強い者だけがたらふく食べて
弱いものは全滅するなんて
そんなの僕、嫌いです。
概要
前作から2年半後に続編として製作されたTVアニメシリーズで、1971年10月7日から1972年9月28日まで放送された。全45話(1期との通算は全110話)。
鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男は全話登場。新しくレギュラーとなった猫娘も、時々未登場回はあったが全話登場に近い扱いである。
続編とは言うものの、物語的な連続性には乏しく、ファンの間では続編として扱うことは不適切という声もある。
しかしスタッフの大半は続投し、劇伴や主題歌などは1期と同様のものを使用している。さらにキャラクターデザインなども前作と同様で、それを踏襲しつつ一部改変が加えられている。
そして何より本作では、1期でアニメ化されたエピソードのリメイクが一切行われていない。
作品自体は好評だったものの、当時は仮面ライダーに代表されるヒーローブームの中にあり、視聴者・顧客の奪い合いで苦戦を強いられた。これに原作ストックの枯渇も相まって、アニメ鬼太郎で唯一、1年の壁を越えられなかったシリーズとなった。独自性の強い作品なだけに、話数の少なさは今でも惜しまれている。
しかし放送終了後も根強い人気を保ち続け、1期とともに夏・冬休みのシーズンを中心に繰り返し再放送された。これが新しい世代のファンを獲得して3期制作の機運をもたらすことになる。
放映当時から時を経た現代では、白黒というインパクトに加えアニメ初代という立ち位置の第1期と、歴代最高視聴率の第3期という注目度の高い2作品に挟まれ、一般的な印象はやや薄い感がある。
それでも、こだわり抜いた作風や方針はコアなファンから高い評価を受け「味わい深いエピソードが多い」と評価されている。またインパクトの強い話が多く、影響を受けた元視聴者世代のスタッフにより、後のシリーズで本作オリジナルのエピソードがリメイクされることも少なくない。
主題歌
- オープニング「ゲゲゲの鬼太郎」歌:熊倉一雄
前作と同様。しかし映像は一新され、SEが追加されている。シリーズを通して2021年現在、SEがデフォルトで挿入されているのは本作のみ。
- エンディング「カランコロンの歌」歌:加藤みどりとコロムビアゆりかご会
こちらも前作と同様。しかし映像の構成はかなり変わっており、クレジット用の帯とアニメーション部が概ねしっかり分けられるようになった。妖怪ポストに吐き出される親父、こんにゃくのようにグニャグニャ動く下駄など、前作以上にコミカルに作られている。
作風
原作のストックは多くなかったため、原作者の水木しげるが発表した短編マンガのエピソードが転用されている。特にサラリーマン死神からは同作の主役である「死神」も、キャラクターとして準レギュラー化している。ただし異なる原作を用いてることから鬼太郎の介入が薄く、傍観者になるパターンも多かった。反面、扱いやすさからかねずみ男の活躍が目立ち、時にはまるで主役のようになっている。
技術の向上とカラー化の影響もあってか、ヒロイックに味付けされた1期よりもホラー要素・風刺的で不気味な雰囲気など、怪奇ものらしい要素が強くなった作品が数話ある。特に「イースター島奇談」「足跡の怪」など、多くの視聴者にトラウマを植え付けたエピソードはファンの間で語り草となっており、これらを子供時代に(再放送)見て影響されたアニメスタッフが、5期・6期でリメイクを制作する動機にもなっている。
エピソードの中にはメッセージ性を多く含んだもの、原作を遥かに越える寒気を感じさせるもの、バッドエンドにすることで教訓を促すものが目立つ。高度経済成長期の最盛期に起こった自然破壊、環境破壊、ゴミ問題などにフォーカスし、人間批判的なエピソードも多く見られた。
そのため純粋な続編でありながら、エンタテイメント性を重視した1期とは対照的な作風に仕上がっている。
