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ZGMF-Xシリーズ

ぜっとじーえむえふえっくすしりーず

『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する架空の兵器のカテゴリ。
目次 [非表示]

[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]

 GENERATION

 UNSUBDUED

 NUCLEAR

 DRIVE

 ASSAULT

 MODULE

 (COMPLEX)

G OS ZGMF-X 1080p


概要編集

プラント国防委員長パトリック・ザラの勅命の下、国力・物量に劣るザフトが単機で絶対多数の敵を殲滅する程の圧倒的戦闘力を示すための対地球連合軍の切り札として、C.E.71年1月25日にクルーゼ隊が地球連合軍から鹵獲した4機の初期GAT-Xシリーズ(GAT-X102 デュエルGAT-X103 バスターGAT-X207 ブリッツGAT-X303 イージス)とその設計データ(ビーム兵器、フェイズシフト装甲ミラージュコロイドステルスなどの新技術)から取得、及び鹵獲し損ねたGAT-X105 ストライクとの交戦データによって得た技術を注ぎ込んで開発したザフト製の試作型モビルスーツ(MS)群の総称。後に次世代MS群のセカンドステージシリーズが開発された事で「ファーストステージシリーズ」とも呼称される。

開発の際には、MS分野を扱う各設計局に加えて戦艦を専門に扱うヴェルヌ設計局をはじめとする非MS分野を扱う設計局を「統合設計局」へ統一し、機体の開発が行われた。


該当機種編集


ニュートロンジャマーキャンセラー(NJC)搭載型核エンジンの試験運用を目的とした技術検証用MS。新技術の安全性と危険性を調べるためのMSであり、開発系譜上はZGMF-Xナンバー導入前の実験機に当たるため、型番にはザフトにおいて戦闘用実験機を示す「YMF」(末尾の「F」は「Fighter(戦闘機)」を表す)が用いられている。本機は後のファーストステージシリーズとして該当するため、本稿では当シリーズとして扱う。試験機であるために実戦で運用される予定は無く、試験終了後に解体処分が決まっていた。


関連機種

ジャンク屋組合ロウ・ギュールが改修した、ドレッドノートの改良機。


ジャンク屋組合ロウ・ギュールが改修した、テスタメントの予備機。


ライブラリアンが開発した、プロヴィデンスの改修機。


オーブ連合首長国(のモルゲンレーテ・エアロテック社)が開発した、特務任務用の可変MS。可変機特有の弱点である「近接戦闘時の脆弱性」を、フリーダムのフレーム構造を検証・再現することによって克服した。また、コクピット内装の設計も流用しており、フリーダムとは同一規格となっている。


ターミナル製ZGMF-Xシリーズ編集

ターミナルの秘密工廠ファクトリーにて開発されたMS群。ZGMF-Xシリーズの番外機種でもある。

ベースになったのは、ZGMF-Xシリーズと同時並行にザフトで開発されていた試作MSで、謂わばZGMF-Xシリーズの仕様変更機(一説では量産試作機)として、核エンジンの搭載を前提に開発されていた。しかし、ZGMF-Xシリーズ以上の新技術を盛り込もうとしたために開発が大幅に遅延し、その間にユニウス条約が締結されたことにより、バッテリー機へと方針転換して開発が継続されたザク量産試作型とは対照的に、こちらは凍結・封印という措置が取られることになる。ターミナルは原型機とそのデータを奪取し、ファクトリーにて開発が継続されたことにより、C.E.73年終盤になって漸く完成した。

基本設計はZGMF-Xシリーズに該当するが、セカンドステージシリーズまでの技術をベースに改造・改修(部分的にはサードステージシリーズ相当の技術も投入)されているため、ザフトが正式採用したサードステージシリーズのZGMF-X42S デスティニーZGMF-X666S レジェンドに匹敵する性能を持つ(厳密には、粗削りな部分や型落ち兵装も多く、特定のパイロット用にチューニングすることで実質的な性能を盛っている状態であり、「MSとしての完成度」だけ見ればあちらに劣る部分が多い)。


該当機種


共通点編集

一部の機体を除き、ZGMF-Xシリーズは以下のような共通点を持つ。

  • ビーム兵器、マルチロックオンシステム、フェイズシフト装甲、NJC搭載型核エンジンを搭載。
  • 初期のGAT-Xシリーズからのフィードバックがなされた機能と、高性能のデュアルアイを取り入れた風貌を持つ(ガンダムタイプ)。
  • 核エンジンによる高出力とマルチロックオンシステムによる精密な捕捉機能と少数or単機で多数の敵を撃破しうる火力。

