概要
『ゲゲゲの鬼太郎』(旧題:『墓場鬼太郎』)の主人公・鬼太郎の父親。妖怪。
かつて地上を支配していた種族である幽霊族の生き残りで、古代の事もよく知っている。
目玉に体の付いたユーモラスな外見。身長9.9cm で体重は33g。元々の年齢は500歳以上。
非常に博識で妖怪界隈に顔が広く、知識やコネクションの面で鬼太郎たちの行動をサポートする事が多い。
幽霊族は地球の先住民で「第一期人類」とも言える存在でもあり、人間と似た外見をしていた。
先祖は紀元前3800年頃、幽霊族の帝位にあった。オオクニヌシの時代の事もよく聞かされたとの事。
幽霊族の繁栄が頂点に達した紀元前2万年頃から、現在の人類が登場して徐々に世界中へ広がっていき、争いを好まない幽霊族が次第に世界の片隅へと追いやられ、やがて絶滅の危機に瀕することとなった。
そんな中で鬼太郎の父親は、身籠った妻の岩子とひっそり暮らしていた。
彼は本来2m以上の長身で他の幽霊族同様に人間とほぼ同じ姿だったが、不治の“溶ける病”を患い鬼太郎が生まれる頃には全身を包帯で覆ったミイラ男のような風貌に変わっていた。
目玉に胴と手足が生えた現在の姿は、妻ともども一度病死した直後に誕生した息子・鬼太郎を思う親心が目玉(左目)に宿り、溶けかけていた本体から自立して新しい体となったものである(アニメ6期のOPイントロ部分でも描かれている)。
「目玉おやじ」という名前は一種の愛称に近い呼び名である。この呼び方自体は最初から定着していたわけではなく、アニメ第1期と第2期ではクレジットも「父親」と表記されていた。
- 当時は関連書籍でも「鬼太郎のお父さん」などと記されていて、「目玉おやじ」が彼の名前として定着したのは第3期頃である。ただし、3期のクレジット表記は「目玉」だった。
「目玉おやじ」とクレジット含めて完全表記されるようになったのは4期から(4期は劇場版にては「目玉のおやじ」表記だった)。自身も「目玉のおやじじゃ」と名乗り、一部の作品では「目玉(の)おやじと呼ばれておる」と語っている。
鬼太郎誕生以前の本来の姿で永い年月親しいはずの妖怪たちも、現在の姿がそうであるとはいえ、「おやじ殿」や「目玉」「目玉のお父さん(こちらは児童向け文庫版の地の文に多い)」もしくは「鬼太郎のおやじ」などと呼び、なぜか作中において本来の名前で呼ばれる事が一度もない。そのため本名も未だに不明である。
『地上絵の秘密』では十一代前の祖先と会ったというイースター島の村長の長女である「世界のヘソ」や、インカ人の祖先である「世界のアタマ」から「世界の目玉」と呼ばれているので、意外と昔から目玉に類する本名又は異名を持っていたのかも知れない。
映画『鬼太郎誕生ゲゲゲの謎』では、歴代初となる本来・全盛期の姿が描写される事になり、視聴者を大いに驚かせた。
詳しくはゲゲ郎の記事を参照。
実写映画版では、鬼太郎350歳、猫娘400歳、ねずみ男1000歳であり、目玉おやじも2000年以上(紀元前から)生きている事になっている。
鬼太郎の妹として一時期登場していた雪姫の父親であるのかは不明だが、閻魔大王様お墨付きの血統書を見て目玉親父も鬼太郎も特に何も言っていなかった事から、その可能性は高い。
特徴
身体的特徴
普段は鬼太郎の左眼の眼窩に入っている。アニメ版でも描かれないだけで基本は同じだが、髪の毛に潜り込んでいるよう描写変更された。
- 鬼太郎の左目の眼窩奥には専用のベッドも用意している。
まぶたがある(黒目部分が閉じる)。原作者水木しげるは「泣いたり寝たりするのだからまぶたがあって当然」とし、原作でも眠る際や思案する時などは、まぶたを閉じている(結膜炎を患ったこともある)。
