曖昧さ回避
概要
水木しげるの創作妖怪。
古代の鯨で、ヒレの代わりに人間の様な手足のついた頭と胴体が大きな毛深い巨大生物。
研究次第では人類の夢である不老不死をもたらす可能性があるとされている。
貸本漫画の「鯨神」、貸本版墓場鬼太郎の一編「ないしょの話」、ゲゲゲの鬼太郎の長編『大海獣』に登場する。
TVアニメ版では、1期、3期に登場、4期では東映アニメフェア用の劇場版が制作された。
呼称
「大怪獣」ではなくて「大海獣」である。
「ないしょの話」では、当初は「ゼウグロドン」や「その子孫」と呼称されていたが、生態が既知の生物学から逸脱しており、また、原住民が「鯨神」と呼んでいるため、研究者たちも「鯨神」と呼ぶようになった。
呼称の変遷について
後の版では「ゼオクロノドン」に変更されている。「ゼウグロドン」は実在した古代生物で原始的なクジラ類である、バシロサウルスの異名と同じであるため、読者が混同しないよう配慮されたのかもしれない。
ただし、公式では現在でも関連商品などで「ゼウグロドン」の表記を使うことがある(参照)。
外見
ヒゲクジラ、とくにセミクジラかホッキョククジラのような特徴を持つホエリアン型である。
特徴的なクジラヒゲ(または歯)を下顎にも持ち、その意味では、名前の由来であるバシロサウルスよりも、ハクジラとヒゲクジラの中間である「マンマロドン」等に近い。
水木御大の描くヒゲクジラに見られる特徴的な口唇があり、パチンコ版を除く全世代に見られる。
尻尾は非常に小さく、遊泳や歩行にはほとんど機能しないと思われる。
目は角度や位置により、猫目に見えたり蛙のように見える場面もある。
大きさ
原作「大海獣」では、「クジラの6倍の大きさ」とされている。
- 種類にもよるが、平均体長が15mのセミクジラなら90m、20mのナガスクジラなら120mとなる。
「ないしょの話」では具体的な大きさは出されていないが、周囲との比較や海獣化した山田一郎が上陸して青森の実家にたどり着いても世間が騒いでいなかったことから、せいぜい20m前後と推測される。
その他
体色は『墓場鬼太郎』の復興版(参照)と3期(青黒)、原作と1期(茶または黄土)、4期(緑)、パチンコ版(灰蒼または緑)と世代によってかなり異なる。
虹彩は白またはオレンジまたは赤であるが、正常な状態とそうでない状態で変色する場合もある。
鳴き声も、世代によってかなり違う。
なお、科学的な考証は「ないしょの話」の方が後の作品よりも現実に近いものとなっている。
能力
数十万年から3億年前から生存し続け(後者は実際の新生代とかけ離れているのはご愛嬌)、人間の学者達からも「もはや妖怪の類」とされるほど神秘的で超自然的な生態を持ち、ニューギニアで確認された個体が3億年前「から」生存し続けると言われている。
その血液は注入された者を大海獣と化すという恐ろしい作用を有し、劇中では鬼太郎が山田秀一の企みにより大海獣化してしまった。
攻撃能力は怪力と噛みつき、潜航能力、高速で泳いで大渦を作るなど。
育毛光線
4期劇場版で有名な能力。
この毛生え光線に物理的な攻撃力はあるのかどうかは不明だが、照射された戦車が変形していた。媒体によっては、光線状だったり、フラッシュライトの様な描写がされている場合もある。また、第4期では、大きく吠えると咥内が光り光の粒子が見えることもある。
各作品での違い
各シリーズにおいて独自のキャラクター性を持つので、ここではその違いを解説する。
原案
貸本時代の原型(『鯨神』)ができる以前は、陰謀によって宇宙に放逐されて宇宙生物に寄生されて帰還した『ロケットマン』に登場する怪獣グラヤなどを経て、ほぼ同じ筋の『怪獣ラバン』という名で、なんと正真正銘ゴジラの血を投与された人間がゴジラそのものになっていくというものだった。
- グラヤには、前年に公開されたイギリス映画『原子人間』の影響を指摘する声もある。
核爆発と放射能の下りが関係があるかは不明だが、『怪獣ラバン』に登場したゴジラはしっかりと放射火炎も吐く(参照)。
また、それ以降も「鯨の肉を食べていた者が次第に鯨の化け物と化していく」という後の牛鬼などの構図に近い話であった(参照)。
墓場鬼太郎
おそらくは神秘的な生態を含めてか、また、ゼウグロドンと同定できないためか、原住民の呼称である「鯨神」で呼称される。
