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印税

いんぜい

印税とは、書籍や漫画、音楽などの著作権使用量の通称のことである。
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概要編集

「印税」という通称ではあるが所謂税金ではない。

昔の計算方法が税金に似ていたためについた呼び名である。

出版社やレコード会社、近年ではサブスクリプションなどの配信会社が一定の契約の上で著作者に支払う著作権使用料である。


プロの作家やミュージシャンではこれが特に生活していけるかを左右する収入となる。


書籍編集

書籍(漫画も含む)では刷り部数に応じて印税の金額を決められるのが主流であり、書籍の価格の5〜10%と言われているがこれも契約により異なる。(参照、幻冬舎公式サイト

漫画家がSNSなどで必死で「連載中リアルタイムの購入やアンケート提出」を求めるのは単行本の刷り部数=印税収入に関わるからというのも大きい。


電子書籍はダウンロード数に応じた印税の支払いとなることが多いのだが希望小売価格ベースか社入金ベースかで大きく異なる、

紙の書籍は基本的に定価販売が義務付けられているが電子書籍は安売りが可能であり、実際に大型連休やアニメ化ドラマ化に合わせて半額セールや時には9割引セールなどを行っている。

希望小売価格ベースの場合は安売りセールで売れても変わらない額の印税が支払われる。

つまり印税率10%で希望小売価格1000円の本が売れたら半額セールだろうが9割引セールだろうが1冊につき100円支払われる。

一方で社入金ベースの場合は電書ストアから出版社に支払われた金額に対して印税が発生する。

1000円の本が売れた場合、実際に出版社に払われる額は電書ストアの取り分を引いた500円程である事が多く、その500円に対して印税が発生するのである。(そのため、社入金ベースのところは印税率が20〜30%と高めに設定されている事が多い)

よって半額セールや9割引セールなどで売れた場合は出版社に支払われる金額も250円なり50円なりに目減りしており、それに伴って印税の金額も目減りする。

平たく言えば

希望小売価格ベース=セールで売っても印税が減らない

社入金ベース=セールで売った場合は印税が減る

という事である。

大手出版社は希望小売価格ベースが多く、中小出版社は社入金ベースが多いと言われている。

ジャンプコミックなどメジャー誌掲載の漫画はせいぜい半額セールくらいで9割引セールなどを行わないのは希望小売価格ベースなので過度の安売りは入金額以上の印税を払うため赤字確定だからである。


また、紙の書籍は刷り部数に応じて発生し、出版社が部数を決めて印刷会社に依頼するために発生した印税の額は完璧に把握している。よって、遅くとも書籍の発売日の2ヶ月後くらいには印税が作家に振り込まれる。

が、電子書籍の場合は売れた部数に応じて発生する上に大小合わせて100以上もの電書ストアがあるために何部売れていくらの印税が発生したかの集計に時間がかかるため、印税の支払いが配信開始から半年後になったりする。

漫画家がSNSなどで紙の単行本での購入希望をアピールするのはこの辺りが理由である。


なお、漫画家の年収などを推測する場合は単行本価格×部数×0.1で算出される事が多いが、最近はあまり当てにならない。

近年は電子書籍の比率が高まり(2019年に電子が紙を超えた)、そして電子書籍は安売りセールが可能なためである。

週刊少年ジャンプなどのメジャー誌の場合は希望小売価格ベースだがマイナー誌の場合は社入金ベースでなおかつ知名度を上げたいなどの理由で9割引セールや100円セールなどを頻繁に行ってそれで部数を稼いでいるため、上記の計算式よりずっと少ない額の印税しか発生していないという事が起こりえるためである。

また、電子書籍の場合は20〜30ページ程の1話単位でのバラ売りをやっていることも多く、そのバラ売りされたものも一部としてカウントして発行部数に加算したりしているため、余計に正確な印税の計算が困難になっている。



音楽編集

音楽系の場合は曲、歌詞それぞれの作者に支払われる著作権印税、原盤印税、アーティスト印税歌唱印税)などに分かれ、契約によって割合が上下する。

作家個人が自分で管理すると非常に作業が煩雑なため音楽出版社やJASRACのような著作権管理団体を挟むことも多く、その管理の経費として印税を作者や音楽出版社、管理団体と折半することになる。