- 一方でまぶたを開いたまま眠ってた時もある。
目玉の状態でも喜怒哀楽は判別でき、怒った時の皺寄せまぶたや、笑ったにこやかな目もとなど、変化が見られる。怒って青スジが眼球に浮かぶ場合もある。
鬼太郎や雨ふり天狗の義眼として機能したこともあるが、雨ふり天狗は視覚が機能しているのかは分からなかった。
- 「鬼太郎大百科」の解剖図では、実は目の中に二つの目が縦に並んで一つの目を形成しているとされ、レンズが三重にもなっていて夜でも普通に見えるだけでなく、物の内部まで見ることもできる。
口は非常に小さいが、眼球の前下方に存在していることが小学館『鬼太郎大百科』の体内図解イラストで明らかにされた。原作本編やアニメでは曖昧にされている。
アニメ4期までは食事を摂る場面が滅多になく、演じる田の中を寂しがらせていた。好物はカエルの目玉スープ、サクランボ、梅、ハチミツ。朝食には朝露を夜食には夜露を飲み、身体の大きさからは考えられないほど酒も飲む。
アニメ5期では食事シーンが増え、魚の目玉スープの他、そうめんも好んで食べるようになった(ただし、腐るくらい大量にそうめんをもらい、ダイエットマシーンを買うために節約生活を余儀なくされたとはいえ、連日鬼太郎とそうめんづくしの食事になった時は、さすがに閉口していた)。さらに手の平サイズのくせにとんでもないうわばみでもあり、酒豪の大天狗よりも多く酒を飲むばかりか、いくら飲んでも体型がまったく変わらない。ただし人間界の馴染みの洋菓子店でシュークリームを食べた際は鬼太郎が絶句するほど肥大化している。もう幽霊族からギャグ補正族に変えた方がいいかもしれない
- 5期ではくしゃみをして鼻水を噴き出すシーンもあり、気管支も持っていることが改めて判明。実際別のシーンで風邪も引いて熱まで出している。
手にはヤモリのような吸盤、足にはネコのような鋭いツメが隠されている。この吸盤とツメで人や物に捕まったりよじ登ったり上に乗ったりしたままの状態が維持できる
- あまりも小さすぎるため、対象にツメで傷を付けたり痛みを感じさせることは全く無い。
- へそは危険を察知するとラッパの音が鳴る(アニメでは2期くらいにしか、へそは明確に描かれていない)。
性格
原作とアニメでは言葉づかいがかなり異なる。一人称は基本「わし」だが、原作では「俺」や「僕」となっている場合もある。
妖怪の中でも名門である幽霊族の、さらに正当な王族の末裔であることを誇りとしている。息子である鬼太郎にも平素からその自覚を持つよう言い聞かせており、彼の婚約者としてドラキュラ伯爵の娘を考えていたこともある。
こうした血筋もあってか、太古の時代より存在していた日本妖怪で彼と面識のない者が珍しいくらいであり、閻魔大王とも旧知の仲。
また、鬼太郎が誕生する以前は病気になるまで妻と世界中を放浪していたため、世界中の妖怪についての膨大な知識を持ち、これが後年に様々な妖怪と戦う鬼太郎の大きな助力となる。稀に「わしにもあの妖怪の正体は判らんな」とか「わしも見たことない妖怪じゃ」などと彼が発言すれば、仲間から「親父殿でも知らんとはな」と驚かれる程。
ちなみに変わり果てた姿となっていることについては、150年ぶりに会った魔女ロンロンなどをはじめ、あまり驚かれず話が進む。
ただし21世紀になると、都市伝説で誕生した妖怪の中には全く面識のない者も存在し始めるようになった。
ご先祖様由来の物を大事にしているため、鬼太郎が先祖の霊毛で編まれたちゃんちゃんこを失くした際には、申し訳なさから自殺しようとしたこともある。
