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領土とは

領土とは国家が領有する陸地のこと。広義には領海領空を含めた国家が排他的主権を及ぼす領域(territory)を指す。領域のうち、領海は領土があって初めてその海側に成立し、領空は領土や領海があって初めてそれらの上空に成立する。すなわちモンテビデオ条約が定める国家の成立要件、国民・領域・政府外交能力のうち、領域の要件とは領土が存在する事を示す。領土は国家の存立基盤の一つなのである。


先述の通り領土とは狭義には領域のうちでも陸地部分を指す。原則として干潮時の海岸線を領土と領海を区別する基線とし、河口などで、海岸線が途切れる場合は一定の条件により基線を直線で繋ぐことが認められる。基線より陸側の川や湖などは内水であり、基線より海側が領海である。内水も領域ではあるが厳密には領土に含まず、内水と領海を合わせて領水ともいう。


領土にできる陸地とは何か

国家を存立させるには領土が必要だという。では、領土にできるのはどのような陸地だろうか。領土にできる陸地とはもしくは大陸、あるいはその一部を国境線で区切った陸地である。大陸とは言ってみれば島の中でも特に大きなものを指すので、問題は島とは何かである。国連海洋法条約によれば、島とは「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時にも水面上にあるもの」を指す。例えば、欧州シーランド公国は島、つまり領土を持つだろうか。


シーランド公国。第二次大戦で活躍した英国の英雄マイケル・ベーツ公が、政府の不当な自由抑圧に対抗する為、放棄された海上トーチカを拠点にシーランド公国を建国した。トーチカは海底に沈めた人工の二本の柱の上に立つ。

ベーツ公の試みは痛快だが、人工物は自然に形成されたものではなく島ではない。したがってシーランド公国には領土がなく、国家とはみなされないことになる。実際、現状は他国からの承認は得られていない。では、中国が島ではなく岩だと主張する日本の沖ノ鳥島は領土であろうか。


沖ノ鳥島。太平洋上にあり、高潮でも北小島で約16cm、東小島で約6cmが海上に出る。長年の波による浸食を避ける為、現在は周囲をコンクリート護岸などで保護。海面上に人工島を作って観測施設や灯台を建設してある。

自然に形成された陸地が高潮時にも水面上にあるので、島であり領土である。その点には実は中国も異議を唱えていない。争点は、国連海洋法条約に規定された「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」という点である。つまり中国は沖ノ鳥島は岩であるから領海はあるが排他的経済水域がないと主張し、日本は「経済的生活を維持」していることを示す為に、干潮時には約5平方kmが海上に姿を表すこのサンゴ礁に観測施設等を作っている。


領土はどうやって取得できるのか

国家には領土がなければそもそも存在できない。また領土が増えれば、それにともなって領空や領海、排他的経済水域を得ることが出来る。では、領土はどうすれば取得できるのか。領土取得の根拠となる要件事実を領域権限といい、現代の国際法では次のような領域権限の取得態様が議論されている。

  • 先占:いずれの国の領土でもない陸地を領有する意思を持ち、実際に平穏に統治している事。発見しただけで統治していない場合は認められないし、武力占拠し隣国と領土問題を起こす場合も認められない。
  • 添付:既存の領土に新たに形成された陸地を追加する事。自然の原因で陸地が広がった場合は概ね問題ない。埋め立てなどで人工的に陸地を広げるのも添付と見なされるが、埋め立てられた海の関係国との間で問題になることがある。
  • 征服:相手国の領土を武力行使によって一方的に占拠し自国領土であると宣言する事。現在は国連によりそもそも武力行使による領土獲得は禁止されているので、まず認められない。
  • 割譲:両国の合意による領土の移転。合意の内容は、贈与でも交換でも国境線の確定でも問わない。ただし、武力行使によって割譲を強いるのはやはり認められない。

これらの基準からすると、例えば征服は認められないのだから中世や古代に遡って征服で成立した国は領土を没収されるのか、というとそうではない。領土取得の有効性は取得した時点での国際法によって判定され、過去に遡って領土取得を無効化する事は出来ないとされる(これを時際法という)。


とすれば現代でも、いずれの国の領土でもない陸地を発見して統治してしまえば、領土とすることができ国家が誕生することになる。実際にそれを実行したのがマイケル・オリバーという米国の資産家。


ミネルバ岩礁。南太平洋に浮かぶ岩礁で海面上1~2m、中央部は満潮時には海に没する使い難い土地であり、周辺国も放置していた。オリバーは岩礁に土を運び込んで160ヘクタールという国土を形成しようとし、ミネルバ共和国と命名して国民を募集した。モリスC.デイビスを大統領に選出し、マリンスポーツや軽工業の誘致も計画された。

この計画に仰天したのがトンガフィジーなどの周辺諸国である。先述の通りミネルバ岩礁で経済的生活の維持まで実施されれば、それは岩ではなく島であり、周辺の広大な排他的経済水域はミネルバ共和国のものになる。となると特に一番近いトンガは主産業の漁業を営んできた広大な排他的経済水域を奪われることになってしまう。対処を話し合う周辺諸国の協議にかつてトンガの漁師がミネルバ岩礁を利用したことがあるという記録が提出され、トンガの軍人らが上陸してミネルバ共和国の国旗を撤去、岩礁を占拠した。ミネルバ共和国側は国連に提訴を試みるもうまくいかず、デイビスらは何度か実力でミネルバ岩礁奪還を試みるもトンガの警備隊に追われている。


領土はどうやって区分されるのか

一つの島もしくは大陸に複数の国家が存在するなら、それぞれ領土を維持しなければ存在する事は出来ない。特に古代や中世のように国境という概念が希薄であった時代と異なり、現代は領土が国家の統治可能な範囲にもなっているので国境線をどう引くかは各国の重大な利害関心を呼び、領土問題を引き起こす。武力紛争に発展したり、解決までに長い年月を費やすのも一般的である。しかも国境の決め方に国際法の基準はほとんどなく、国家間の合意と慣行に多くが委ねられている。どうしても合意できない場合には国際裁判によって解決が図られることもある。そこで用いられている基準には、ウティ・ポシデティスの原則、つまり現状承認の原則がある。例えば、植民地時代の行政区画がそれぞれ独立した場合は、それら諸国の国境は元の行政区画を採用するように求められる。これによって国境紛争を起こす根拠を無くし、紛争を防ぐことが試みられている。ただし当然ながら植民地時代の行政区画は居住する民族を無視して引かれていることが多いので、植民地基準で国境線を引くことが民族間対立の発端になることも多い。


国境には山脈や河川といった自然地形を用いるほかに、運河や道路などの人工物を国境に転用したり、緯線経線をそのまま用いることもある。近年では、電子媒体が根拠になることすらある。例えば2010年には、Googleマップが誤って記載した国境データを元に、ニカラグア軍が慣例的に引かれた国境線を越えてコスタリカに侵入するという事態が起こった事もある。


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