概要
宇宙世紀0071年、ミノフスキー粒子散布下の戦場での有視界での近接戦闘の有効性が明らかになったことを受けて、ジオン軍当局は地球連邦軍との物量差を打破しうる新兵器の開発をジオニック社、ツィマッド社、MIP社に委託した。
これに応えてツィマッド社が得意の推進装置分野の技術を活かし宇宙空間での機動性と推力を重視して設計・開発したのが「EMS-04 ヅダ」である。
宇宙世紀0075年初頭、本機はジオニック社の提出した「YMS-05 ザク」と共にジオン軍での制式採用を賭けたコンペティションに臨んだ。
格闘性能試験・飛行性能試験それぞれにおいてザクを凌駕し、軍上層部の一部からも「ヅダ勝利」の声が上がっていたが、飛行性能試験の場で空中分解事故を起こし機体を喪失、テストパイロットが死亡してしまう。
大推力、高加速、AMBACシステムを併用した急激な方向転換で機体構造に大きな負荷がかかったのが原因であり、これにより機体の強度がエンジンの加速に耐えきれないという思わぬ欠陥が露呈してしまう。
また、1機あたりの生産コストがザクの1.8倍近くに上り、国力・資源に限界のあるジオンにとってこの高コストは軽視できない問題であった。
選考の結果、コストも安く信頼性・汎用性が高いザクが正式採用・量産化が決定された。
なお、このコンペ並びに選考結果については、ジオニック社と政権の癒着や裏工作があったという説もあるが真相は定かではない。
パイロットのデュバル少佐はこれを「ヅダは政治に敗れた」と表現し、ザクに劣った機体ではないと主張しているが、モニクからは道化と呆れられる。
しかし、技術や性能はともかくコストの問題は資源に限りのあるジオンではかなり重要であり、そもそも飛行中に空中分解を起こす信頼性が絶無な欠陥兵器を正式採用するわけがないため、裏工作の有無に関わらずヅダが正式量産機になる可能性は極めて低かったと思われる。
だが、ザクの量産開始後も本機の開発中止命令は出ず、一年戦争が勃発し戦場が地上に移ってからも開発は続けられた。
オデッサ作戦の直前の10月、すでに制式採用が決定していた新型エンジンに換装し、新世代の素材、制御システムを採用した「EMS-10 ヅダ」が完成した。
この新型エンジンは通称「土星エンジン」と呼ばれ、ドム及びリック・ドムにも採用されたものである。また改良により機動性を保持したまま耐久性を確保したとも言われている。
しかしこれは、地上での戦況が逼迫しつつあるジオン公国が自軍や国民に対する戦意高揚およびMS開発に成功して反攻の機運を高める地球連邦軍に対する欺瞞、すなわちプロパガンダの為に流した情報であり、実際のEMS-10はEMS-04の外装を交換しただけで基本設計は全く変わっておらず(尚オリヴァー・マイ曰く機動性を保持したまま耐久性を確保しているとの事だがそれもでっち上げであったようだ)、エンジン出力を限界まで上げると空中分解を起こす欠陥もそのまま引き継がれていた(一説では「最大加速状態でエンジンを稼働させ続けると、エンジンが加速状態でロックされて止められなくなり、そのまま機体耐久限界を超えて空中分解してしまう」とも言われている)。
そもそも「土星エンジン」自体がかつてEMS-04の為に開発されたエンジンであり、新型エンジンという触れ込みそのものが嘘、つまりはプロパガンダになっている。
エンジンは背部に露出しており、バーニアノズルの向きを変えるだけで失速する事なく急激な方向転換が行えた。
また、隊長機と2・3番機、予備機は、モノアイスリットの形状などそれぞれ頭部パーツに若干違いがある。
主なパイロットはジャン・リュック・デュバル(1番機)、ヒデト・ワシヤ(2番機)、オッチナン・シェル(3番機)、モニク・キャディラック(予備機)、ウォルフガング少佐。
武装
ザク・マシンガン
主にザクが使用した120ミリ口径マシンガン。
予備マガジンは腰部にマウント可能。
また後期型と言われる90㎜マシンガンを装備しているケースも存在した。
ザク・バズーカ
ザク・マシンガンと同じくザクによって運用されたバズーカ砲。
主に対艦攻撃で威力を発揮する。
シュツルムファウスト
使い捨て式のロケットランチャー。
シールド裏にマウントされ、機動戦や対艦戦に用いられた。
