本記事では主にpixivおよびピクシブ百科事典における著作権侵害について記述します。
著作権そのものについての説明はこちらへ→著作権
なお、自分が著作権を侵害していないからいいというものではなく、それらの作品を見ることも犯罪なので注意。法律で罰せられずとも、ネットでもリアルでも怒られます。(但し二次創作は例外的に許容されることが多いが)
概要
映画泥棒と以下のイラストリンク(漫画形式)も参照。
第三者が著作権を所有する画像や記述を、著作者に無断、あるいは認められない形でpixivに投稿したり、ピクシブ百科事典の記事に記述したりする行為は、
- pixiv利用規約第13条の(1)
- Pixiv百科事典の利用規約第9条の(1)
にて利用規約違反に該当する悪質行為である旨が明示されている。
pixivおよびピクシブ百科事典などにおいて著作権侵害に該当する主なパターンは以下の通り。本来の著作権侵害の成立とは微妙に異なる部分はあるが解りやすさを重視して説明する。
著作権侵害の成立要件
以下のすべてを満たして初めて著作権侵害となる、1つでも外したら「疑いがある」のであって「侵害ではない」ことに注意。
- 著作物であること
- 依拠性があること
- 類似性があること
よく使われるありふれた表現などは創作性がないため著作物とは認められない。
つまり完全に一致する部分がありふれた表現である場合は著作物でない以上要件を満たさないため著作権侵害とはならない。
第三者の著作物を許諾なくpixivに投稿する
pixivに作品を投稿する際に、第三者が著作権を所有する画像(イラスト、写真など)を許可や許諾を得ない、あるいは許可や許諾の範囲を超えてそのまま投稿したり、模写、改変、たとえば加筆したりトリミングしたりアニメーションにしたり、翻訳したりコラージュの素材として投稿したりする行為。
特に(普通する筈が無い行為ではあるが)雑誌等の写真をスキャンするなりしての投稿や、ネット上にある写真等にも当然「撮影された写真」として著作権は存在し、また動画の一部をキャプチャーして投稿することも「元となる動画そのもの」に著作権があるのでそれを無断で利用することは著作権侵害になる。さらにそれが人物の写真であれば意図していなかったとしても最悪肖像権の侵害として訴えられるおそれもある。他人からのトレパク批判を恐れて、自分から描いたイラストの構図を参考にしたものを紹介したい場合においても、それをそのまま投稿することは「無断で第三者の著作物を投稿する」という行為に他ならない。どうしてもそれをしたいのであれば「撮影者(及び被写体)の許諾を得てから投稿し、許諾を得ているという証拠も併せて掲載する」か、投稿はせずに文字だけで「紹介する」に留めるかの二通りの方法がある。しかし許諾を得ることの困難さを考えると「紹介する」に留める方が無難である。
また、pixivに投稿されたオリジナルの作品に対する責任は、投稿したユーザーのものであると運営は明言しており、自分以外のpixivユーザーの画像を許諾を得ず自らの作品として投稿したり、改変して投稿したりする事も著作権侵害に該当する。
逆に成立しないパターンとしては「著作権者の許可や許諾が存在し、その範囲内で作品としている(例:イメージレスポンスなど)」、「法律上適切な範囲で著作物を使用している(例:引用など)」、「作品の著作権が消滅している」などがあげられる。
模写に関しては一見コピー機等を用いずに自身の手で描いているので問題無いと思われるかもしれないが、模写とは複製と同じ行為であり、それの上手い下手に関わらず他人の著作物を模写した場合は著作権侵害になる。なお、模写行為自体は「個人的な複製」と同じ扱いになるので「公表しない」「金銭を要求しない」などを弁えている間は問題無い。
第三者の著作物の内容をピクシブ百科事典にコピペする
各公式サイトや、Wikipediaやニコニコ大百科、アンサイクロペディアなどのインターネット上に存在する百科事典、あるいは個人画管理運営するサイトブログ、有志が管理しているWikiサイトに記述されている内容をコピー&ペーストして記事を作成・編集する行為。
ベーシックな勘違いパターンとしては「引用と書けばコピペOK」というものがあげられる。
そもそも「引用」は自説を補強する為に、他者の著作物を抜書きする事を許可しているものであり、コピペを許可しているものではない。あくまで自身の記述をメインとし、それに対する例示や情報元として利用されるものでなければならない(例えば、何らかのことを説明する際に政府などがとった統計結果の一部を、「誰の」「何時行われた」「何という統計の結果」なのか、引用している旨を明記して用いる程度)。
世の中、手抜きで記事がつくれるほど甘くはないのである。
無論、引用元を明記せずにコピペする行為は著作権法上現時点で非親告罪扱いの論外な悪質行為であり、ピクシブ百科事典運営やアカウントを管理するpixiv運営に通報されれば、警告→百科事典編集権限取り上げあるいはアカウント利用停止もありえるので注意されたし。
ちなみにpixivに投稿されている画像をピクシブ百科事典のメイン画像ならびに関連イラストに設定する行為は、外部サービスの埋め込みであり転載ではない。詳しくは「メイン画像」の記事の「適さないイラスト」の項目を参照のこと。
物語のあらすじを事細かに記述
