FSWS計画に完全対応したRX-78-7 ガンダム7号機に増加装甲、追加武装を取り付けた形態。
機体データ
型式番号 | FA-78-3 |
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所属 | 地球連邦軍ファントムスイープ隊 |
開発 | 地球連邦軍 |
生産形態 | 試作機 |
頭頂高 | 18.3m |
本体重量 | 39.2t |
全備重量 | 88.7t |
出力 | 1,850kW |
推力 | 78,450kg |
センサー有効半径 | 7,210m |
装甲材質 | ルナ・チタニウム合金 |
固定武装 | 60mmバルカン砲×2、ビーム・サーベル×2、グレネード・ランチャー、背部長距離ビームキャノン、ビーム・スプレーガン、マイクロミサイル×4、2連ビーム・スプレーガン×2、3連ミサイルポッド×2、4連ミサイルポッド×2 |
携行武装 | ビーム・ライフル、ハイパー・バズーカ、シールド |
概要
モビルスーツ紹介企画『M-MSV』で「重装フルアーマーガンダム7号機」と共に登場。
「ガンダム7号機」に「ファーストアーマー」と呼ばれる追加装備を装着した強化形態で、中~遠距離での機動射撃に秀でている。
初出の『M-MSV』では「フルアーマー3号機」 という名称で登場した。これはFA-78-1「フルアーマーガンダム」、FA-78-2「ヘビーガンダム」に続く「FSWS計画」の3号機にあたるためで、型式番号もFA-78-3となっている(「フルアーマーガンダム3号機」という名称は資料集には記載されていないが、SDガンダム関連作品で使用されたことがある)。
その後、ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』(PS3)が発売される際にカトキハジメによってリファインされた(以下リファイン版と表記)。「フルアーマーガンダム7号機」という名称はリファイン前にも設定資料などで使われていたが、リファインの際に改めて公式の名称として扱われるようになった。
一年戦争時に開発が始まったガンダム7号機は技術面の限界もあり設計段階で終戦を迎えたが、戦後も開発は進められ宇宙世紀0080年後半には機動テストが行えるレベルに到達。オーガスタ基地での調整を経た後、宇宙世紀0081年9月にゴドウィン・ダレル准将の計らいによって追加装備と共にファントムスイープ隊に引き渡され、ジオン軍残党インビジブル・ナイツによる反攻作戦に対しての切り札として用いられた。
終戦間もない地球連邦軍が軍縮に舵を切った中、本機が完全な状態で配備されたのはゴドウィン准将のお陰なのかもしれない。
機体解説
RX-78-7 ガンダム7号機に「ファーストアーマー」と呼ばれる増加装甲を装着した強化形態。
「FSWS計画」の3号機にあたる機体だが、1号機、2号機のフルアーマーは素体を強化するために後から設計されたものであるのに対して、本機ではフルアーマーでも一つの完成されたMSとなるように素体と装甲が設計されている。そのため装甲を強化した上で機動性や出力への考慮がなされており、外観も「フルアーマー」というよりは「強化型」に近い。
7号機本体のスラスターに加えて脚部にスラスターユニットを装着、補助スラスターを装甲に多数配置、腰部にもスラスター内蔵のテールスタビライザーを2基装着することによって、装甲による重量増加を推進力でカバーしている。さらに、出力を補うため装甲にサブジェネレータを装備している(リファイン版では内蔵と表記)。
そして火力面の増強として新型のビームキャノンをバックパックに搭載し、ミサイルポッドを胸部と脚部の装甲に内蔵。腕部兵装もノーマル時より火力の高いものを搭載している。
以上の強化により本機は「厚い装甲を持ちながらも機動性を維持したまま大出力の火器を使用可能」という、強力なMSとして完成されたものとなった。
ノーマル時と比べると運動性は低下しているがある程度の近接戦闘にも対応可能で、状況次第ではアーマーをパージして格闘戦に移行できる。
リファイン版での主な変更点は、一部兵装の設定の変化(後述)、テールスタビライザーをAMBACに対応した5つのユニットで構成される大型のものに変更、ふくらはぎのスラスターを重装フルアーマーの標準装備に差し替え(デザイン・機能面での差異を明確にするためとされる)、バックパックのセンサーをオミットなど。
バックパック左側に装着されている赤いパーツはM-MSV版、リファイン版のどちらにおいても詳細が語られていない。M-MSV版の背面画稿ではパーツから本体へ伸びるケーブルが確認できる(リファイン版ではケーブルは削除されている)。
『ガンダムエース2010年 6月号』に掲載された設定資料のテキスト担当者は「センサーらしき赤いパーツ」と考察している。また、以前この記事で「小型のバランサー」と記載されていたがソース不明であり、編集者による独自研究と思われる。