シールド
表面に打撃用ピックが装備された専用シールド。
左肩にマウントレールを介して機体に接続されており、前後に自由にスライドさせる事が可能。
裏側にシュツルムファウスト等を装備する為のマウントラッチも有している。
打撃用ピックは機体の機動力もあって高い威力を発揮した。
ヒート・ホーク
刀身を加熱する事で切断力を上げる使い捨て式の手斧。
非使用時に脚部にマウントされるが、ヅダはこれを使用する際にマウント部に腕を伸ばす為、腕部に独自の伸縮機構が設けられている。
135ミリ対艦ライフル
対艦攻撃を目的とした超長砲身ライフル。その砲身長はモビルスーツの全長にも匹敵する程。
ヅダの他、ゲム・カモフによる運用も確認されている。
劇中での活躍
「一年戦争秘録」第3話で初登場。専属のジャン・リュック・デュバル少佐ら数人のテストパイロットと共にヨーツンヘイムに4機が配備され、試験が行われることとなったが、テスト中に功を焦った一機が土星エンジンを暴走させたせいで空中(宇宙)分解を起こし、大爆発。これにより試験は中止される。そしてヅダの欠陥も、内通者によりわざわざSDガンダム(らしきもの)のアニメまで用いた連邦軍のプロパガンダ放送で暴かれてしまう。
しかし、その直後、ジオンの陸上部隊が宇宙へ脱出。この回収・救援を命じられた603試験隊は、予備機も含めた3機のヅダを出撃させる。作戦は成功し、戦力の回収には成功したが、この戦闘で隊長機は連邦のジムを救援エリアから引き離すため敵機を挑発して陽動、フル加速での機動戦闘を行い、最終的に空中分解を起こしてパイロットのデュバル少佐とともに失われた。最後までその加速力をいかんなく発揮し、連邦の兵士をして「化け物か」と言わしめる程であった。
この戦闘ののち、残った2機のヅダはそのままヨーツンヘイムに護衛機として配備され、実質上の廃棄処分扱いとなった。
時間軸では続編となる「黙示録0079」第3話では、ア・バオア・クー陥落の際、味方の撤退を援護するため2機が出撃する。連邦の物量にもひるむことなくジムとボール軍団相手に奮戦し、片腕を失うなどの損傷を負いながらも帰還・脱出している。
漫画版である『MSIGLOO603』の1エピソード「蝙蝠はソロモンにはばたく」ではエンマ・ライヒが予備機に搭乗して出撃した事がある。
また、「機動戦士ガンダム黒衣の狩人」においては愛機であるザクⅡを撃墜されたウォルフガング少佐の補充機体として充てがわれている。
しかし、大気圏ぎりぎりの宙域をパトロールする同少佐の隊にはろくな補給が回される事が無く、組み立て途中で工場に廃棄されていた機体を流用しているに過ぎない。
なお、当作品に登場した機体はタイトルが示すようにパイロットのパーソナルカラーである黒にペイントされているほか、「IGLOO」劇中とはアンテナの形状が若干異なる。
マンガ作品「機動戦士ガンダム0083リベリオン」にもアクシズ艦隊所属としてワシヤ機が登場し、デラーズ紛争最終局面のノイエ・ジールとGP03の戦いを観測する。
関連動画
バリエーション
ヅダ(EMS-04)
ヅダ(EMS-10)の前身となった機体。前述の通り、性能ではザクⅠに優っていたが、空中分解事故を起こした結果コンペンションで敗退した。
頭部や胸部、肩部シールドマウントの仕様が異なるなど、外装こそEMS-10と異なる部分は多いが、内装はほとんど手を加えられておらず、その欠点についてもEMS-10に持ち越されている。
また、後に高機動型ザクⅡを手がけるエリオット・レムもコンペにおいてこの機体にザクが勝つことができなかったと発言しており、これが高機動型ザクⅡの開発に繋がる事になった。
ヅダF
制式採用こそされなかったものの少数が生産され、いくつかの部隊で運用されたヅダの改良機。
土星エンジンの欠点こそ改善していないものの、リミッターを強化する事でその問題を解決し、YMS-15ギャンのパーツを組み込むなど様々な改良が行われている。
レプス
機動戦士ガンダムバンディエラに登場。形式番号不明。
地上キャリフォルニアベースでザクⅡを破壊された元サッカー選手のユーリー・コーベルの次の乗機として第39話でマ・クベ大佐から月面都市グラナダで直接受領した。