アニメ5期ではちゃんちゃんこを奪った釜鳴りからちゃんちゃんこを奪い返すと怒りの一撃をぶちかまして叩きのめした。
家族愛も強く劇場版では妻を攫った相手には烈火の如く怒っている。
後述にもあるが原作漫画では『最愛の妻に化けて息子を殺そうとした』という考えられる目玉おやじの全ての地雷を踏み抜いた死神を窒息死させた。
体内には潜らずにジワジワと追い詰めるという手を取った辺り余程腹に据えかねたのだろう。
趣味は茶碗風呂。アニメ第3~5作では風呂のバリエーションが増え、ワンカップ風呂、湯飲み風呂、紅茶風呂、コーヒー風呂、砂風呂、酒風呂、茶碗ではなくイチゴパックを使った炭酸水プールなどと多彩。入る理由は、結構な綺麗好きなのはそうだが他にも涙を隠すためなどいろいろある。
第4作1話では長湯をし過ぎて「そろそろご飯食べたいんですが」と鬼太郎から上がって欲しい旨を言われてガックリ来たことも。また、茶碗風呂をベッド代わりもにしていた。
第6作ではわざわざシャンプーハットをかぶってシャンプーもしている。氷風呂に長く浸かり過ぎて体が青色に変色したこともある。
原作では、バックベアードと戦った後に仲間となることもあり、直接的かそうでないかは別として、バックベアードによって色ボケした鬼太郎は2度も助けられている。
『続ゲゲゲの鬼太郎』では、胎内回帰までやらかすほど(作者が)ハジけていた。
能力
不死性
やはりかつての地球の支配者であった幽霊族、目玉のおやじも只者ではない。
そもそも「目玉だけで生きている事がスゴイ」わけだが、息子同様、異常かつ異様な生命力を持ち、石化しても、踏み潰されて紙のように薄くなっても、目玉部分を潰されたり突き刺されても、天ぷらやフライにされて大やけどをしたり食われても、しばらくすると元通りになる。鬼太郎親子を食べることは(敵にとっての)死亡フラグでしかない。
胴体を釘で貫通されても大事には至らない。潰されても行動できるし空気入れで治る。体内にハート形の心臓があり、その気になれば水中でも昼寝が可能になるくらいタフな水陸両用である。ただし、それには意識してのモード切替が必要らしく、通常時は水の中では溺れてしまう。
『鬼太郎国盗り物語』では、鬼太郎共々飲まず食わずで十年間もの間、活動できることが明らかになっている。
また、例えば体内電気などの鬼太郎の戦闘にも耐えられる事も、不死身性を示しているといえよう(目玉おやじも同じ技が使えるからかもしれないが)。
例外的に、雨ふり天狗騒動で今の頭部になる目玉部分を現在の胴体から切断されそうになった時だけは、「わしは危うく文明の利器とやらでチョキンと殺られるとこじゃったわい」と生命の危機を訴えていた。
霊力を極端に大量放出するとしばらく立ち上がれなくなり、寿命にも縮まる影響を及ぼし、回復するためには長い休養が必要となる。
戦術
武器は針を使う。特殊な針を使う前提だが、奪衣婆の道具を破壊したこともある。
指先から出す霊波で遠隔地の仲間と交信したり、テレパシーで息子の危機を察知することもできる。
体が小さ過ぎて力そのものは非力に近いが、その小ささと不死性を活用し、敵に呑み込まれたり自ら体内に侵入したりすることで、内部から強烈に攻撃する事が可能。敵の脳に侵入して霊力で操る、脳の養分を吸収して死に至らしめる、顔のあらゆる穴から顔を出して撹乱させる、喉に入り行動不能にさせる、内蔵に穴を開ける、心臓を破裂させる、喉を塞いで窒息させる、他者の体内に寄生している敵を撃退する、鬼太郎の妖気を溜めこんで膨れ上がったねずみ男の腹をぶちやぶる(3期)など、かなり恐ろしい光景を見せる事がある。分裂したバックベアードを同士討ちさせたこともある。なお、ねずみ男を操作していた際にねずみ男がおたふく風邪を引いたが、この事までも目玉おやじの影響なのかは不明。