科学的考証もあり、大きさも能力も姿も後の作品よりは(いくらか)現実味がある。後の作品よりも前傾姿勢であり、頭部の形状や尻尾の大きさも後の作品とは異なる部分があり、より現実のセミクジラやホッキョククジラに近い。
水棲と陸生の中間に位置するとされている。
- ただし現実のバシロサウルスはほぼ完全に水棲生活を送っていた。
原住民には知られた存在であり、「ラド湖」という湖に棲息している。ねずみ男が血液採取器を撃ち込んだ事に怒り、「ウワハハハ」と哄笑ながら探検隊を壊滅させた。
研究者の山田一郎が、自身をライバル視する村岡に大海獣の血液を注入され、数日かけて変化した。
後のシリーズとは異なり、小型の段階で頭部などが既に大海獣に近い形状になっていた。海に落ちる際、山田は猛烈に水に飛び込む衝動に駆られており、海水に浸かった途端に巨大化が始まった。
この時にねずみ男も一緒に落ちており、悲嘆に暮れて半ば諦めムードの山田を励ましながら鬼太郎の助力を請うために、苦難の道ながらも日本へ向かう。
そして、無事に実家にたどり着き、干物となった目玉おやじを迎えに来た鬼太郎と出会う。鬼太郎は大海獣の魂が人間のものであることを認識し、すぐさま治療法を提唱し、数日かけて山田を元に戻す。
この時の鬼太郎は、ねずみ男が購入た人魂の干物を略奪して貪った結果身体が骨と皮になり、その治療のために被害者であるねずみ男に苦労を掛けておきながら、「日本一の無責任男とはもう会いたくない」と宣うクソガキぶりであった。
なお、「目玉おやじに三つの願いを叶える力がある」という噂が立ったのはこのエピソードである。
ゲゲゲの鬼太郎『国盗り物語』
相撲の観客として小型の個体が登場。当然のようにあぐらをかける。
アニメ第一期
変身時に陸上動物のような尻尾が見られ、鬼太郎に戻る際には毛のない部分の尾が見られえる。(おそらく)一番の特徴は、頭部のシルエットがヒゲクジラというよりはモンストロに近いことと、尻尾の身体に対するサイズ比が他に比べて大きいことである(水木御大の描くナガスクジラ科も似た頭部のシルエットを持つことがある)。また、山田に注射されて船上で変身が大きさ以外はある程度完了しているのも特徴(動画①②)。作画の不安定性が起因して、特に頭部の形状やプロポーションがかなり変化していたシーンも見られる。
アニメ作品では、第6期までの時点で唯一「鉄の大海獣/ロボット大海獣/ラジコン大海獣」と戦っている。この時のロボット大海獣は、目に虹彩がなく、頭の形状は大海獣共々、原作とは若干の差異がある(もっとも、大海獣とロボット海獣は、他のキャラクターと同じように、原作でも初版とそれ以降だけでなく、後に書き下ろした毎にけっこう姿に違いがある)。
アニメ第三期
ご覧の通り、3期版にだけ畝のような毛並みがある(頭部の形状もどこかナガスクジラ科を思わせる部分がある)。また、全体的に青黒く、この黒々しさは他には見られない。目は通常時はオレンジ色で、薬で凶暴になった時は赤化する。この時は牙も爬虫類っぽくなり、どこか「怪獣」っぽい顔つきになる。海獣化の際には手に鋭い爪が生えて居たり、歴代で唯一毛生え光線も未使用である。毛並みと能力では、『墓場鬼太郎』時代にアニメでは最も近いのかもしれない。
元の大海獣は鳥を手で追い払おうとしていたが、最初の注射器攻撃と自分の血を見ても悲しげな表情を浮かべて人間を攻撃しようとしなかった等、やはり優しい生き物である。
アニメ第四期
1996年公開の劇場作品に登場(同時上映は『ぬ~べ~』)。ストーリーと登場妖怪は原作の『大海獣』と『妖怪軍団』を合わせたものであり、山田一家や探検隊等、登場しないキャラクターもいる。ただし、モブのテレビキャスターが山田秀一のデザインを踏襲している。
緑色の体毛が目を引いており、目が隠れることもある。
全体的に、歴代でも最もがっちりとしており、頭部も(個人的に見れば)ヒゲクジラの特徴をアニメ版では最もよく捉えている。だが、牙が人間の歯のようになっていたり、正面からの風貌が異なっていたりなど、特に目の位置などが安定していない。
- 鬼太郎海獣が大きく吠えたシーンでは、喉が発光して光の粒子が吐息となっていたが、その際には風圧と共に「牙」が揺れている事からすると、クジラヒゲが変化したものの可能性がある。
声のエフェクトは、後に5期の妖怪四十七士の栃木県代表の雷獣にも使われた。