マ・クベ大佐はユーリー個人を気に入っており、愛機を失った彼を不憫に想い再び戦う「彼の脚」としてヅダに統合整備計画で生産したパーツでカスタマイズした本機を託している。
機体の名前はヅダという名前を捨て元所属していたサッカーチームのオクラント・レプスとユーリがMS部隊隊長を務めるレプス隊から取った。
機体カラーリングは今まで通りピンク色と思われる。
ヅダの頭部、本体外観はそのままだがエンジン周りを改良した。
更に統合整備計画で生産したギャン・クリーガーの腕部、脚部を装着し、更にイフリート改の脚部側面稼働スラスターを装着した。
これにより原型機を超える高速戦闘を可能にしている。
武装はザク・マシンガン、135ミリ対艦ライフル、脚部側面スラスター内隠しビーム・サーベル。また脚部側面には状況によりイフリート改のミサイルポッドが取り付けられるように武装ラッチが残っている。
脚部側面スラスター内隠しビーム・サーベルは元サッカー選手である彼に合わせた武装でキックの動作と同時にビーム・サーベルで敵MSを切り裂く事が可能。
第42話ではア・バオアクー攻略に向かうトラファルガ級、サラミス級戦艦の編成を強襲。
地球連邦軍のパイロット、元サッカー選手のシモン・バラ伍長のフルアーマーガンダム(タイプB)と再び戦うことになった。
戦後はユーリの戦果が全てプロパガンダ目的のフェイクとして処理されたため、本機も存在しないフェイク機体として片付けられた。(手足だけとはいえ正史では開発されていないIFの機体であるギャン・クリーガーが存在しているという矛盾を解消するためだと思われる。)
ゲームなど
原作再現のためか「ザクよりも機動力に長けている反面、何かしらのデメリットや不安要素を抱えている」という設定になっていることが多い。
また、原作の範囲内では地上で運用できるかどうかが不明瞭なため、作品によって地上で使えるかどうかが分かれる。
ザクと正式採用を争っていた以上、開発にあたり地上での運用は考慮されていたはずだが、ただでさえ強度に問題を抱えているこの機体が試験すら行われていない運用に耐えられるかは判断しがたい。
ガンダムアサルトサヴァイヴ
作中のオリジナル機体ほぼ全てと共に参戦。このゲームではヅダのみ機体操作に特殊な設定があり、ブーストゲージが無くなってもブースト移動し続けられる代わりに、その間機体耐久力がどんどん減っていくという、原作を再現したものとなっている。機体性能そのものはザクより少し上程度であるが、機動性に関してはザクを大きく上回っている。
SPAも原作再現となっており、敵に対して最大加速状態で連続ヒットする体当たりを敢行、過剰加速によって空中分解していき(分解が進むにつれて与えられるダメージがどんどん増えていく)、最期には敵味方識別が無い大爆発を引き起こすというもの。(そのあと何事もなかったかのように五体満足の状態でヅダは復活する。)
機動戦士ガンダム エクストリームバーサス
プレイアブル機体としてヒルドルブと共に参戦。低コスト機体でありながら機動力に長けているのが特徴。格闘チャージ攻撃を使うと一定時間ブースト性能がかなり上がる。さらにこの状態で再度格闘チャージ攻撃を使うと、敵機に突進して爆発し、自機を撃墜扱いにする代わりに爆風で大ダメージを与える攻撃「ヅダ特攻」が出る。さらに、特殊格闘には、ヅダを呼び出して相手に特攻させるという攻撃もある。ちなみに呼び出されるヅダは、劇中で性能テスト中に空中分解したオッチナンの機体らしい。
次作のフルブーストにも参戦。基本的なところは変わらないが、対艦ライフルの弾速低下など、若干の調整を受けている。追加された覚醒技(バーストアタック)は「土星エンジンの真価」というもので、相手に体当たりし、そのまま拘束して急速上昇、ダメージを与えると共に、最終的に爆散するという大技。無論当てて爆発すれば自機が撃墜扱いになってしまう諸刃の剣である。
マキシブースト以降ではコストの仕様変更もあって1500コストにアップ。
エクストリームバーサス2では特殊格闘のアシストの挙動が大きく変わり、対艦ライフルを撃ったり敵を突き刺して投げ飛ばす攻撃になった。