青年誌に連載され、エロ描写に力を入れたカオスな作品として知られる『続ゲゲゲの鬼太郎』では、女妖怪の子宮にしがみついて陣痛を起こさせる、鬼太郎のアソコから女の敵の体内に侵入してかき回すという変態チックな戦術もとったことがある。
妖術
肉体変形術
膨張して巨大なフロシキ状に変化(俗に言うフロシキ目玉)したり、目玉の大きさでも無理そうな狭い隙間を通り抜けることができる。
前述の通り、膨張し風呂敷状に変化した時は死神を窒息死させている。
逆モチ殺し
息子の鬼太郎が「世にも恐ろしい」と震え上がる技。作中では火車が「モチ殺し」でおやじを餅と一緒についた際に反撃として用いた。餅が流星のごとく飛ぶ大量の目玉になって敵を追跡して捕縛する。
鬼太郎の「コブ落とし」にどこか近い見た目だが、そちらより少々グロテクスさが増している。
アニメ2期では、毎使用に5年の寿命を消費するというリスキーな技と説明されている。
この技のおかげで、アニメ5期では、妖怪横丁の暴れん坊の火車も、目玉のおやじだけには頭が上がらない(ただし、「逆モチ殺し」という単語はなく、描写はないので5期で逆モチ殺しを使わなかった可能性もあることを留意。ねずみ男はその時に関わっていないのか、かわうそたちと共に目玉おやじが火車を懲らしめたと聞いて驚いていた)。
絵面が絵面なので現代では修正が入りそうな技であるが、6期でも修正なしで使用された。
5期では使わなかった代わりに鬼太郎の力を奪った釜鳴りから鬼太郎の力を取り返すとそれで一方的に撃破している。
その為、『姿や力を奪う能力を持った妖怪の力を逆に奪い取る(奪う能力じゃなくても可能)』という術のパターンの1つなのかもしれない(モチ殺しの術は相手の魂を変化させて捕食する術のため)。
そこから考えるなら目玉おやじと相対した時点で釜鳴りは詰んでいたと言える。
まぼろしの汽車
時間の航行が可能な汽車を召喚する大技で、鬼太郎への深い愛情をしてなさせるものである。
乗客は自身の状態が逆戻りするため、吸血鬼ピーの策略で凶暴な吸血鬼にされた鬼太郎や人間を助けることができた。
ただし消耗が激しく、1ヶ月の寝たきり状態になるうえ10年もの寿命を消費することになる。
アニメでは原作に近い形で使用したのは初登場となる2期のみ。3期と4期においては、閻魔大王様がまぼろしの汽車を管理しており、目玉のおやじがこの技を使用してもリスクがなくなった。
が、4期では原作ベースの吸血鬼ピーの話では普通の旧型汽車運行に差し替えられ、別エピソード(劇場版)において、この汽車を利用して西洋妖怪たち(リーダー格はピーと同じ吸血鬼のドラキュラ)が地獄から脱出を企てたこともある。
5期ではベースとなった原作の吸血鬼ピーの話が更に人間界のトレイン急行使用にアレンジされたため、まぼろしの汽車自体が出なかった。
6期では従来どおり目玉おやじの能力として登場。本作では目玉おやじの命を代償に一度だけ召喚できるタイムマシンのようなものであり、更には汽車の存在を他人(目玉おやじも含む)に話すとその者も命を落とすという文字通り命懸けの切り札に昇華した。猫娘を過去の時間へ送り、吸血鬼ピーの吸血鬼パンデミックを未然に防ごうとした。幾度の時間ループの果て、結果的に事件発生前に吸血鬼ピーを倒した事で、目玉おやじがまぼろしの汽車を使用する未来が無くなり、目玉おやじは生還することができた。
霊素
「霊素」と呼ばれる物質を吹き付ける。
目目連の「幽素」で石化させられた息子に必死で吹き付け、両物質が混じり(アニメ3期では霊素が不十分であり)、鬼太郎が幽霊化し、後で特定の処置を経て元に戻った。