設計・性能・開発経緯編集

MS用のNJC搭載型核エンジン(プラズマ流体を用いたMHD発電式の核分裂炉)を採用している。この核エンジンは設計データ上で「E-Battery NUCLEAR-Re」「NUCLEAR REACTOR」と表記されている。絶えず核エンジンの発電によって電力が賄えるため、C.E.ではバッテリー機の場合は母艦のカタパルトから飛び立つ直前まで給電ケーブルを接続しているが、それを必要としない。

前述の通りストライク以外の鹵獲した初期GAT-Xシリーズの設計データを取り入れている。


性能としては、核エンジンを前提とする燃費度外視な高火力装備を取り揃えることにより、鹵獲して参考にした前期のGAT-Xシリーズはおろか、同時期に実戦投入された連合の最新型である後期GAT-Xシリーズをも含めたMSを圧倒する高い性能を獲得している。

核エンジンの搭載により実現された大火力と、それを制御する高度な火器管制システム「マルチロックオンシステム」を最大限駆使することにより多数の敵機を同時に攻撃することが可能である。


機体構成や装備に核エンジンによるゴリ押しが多分に含まれており少々荒削りな点は散見されるものの、それでも従来のMSでは考えられない大火力と単独での大気圏内飛行を可能とするレベルの高い推力と機動性を併せ持つ複雑な機体を高レベルにまとめ上げた、正しく当代(C.E.71年時点)最強のMS群と言える。核エンジン搭載により実現されたほぼ無制限の高出力稼働というアドバンテージは非常に大きく、技術革新後のC.E.73年においても現存していたフリーダムやテスタメントは(ユニウス条約ありきとはいえ)年末のサードステージシリーズ登場までは1機のMSとしてC.E.世界最強格を保っていた。


こうした高性能機を短期間※に開発できたのは、ザフトにおいて次期主力機として開発されていたZGMF-600 ゲイツが当初想定されていたスペックよりも量産化を見越して多くの性能が削ぎ落とされており、(リジェネレイトを除いて)そんなゲイツのフルスペック版をベースにできたこと、そして高威力ながらエネルギー効率が劣悪な兵装をそのまま搭載できたことが大きい。ある種の試作機でもあったことからワンオフ機を前提とされた上で、兵装面も含めてザフトの最新技術が生産性等を度外視して惜しみなく導入されている。また、後のザフト製MSはこれらから技術フィードバックを受けた兵装を搭載していることが多い。

このデザインや単機で高性能を発揮する意図したワンオフ機というコンセプトは、後のセカンドステージシリーズ、サードステージシリーズ機にも引き継がれていくこととなった。

フレーム構造の耐久性も優秀であったことから、第一次連合プラント大戦後にオーブ連合首長国にて開発されたエクリプスは、可変機故の構造的脆弱性を解消するため、修理名目にて現物を確保しデータを採取していたフリーダムのフレーム構造をベースとしている。


※ザフトが初期GAT-Xシリーズを奪取したのはC.E.71年1月25日、ドレッドノートがロールアウトされたのは同年の2月中旬(奪取から21~26日後)、ジャスティスとフリーダムがロールアウトされたのは4月1日(奪取から66日後)、リジェネレイト・テスタメント・プロヴィデンスがロールアウトされたのは5月5日(奪取から100日後)である。


開発系譜(経緯)を見る限り、開発が先行していたジャスティスとフリーダムに関してはバッテリー駆動を想定した機体だったようである。ジャスティスとフリーダムに搭載予定だった兵装類をYFX-600R 火器運用試験型ゲイツ改にて評価試験を行ったところ、その火力は開発陣を満足させたものの、稼働時間が最長でも5分に満たない(追加バッテリー込みでも約10分しかもたない)という実用面において散々な結果が判明し、その結果からエネルギー消費の激しいビーム兵器(ビームライフル等)についてはバッテリー駆動に合わせて性能を引き下げたものを搭載する、あるいは搭載自体を見送ることが検討されていた(わざわざバッテリーを増設してまで使おうとしたのはそれが理由)。つまるところ、元は初期GAT-Xシリーズの技術を使ったフルスペック版ゲイツのカスタム機だったと言える。

