英語『diplomacy』
解説
国家間での国際関係における安全保障、防災、各国の財政基盤の構築、自由貿易の基盤となる関税の軽減・撤廃など重要課題を解決するために行う交渉のことであり、広義はそれに関連する様々な政治活動を指す。外交戦略に基づいて立案される政策のことを『外交政策』と呼び、または実際に二国間や多国間で行われる具体的な国家間の交渉を『外交交渉』という。
一般には外交官クラスによる『外交折衝』、外務大臣、国務長官クラスによる『外相会談』、『外相会議』、外相以外の閣僚以外による『閣僚級協議』、国家を代表する首相、大統領クラスによる『首脳会談』、『サミット』が行われ、国際社会における自国の利害と問題を他国と調整して交渉を行う。(問題によっては、財務・防衛・厚生・通商産業などの省庁からなる官僚、閣僚も協議に加わることがある)。
また、環境、安全保障、自由貿易などの重要課題では、それぞれ、各国の環境省、防衛(国防)省、通産省、通商産業を所轄する代表部門が会議を主導し、各国政府首脳、外務(国務)省や財務(大蔵)省はそれらを補完する立場にある。
また、地方自治体の首長や国会議員(議員の場合、現役・引退を問わない)、財界の代表が事実上の政府特使として国書を携え、外交の下交渉を行う事例も多々見られる。ほかにODA(政府開発援助)を活用して発展途上国の財政支援、インフラ整備を行うことで、当事者以外の第三国の支持を得、当該国との外交交渉に有利に進めるためにも有益なものとなっている。
それとは別に立憲君主制を国是とする国家は憲法により民主主義を基本とし、君主は政治・外交にかかわらないよう定められている例が多いが、一応の格式をもって行われる『王室外交(皇室外交)』は儀礼的なものとはいえ国際親善と両国の友好を内外に示すものとして重要な役割を持つことがある。
これら様々経路及び手段による外交の成果として形になるのは、代表的には条約などの国際法が挙げられる。これは国家間の約束事として一定の強制力を有し、関係諸国全体に影響を与える。同様に為替相場における協調介入のように、外交で合意した各国が同時に何らかの行政政策を取ることも成果の一種である。また広い意味では戦争もまた外交の失敗として生じる事や外交の一環として発生する事がある。
なお、利害の対立が顕著な場合、第三国もしくは国連、国際裁判所が仲介役として当該国の利害の調整もしくは判決を下すことよって問題の解決を図ることがあり、この場合、当該国・第三国も含めてあらゆる国際法に合致するかが問われることになる。
上記のとおり、外交ルートは表に現れるものと水面下にあるものと多岐にわたっており、各国とも大なり小なりルートを獲得するため、他国よりも有利な条件(経済協力、人材教育など)をもって第三国・当事国と(時には軍事力による恫喝をもって)交渉にあたっているケースが近年多く見られている。
冒頭に述べた通り外交課題は防衛、財政、貿易、環境問題などの幅広い分野に渡っており、しかも戦争と講和、金利財政と貿易決裁のように分野間が連動する。そのすべてを外交官や外務省が調整管轄する事は困難となっている。これら外交と関連行政分野は一般に政治的もしくは経済的な安全保障という概念に集約される。そこで現代の外交を行う国家は自国側の意思決定集約の為に関係閣僚などが集まる「国家安全保障会議」を設置する事も多い。
ほかに地方都市による姉妹都市提携、演劇・音楽などによる文化交流、NGO法人による公対公、公対私、私対私の交流、小規模な市民同士の交流によるものなど、国の外交に影響を与えるものも少なからず存在している。
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