(アニメ2期では、猫娘が「なんだか幽霊の素みたい」と絶妙な感想を漏らしている)
妖力波放射
妖怪としては基本的な能力で、半妖怪でも使用可能。
自らの妖気を電気またはビームやオーラのような形状のエネルギーにして発射し、様々な応用ができる(攻撃・防御・能力や技の強化・味方の補助など)。鬼太郎はこれまで、熱線、放熱、火炎放射、霊電気 (指からビーム状に発射するため体内電気とは別かもしれない)、冷気、エネルギー弾に変換している。
目玉のおやじの妖力波は、両手から細めなエネルギー状のものを発射して太い電流状態へ収束させる放出方法で、妖気で作られた海流を逆流させることも可能な程に強力。
魂の離脱
いわゆる幽体離脱で、精神だけで行動が可能。精神の集中を要する。
耳電話/霊波通信
どちらも、いわゆる遠距離にも対応可能なテレパシーだが、前者に関しては機械的な物質が耳の中にある。アニメではあまり利用されず、むしろ鬼太郎から取れた耳を利用した遠隔通信として使われている。
願望実現化
貸本版の『ないしょの話』にてのみ言及されたもので、目玉のおやじに願をかけると三つの願いを叶えてくれるらしい。
鬼太郎が否定していたが、ねずみ男が人間 (山田家)にこの能力を教え、人間が願をかけたところ実際に全部叶った。
だが実際に、そういった潜在能力が目玉おやじにあったのか単なる偶然だったのかは、不明なまま該当作品は幕を閉じた。
指鉄砲
アニメ6期第14話「まくら返しと幻の夢」にて、夢の世界で健康体時代をイメージした姿へ変化し使用。また同じく6期第48話「絶望と漆黒の虚無」では現在の姿のままで使用した。他シリーズでは使用していないが、5期では鬼太郎に指鉄砲を使えるよう指南している。
アニメ版
第1作の初放送以来、第5作終了まで実に40年もの長きに渡り、田の中勇がアニメを中心に様々な媒体で殆ど一貫して担当したので、田の中の声が幅広く浸透している。
基本的にキャラクター性は変わらないものの、時代に合わせていろいろと変更されている部分も多い。
所謂老人的な口調が中心になったのは、このアニメ版の影響が強く、墓場では多少若々しい口調になったが貫禄のある口調は映像化作品共通のもの。
鬼太郎と共に主役級で、殆ど全話登場だが、例外的に1期と3期の「幽霊電車」の回のみ、原作に合わせて未登場である(4~6期の「幽霊電車」の回では登場したが、ほぼ1シーンのみで台詞も一言程度と、極めて出番は少なかった)。
1期〜5期までは
第1期、第2期は、ほぼ同じで鬼太郎を強く思って、息子がかまぼこにされた際は借金までするほどだった。
反面、ねずみ男相手への言葉や態度は辛辣な場合が多く、これは後の期でもあまり変わらない。
2期は丁度目玉おやじが活躍するエピソードが多く、「本当は強い」というイメージが付いたのもこの辺りからである。
この頃は鬼太郎から年寄りであることをからかわれたりしたこともある。意外とアクティブであり、鬼太郎がピンチの時は意外とこの頃から自ら動いている場面がある。
2期ではねずみ男に煽られて、思わず金儲けに繋がる情報を流してしまったことがある。
第3期と第4期においても知恵物としての活躍が主であるが、声の変化自体はないため、それ以外のキャラクターと比べれば作品のカラーによる若干の差異はあれど、「息子思いな父親」で「知恵袋」という基本的な路線は変わらなかった。また、この頃までは明確な主役回というものはあまり見られない。