しかし評価試験直後、同時期(C.E.71年2月中旬から下旬)に行われていたドレッドノートを使った核エンジン搭載型MSの基礎データ収集が終了し、パトリックが核エンジンの搭載を決定したことにより、ビーム兵器類はそのまま(高火力・劣悪燃費)の性能にて搭載されることとなっただけでなく、その圧倒的出力からエネルギーに余裕が生まれたため追加でさらなる高火力なビーム兵器が搭載されることとなった。

当時のプラント最高評議会議長は穏健派であるクライン派シーゲル・クラインだったが、核エンジンの研究開発および搭載についてはパトリックたち過激派のザラ派を筆頭とするプラント国防委員会の独断にて行われており(後にクライン派も関知)、プラント内では血のバレンタインを経験したために反核感情が高まっておりザフトの軍人や高官でさえ核兵器の使用を忌避していたが、最終的には核エンジン使用の要であるニュートロンジャマーキャンセラーの開発者であるユーリ・アマルフィ息子の戦死した4月15日以降に過激派であるザラ派へ転向してNJCの実用化・実戦投入に踏み切ったため(転向前から本機の開発に関与していたりと試験機への搭載までは承認していた様子)、完成後に解体や封印されることなく実戦投入された。しかし、この前にロールアウトされていたジャスティスとフリーダムについては実戦投入されるまで1か月以上要することとなり、4月1日に可決され5月8日から敢行された大規模作戦「オペレーション・スピットブレイク」の戦力には数えられていなかった。


NJCを搭載しているために最高機密扱いとなっていたため、ザフト内でもその存在を知っている者は開発陣と高官とその関係者に限られる。そのため、頭部の造形が初期GAT-Xシリーズと酷似している=従来のザフトMSとは大きく異なることもあり、ザフトの前線部隊は暫くの間フリーダムを連合製ないしオーブ製のMSだと勘違いしていた。

NJCが主要陣営に漏洩した第一次連合・プラント大戦後は最高機密扱いが解除され、ザフト所属であればそのデータを閲覧できる状態となり、機体照合用のデータベースにも登録されている(シン・アスカはこのデータを用いてフリーダムとの戦闘シミュレーションを行った)。


なお、プロヴィデンスを除いた機体はどれも強奪・鹵獲(フリーダム、リジェネレイト、テスタメント)やパイロットの離反(ジャスティス)・横流し(ドレッドノート)といった形でザフトの手を離れてしまっている。


エンジンの出力編集

C.E.のMSは基本的に出力が不明となっている場合が多いのだが、ジャスティスとフリーダムの場合は作中にてラウ・ル・クルーゼムルタ・アズラエルが入手した設計データに8,826kWと記載されている。


操縦適性編集

その高いスペック相応に操縦難度も非常に高く、パイロットにはコーディネイターの中でも特に高度な操縦技能が要求される。核エンジンの誘爆リスクがありつつも常に一対多を想定して最前線で戦うことを要求される機体群でもあるため、フルスペックで戦うにはそれに順応できる高い空間認識能力が必要となる。


機体構成編集

頭部編集

初期GAT-Xシリーズを参考として、ザフトの制式機としては初めてデュアルアイを採用している。


動力源編集

プラントのヴェルヌ局によって開発されたNJC搭載型核エンジンを採用している。なお、エンジンとNJCは一体化されていない。

エンジン自体のサイズは冷却機構等の周辺機器も含めても1辺4mの立方体に収まる程度であり、ドレッドノートでの反省からジャスティス以降はNJCの効果範囲を自機の核エンジンのみに絞るような構造となっている。

詳細は核エンジンを参照。


ZGMF-Xシリーズのプロトタイプであるドレッドノートは、核エンジンが暴走してNJCを止めた際にも動ける様に緊急時用の予備バッテリーを搭載している。ジャスティス以降の核エンジン搭載MSにも緊急時用の予備バッテリーが搭載されている可能性もあるが、現状で言及は無いのでドレッドノートのみの機能と言える。ちなみに、後継機種のサードステージシリーズでは核エンジンとバッテリーが相互補完し合うハイパーデュートリオンエンジンが開発されている。