印税の支払いの時期は契約状況や管理団体などにもより異なるが、JASRACやNextoneからは年四回音楽出版社に支払われ、音楽出版社から各作者に払われるのはもう少し後になる。


「原盤印税」は音源を作る費用を出した音楽出版社やレコード会社に支払われ、契約によってはプロデューサーにもこの中から支払われる。


バンドや歌手だと、自分で作詞作曲をしていない者だと「歌唱印税」のみしか入らないので売れてないと雀の涙ほどの収入になってしまうこともざらで、歌唱印税はレコード会社の契約がある期間のみ入るのが原則である。グループを脱退した後や所属事務所を離籍した後の歌唱印税の扱いは契約によっても異なる。


作詞作曲者に払われる著作権印税は一生得ることができ、相続の対象ともなる。

若くして配偶者や子供を残し亡くなったバンドマンやシンガーソングライターの場合、カラオケやサブスクなどの印税は子供が得ることも可能である。

売れっ子の作曲者だとこの多額の印税の相続をめぐり遺族の間で金銭トラブルになることもあり平尾昌晃の没後に彼の息子と3代目妻との間で泥沼訴訟となった逸話も知られている。


カラオケは歌唱印税が入らないため歌だけ音源に参加している人の収入にはならないが、作詞作曲者はロングヒット曲が一つあると長期間にわたって収入が入る。

有名な逸話としては「THE虎舞竜」の高橋ジョージが代表曲の「ロード」で累計22億円を手にした例があり、このくらいのレベルだと「夢の印税生活」もあり得る(但し、高橋本人は散財や離婚で大方スってしまっている)。


近年のサブスクリプションサイトによる配信では1曲再生あたりの金額は非常に低く、特に無料版からの印税は0.1円未満になることもザラである。

そのため、サブスク再生でゆとりある収入を得るには途方もない再生回数が必要となる。

こうした事情から、CDをリリースしてからはしばらくサブスクを解禁しないアーティストも少なくない。

一方で各サブスクサービスでの再生回数が一定水準以上に多くなると「おすすめ」など表示に優遇措置が付けられることが多くなったりランキング上位にも表示されるようになるため新規リスナーも世界レベルで増えるため、サブスクの印税で多額の収入を得ているミュージシャンも出てきている。


また、メンバー本人の作詞作曲が基本のロックバンド系では特にメイン作詞作曲者と作曲をしないメンバーとの印税収入が開きやすくなってしまい、作詞作曲のメンバーの人気が突出しているとさらに収入の格差が大きくなりがちである。

グループ内の収入格差によるギスギスを防ぐためや、アレンジに参加する他メンバーの労力を補うため作詞や作曲クレジットを一律グループ名義にしているバンドも散見される。例を挙げればLUNASEAPENICILLINBabykingdom等は作詞作曲ともバンド名義にしており、DIRENGREYは歌詞のみVoのの単独クレジットで曲はバンド名義にしている。キャリアが長くなるに従って、特定のメンバーだけに作詞作曲を委ねるのではなく他のメンバーに徐々に(共作を含め)関わらせていくようになるバンドも散見される(これはマンネリ防止のためもある)。


外部の作家に作詞作曲を委ねることが多いアイドルグループや自作をしないソロ歌手の場合、大ヒット曲が出ても歌唱印税がその時に入るだけで数十年経ってしまうと契約が切れてしまっていてほとんど入らないこともザラである(特に契約関係の不備がまだ多かった昭和〜平成初期ごろに活動した人)。歌唱印税の契約が解散後も有効になっていても、大所帯のアイドルグループだと歌唱印税もメンバーの人数の頭割りでさらに少なくなることもよくあり、元おニャン子クラブのメンバーが時折TVで「(過去の大ヒット曲の歌唱印税が)年数千円入る」などの逸話を暴露している。

しかし近年は契約の改善も進んでおり、大手事務所のアイドルでも作詞作曲を徐々に手がけるようになることもあり、こうした場合だと著作権印税が入り続ける希望も持てる。



地下アイドルだと音源の売り上げやライブのギャラも少なく、メンバーの自作どころかカバーばかりでオリジナル曲すら少ないグループもある(≒音源のリリースにも至らない)ので、印税によるメンバーへの収入が見込めずチェキ会の「チェキバック」などの物販営業に依存する割合が高くなる。



関連タグ編集

収入ギャラ

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