一方で、第3期では名前どおりのオヤジ発言をたびたび発しており、第39話で鬼太郎がキャバレーに通っていた疑惑を持たれた際は「わしも連れてけぇ」とぼやき、第41話では天童ユメコとのデートの支度をする息子に「仲良く、た・の・し・く、な。ぐふふっ!」と冷やかし、第76話ではおととの胸の谷間に匿われて「こりゃ悪くない」と喜んでいる。
第5期では、それまでに培ったマスコット性が開花し、現代社会の文化に染まる一面が顕著に見られた。そして本作で初めて本格的に主役回を大量的に得て、大活躍している。鬼太郎を愛する姿勢は同じなものの、5期の鬼太郎が控えめで流されやすい性格なこともあり、移り気なうえ好奇心旺盛なこともあって、そのテンションでよく振り回していた。また、田の中がノリノリで演じていることもあって、演技もかなりバリエーション豊か。
ミーハーな所があり、RPGにどハマりしたり、消防士のドラマに影響されて返事を「Yes,Daddy!!」に改めるよう求めたりしていた(その後は時代劇の感動親子ものにハマり、次回予告では刑事ドラマにハマって鬼太郎に「OK、ボス!!」と返事するように求めた)。妖怪大運動会に向けての練習の際は「ビリーズブートキャンプ」にハマっていると思わしき行動をしていた。めちゃイケの色とり忍者(実写映画とのコラボ)で披露した「緑の食べ物はグリーンカレーじゃ」という寝言を発したこともある。
笑いのツボがズレており、お笑い芸人タロウズの周囲が閉口するレベルの親父ギャグに1人だけ爆笑したり、どつきあい漫才に周囲が大笑いする中で目玉おやじだけがつまらなそうにしていた。親父ギャグに大ウケするは、友人の大天狗や閻魔大王ら地獄の十三王たちも同じである。その一方12話の次回予告では鬼太郎が発した「鬼太郎が来たろ」というギャグに大笑いしていたが、第88話では「こりゃダメじゃ」と呆れていた。
ダイエットや健康に気を使う場面も多く、ダイエット器具を買うために鬼太郎と共に節約生活を行ったり、ゴミ捨て場から拾った蓄音機をランニングマシーンとして再利用しようとして失敗したことがある。脳年齢アプリをプレイして一反木綿より脳年齢が90歳年下という結果を叩き出した。
また、鬼太郎のためにバイトして金を稼ぎ、自転車を買ってあげたことも。
墓場版では、「ゲゲゲ」よりも若かりし頃というためか口調がやや乱暴な面も見られたが、それでも原作に比べればマイルドで、「ゲゲゲ」にも近いキャラクター性となっていた。
ただし、原作以上に妖怪である彼ら親子と人間との差異が強調されているため、人間に対する態度は節々で非常にドライなものがある。
一方で、鬼太郎と違い水木親子に鬼太郎を育ててもらった恩義を感じたり、水木母の親心に共感したりと、人間の感覚をある程度理解している部分もあった。
放送期間が重なっていた5期では、目玉おやじのマスコット化が進んでいた。そのため、担当声優の田の中は「(ゲゲゲ5期では)最近やたらとイジられるので疲れる、だからこちらの方がやりやすい」としつつも、いつもとは違う演技を求められ、大変な部分もあったという。田の中(と野沢)曰く印象に残った場面は水神襲撃の場面とのこと。
田の中が演じる親父の主な口癖としては、鬼太郎を呼ぶ時の「オイ、鬼太郎」、落胆時の「トホホホホ……」。
他にも考え込んだ時の「フ~ム」、叱る時の「バカモ~ン」、目玉顔で脅かす時の「バァ……!」、首を振る時の「プルルルルルル……ン」、潰される時の「ムギュ~ン」などがある。
また、原作に併せて「イヒヒヒヒ」と甲高い声で笑うこともあった。
テレビ・ラジオ出演した際は「茶碗風呂はいいのう、いや~極楽極楽」という一節を演じることが多かった。