最新作のクロスブーストでは射撃CSにザクバズーカが追加され、特殊格闘のアシストにヅダ指揮官機が追従するものが追加された。更に、覚醒技が自爆特攻を仕掛けるヅダを呼び出す「ヅダ呼出【自爆】」に変更され、旧覚醒技「土星エンジンの真価」は格闘CS中格闘CSに移され、従来の自爆特攻は無くなった。恐らく自爆特攻による捨てゲー行為対策のために変更されたと思われる。
なお余談であるが、カナード・パルスからは「オンボロだが魂を感じるな、良い機体だ」「お前は確かに存在した、オレがその証だ」と評価されている。
機動戦士ガンダムバトルオペレーション
キャンペーン期間限定で配布されるMSという形で参戦。同コスト域の他の機体と比べると圧倒的にHPが低く歩行速度も遅いが、高めの射撃補正と優秀な副兵装シュツルム・ファウスト(以下SFと略す)の存在もあって火力は高く、スラスターを使用したブースト移動速度は連邦・ジオン合わせて全機体中トップクラスとかなりピーキーな機体になっている。
主武装はザク・バズーカと対艦ライフルから選択。
ザク・バズーカ運用の場合は前衛となるが耐久力の無さと足の遅さから他の汎用と比べて開けた場所での撃ち合いには向かない。物陰をうまく利用し隙を見て高火力のSFからバズーカを叩き込むなどの運用になるため前線を支えるのに向いている機体とは言い難い。
対艦ライフル装備の場合はもう少し一歩引いた場所からの支援機的な運用になる。しかしながら高機動のブーストと優秀な副兵装SFを活かさないと遠くから狙撃するだけならザクI・スナイパータイプに乗った方が高い火力が出る事に注意。
ヅダと同じく高火力・高機動・低耐久の機体では上位機としてケンプファーがいるが、出現する階級もコストも大きく違う上に運用の仕方も微妙に異なる。
Gジェネレーション
旧ザクから開発可能。
原作では競合したザクに比べ、攻撃力・機動力・移動力がほぼ同コスト帯に比べ秀でており、より軽快な動きを誇る。
が、ある意味原作再現なのか、防御力はザクよりも低く事故が怖い機体となっている。
また小隊長機として登録すると、威力・射程が凄まじい対艦ライフルが使用可能なヅダ1号機となる(のちにオーバーワールドで特定の機体と掛け合わせることで開発可能となった)。
なお、飛ばし過ぎたが為に空中分解、なんて恐ろしい事は(原作再現のイベント以外では)発生しないのでその点はご安心を。
むしろ、かなり初期の段階から開発可能な割には使いやすい機体のため、被弾にさえ気を付けていればガンガン使って行ける。
また、レベルを上げるとリック・ドムへと開発可能で、作品によってはそこからさらにリック・ディアスやドライセンへと発展させることが出来るため、早い段階で強力な次世代型MSを生産したいときにも役立つ機体である。
戦場の絆
ジオン側の近距離型低コスト機として参戦。かつてはイベントでの先行支給限定機体だったが、現在は他のMS同様に一定の条件を満たせば誰にでも支給されるようになっている。
弾速の速いバズーカや、射程こそ短いが威力と誘導性に優れるシュツルムファウスト等、武装は比較的扱いやすいものが揃う。また、同コスト帯の中では格闘攻撃の威力は若干高め。
特徴的なのは機体セッティングで、装甲重視は存在せず、機動性重視の設定に思いっきり偏っていた。セッティングの度合いが強まるにつれて部分的、または全体的に動きが速くなり、代償としてAP(耐久性)が下がっていく。また、最大のセッティングを施すとコストアップだけでなくブーストにも特殊な動きが加わり、通常より長くブーストできる代わりに一度ダッシュペダルを踏むと一定距離を進むまで止まることができなくなる。REV3.40以降は従来で言う装甲系セッティングが追加された他、コストアップと引き換えにブースト量とダッシュ速度が大幅に上がる「長」セッティングも実装。一定距離を進むまで止まれなくなるということもなくなった模様。
また、後に遠距離砲撃型として対艦ライフルを持ったものも実装された。こちらは拠点への攻撃力と長射程を持つが、シュツルムファウストを除けば携行武器は対艦ライフルだけ(ヒート・ホークも持っておらず、格闘攻撃は銃床での殴打とシールドピックによるタックルのみ)。対MS戦能力は大幅に下がってしまった(カテゴリがカテゴリだけに仕方ないが)。なお、こちらは装甲重視設定も最初からあり、上記のような特殊な動きはない。