目は最初から赤く、これは実際のセミクジラの目が太陽光に当たった時の色に近い。歴代にあった、水木作品に特有のクジラの口のデザインがある場合もあるが常にではなく、また、それに近い模様が変身シーンに目の周りにできていた。
鬼太郎を変化させる媒体も血液ではなくて、「命の水」と呼ばれる妖力または霊力または生命力を含んだ水である。
(細田守が担当した変身シーンはトラウマものとされている)
シロナガスクジラの英語名が「Blue Whale」というのは、水中で美しい蒼色に輝くからであり、本作でもそれがよく再現されていた。
アニメ第五期
三条陸は鉄の大海獣を5期に登場させる気でいたが、叶わなかったとしている。
ちなみに、劇場版『日本爆裂』での夜刀神の声の一部は、4期版の海獣化鬼太郎の声に似ているが、声を再利用しているのかは不明。
アニメ第六期
登場ならず。
その他
一部の書籍では、因縁性が強い蛟龍と組み合う場面もある(参照)。
パチンコ版の外見はバージョンごとにずいぶん姿が異なっている。
- 『地獄からの使者』版では、『墓場鬼太郎』版を基にしたような灰蒼だが、より明るい色調である。正面からの顔は某味仙人にも見え、短い牙と幅の広い口はどこか見覚えがある。なお、尻尾の先まで毛に覆われているのは歴代初である。
- 『ブラック鬼太郎の野望』版はもはや妖怪獣の蛟竜を思わせる姿になっており、しかもなぜか鬼太郎と敵対する役になっている。毛は4期以来の緑色である。
類似するキャラクター
- グジラ:見ての通りである。
- アルクジラ/ハルクジラ:セミクジラやホッキョククジラがモチーフの後ろ足を持つキャラクターである。
- 封印されしもの・ゲルバイルMK・モジャギー(イザナギオンライン):大海獣に似ている指摘されることがある。
- ドラゴノザウルス:「大海獣」と言われたらこっちを思い浮かべる人もいる。
- 大怪獣ゲハラ:毛だらけで「毛」に関連する能力を持つ怪獣である。
- ガジュラ:ほんの少し大海獣に姿が似ている。
関連動画
外部リンク
関連タグ
ローペン、ミゴー/マサライ/マッサライ、カボ・マンダラット:水木しげるがイラストに残しているオセアニアのUMAや精霊や霊獣。
執筆者による考察
変化した鬼太郎ではなく、元の「ゼオクロノドン」が妖怪や自然神のような存在だったのかは不明である。
明確に妖怪だと示唆されたのは、ねずみ男が鋭い妖気を感じ取ったりしていた「ないしょの話」のみであるが、他の時も「超自然的」や「神秘的」であるとされている。
原作で人間が鬼太郎に探検隊の同行を依頼したのも、そういう部分が大きい。国盗り物語の個体は、他の妖怪達に混じって相撲を観戦していたため、もしかしたら妖怪なのかもしれない。
「ないしょの話」でも、「一体の生物が何十万年も生きながらえる事」「同じ形態を保つならば同族がいなければ辻褄が合わない事」「ゼウグロドンの子孫ならば水棲型のクジラに進化しているはずであろう事」「該当する陸海の中間型の化石が発見されていない事」など、もっともな疑問が提示されていた。
また、大海獣が現れた時には黒雲が起こり、生暖かい風が吹いたとされているが、これが大海獣に関連して発生した現象なのかは不明。
第4期劇場版について
この世界の状況は歴代でも特殊で、南方妖怪が崇める「ゼオクロノドン」と鬼太郎が変化した「大海獣」、変化した鬼太郎を見た人間が認識している「ゼオクロノドン」が、それぞれ同一の存在とは思えないほど異なった特徴を持っている。
南方妖怪が神と崇めるゼオクロノドンは、白骨化した状態でバルル島の山奥のプールに鎮座している。骨格の見た目は、大海獣の元ネタの一つでもあるバシロサウルスのそれを現生のヒゲクジラかマッコウクジラ等に寄せたような見た目であり、(あくまでも一部の場面にて)頭骨と手の骨が直接繋がっているという特異な部分以外はリアルな部分がある(大海獣の上半身のプロポーションに寄せたのだろうか?)。
この時点で「大海獣」とは別の存在であることが確認できる。また、骨格が水底に沈まずに静止しており、現生のナガスクジラ科に似た姿の霊体を纏っていることから、妖怪化/神化していたり意識を持った存在である可能性もある。「命の水」にゼオクロノドンの霊力/妖力が込められているのかは不明。
- 初めは、鬼太郎を海獣化させるのではなくて、ゼオクロノドンを直接復活させようとしたが、世界中の膨大な量の妖気を必要とするらしく、骨格の周囲にシルエットが浮かんだだけでもアカマタ・チンポ・やし落とし・キジムナーのリーダーは疲弊して諦めた。