コクピット編集

内部は球状で、シートは機体の傾斜に連動してパイロットの操縦を補佐する他、攻撃時や高速機動中の衝撃を和らげる役目を担っている。仮にパイロットスーツを着用していなくても問題なく高機動戦闘を行うことができる(それでも安全性の観点からパイロットスーツの着用は推奨されている)。寝心地も悪くないようであり、内部でキラが仮眠を取る場面がある。

戦場を幅広く視認できる全天周囲モニター(厳密にはパイロットが振り向かないと見えない背部はモニター化されていない)を採用しており、モニターが前方に1枚・側方に2枚だった従来MSのものと比べてパイロットが得られる視界を大きく広げている。ヘッドアップディスプレイとしての面を持っており、正面には橙色のターゲットスコープが表示される。さらに、機体の参照データが存在する場合は熱紋照合および画像認識を行って自動的に機体を識別する他、遠距離の友軍・敵軍を自動的にズームしたものを四角いウィンドウでピックアップ表示し続ける(このウィンドウの枠部分に距離と倍率を、ウィンドウ下部に識別結果を表示する)。しかし、その情報量は通常のMSとは桁違いであることを意味し、フルに活用するには高度な技術が必要となる。なお、パイロットから完全に死角となるシートの裏下部が接地している。

操縦系を見ても、セレクターやスイッチを多数備えたHOTAS型のスライダー式グリップや、グリップ直下に置かれたスロットルレバー、4枚となったペダル類、コックピット上部からアームによって保持された照準器、同じくアームによって保持されたキーボードなど、旧来のザフト標準コクピットと異なる構成をしており、こちらは鹵獲したGAT-Xシリーズを解析・改良した痕跡がうかがえる。

また、コクピット正面上部にはビデオ通話用ディスプレイ2枚を含む、通信用インタフェースが存在し、これについては旧来のザフト標準コクピットと同様である。


内装に関してはZGMF-Xシリーズで共通している他ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスにも受け継がれている。


メインコンソール

正面のメインコンソール中央には大型球状による立体型表示のメインパネル「マルチレーダーセンサー」が存在し、機体各部のセンサーと連動し戦場にいる友軍・敵軍問わず機体やミサイルの位置情報を正確に表示する。このメインパネルはマルチロックオンシステム起動時に少しせり上がり、捕捉した敵機のロックオン状況を迅速に表示してパイロットへ情報を提示して本機の殲滅力に貢献する。また、マルチロックオンシステム起動時にはパネルに表示されている「集中ターゲットスコープ」が形状と共に緑色から黄色に変化する。ちなみに、予備動力としてバッテリー駆動も可能だったドレッドノートの名残か、メインパネル上に「バッテリー残量計」も存在する。

他の計器としては、メインパネルの上部左右に「警報灯」、メインパネルの右側に「一次出力計」「燃料計/推進剤計」とその下部に「機体データ/外部環境データ」「D.S.C」、左側に「兵装セレクターパネル/マルチ表示モニター」(このマルチ表示モニターにOSの起動画面等が表示される)とその下部に「ビーム兵装実弾兵装残量表示」、一次出力計の下に「フェイズシフト装甲スイッチ」(左隣にニュートロンジャマーキャンセラーの停止スイッチ)、メインパネルの下部に「速度計」「姿勢指示器」「高度計」が存在する。また、マルチロックオンシステム起動時のせり上がりに合わせてメインパネルの左右に「二次出力系(ブースト計)」が出現する。なお、これらの配置は初期GAT-Xシリーズに非常に近い。OS起動後のデスクトップ画面に至っては初期GAT-Xシリーズの背景色を暖色系に変更したのみで、基本設計は使いまわしている。

計器の数と大きさにより従来機に比べて大型なメインコンソールとなりコックピット正面を占めているが、胸部にコクピットを有しているタイプ(ドレッドノート、ジャスティス、フリーダム)は、シートの昇降によって上方から乗り込む形式を採用しており、搭乗時の障害にはなっていない。一方で、腹部にコクピットを有しているタイプ(テスタメント、プロヴィデンス)は、従来通りに前方から乗り込む形式を採用している。後継機種であるサードステージシリーズでも後者の前方から乗り込む形式だが、メインコンソール自体が専用の保持アームによって上下する構造が採用されている。