更に後になって、支援型(狙撃系)としてヅダFが実装。ヅダ系にしては機動力が低い。ビームではなく実弾のため弾速は遅いが、一部に燃焼または拡散効果を持つ武装を駆使して戦う、独特な使用感のあるスナイパー。また、尋常ならざる技術と慣れが必要だが、予測射撃でもって開幕直後に一定以上のダメージを複数与えることが出来るという凄まじいポテンシャルをも秘めているため、熟練兵が乗ろうものなら恐ろしいことこの上ない存在でもあり、特に敵スナイパーにとっては恐怖の象徴にさえなり得る程。武器も相まって、某超A級スナイパーさえ連想する者も居るだろう。
無論、どの機体も限界までブーストしても空中分解したりはしないので、その点は心配ない。…オーバーヒートして折角の機動力を活かせなくなる事態は避けるべきだが。
余談だが、頭部の形状などから近距離型は1番機、遠距離型は予備機と思われる。また、他のゲームと違って地上では出撃できないのが残念なところである。
ガンダムブレイカー3
ステージ1の最終エリア等に出現する他、ザクⅡから派生合成で作成することも出来る。頭部パーツ違いで1番機(隊長機)と2番機が実装。また、ヅダ(2番機)からの派生合成ではトールギス等、一部のガンダムW系機体を作成可能。
対艦ライフルがロングライフル系として実装された他、本機最大の特徴である「土星エンジン」もアビリティとEXアクションとして再現されている。アビリティ(モンハン等で言うところの『スキル』)としての効果はブースト速度+8%で、同様のアビリティの中では上昇量が2番目に高い(同値のものはいくつかある)。
EXアクションではトランス系に分類され、発動すると各種攻撃をブーストでキャンセルして動ける他、あらゆる移動速度が大きく上昇する。それだけなら他のトランス系(ALICEやTRANS-AM等)も同じことなのだが、最たる違いは「ブーストゲージが無くなっても、HPと引き換えにブースト移動をし続けられる」ことにある。
そして…IGLOO原作やアサルトサヴァイブをよく知っている者ならもう察しているかも知れないが、もう一つの特徴として「ブースト中にHPが無くなると自爆する」ことが挙げられる。僚機にリブート(復活)させて貰えれば1ミス扱いにはならないが、なるべくなら空中分解はしないよう気をつけて運用したい。
因みに、同作ではHP自動回復効果のあるアビリティが存在し、パーツの合成によりそれを継承・強化させることも出来る。それを駆使して、ブースト中のHP減少速度を上回る回復量を発揮できるようにすれば、実質EXアクション発動中は無限ブーストすら可能になる。また、今作のEXアクションは発動回数が一定以上になると、元々持っていた機体以外でも使えるようになる。凄まじい高速戦闘が可能になるので、是非強化して使ってみよう。
ガンダムオンライン
リベリオン(旧ジオン)陣営の低コスト機体で登場。全体的に低スペックだがブーストゲージが尽きてもHPを消費してブーストが可能でありその状態でHPが0になると自爆する。
なお自爆には範囲判定とダメージ判定があり、敵等にダメージを与えることが出来る。なのでダッシュ格闘を繰り返してある程度任意の自爆が出来る。
なお自爆によって敵を巻き添え撃破できた場合は投擲兵器による撃破となる。
故に、ヅダプレイヤーと周囲は『命は投げ捨てるもの』という迷言が生まれた※。誰がうまいことを言えと……低コスト機故のクールタイムの短さを使ってゾンビアタックを行うものもたまにいる。(こわっ)
135mm対艦砲は射程の短い狙撃銃扱い、しかも弾速も遅くダウンポイントも低い上に、マスターデバイスという希少アイテムを三つも使用しなくては使えない。そのため使う人はほぼいない。
※ちなみにその台詞の発言者とヅダのパイロットの中の人は同じである
機体についての考察
圧倒的なまでの加速性能は当時のMSの中でも群を抜いており、一説では重量こそ61tとザクIより重いが最大推力58,700kgとされている。これはRX-78 ガンダムおよびジムの55,500kgを大きく凌駕する驚異的な数値である(ただし重量はガンダムおよびジムの方が軽い)。