劇中での活躍
ゲーム『機動戦士ガンダム戦記』ではフルアーマーはゲーム中のストーリーに登場せず、DLCでの参戦であった。
ゲームのコミカライズである漫画『機動戦士ガンダム戦記 U.C.0081 -水天の涙-』ではユーグ・クーロ大尉が搭乗。ガンダム7号機の初出撃の際に機動補正プログラムが抜かれていたため、応急措置としてフルアーマーに換装して出撃するが操作性への影響をカバーするには至らず、苦戦の末にジオン軍残党のビグロを撃破するがビームキャノンを消失してしまった。
武装
フルアーマーで追加される兵装は一部を除いて重装フルアーマー時にも使用可能である。
ビーム・ライフル
型式番号XBR-H80-L1
ガンダム7号機用に新規開発されたビーム兵器で、射程や速射性が向上している。型式番号は考証資料集『マスターアーカイブ モビルスーツ RX-78 ガンダム』で設定されたもの。
M-MSV版では赤と白のツートンカラーだったが、リファイン版では灰色のモノトーンに変更されている。
ハイパー・バズーカ
詳細は語られていないが、RX-78-2が使用するXHB-L03/N-STDタイプの装備を想定していたと思われる。
60mmバルカン砲×2
地球連邦製のMSの頭部に標準搭載されている実弾兵装。
ビーム・サーベル×2
バックパックに装備された格闘兵装。フルアーマー時は増加パーツがバックパックを覆う形になり垂直にマウントされる。
リファイン版ではバックパックの装甲がオミットされているため、ノーマル時と変わらず斜めにマウントされる。
グレネード・ランチャー
腕部装甲に内蔵された2連装の実弾兵装。ビームスプレーガンと選択式。
リファイン版ではカバーのようなものに覆われており形状は不明。
ビーム・スプレーガン
腕部装甲に内蔵されたビーム兵装。グレネードランチャーと選択式。
リファイン版ではカバーのようなものに覆われており形状は不明。
2連ビーム・スプレーガン×2
腕部装甲のさらに上から被せるようにして装着するビーム兵器。
リファイン版では存在に触れられていない。
背部長距離ビーム・キャノン
バックパックにマウントされたビーム兵器で、使用時には砲身が伸長する。当時のガンダムタイプが運用するビームライフルの2倍の射程を持つとされる。
リファイン版では形状が変更され、砲身の伸縮機能はオミットされたと思われる。また、砲身にエネルギーCAP用のサブシステムと新型のアクセラレータを内蔵しているという設定が新たに追加された。
本記事の2012年5月5日の版以降長い間「240ミリメガビームキャノン」という名称で記載されていたが公式資料との関係性は見当たらず(情報求む)、編集者による独自研究もしくは個人サイトからの転載であると思われる(現在本記事がインターネット上で240ミリメガビームキャノンという名称が使われている一番古い記録となっている)。
しかし、ガンブラの解説書にこの名称が使われていないにもかかわらず一部のガンプラレビューサイトでは公式の情報であるかのように扱われ、ゲーム『機動戦士ガンダムバトルオペレーション2』では「240mmメガ・ビーム・キャノン」という名称で実装されている。
マイクロミサイル×4
詳細不明、資料によっては×2と記載されている。機体の外観を見る限り、「ブルーディスティニー」のバルカン砲のように胸部から発射するものと考えられる。
リファイン版においても詳細には触れられていない。
3連ミサイルポッド×2
左右の脚部装甲に内蔵されたミサイルポッド。
リファイン版では4連装に変更されている。
4連ミサイルポッド×2
胸部装甲に内蔵されたミサイルポッド。
リファイン版では装甲の形状か変わっており、『ガンダムエース2010年 6月号』に掲載された設定資料によると2連装であるとされるが、実際に使用された描写は無く詳細不明。
シールド
ガンダム7号機専用のシールド。先端が鋭利になっていて格闘兵装としても使用可能。
リファイン版ではRX-81と共通規格の兵装として設定された。差別化のためかガンダム7号機のシールドは若干デザインが変更されており、シールド下部の装甲板が横一文字の突起が入ったものに差し替えられている。
余談
フルアーマー3号機及びフルアーマーガンダム7号機は初出とリファイン時の二度の設定解説の場があったが、機体の情報量に対して解説の量が十分とは言えず、現在でも詳細不明の兵装やパーツが存在する(マイクロミサイル、バックパック左の赤いパーツ、テールスタビライザーなど)。
そのせいか、インターネット百科事典などに記載されている本機の情報はサイトごとに大きく異なっている。この機体について調べるときはネット上の情報で完結させず、複数の設定資料とすり合わせることをお勧めする(この記事も例外ではない)。
プラモデル『HGUC 1/144 フルアーマーガンダム7号機』内解説の武装欄も、リファイン後の設定変更に対応していないため注意が必要である。