概要
型式番号MS-04。MS-03の3号機を改良して開発されたジオン軍の試作型モビルスーツ。
モビルスーツとしては初めてミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉を搭載したモビルスーツであり、出力はMS-03から2倍以上にも向上している。
MS-05ザクⅠの雛形となった機体であり、MS-03から耐弾装甲の整理、交換兵装による多用途化の方向性を提示し、人型のデザインが強調され、以降続くザクとしてのスタイルを確立させた。
本機を実戦に採用するかどうかで軍部では意見が分かれたが、機体コストの観点などからより戦闘用に洗練されたザクⅠに主力の座を譲る事になった(なお、ザクⅠと量産機を競い合ったヅダとどちらがコストが上かはハッキリしていない)。
機動戦士ガンダムTHE ORIGINに於けるプロトタイプ・ザク
YMS-03 ヴァッフ
トレノフ・Y・ミノフスキー博士が提唱したミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉と流体パルスシステムを盛り込んだ初の戦闘用モビルスーツの試作機。
ミノフスキー粒子の関連技術を盛り込んだミノフスキー・イヨネスコ型核融合炉は既存の核融合炉よりも遥かに小型・軽量であり、これまで開発が進められていたモビルワーカーMW-01 01式とは一線を画する機動性・運動性を獲得した。
これによりドズル・ザビ中将が推進していたものの開発が難航しギレン・ザビ総帥に中止を言い渡されかけたモビルスーツ開発計画はすんでのところで凍結を免れ、(THE ORIGINでの)宇宙世紀におけるモビルスーツの歴史の最初の1ページとして刻まれることとなる。
また、01式のアタッチメント式の腕部機構も受け継いでおり、これによって各種兵装の試験も行われている。
ヴァッフは数機が生産されたが、その後時を置かずにより実戦的な機体であるMS-04ブグ、MS-05ザクⅠの開発が勧められた為、制式採用は見送られた。
しかしそのアタッチメント式の腕部構造はプロトタイプグフ戦術実証機にも流用され、グフの武装開発に貢献している。
MSDの漫画ククルス・ドアンの島では本機の他に右腕部アタッチメントにカメラユニットを装備し、肩部や頭部に強行偵察型ザクと似た形状のカメラを搭載したバリエーション機「ヴァッフ強行偵察型」が登場している。
殆どの登場機体がキット化されているMSDの機体にしては珍しく、キット化も公式サイトでの紹介もされていない。
武装
後のザクにも採用される、加熱式の刃を持つ手斧型の近接攻撃武装。
- シールド
前腕マウントラッチとマニピュレーター(手)で保持する防御用の盾。裏にヒートホークを懸架可能。
複合装甲を採用した後の肩部固定式L字シールドと比較すると対弾性に劣る。
- 試作型MS用バズーカ
戦艦などの大型目標にも有効な威力を持つロケットランチャー。
後に制式採用される単発式のA1型や3発カートリッジ式のA2型と異なり、固定式のマガジンに3発の弾が装填されている。
MS-04 ブグ
ヴァッフの試験データを基に、より本格的な実戦を想定して開発された機体。
機動性・運動性はもとより生産性にも考慮した設計が行われており、MW-01からMS-03まで続いた腕部アタッチメントは本機には採用されていない。
最大の特徴として、流体パルス駆動に必要な動力パイプを機外に露出させる事で四肢へのエネルギー供給量を向上させており、これによってヴァッフ以上の運動性を実現。この動力パイプを機外に露出させるデザインは後のMS-06ザクⅡに受け継がれる事になるが、ブグは試作機としてある程度生産性を犠牲に設計されており、同時期に開発されていたMS-05ザクⅠと比較して生産コストは高く、機体生産は少数に留まり、正式量産機としての座もMS-05に譲る事になった。
本機はオレンジ色に塗装された試験用の機体の他に、月面スミス海での武力衝突に投入された頭部ブレードアンテナの装着と青い塗装を施したランバ・ラル専用機が確認されており、シャア・アズナブルや黒い三連星の乗るザクⅠと共に連邦軍のガンキャノン最初期型に対して一方的な性能の差を見せつけた。
一応正史とはパラレルワールドの関係にあるオリジン時空のプロトタイプ・ザクという扱いではあるが、漫画『機動戦士クロスボーン・ガンダムDUST』では何故か讃美歌の国がこのブグのレストアMSを保有している。
当然のことながら、140年以上未来の話であるG-SAVIOURに登場するセツルメント国家議会軍のMS、CCMS-03ブグとは何ら関係が無い。ORIGIN著者の安彦良和が単純にG-SAVIORのブグを知らなかったという可能性もある。
その為G-SAVIOURを知る人からは『プロトタイプ・ザク』という本来の名称で言われている。
武装
ヴァッフのヒートホークとシールドは引き続き装備しているが、シールドの外見が若干異なる。
- MS用マシンガン
100㎜口径砲弾を連射するMS用携行火器。八洲重工製。ジオン軍では制式採用されなかった一方、小型で取り回しに優れてた事から後に連邦軍ででは局地型ガンダムによる試験運用の後に陸戦型ガンダムならびに陸戦型ジムの携行武装として制式採用・量産配備された。
ガンプラ
M-MSV版はガンダム達を除いた例に漏れず不遇の扱いを受けており、ガン消しで立体化されているに留まっていた。
しかしようやくTHE ORIGIN版がヴァッフと共にHG THE ORIGINとして発売されており、ヴァッフとランバ・ラル機の青い機体が一般販売、テストカラーの黄色い機体が過去にプレミアムバンダイ限定販売となっていた。
なおラル機とテストカラーは単なるカラバリ品で付属物に違いは無く、どちらも頭部ブレードアンテナの有無を選べる。
関節構造は先に発売されていたシャア専用ザクのKPSフレーム式を踏襲しているが、ヴァッフはアタッチメントの着脱を再現するためプロトタイプグフ戦術実証機と同様の構造(アタッチメントはマニピュレーターのみ)、本機は脚部フレームがやや延長されている。