概要
みのり書房より1981年に発売されたムックで、正式なタイトル表記は『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』。
本書がガンダムシリーズの中で果たした役割は大きく、アニメ『機動戦士ガンダム』で拓かれた「リアルロボット」というジャンルを構成する要素のうち、『ガンダム』本編では描写が薄かったSF考証・メカニック解説などの部分については、本書によって補完的に定められた設定が後年の作品に受け継がれている。
ミノフスキー物理学絡みの設定、AMBACシステムをはじめとするモビルスーツ(MS)が人型である理由付け、ジオニック社とツィマッド社のライバル関係をはじめとするMS開発史やMSのスペックなどなど、ガンダムファンにとっていまや常識となった設定の多くは『ガンダムセンチュリー』が初出である。また、作中で示された「ザクのバリエーションタイプ」の文字設定は、ムック『劇場版 機動戦士ガンダム アニメグラフブック』に掲載されたイラストとともに後の『MSV』の原型となった。
ただし、ジオン公国による地球連邦への宣戦布告が宇宙世紀0079年11月、終戦が0080年8月頃となっているなど、後発作品における設定とは食い違っている部分も少なくない(そもそも、『ガンダムセンチュリー』の時点では「一年戦争」という呼称自体が存在せず、「ジオン大戦」と呼ばれている)。
なお、これらの設定の元をさらに遡ると、スタジオぬえのメンバーが制作した同人誌『Gun Sight』シリーズで作られた二次創作設定が原点となっている。
設定面での影響が強い『ガンダムセンチュリー』ではあるが、上述のような設定資料集的な部分は全体の1/3程度であり、その他にも、オスカを主役に置いてホワイトベースの日常を描いた短編イラストノベル『ホワイト・ベース ライヴ』、『ガンダム』のスタッフによるエッセイや座談会、現実におけるスペースコロニーや人型機械などについての解説記事などが収録されている。
ガンダム史におけるその重要性から、2000年にリニューアルバージョンとして再販されるまでは、中古相場が数万円から10万円に達する稀覯本と化していたという。
登場メカニック
本作が初出の機体のみ。
地球連邦軍
- RX-78プロトタイプ
- 宇宙作業用ワンマンポッド(文字設定のみ。デザインの初出は『MSV』)
- スカウト・ミサイル
ジオン公国軍
- MS-01(文字設定のみ。デザインの初出は『G20 volume.2』)
- MS-02(文字設定のみ)
- MS-03(文字設定のみ)
- MS-04(文字設定のみ。デザインの初出は『M-MSV』)
- MS-06E(文字設定のみ。デザインの初出は『MSV』)
- MS-06R(文字設定のみ。デザインの初出は『MSV』)
- MS-06T(文字設定のみ。デザインの初出は『機動戦士ガンダム 戦場の絆』)
- MS-06Z(文字設定のみ。デザインの初出は『MSV』)
- MIP-X1(文字設定のみ)
- 対トーチカ攻撃兵器(文字設定のみ。デザインの初出は『MSV-R』)
その他
- 小型作業艇