャスティス弐式およびキャバリアーアイフリッド-0の提供も受けている。さらに、秘密工場から拠点衛星となったファクトリーにはかつてのエターナルのようにクサナギが接続されている。この他、メサイア攻防戦で放棄されたデスティニーとインパルスを回収・カガリ経由でモルゲンレーテに移送している。
また、ザフト内にてデスティニープラン肯定派のクーデターが発生した際には、イザーク・ジュールらザフト正規軍と連携して情報と共にエターナルとミーティアを提供、プラント最高評議会議長ワルター・ド・ラメントの保護とクーデター軍の鎮圧に協力している。
いずれもC.E.75年時点。
- FFMH-Y101 エターナル
- ZGMF-X191M2 インフィニットジャスティス弐式(オーブから提供)
- ZGMF-MM07 ズゴック(外装パーツ)
- AMGS-X18P キャバリアーアイフリッド-0(オーブから提供)
ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスの開発・製造元であるが、両機共にパイロット(インフィニットジャスティスについてはラクスだが)によってオーブへ持ち逃げされている。なお、キラもアスランも外部協力者であるにもかかわらず彼らの専用機として設計・開発していた為、彼らの意向によっては持ち逃げされるかもしれない事も想定の範囲内だった可能性はある。実際、C.E.75年時点でもMSを持ち逃げした彼らとは険悪な関係にはなっておらず協力関係を続けている。
両機とも現存しているにもかかわらず、改修された上でターミナル所属機として運用を続けているインフィニットジャスティス弐式はともかく、ストライクフリーダム弐式はオーブに保管され続けているため、最初からラクスの戦友である彼らに引き渡すつもりで開発されていた可能性もある。