CV:大塚周夫
概要
大塚周夫によって初めて演じられたねずみ男。
衣装の色は2期では青っぽいねずみ色、墓場では原作同様に黄色だった。ただし児童書などで2期のねずみ男の衣が黄色だったことはある。
アニメ版では原作以上とも言えるレベルで目玉おやじから一貫して煙たがられる一方、鬼太郎からは比較的大事に扱われている。
オーディション嫌いで知られた大塚がオーディションに参加して得た数少ない役の一つ。
なお当時は先にオーディションで演じていた小林清志が良い芝居をしていたそうだが、大塚はあえておどけた様子で演じて役を勝ち取ったという。
悪役のボス的な立場が多い大塚によって、ねずみ男役はレギュラーとしては数少ない小悪党系の役で、人間的な性格のねずみ男は大塚のお気に入りであった。よってインタビューで話し始めるとなかなか止まらなかった。
声を演じた大塚は、「半妖怪という人間にも妖怪にもなれず、どこにもいけない世界で生き続けたことで人格が荒み、やけっぱちな性格になっていった」と解釈し、原作者の水木しげるにアドリブを入れたいと相談すると快諾され、自由に演じたという。
時々オネエ言葉になるのも、例えば人に話しかける時「お前」と言うと当たりがキツく聞こえるため「あなた」と少しオネエ路線で行くと印象が柔らかくなるとの考えから出た、大塚なりの工夫によるものとのこと。この辺りのオネエ言葉の技術は目玉の親父を演じた田の中勇に教えてもらったという。
ただし原作でも稀に「おっとっと、逃げちゃいやよ」などとオネエ言葉に近い台詞を話している。
大塚周夫はアニメ以外にも例外的な作品でねずみ男を演じる機会が多くあったが、映像化作品としては墓場で演じたのが久しぶりであり、同作でねずみ男役のオファーが来た時は非常に喜んでいたとされる。
1期
「妖怪研究家ナンバー1のこの俺が言ってるんだ、これは妖怪の仕業よ。これを治すにはゲゲゲの鬼太郎の力を借りる他ないの」
1期の2話から登場し、以降は全話において何らかの出番があった。
また、1期は登場してても活躍しない話が初期は多かったが、番組が続くにつれて2期の片鱗が見えるようなあくどい商売に手を付けるようになる。
初期は原作と同様とにかく鬼太郎をすぐ裏切って敵についたり、人からお金を騙し取るなど小悪党的な悪事が目立っていた。
原作同様に不潔だが1期では控えめで、全身の皮膚病は作画都合で省略されていた。
1期の初期は手厳しい対応を取られることも多く、鬼太郎からは「クズ」「ノロマ」などと罵られるなど酷い扱いだったが、回を重ねるごとに悪友として描かれることが多くなった。
さら小僧の回では彼の機嫌を治すため鬼太郎が接待をするもお金が付きてしまい、目玉おやじに「金ならねずみ男が持っとる」とたかられてしまい、拒否するもさら小僧に脅されて金を出す羽目になるという可哀想な回も見られた。
良くも悪くも1期よりも鬼太郎親子との関係が気安かった時代と言えるだろう。
2期
「日本のラルフ・ネーダーみたいな顔して、人の成功を尽く邪魔するんだから!」
2期は完全に全話登場となり、しかも1話の冒頭に登場するのはねずみ男である。
主役級な活躍回も頻繁となっており、時には鬼太郎よりも目立ち、話を動かす回も多かった。
2期は原作並かそれ以上に鬼太郎を容赦なく裏切ることが多い。さらに2期からは、猫娘が登場したことで折檻のパターンにも幅が生まれた。また、この頃は猫娘との関係はそこまで悪くない回もあり、腐れ縁的関係となっている。
2期で不潔さはパワーアップする反面、皮膚病の描写は省略され続けた。
鬼太郎も2期では殺されかけても軽い折檻で許したり笑い飛ばしている。また、シリーズを通してどんなに酷い時でも一時的な絶交などで済ませている。
半妖怪として原作より多少妖気の感度が鈍い面も描かれ、それゆえに助かった事例もあれば、利用されて痛い目を見たこともある。
例えば「大首」では骨女に小狡い犯罪をでっち上げられ、警察に掴まりかけた際は「俺は妖怪だから罪に問われる謂れはない」と返すも、骨女から素性をバラされていたこともあり警官から「お前は半妖怪だから半分だけ警察の厄介になる義理がある」と言われ、掴まりかけてしまった。また、「地相眼」の回では半妖怪のため、人間であればヘソに付いてそれぞれのことを見渡せる宝珠「天相眼」と「水相眼」が付かず、売るしかなくなったりしていた。
一方で「ふくろさげ」の回では人間なら全てのエネルギーを吸われてしまうところ、半妖怪であることから力を半分吸われるだけで済み、生き残ることができた。
戦いにおいて役に立つことはほとんどなかったが、1・2期のねずみ男は口臭だけを武器にしていたことも特徴。恐らく自主規制と思われるが、後の世になって放屁が解禁されたという興味深い例とも言える。
墓場
「そんな奴が政治しとるのかね、チェッ」
大塚が黄色い衣装のねずみ男を演じた唯一の作品で、大塚演じるねずみ男で強烈なオナラの描写シーンがあるのも本作のみ。また、原作にもあった皮膚からの粉だけでなく、フケにも相手を気絶させる効果を発揮していた。
原作初期のイメージのため、頭頂部で盛り上がったようなガウンの部分のデザインはない。
怪奇愛好家である設定が強調されており、不気味な目にあってもよほど自身に危害が加えられない限り、平然としている度胸強さを見せている。
また、本作では原作初期にいて「お化け大学卒」を自称する設定を盛り込みつつ、後にそれが嘘だったと判明する形で、前後で噛み合わない学歴を融合している。