「やるな。アーガマが出られなくなっている。アリス聴こえるか?角度修正、左、コンマ01度!」
機体データ
型式番号 | MS-06E(RMS-06) |
---|---|
所属 | ジオン公国軍、地球連邦軍、ティターンズ |
開発 | ジオニック |
生産形態 | 量産機 |
全高 | 18.0m |
頭頂高 | 17.7m |
本体重量 | 60.4t |
全備重量 | 76.2t |
出力 | 951kW |
推力 | 53,750kg |
センサー有効半径 | 3,200m |
装甲材質 | 超硬スチール合金 |
携行武装 | カメラ・ガン、シールドなど |
概要
名前の通り、ジオン公国軍がザクⅡを偵察型に改良した機体。別名ザク強行偵察型、ザク・レコン、レコン・ザク。英語表記は「ZAKU RECON」。
型式番号はMS-06E。運用初期にはRMS-06と呼ばれており、名称形式の統一によって型式番号が変更された。
ムック『ガンダムセンチュリー』で「MS-06E」として文字設定が示されたのが初出で、模型企画『MSV』で詳細やデザインが設定された。
既存のザクⅡC型またはF型を改造する形で製造されており、ランドセルには指揮官用ザクⅡのものを改良したロケットエンジンを搭載するとともに、胸部両脇に緊急離脱用ロケットを、脚部に姿勢制御バーニアを追加。以上の改良に合わせて、機内の燃料用スペースが10%増積されている。これによって地球連邦軍の追撃機を振り切れるほどの速度性能を獲得しており、機動性も低くない。ただし、パイロットは高Gに耐えるためにヘビースーツを着用することが多かった。
また、オプション装備としてブースターが存在し、ランドセルに増設することで地球上での長時間の跳躍(あるいは短時間の飛行)も可能となる。
任務の要となる情報収集性能の面では、頭部モノアイに高性能望遠タイプの大口径カメラを装備するとともに、モノアイゲージにも改修が加えられ、縦方向へのロールを可能にしている。また、内装式の各種探知システムに加え、両肩と股間にカメラユニットを、頭部左側面に短距離通信用アンテナを増設している他、CE-16TXカメラ・ガンも携行する。
基本的には非武装で運用されたが、ザク・マシンガンなどの武装を使用することもあった。装甲面では、肩部のシールドとスパイクアーマーは取り外されているが、機体本体の装甲に関しては、「軽量化と燃料スペースの確保のために装甲は最低限まで削減されており、戦闘には向かない」とも、「一般機と変わらぬ装甲を持ち、武装すれば指揮官用ザクⅡ並みの戦闘力を発揮できる」とも言われ、諸説ある。
コストの高さから生産数は100機弱に止まり、一年戦争初期から宇宙・地球上の双方で実戦配備された。目立たない存在ながらも一年戦争中に得た成果は高く評価されるものであり、頭部カメラはザクⅠ・スナイパータイプやギムレット小隊のリンゼイ・シミズ軍曹が用いた改造ザクⅡといった遠距離狙撃用の機体にも流用されている程である。
連邦軍が本機の存在を初めて確認した、一年戦争初期のルナツーへの強行偵察が戦歴として著名な他、ブースターを用いて上空からジャブローを偵察した機体もあった。
戦後の連邦軍での評価も高く、接収された機体がティターンズでも使用され、グリプス戦役においても活躍した。ティターンズ機としては、月面で運用された「帽子屋」のコールサインを持つ機体が知られる。同機はエゥーゴの拠点であるアンマンを偵察し、強襲巡洋艦アーガマの動向を探っていた。重巡洋艦アレキサンドリアによるアンマン攻撃の際には弾着観測も担当していたが、自身が百式に捕捉されたのに気付かず接近を許してしまい、ビームサーベルで撃破されている。
なお、ジオン軍が運用した機体は濃紺、ティターンズが運用した機体はカーキカラーで塗装されており、ティターンズ機はハイザック用のシールドを装備している。
一方で、大量生産はされなかったため本機が行き渡らなかったジオン軍部隊もあったようで、シャア・アズナブル少佐率いる部隊がサイド7への偵察を行った際には本機ではなく通常のザクⅡが用いられた(こちらは作戦終了後の帰還途中での遭遇戦に近く、元々シャアの部隊には配備されていなかったという事もある)他、ア・バオア・クー戦では黒色に塗装されたザクⅡ(指揮官用ブレードアンテナを備えたF型)が連邦艦隊への強行偵察に使用された例も存在している。
また、MS登場以前から配備されている偵察型ゴブルの運用を継続した部隊もあった。
関連動画
バリエーション
ザクフリッパー
型式番号MS-06E-3。
『MSV』に登場。
強行偵察型ザクの改良機であり、「高性能強行偵察型」とも呼ばれる。
一年戦争中期に開発された機体で、頭部センサーやバックパックなどが一新され、機動力および索敵能力が向上している。
詳細はザクフリッパーを参照。
ザクⅡ[狙撃型](HH)
型式番号MS-06L。
ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy』に登場。
キシリア・ザビ少将直属の秘匿部隊「ノイジー・フェアリー隊」のヘレナ・ヘーゲル曹長が搭乗するパーソナルカスタム機。
詳細はザクⅡ[狙撃型](HH)を参照。
ザクII・バズノーズ
型式番号MS-06E。
ムック『GUNDAM WARS PROJECT Ζ』に登場。
強行偵察型ザクの背部に、ザク本体より巨大な中距離航行用ブースターボートを装着した形態。ブースターは作戦空域までの進出に使用されるもので、計4基の分離可能なプロペラントタンクが備わっている。
また、ブースターにコントロールスティックをマウントすることで、本体のマニピュレーターを用いてブースターを操作するマニュアルモードを取ることも可能。
増速用ブースターとしての「バスノーズ」単体の文字設定は『MSV』の時点から存在しており、ザクフリッパーに装着することも可能とされている。
一年戦争中期から配備が始まった他、戦後に連邦軍に接収された機体もあった。当該機は兵器テストセンターで改修が加えられており、頭部は通常のザクⅡと準同仕様のものに、ランドセルは独自のものに換装され、両肩にはカメラユニットの代わりにスパイクアーマーを装着している。また、改修時にはハイザックのパーツも使われている。
ガンプラ
商品名は「ザク強行偵察型」。
1/144スケールのものが『MSV』展開当時と『機動戦士Ζガンダム』展開時にキット化されている。
いわゆる旧キットで、前者は濃紺系、後者はカーキ系で成形されている。
『Ζ』版キットにはハイザック用シールド装備のデータが描かれているものの、シールドは付属しておらず、装備するのにも改造が必要となる。
また、1/100スケールではプラモデルではないものの、「MG MS-06F/J ザクII」を元にザク強行偵察型を製作できるレジン製換装キットが、過去にB-CLUBから発売されていた。
こちらにはハイザック用シールドも付属している。