前述のデュバル少佐のヅダを全速力で追いかけたジムも、結局追いつくことができず最終的に3機が空中分解を起こしていた。このことからも、ヅダのエンジンがかなり高出力であったことがうかがえる。
これを超える推力としてはゲルググの61,500kg、同等のものではリック・ドムの58,000kgがあるが、やはりヅダより軽い。機体の性能差で考えると、ヅダの場合は重い機体を高出力エンジンで無理矢理飛ばす形になっている。
とはいえその機体の重さも、推力を考慮して機体強度を高めた結果とも取れる。何故なら上述の通り、ヅダとジムが同じ機動をすればジムの方が先に空中分解することが分かっており、機体強度自体はジムより上なのだ。
(余談だが、ジムが空中分解に至るまで追撃した理由は、ヅダを取り逃せば「連邦のMSはジオンの欠陥機にも劣る」とプロパガンダのネタにされることを恐れたのと、後ろからキャデラック大尉のヅダが追ってきたためスピードを落とせなかったためとされている。もしくは初期製造型のジムだったのでパーツの品質が悪く、カタログスペック上は耐えられる速度だったのに分解してしまったのではという説もある)
また、劇中ではオリヴァー・マイが『EMS-10が分解する際の加速度曲線の数値はEMS-04のそれとほとんど同じだった』という趣旨の発言をしている描写があり、一部では、ヅダは機体どころかエンジンすら改良されていなかったのではないかという見方もある。現にデュバル少佐は劇中で3番機が暴走した際、「制動は諦めてエンジンカットしろ」と命令しており、漫画版で描かれたEMS-04時代の事故でも、殉職したパイロットがエンジンの制御不能を報告している。
そのため、『機体強度を考慮されてはいたが、それでも出力が過剰で、制動力にも問題があった』『エンジン自体の安全性に欠陥があった』と考えるのが妥当だろう。
一部のゲームなどにおいてはザクよりも軽装甲な機体となっていることがあるが、「ゴーストファイター」の名の通り、開発記録については詳しいことは不明であり、「装甲を削って機体軽量化による高加速度を実現した結果、空中分解する欠陥を抱えた」というのも推測の域を出ない(繰り返しになるが、ヅダの重量はザクIおよびジムより重い)。
いずれにせよヅダというMSは、その性能そのものは高いながらも、性能に技術力が追い付かず、最後まで時代に翻弄され続け、時代の流れの犠牲となった悲劇の機体であると言える。
もし、この過激なエンジン出力を制御し、なおかつ運動性と機動力を犠牲にしないような機体が作れていたら、一年戦争の結末は違うものになっていたのかもしれない。
一方で、ザクⅠとのトライアルはエリオット・レムをして「勝負に負けて試合に勝った」としてザクの安定性を維持しつつヅダに匹敵する性能を確保するという目標で高機動型ザクⅡを開発するに至っており、加えてウォルフガング少佐が運用した機体はそのエンジンの欠陥が、多くの人命を救う重要な役割を担う事になる。
ヅダが「空中分解を引き起こす危険極まりない欠陥兵器である」という事実は拭い去る事ができない。
しかしそれでも決してヅダはゴーストファイターなどではなく、一年戦争という歴史の中で、確かにその存在を証明したのだ。
関連項目
機動戦士ガンダム_MS_IGLOO ジオン軍 試作機 欠陥機
旧ザク ザクⅡ ヨルムンガンド ヒルドルブ ゼーゴック オッゴ ビグ・ラング ゲム・カモフ
ゲルググ:こちらは生まれてくるのが遅すぎた機体
グフイグナイテッド:同じく高い性能を惜しまれ開発を続けられた機体
トールギス、ユニオンフラッグカスタム:同じく高い機動力を持ち、なおかつそれに耐えうる強度を持つが、今度はパイロットが耐えられなくなってしまった。
本機の元ネタとなったドイツの戦闘機。He112でBf109とのコンペに敗れたハインケル社の関係者は、異様に好意的な航空省技術局長ウーデット大佐の後押しもあり捲土重来を期してHe100を開発するも、不採用となりプロパガンダに使われた。
本機の元ネタとなったロシアの戦闘機。超高速の迎撃機として開発されたが、フルパワー運転し続けるとエンジンが燃料を吸い込む力が燃料ポンプの能力を超えてしまい、出力制御不能に陥りエンジンが壊れるまで暴走する欠陥がある。ちなみに速度制限こそ課されているが正式採用機。