『ECLIPSE』に登場するエクリプス及びその2号機において、OS起動時のモニター及びバッテリー残量計が初期GAT-Xシリーズと同じ仕様となっているものの、エクリプスのコクピットの仕様はフリーダムの物と同型である事が確認できる。描写が違う原因は不明。


マルチロックオンシステム

火器運用試験型ゲイツ改に搭載されていた火器管制システム「NWQ403-E」をさらに改良したプログラムにより、複数の火器を連携して扱いつつ10機の標的を同時かつ正確に捕捉することが可能な機能。

この機能の搭載に伴い、上述した立体型表示パネルがメインコンソール中央に設置されることとなり、従来機ではその場所に設置されていたメインモニター(マルチ表示モニター)が別の場所に移された。

詳細は当該記事を参照。


OS

新型OS[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]の一つ「Generation Unsubdued Nuclear Drive Assault Module (Complex)」を搭載している。表示される英文の意訳は「抑制されていない核駆動を使っている強襲モジュール複合体」、さらに意訳すれば「ニュートロンジャマーの影響を受けない核エンジンを用いた強力な兵装群を搭載したMS」となる。新型OS内でも核エンジンを運用するための専用構築となる。コクピットに備え付けられているキーボードを用いて調整することができる。

厳密には、ZGMF-Xシリーズ用に開発された新型OSだが、後年のザフト製MSのOSとして標準化されるに伴って核エンジン専用OSではなくなり、セカンドステージシリーズ・サードステージシリーズ・ニューミレニアムシリーズといったシリーズ専用のOSが個別に開発されたため、[MOBILE SUIT NEO OPERATION SYSTEM]内での立ち位置が「核エンジン専用OS」となった。

搭載する機体によってシリーズ(バージョン)が若干異なり、フリーダムのものは「Series AVIC-T1 Freedom LA-SE3P」、ジャスティスのものは「Series AVIC-T1 Justice LA-SE3P」、ストライクフリーダム(とインフィニットジャスティス)のものは「Series SD100-09 SF/IJ 01-34152」となっている。「Series SD100-09 SF/IJ 01-34152」については新型核エンジンであるハイパーデュートリオンエンジンに対応したものとなっている。


装甲と重量編集

当時のザフトは大気圏内での飛行能力を獲得させようとする場合に機体を可能な限り軽量化する傾向があり(その代表例が37.33tのディン)、それに倣いストライクにて採用されていた「PS装甲への依存度を高め軽量化する」手法を用いていると思われる。本来この手法の欠点であった「フェイズシフトダウン時の防御力低下率が他の機体に比べて高くなってしまう」点も、理論上フェイズシフトダウンが起きないので黙殺されている。


型式番号について編集

番号規則は、ジャスティスまではザフトMSの開発順で数字を割り振り、それ以降はZGMF-Xシリーズ内での連番となっている。

ジャスティスの型式番号にはジンシグーディンバクゥザウートグーンゾノラゴゥと数えて9番目の番号「ZGMF-X09A」を与えられている。そこからは当シリーズ内で設計が完成した順に、

  1. ZGMF-X10A(フリーダム)
  2. ZGMF-X11A(リジェネレイト)
  3. ZGMF-X12A(テスタメント)
  4. ZGMF-X13A(プロヴィデンス)

と連番になっている。

なお、前述の9番目のカウントには、火器運用試験型ゲイツ改のようなカスタム機全般、技術試験機であったため解体処分が決定していたドレッドノート、ビーム兵器実装のためにジャスティスよりもロールアウトが遅れたゲイツは除外されている。

その後に開発されたZGMF-X19A(インフィニットジャスティス)とZGMF-X20A(ストライクフリーダム)については、原型機にその番号が割り振られていたのか※、ジャスティスとフリーダムの番号に10を足して重複を防いだだけなのかは不明である。しかし、わざわざファクトリーにて再開発して完成させた機体でありながらザフトの型式番号を継承していることから前者である可能性が高い(同じくファクトリーにて開発されたドムトルーパーも原型機の型式番号を継承している)。なお、ストライクフリーダムについてはモルゲンレーテ社にて実験機として改修されたためか、弐式への改修後に型式番号を大きく変更しており、こちらの法則性との関連は見られない。

また、頭部各所に型式番号をイタリア数字表記したレリーフが施されている機体も存在するが、これはザフト初のMS開発者がジャン・カルロ・マニアーニというイタリア系コーディネイターであったことに由来する。