キャラクターたちの変遷
鬼太郎・目玉おやじ・ねずみ男に加え、このシリーズからは猫娘がレギュラーメンバーとなる。この4人それぞれの役割や立ち位置が、鬼太郎ファミリーの基礎となった。
当時のアニメ作品のセオリーとして、レギュラーには女の子キャラの存在も必要だと考えたスタッフは、原作者の水木に相談する。そこで水木は、原作でも鬼太郎と同じ年頃の妖怪友達であり、猫がモチーフであるためねずみ男の抑え役にも適するとして、猫娘を提案した。
こうして1期には存在しなかったヒロインが加わり、作品の雰囲気に華を添えることに成功している。
ただし当時は鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男が作品の主人公格と見なされていたため猫娘は当時のキービジュアルやEDには映っておらず、OPでも出番は僅か。本編でも今では考えられない程に未登場回が多かった。
とはいえ、2期におけるヒロインとしての活躍が功を奏し、存在感が大きくなったことで、猫娘は現在までに至る鬼太郎ファミリー四番手・ヒロインの位置づけを獲得、後にはこの設定が原作にも逆輸入されている。
他の準レギュラーメンバーは、出番は増えつつもゲストと同じ扱いにとどまっている。
その中にあって、砂かけ婆はほぼデザインが確立され(ただし目だけは不安定)、妖怪アパートの大家という設定が付与されたことで出番も増えている。(ただしアパートの外観は毎回異なっていた)
配信サイトの紹介では、2期も鬼太郎ファミリーが映っているキャプチャが使われていることが多い。が、実際は先の事情から、後のファミリーが集結したり、ましてや集合して戦う回はあまりない。むしろそれより増えている場面もある。
一方、本作のみ準レギュラーとなっている死神は、敵役として登場した後、宮仕えの哀愁を漂わせる存在としてキャラが立ち、そのまま定着している。これは後のぬらりひょんに通じるものがある。
レギュラーキャスト
準レギュラー
本作から声優クレジットの末尾に「協力 青二プロ」と表記されるようになった。
本作は1期の続編ゆえに、鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男のキャストは前作から続投。
他の声優は、前作で砂かけ婆役だった小串容子が、本作ではレギュラーになった猫娘役を担当。砂かけは3話から山本圭子の持ち役となり、山本はその後、4期と5期でも同役を続投した。
レギュラーキャスト以外の配役は安定していなかったが、その中で死神役だけは一貫して神山卓三が担当している。
1971年10月28日放送の第4話のみ、田の中勇の急な体調不良のため、代役として大竹宏が目玉おやじを務めた。このため大竹は、田の中の生前に目玉おやじを演じた数少ない声優となった。
キャラクターとしての2期鬼太郎
絵柄や色使いの影響でやや色黒に描かれる。加えて当時流行の劇画タッチが取り入れられているため、筋骨のしっかりした足に見えることが多く、その点が強調されることもある。
背は1期よりも少しだけ伸びているようだが、同一人物なのでよく見ないと判別出来ないレベルである。
第1話で晴耕雨読の生活を送る(猫娘には鬼太郎らしくないと嫌がられた)など、性格は第1期終了後の2年間で大人びており、滅多に子供っぽい顔を見せることはなく、しっかり者の少年といった感じになっている。
基本的には丁寧に喋るが、一人称や口調はころころと変わり、「俺」という一人称を使ったり、「~~だぜ」といったワイルドな口調になることも多かった。
人間と争う場面も多く、「悪い人間は許せない」と、人間の悪辣さを憎む心を見せることがあった。とりわけ卑劣な人間には「とっ捕まえて地獄の責め苦を味わわせてやる!」と憤るなど、妖怪としての怖さを容赦なく見せつけている。その際には貸本時代の「墓場鬼太郎」のような不気味な笑みも浮かべていた。この「恐ろしい妖怪としての鬼太郎」は、原点回帰を謳った4期以降のシリーズに継承されていくことになる。