5期では体力のことを考えて担当しないと言ったり、ぼやいたりすることもあった田の中だが、作中ではアドリブをかなり飛ばしており、時にダジャレを交えることもあった(ダジャレ好きという設定のない4期で顕著)。
シリーズごとのキャラの違いを楽しむのも一興である。
6期以降
5期終了後の2010年に田の中が死去したこともあり、2018年より野沢雅子が引き継いで演じる。中の人が初代鬼太郎役だった上にお世辞にも鬼太郎がかつてのような成熟したキャラであるとは言えないので、余計に「父親」感が強い。
閉鎖的でドライに振舞うことが多い息子と違い、人間の世界に興味を持っているようで、初めて見るスマートフォンに人間の文明の進化を感じ、頬を染めつつ犬山まなに頼んで操作させてもらった。
5期ほど鬼太郎を振り回していないが、恋路に疎い鬼太郎を心配して、ねずみ男が渡してきた恋愛ゲームを徹夜で攻略するように強要したり、いやみのイロ気によって鬼太郎が猫娘に告白した時は「鬼太郎もやっと恋愛がわかってきたか」と感涙していた(もっとも、猫娘が鬼太郎に好意を寄せているということに気付いていないのか、すぐ側に猫娘がいるにも拘わらずシェアハウスで女性たちの相手をするように進言したことも)。
一方で躾は厳しいらしく、劇中では木ノ子や見上げ入道の餌食にされた子供達を叱っていた。息子に対しても例外ではなく、初めはまなに対してそっけない態度を取っていた際には、「それが助けてくれた相手にするお礼か」とたしなめたり、彼がまんまと名無しの計画に嵌って闇堕ちし、名無しの最終覚醒及び世界の破壊を招いた際には
「己の憎しみに囚われることがどう結果を生むかこれで分かったじゃろう!」と激怒したりしていた。
だがいやみによって色ボケ化した時は他のキャラ同様呆気なくキャラ崩壊。
「わしはまなちゃん家の子になる〜」と宣った。
猫娘曰く「息子の自慢話は長い」とのことで、妖怪大裁判では墓場の鬼太郎を彷彿とさせる昔の思い出を長々と語って時間稼ぎをした。
また、OPでは「ゲゲゲ」としては初のミイラ姿を披露しつつ、14話の夢世界では一時的ながら全盛期をイメージした姿を披露、話題となった。
「溶ける病」について
鬼太郎の父親が「目玉おやじ」となる原因となったこの病については、貸本版「妖奇伝」をリライトした月刊ガロ掲載版の原作「鬼太郎の誕生」に記述がある。
血液銀行に勤める青年・水木は、売血の中に輸血した人を幽霊(のような状態)にしてしまう『幽霊の血』が混じっていたことから調査を命じられる。その血を売った人物こそ後の鬼太郎の母であり、事情を尋ねた水木に対し「(夫が)不治の病にかかったためにその治療費を捻出しようと血液を売った」と答えるのだが、ガロ掲載版では特定の病名としてらい病(現代で言うハンセン病)と記されていた。
しかし、それが歴史上非常にデリケートな問題を含む病名であり、また、雑誌掲載当時は既に不治ではなくなっていたなど、事実と異なる記述や描写が行われていたことが問題とされた。このため後の改訂版単行本収録分からは「溶ける病」と改められている。
※この病気に関して、かつて国家がとった措置に対する訴訟で原告団体の代表を務めていた人物は、この設定について「病気の描写などには齟齬があるが、目玉のみとなっても子供を励ます親の愛の具現化であり、敬意を表したい」とコメントしている。
アニメ版における目玉以前の姿
グロテスクな設定のためか、アニメ版で先の設定が活かされる機会は少ない(というより触れられること自体がない)。目玉になる前の存在が示されたのは3期(布団の中なので容姿不明)、6期(OPでミイラ姿、14話で全盛期の姿)、墓場(ミイラ姿)くらいである。