型式番号の前半部分「ZGMF」はザフトの機体系統の一つ「Zero - Gravity Maneuver Fighter(無重力下用機動戦闘機)」の略である。後半部分は「eXperiment Atomic(試作機 核動力搭載型)」を意味し、連番(N)と合わせて「eXperiment N Atomic(試作N号機 核動力搭載型)」となる。


※C.E.世界では量子コンピュータを用いたシミュレーションが発達しており、型式番号が付けられるくらい設計が完成していたとしてもシミュレーションで致命的な欠陥等が見つかり廃案となるケースがあり、その場合は型式番号に抜けが生まれる。実際にGAT-Xシリーズは抜けだらけである


呼称について編集

ZGMF-Xシリーズを「ファーストステージシリーズ」と呼称する事もあるが、型式番号にZGMF-Xを冠する新世代MSであるセカンドステージシリーズおよびサードステージシリーズの登場に伴い、それらとの混同を避けるために後から追加設定されたものであり、それらの前ステージのザフト製ガンダムタイプを分類するカテゴリとして扱われる。

また、ファーストステージシリーズという呼称が生まれた際に、型式番号にZGMF-Xを冠してないドレッドノートもファーストステージシリーズに含まれることとなった。そのため、厳密に言えばZGMF-Xシリーズとファーストステージシリーズは同等ではなく、ZGMF-Xシリーズにドレッドノートを含めたものがファーストステージシリーズという関係にある


ロールアウト時期編集

開発は全機体並行で行われていたが、ロールアウトされた時期は若干異なる。

核エンジンの運用テストが目的であったドレッドノートはC.E.71年2月中旬(15日から20日の間)にロールアウトされ、2月中旬時点で搭載予定の兵装の選定が完了していたほどに設計が先行していたジャスティスとフリーダムは4月1日にロールアウトされた。

その後、5月5日(フリーダム強奪事件発生日)にリジェネレイト、テスタメント、プロヴィデンスがロールアウトされた。ただし、プロヴィデンスについては当初の近接格闘型がロールアウトされた時期である可能性が高く、その後ラウ・ル・クルーゼの搭乗が決まったことにより改修されたドラグーンシステム搭載型が実戦投入されたのは9月27日となる。また、リジェネレイトはロールアウト前から実戦にて試運転されていたようであり、その際に鹵獲した連合機からストライカーパックのコネクタ規格のデータを取得し、テスタメントの開発に繋げている。


関連イラスト編集

核駆動戦士ガンダムSEED


後継機・バリエーション編集

セカンドステージシリーズ編集

C.E.73年代において、当時のプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの主導によって開発されたシリーズの一つ。ZGMF-Xシリーズの直接的な後継にあたる。

ユニウス条約の締結によって禁止されたNJCと核エンジンに代わり、デュートリオンビーム送電システムと兵器の改良工事によって、バッテリー駆動ながら実質的な長時間稼動を実現した上、従来のZGMF-Xシリーズの基本性能も受け継いでいる。さらに、国家ごとのMSに関する保有数の制限が布かれたことに端を発する可変型MSも設計された。


ZGMF-X999A ザク量産試作型編集

第一次連合・プラント大戦末期にZGMF-Xシリーズを完成させたザフトの統合設計局が開発した量産試作MS。C.E.73年3月10日にNJCの軍事利用を禁ずるユニウス条約が締結されたため、開発中であった核エンジン搭載MS群への対策が求められることになり、計画の中断を余儀無くされる。しかし、その基本スペックの優秀さは高い評価を受けていた。動力をバッテリーに変更した事や、それに伴う再設計(PS装甲のオミットなど)を施した新世代の機体群「ニューミレニアムシリーズ」という形で結実する事となる。

量産モデル第1号として(既存技術の範疇で)設計されたためか、元の計画が中断される前に計47機が製造されており、その全機がユニウス条約の施行と共に解体されたことになっていた。しかし、後に複数の目撃情報が確認されている。


GSF-YAM01 デルタアストレイ編集

火星移住者(「マーシャン」と呼ばれる)の内、オーストレールコロニーで開発された核エンジン搭載MS。核エンジンの採用に伴い、ZGMF-Xシリーズと同じM.O.Sを搭載している。