人間に対する態度は中立的で、人間に肩入れしすぎることはなくなった。特に「地相眼」では助けを求めてきた人間に対し、不可抗力とはいえ人間側にも非があった(天文観測用の秘宝を持ち出した)ことから「地相眼を作る材料として息子の命を差し出せ(要約)」という妖怪の要求に対し「妖怪側の紳士的な態度に答えるべき」と説いたこともある。
ねずみ男との関係
ねずみ男に対する態度は1期よりも軟化している。自ら絶交を言い渡す回もあるものの、一反もめんが「見捨てた方が世のため」と発言した際には、叱りつけて助けに行かせている。
- 「妖怪大裁判」
ねずみ男に罪をなすりつけられ、刑罰として身体を溶かされる寸前まで追い込まれたのにもかかわらず、途中で加担した百々爺の打倒に口添えしたことを慮ってか、裁判所に情状酌量を訴えて減刑に持ち込んでいる。
- 「死神」
死神と共謀して自身の母親の偽物を仕立てられた時、ゲゲゲの森の住人は追放処分にすべきと怒る中、ねずみ男が「死神が兄と騙って近づいてきたから裏切った」という言い訳を受け入れ、(自身も家族への情愛が強いため)全てを許している。
- 「ダイダラボッチ」
(ほぼ山の中で)喫茶店で話をしようと騙して奈落の底に落とされたが、最終的にその裏切りを利用して敵を撃破。事件後は「いつものこと」と言った風に平然として特に咎めず、ねずみ男の愚痴にもジョークで返した。もっともこの時はねずみ男がダイダラボッチ対策のため捨て石同然の扱いを受けていたため、鬼太郎にも罪悪感があったのかもしれない。
他にも自殺に追い込まれるなど、酷い目にあわされたりもしているが、基本的にねずみ男のことは大事な仲間として見ている。
余談
- 第5話「あしまがり」は、現在だと自主規制的な放送禁止エピソードとなっている。「あしまがり」という言葉が「足に障害を持つ人間に対して差別に聞こえるのではないか」という懸念が理由である。ただし、内容的には当該妖怪の名称以外は(他のエピソードと比較して)特に問題視される要素はない。ソフト化や有料配信の際は漏れなく収録されており、完全な封印作品というわけではない。
- 本作では前作と打って変わって、目玉おやじが術を使うエピソードが非常に多い。これは偶然そういった原作エピソードが未消化だったためであるが、本作のイメージから「目玉おやじは強い」という印象を抱く視聴者も多い。
- 「あかなめ」という名前の妖怪が二回登場(「マンモスフラワー」と「あかなめ」)し、どちらもエピソードでメインを張っているが、デザインも大きさも設定もまるで異なる(というより前者は「妖怪」、後者はほぼ「怪獣」である)。そして現在知られる水木しげる風のデザイン(正規の妖怪画として描いたものも含めて)とも違う。ただしどちらも汚れに纏わる妖怪であることは共通している。
- 地上波での再放送回数は放送当時を含めて非常に多いことで有名で、世代外の人間にも広まっている。
- 先の通り、後年の4期~6期の平成鬼太郎では、演出などで2期へのオマージュが見られるようになった。ある意味では2期は平成鬼太郎の祖と言えるかもしれない。
- 第5期では、1期オリジナルエピソードの「心配屋」が第60話「働け!! 妖怪バリバリ」、「死人つき」が第64話「もうりょうの夜」としてリメイクされた。また第5話「呪われた映画」では、劇中劇の映画に「アンコールワットの亡霊」(5期での名前はクメール遺跡の亡霊)の筋書きが使われるなど、2期のエピソードがかなり取り込まれている。さらに、第2期屈指のホラーエピソード・「足跡の怪」を取り上げる予定もあったが、突然の打ち切り決定(詳細は5期鬼太郎を参照)によりお蔵入り。リメイクの夢は6期に持ち越され、10年越しに実現した。