概要
正式名の通り、文学的及び美術的著作物の権利保護のために制定された国際条約である。条約加盟国は条約に沿うように著作権法を制定している。
ただし、著作隣接権についてはベルヌ条約では扱われず、「実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約」(ローマ条約)と呼ばれる別の国際条約で定められている。
また、同様に著作権に関する国際条約として「万国著作権条約」、「TRIPS協定」、「WIPO著作権条約」があるが、TRIPS協定及びWIPO著作権条約はベルヌ条約を基調とした条約であり、密接な関係がある。
歴史
1886年にスイス連邦・ベルン(フランス語ではベルヌ)で署名され、翌年までに8ヶ国が批准して発効した。以後加盟国を増やし、2020年9月現在では179ヶ国が加盟している。
条約は2021年5月までに7回の改正が行われ、最新版となる第7回パリ改正版は1979年9月28日に署名、1984年11月19日に発効している。
日本は1899年(明治32年)7月15日に加盟しているが、アメリカ合衆国(1989年加盟)、ロシア連邦(1995年加盟)、中華人民共和国(1992年加盟)、大韓民国(1996年加盟)など、20世紀末にようやく加盟した国もある。
条約の骨子
内国民待遇
外国人に対しても、内国民と同等の著作権を保証する。すなわち、外国人の著作物に対しても、内国民と同等に著作権が保護される。
例えば、日本においてディズニーのキャラクターは外国人の著作物となるが、内国民の著作物であるサンリオやSAN-Xのキャラクターと同等に著作権を保証している。
無方式主義
著作物に対する著作権を得るのに如何なる手続きも要さない。すなわち著作物を創作すれば自動的に著作権が発生する。なお、無方式主義は第2回ベルリン改正版(1908年署名)より採用している。
著作者人格権の保護
著作権が他者に移転した場合であっても、著作者は著作人格権を保証される。すなわち、著作者は著作権を譲渡した場合であっても、精神的に傷つけられるような行為に対し補償を求める権利が保証される。
遡及効
条約加盟前に創作された著作物に対しても、条約加盟後に制作された著作物同様保護される。
著作権の保護期間
著作者が存命中及び著作者が死去しても最低50年間は著作権を保護することが求められている。例外として、著作者不詳或いは団体での著作物であるなどの理由で死去日を特定できない場合は公表日から起算して最低50年は保護することとする。
関連項目
・著作権
外部リンク
文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約(抄) - 公益社団法人著作権情報センター公式サイトより、ベルヌ条約の日本語抄訳。