成立まで
SEED作中におけるジャンク屋とは、主に宇宙機器のデブリを扱う廃品回収業者である。
扱う廃品には大規模な機動兵器等も多かったが、彼らは長らく独立した個人事業主で在った。
しかし、第1次連合・プラント大戦開戦に伴い、この業者達には自らの安全を守る必要が生じた。
また、前線で破壊され帰還不能と為って各国が回収…つまり機器としてのリユース・リサイクルを必要とする兵器の量も激増する。
この為、業界全体の統一された仕組み作りが必要に成った。
マルキオ導師と数名の有識者たちは、ジャンク屋達を業界団体「ジャンク屋組合(ギルド)」として纏め上げ、その業務規定、国際ルール作りを全ての国家の政府と話し合って回った。
その結果、ジャンク屋の有する業務上の特権や統一された業務内容が取り決められ、大規模な国内法改正を要するこの案件は、プラントを含む世界の全ての国家に国際条約として批准された。
また、従来バラバラで在ったジャンク屋事業者が組合として統合された事で組織体力が増し、事業規模も格段に拡大した。
後に組合の地上拠点と成るギガフロート建設等はこの賜物で在り、人材不足の事業所に他からスタッフを融通したり、仕事の相互斡旋等も出来る様に成ったという。
後日、ジャンク屋組合の組合本部は元ザフトの軍事施設ジェネシスα内に置かれる事に為る。
終戦後、ユニウス条約が締結されると、地球連合-ザフト両軍では、保有台数制限で余剰と為った機動兵器の破棄が必要と成った。
その際、リーアム・ガーフィールドが兵器解体事業への参入を仲間に呼びかけ、この時に正式な組織体系、執行人事が確立された。
ただし組合所属者の多数決で「彼がやるのが良い」という結論が導き出された場合は…少なくとも組合に在籍しているか、組合員の紹介を受けた人物であれば…その場で次期会長となるシンプルな人選システムになっており、むしろリーアムがあっさり退任する可能性は高い規定になっている模様。
実例として、アクタイオン・プロジェクト第2期の予算的な失敗からクビになったヴァレリオ・ヴァレリが会長になりたい旨を発言した際には、ロウが「みんながお前を認め、リーアムより適任だと判断したらもうそれでなれる」という意味合いの説明をしている。対決形式になったのも、実はこれで広報を行おうとヴァレリが考えたのが大きい。
…ただしこれは結果的に正規軍へのアピールとして大成功し、民間機よりも軍用MSへの搭載が求められたことから、彼はアクタイオン社に「前よりいい給料や待遇(本人談)」で復帰。ヴァレリの選挙活動としては失敗している。そのため今のところ一回も組合会長の交代が行われたことはない。
後述の様に、国際条約で中立の遵守を義務づけられているが、ユニウスセブン落下テロ事件後、マティスの策略により双方から敵視され、ジェネシスαを自主解体する事態に成った。
この敵視の姿勢が後々解除されたかどうかの描写は不明。
その後、宇宙での拠点はジェネシスαの残骸を寄せ集めて作られた宇宙施設ジャンクαに移された。
権限
・兵器拾得上の業務特権
主権国家の正規軍の兵器は、例え国外の戦場で残骸と化してもその国家の所有物である。
この為、本来それを当該国家以外の存在が無断無対価で収得する事は国際的に違法である。
しかし、リサイクルしなければ成らない兵器量が激増していた為に各国軍は、ジャンク屋に対してリサイクルの為の兵器自由拾得の特権を認めた。
つまり、ジャンク屋は破壊された兵器再生の代行業(アウトソーシング)と成ったのである。
組合マークを付けた船舶は、戦時中のプラント以外のあらゆる国家の海港、宇宙港に自由入港出来る。
戦時中のプラントだけは自由入港を拒否出来る為、入港する為には、取引ステーション「出島」で特別入国許可を取らねば為らず、入国後も監視員が付く。
また後述する中立性の順守義務や武装や戦闘行為への厳しめの制限も、恐らくはこの規定との兼ね合い上「組合員が兵士や特定国の外交・諜報スタッフとしても働けるのは問題あり」も理由だと推測される。
・兵器の自由拾得。
兵器の残骸(ジャンク)を拾ったら、保有国家の許可無しで所有出来る。
広い意味での所有権、つまり「自分の判断で手放す権利」も認められており、作中では何度か回収した兵器やその残骸・パーツを競売や個人販売にかけたり、それで入手したりする描写があった。
義務
組合加盟業者の所有する船舶の船体、重機の機体には、組合マークを掲示すること。
中立遵守。特定の国家に加担しないこと。
専守防衛。眼前に脅威が迫っても、保有する自衛兵器を使って先制攻撃をしては為らない。
また自衛用装備や「仕事道具」の域を超える様な、明らかな武器としての装備を保有機に付けては為らない(但しロウはこの規定はほぼ無視しており、基本的にレッドフレームの装備の大半は軍用機種レベルの性能を持っている事が千葉・戸田・ときた各先生から言及されている)。
守秘義務。業務上知り得た事を、他に知らせてはならない。
重機・MS向け装備開発業務
リサイクル業に伴って高い技術力を有するジャンク屋組合は、加盟業者の使用する宇宙機器や各種重機の自力開発、製造を行っている。
アストレイをベースとする民間武装重機を開発製造しており、警備戦闘のビームガンやビームサーベル化可能なレーザートーチも開発した他、特定の組合所属事務所・所属員のハンドメイド品で有っても、性能が十分かつ権限・義務のルール上問題無いと判断されればジャンク屋組合公式品としての販売も認められる(例えばロウが制作したカレドヴルッフはこの制度を使っての量産・販売を前提としていた面も在る。結局「戦闘用MSの追加武装」としても知人に販売しているので有耶無耶では在るが)。
中立規定に(極端に)反しない範囲で在ればMSの中古兵器売買やカスタマイズ・チューニングを業務とする事も認められており、例えばロウ・ギュール達は、ドレッドノート用のイータ・ユニットの製作やリ・ホームへの陽電子破城砲の装備、傭兵部隊サーペントテールからの各種ハンドメイド依頼の受諾・納入などを行っている。
またアクタイオン・インダストリー社におけるMS再設計計画であるオルタナティブ・プロジェクトにおいても、計画責任者が先述したヴァレリであったことから組合員たるロウに協力を要請。これも認められており、実は意外と兵器関係へ関わること自体は認められているようだ。…壊れたヘリオポリスから出てくるだけのPV撮影があったりと、完全にダブルブイの個人事業だから、という理由ではないはず。たぶん。
どちらかと言えば「直接の正規軍・軍事作戦に関わってはいけない」「これに当てはまらない軍用機種の話の場合は自己判断・自己責任」というニュアンスだと思われる。
開発した重機を他の事業者に販売したり、また、その開発そのものを他事業者と共同で行う事も在る。
開発したMS
MWF-71JG レイスタ
MWF-JG73 シビリアンアストレイJGカスタム
UT-1D シビリアンアストレイDSSDカスタム
関連タグ
機動戦士ガンダムSEED_MSV 機動戦士ガンダムSEED_ASTRAY ジャンク屋