余談・備考など編集

核分裂反応エンジン編集

機動戦士ガンダム』から始まる宇宙世紀では、放射線を発しない(化学式の)核融合反応エンジンであるミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉の開発に成功しているため(ミノフスキー粒子の設定により、放射性廃棄物も残らない)、エネルギー切れが生じることが無いのだが、C.E.ではこの「小型核融合反応炉」の開発に失敗しているという設定のため、頻繁にエネルギー切れを起こすバッテリーや、危険な核分裂反応エンジンを使用している。

なお、C.E.にはミノフスキー物理学が存在しないため、電力変換にはMHD発電を採用しているが、これは『ガンダムセンチュリー』による大幅更新がなされる前の、1stガンダムの旧設定へのリスペクトとなっている(このあたりの経緯は「機動戦士ガンダムSFワールド」等に詳しい)。


作中での呼称編集

「ZGMF-Xシリーズ」は地球連合軍のGAT-Xシリーズと同様に作中では一切呼称されておらず、設定のみの呼称となっている。双方ともにほとんどが「G兵器」や「Xナンバー」と呼んでいる。


実験機・試作機の「X」編集

初期のザフトでは実験機・試作機を意味する機体系統として「YMF」「YF」を用いていたが、GAT-Xシリーズに触発されてからは当シリーズ、セカンドステージシリーズ、サードステージシリーズ、ニューミレニアムシリーズの試作機群には何れも「X」が用いており、想定される本来の機体系統「ZGMF」と合わせて「ZGMF-X」を冠している。

オーブ国防軍(モルゲンレーテ社)では実験機・試作機の型式番号に「P」を用いていたが、C.E.72年代に開発されたエクリプスの型式番号には「X」を用いている。これによりC.E.における試作機の型式番号は勢力を問わず「X」が含まれることとなった。

一方、実戦運用を想定していない実験機・試作機についてはザフト(デュエルブリッツライトニングバスター)・オーブ(ストライクフリーダム弐式デスティニーSpecⅡインパルスSpecⅡ)双方「X」を用いていない。


設定の変遷編集

放送当時はジャスティス、フリーダム、プロヴィデンスの3機しか該当しないシリーズであり、兄弟機として扱われていた。その影響かプロヴィデンスはX13Aでありながら額に『UNDICI(11)』という文字が刻まれている。本編にて連合・ザフト問わずガンダムタイプに彫られた額部の刻印に関する事情としては、『コズミック・イラ メカニック&ワールド』にて作画監督の重田智氏が語る所によると、企画段階にて呼称されていたガンダムの号数を遊び的に作画で取り入れた事が始まりだとしている。一方で、講談社のオフィシャルファイルやプラモデル類にてモビルスーツの生みの親の一人がジャン・カルロ・マニアーニというイタリア系コーディネイターであり、ザフトの慣習が連合に伝わったという設定が作られている。


この事から、X11A及びX12Aの2機の設定は本放送時に登場しておらず、放送後にリジェネレイトとテスタメント(アウトフレーム)が登場したことから連番となった。

テスタメントが登場する前に発行された雑誌類等(『機動戦士ガンダムSEED MSエンサイクロペディア』のように、登場後の書籍でも同様となっているケースもある)に掲載されたザフトMSの開発系統図では、X12Aはプロヴィデンスのシルエットと共に「G12」を冠しており、欠番扱いされている。

外伝漫画においてX11Aにリジェネレイト、X12Aにテスタメントが組み込まれたことでプロヴィデンスはジャスティスやフリーダムとはロールアウト時期が異なる機体という扱いに変わっている。なお、この2機が本編にて触れられない理由の一つとして、この2機のみプラントから距離のあるジェネシスα内の工廠にて開発され、ロールアウト直後に奪取された設定となっている。

型式番号が連番になったためザフトは「ジャスティスからプロヴィデンスまでのZGMF-Xシリーズについては全てシミュレーション試験を通過させ1度も欠番を出さずにロールアウトさせていた」ことになっている。


関連タグ編集

機動戦士ガンダムSEED 機動戦士ガンダムSEED DESTINY

コズミック・イラ プラント ザフト ザフト製MS・戦艦 ZGMFシリーズ

ニュートロンジャマーキャンセラー 核エンジン

セカンドステージシリーズ サードステージシリーズ ニューミレニアムシリーズ

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