6期をベースとした映画「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」では、現在の目玉姿に至るまでの物語に新たな解釈が行われるとともにキャラクターデザインも一新され、反響を呼んだ。
コナミゲーム版
声:熊倉一雄
田の中勇が健在だった際、第2作目における代役を除けば唯一目玉おやじを演じなかった作品。しかし演じている熊倉は、アニメ版第1期・2期の主題歌「ゲゲゲの鬼太郎」を歌った歌手にして声優でもある。
PS2版『異聞用怪奇譚』では、鬼太郎やねずみ男、猫娘はおろか、砂かけ婆や子泣き爺といった古参の妖怪といった周囲の殆どがIT化に順応していく中、一人だけついて行けず四苦八苦していた。この事は、目玉おやじのプライドが痛く傷つく事になった様で、ITに順応できない事を正当化したいがあまりIT否定主義に陥り、鬼太郎が妖怪パソコンで情報収集しようとするのを頭ごなしに𠮟りつけ、時には苛立って声を荒げることもあった。
戦闘にはほぼ参加しないため、ボイスで喋るパートは、ハードの制約からそもそもボイスパターンが少ないGBA版『危機一髪!妖怪列島』と同様、比較的少ない。
一方でPS版『逆襲!妖魔大血戦』では鬼太郎ともどもシナリオパート全般で登場し、しかもフルボイスであるため非常に多くの台詞を聞くことが出来る。
声の担当
目玉おやじ
- 田の中勇(アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第1〜5作、アニメ『墓場鬼太郎』、実写映画版)
- 野沢雅子(アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第6作、舞台版)
- 青野武(NHKハイビジョン特集『鬼太郎 幸せ探しの旅〜100年後の遠野物語』)
- 島田敏(ドラマ『水木しげるのゲゲゲの怪談』、劇場版アニメ『映画妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』、『BINGO 5 CM映像』)
- 大竹宏(アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第2作第4話『雨ふり天狗』代役)
- 熊倉一雄(コナミゲーム)
生前の姿(目玉だけになる前)
余談
漫画版では、各話が書かれた時期にもよるが、アニメ版とは異なる印象を持たせるような発言も少なくない。例えば、フランスの化け猫に鬼太郎が負けそうになった時は、切腹こそ日本の妖怪にふさわしいとして、子泣き爺や砂かけ婆などと協議して鬼太郎を切腹させようとしたことがある。
田の中没後初のテレビシリーズ第6弾では野沢が起用された事で、ゲゲゲシリーズだけでなく鬼太郎シリーズ全体で初の女性声優が担当する事になり、中の人が中の人だけに下のような所謂声優ネタ絵が次々と投稿されていく事になる。
6期では、とあるインタビューにて野沢が「田の中さんの演技をただ真似るのではなく、1期・2期の鬼太郎が成長して戻ってきたイメージで演じている」と答えている。
なお、とあるアフレコにて野沢氏が間違えて鬼太郎のセリフを言ってしまったことがあるらしい(野沢氏にとって鬼太郎は正に身体に刻み込まれているのである)。後任の鬼太郎役を務めている沢城みゆきも申し訳なさそうに「私、鬼太郎役やってもいいんですよね?」と確認する程だった。
ちなみに、国盗り物語に登場したモブのミイラ男の見た目が生前?の目玉おやじに似ている。
関連イラスト
関連タグ
目玉おやじ(夢世界の姿):第6期の夢世界限定の姿。CVは6期の目玉おやじのキャストである野沢氏がそのまま担当している。