そもそも、自分で考えた文章であっても著作物のあらすじを最初から最後まで事細かく執筆する行為自体が著作権侵害になる可能性が高い。あらすじについて記述する際には注意が必要となる。
著作権が切れていない歌詞を無断利用
著作権が消滅していない音楽は基本的に著作権所有者あるいは著作権管理者の許諾等を得ない限り利用できない。特にJASRACなどの音楽著作権管理団体に管理が委託されている楽曲の歌詞は、利用に対し必ず対価を徴収されることになっている。
例えばニコニコ動画やyoutubeの動画に歌詞コメントが投稿されても削除されないのは、それらの運営者が音楽の利用に関して著作権管理団体を包括契約を結んでいる為であり、現状、お絵かきSNSであるpixivの運営がそれらの団体と包括契約を結ぶ意味合いが低いため契約されることはおそらくないため、これらの楽曲を利用するためには個人的に契約する必要があり、年間数千円から数万円を著作権管理団体に支払う必要が出てくる。
またボーカロイドオリジナルの歌曲やゲームミュージック等、管理団体に管理が委託されていない楽曲についても、引用には著作権者の許可や許諾が必要であり、著作権者が利用を許可していないあるいは範囲を超えて利用した場合は、著作権侵害となる。
当然、著作権の存在し、権利者の許諾を得ないあるいは許諾の範囲を超えて歌詞そのものやそれらを用いた作品をpixivに投稿したり、ピクシブ百科事典の記事に利用する行為は、著作権侵害となり、民事刑事双方で訴訟が発生する可能性が存在する。
著作者の名を騙って他者の著作物を頒布する行為
著作権法第121条により「著作者詐称罪」の罪名で明確に犯罪行為として規定されており、罰則の対象となる。
これは「詐欺的行為の防止の見地及びこれに付随する著作名義者の人格的利益の保護」という観点からくるもの。わかりやすく言うと「詐欺行為及び詐欺行為によって生じる著作者の権利侵害を防止するための罪状」であり、この罪状に限っては非親告罪と定義されている。
この罪状においてまで親告罪の原則が及ぶと詐欺行為及びそれによる権利侵害を厳格に取り締まることができないためで、親告罪が基本の著作権の中でも例外的にもっとも重い罪状となっている。
その他の著作権侵害例
- 市販ゲームのセーブデータをアップローダーに投稿し、リンク先をピクシブ百科事典に記述する行為。
- 実際に該当の編集が行われた記事について著作元に確認をとったところ「著作権の侵害にあたる」との判断が出た。
- ただしセーブデータに関しては判例では「改造されたセーブデータそのものは著作者人格権上の同一性保持権を侵害する」というもののみであるため、改造されていないセーブデータにおいては裁判になった場合その判決が判例となる可能性が高い事案でもある。
- ピクシブ百科事典内にすでに存在する記事から一部をコピペして新規時を作成する行為。主にアニメやゲーム等の作品記事に記述されているキャラクターや世界観、登場するアイテムなどの説明部分をコピペしてそれらの単体記事を作成するかたちで行われる。
- トレパクの検証のため比較画像を作成する、すなわちトレパク検証の場合、引用として扱うことが可能な場合もあるが、それだけをメインにすると双方の著作権を侵害する可能性が存在する。また、誹謗中傷とされアカウント停止の可能性がある。
- 二次創作の場合、著作権所有者および管理者の黙認により成立している。当然、著作権者が訴訟を起こせば著作権侵害となる。
- シャドーボックスやピクチャーガレージの場合、自身で描いたイラストを複数枚印刷して作成したものならば問題は無いが、PIXIV内でも多く投稿されてしまっている「トレーディングカードゲームにおける同一カード等を複数枚用いて作成された作品」は、それ自体は確かに加工して作成したものかもしれないが「そもそものカード本体がそのカードの販売元の著作物である」ため、「第三者の著作物を許諾なくpixivに投稿する」と同様に著作権侵害に値する。
- 諸外国の法律の相違により各国での著作権の保護期間が異なる場合が存在する。たとえば「星の王子様」は日本やカナダでは著作権が消滅しているものの、フランスやメキシコ、アメリカでは著作権が消滅していない。
関連タグ
他
ここでは、類似性のある特許侵害についても取り扱う
特許や商標は著作権と違い、勝手には登録されない(その代わり 著作権なら許される 故意ではない侵害も損害賠償対象。製品化前にキッチリ調査が必要。この辺は少人数の著作権と大人数の特許・商標の違い)。
仮に行使するつもりはなくても、保険の一つと思って必ず取得すべし。さもなくば関係ない第三者が出しゃばってくることに(ここらへんもそんなに変わらない)。
さて、万が一権利を侵害してしまった場合だが 対処法はある。
それはクロスライセンス契約を結ぶことである。
本来は両社で得意な技術を融通し合うことであるが、実は特許侵害訴訟への一種のカウンターとしても用いられる。お互い様であれば、泥沼になる裁判などやらず 黙認しようということだ。
インターネット過渡期であるWikiサイト黎明期には、既成ブログすら存在無かった時代から続いていた個人サイトからWikiサイトへ転載する等の著作権侵害が問題となった。現在ではそうした個人サイトがサーバーのサービス終了などで閉鎖され、その種の問題はうやむやになりつつある。