- 大海獣化した鬼太郎を見ても南方妖怪が驚いていなかったことから、過去に同様の存在がいた/過去に変化した者がいた/こうなると予想できていた可能性がある。
- 井戸仙人が治療方を知っていた理由も興味深いが、ココの実の効果が変化全般や体内の物質の対処に効くのか、それとも過去に同じような事態、つまり大海獣化した者がいたのだろうか。
- 人間にはしっかりと「ゼオクロノドン」と認識されていたが、理論上は「大海獣」と同じ骨格をした化石等の情報が見つかっていないとこのような結論には至らないはずである。DNA調査をしても、鬼太郎のDNAが完全に書き換えられていない限りは人間の認識する種類とは違いが生じるはずである。
- 「大海獣」の姿は「ゼオクロノドンの血と妖気/生命力等を投与されて変化した妖怪「だけの姿」だと考察してもおかしくない。「毛」にまつわる特性と能力を体現していたり隻眼であるなど、鬼太郎らしい特徴がみられたが、体毛などの特徴(育毛光線は不明)は「人間の認識するゼオクロノドン」とも共通していたのだろうか。
これらのことから、
- 南方妖怪の認識するゼオクロノドンと人間の認識するゼオクロノドンは別の存在
- 過去に(一名または複数以上の)者が「命の水」を使って「大海獣」に変化したことがあり、そのまま命を落として化石などが発見されている
という可能性がある。
南方妖怪との和解の鍵となったシロナガスクジラの群れは、東京を破壊してしまって意気消沈した海獣鬼太郎を助けており、鬼太郎は彼らをゼオクロノドンの子孫だとしている。だが、鬼太郎自体が動物に好かれているので、クジラ達は鬼太郎だと認識して助けた可能性もある。実際問題、上記の問題を踏まえると、鯨達が見た目だけではご先祖様と判断できるかどうか疑問ではある。もしくは、ゼオクロノドンの霊が子孫に呼び掛けて鬼太郎を助けた可能性もあるのかもしれない(つまり、化け鯨が関連していた可能性もある)。なお、この時に来たシロナガスクジラ達は、(作画の関係上?) 頭頂部の形状がセミクジラかホッキョククジラにも似ているが、大海獣や周囲と比較すると、とんでもなく大型である。人間の追跡が効かなかったのも、ひょっとしたら何かがあるのかもしれない。
4期版を踏まえた上で
これまでに我々および鬼太郎シリーズの世界の人間が認識してきた「ゼオクロノドン」とは、実は「種」という概念よりも、「個体の集合体」と言った方が正しいのかどうかは不明である。「種」として存在していたのならば、4期版以外の世界で、なぜ(少なくとも)1体が3億年も生存できたのか、他にも同様の姿で生息していたはずなのに、なぜ他には現代まで生存していないのか、等の疑問が残る。
以下の説等が考えられる。
- 元々あの姿で元々個体数が少ない
- 元は普通の生物または違う特徴の種族だったが、個体数の減少と共に姿を変えていった
- 元々あの姿で生息数も確保されていたが、彼らを激減させる何かが発生した(恐竜と共存していた時代があるのならば、恐竜を絶滅させた環境の変化だろうか?)
- ニューギニアの個体は海獣化した何者かであり、人間達が発見してきた化石も海獣化した存在達の遺骨である(つまり、本来のゼオクロノドンは別の存在)
他の怪獣作品との関連性
ゴジラ
言わずもがな、前身の作品の『怪獣ラバン』にはゴジラが直接登場するだけでなく、メカニコングやメカゴジラやビオランテなどを先行する設定がみられた。
少年マガジンオリジナル版の漫画文庫に掲載されたコラム「妖怪紳士録」には、「人間ゴジラ(巨人ゴジラ)」という紙芝居が元になっていると記されている。
ゴジラの名前が「ゴリラ+クジラ」という由来だが、大海獣は「クジラ+ゴリラ」をイメージ的に体現したような姿である。ただし、ゴジラと違って放射能には強くないが、最終的には体外に排出している。
『ゴジラ』の最初期の企画されたストーリーは「クジラの化け物が東京を襲う」や「巨大なタコがインド洋で日本の捕鯨船を襲う」というものであり、また、「ゴジラ」の名付けの由来が、「鯨肉を好むゴリラのような男」という意味の「グジラ」と呼ばれた綱倉志郎だともされている。後述の通り、『化け鯨』も貸本時代に執筆が予定されていた時代には、「鯨の肉を好んで食べた男が変化する」という話がある。
伊藤氏による最初の鬼太郎は『キングコング』と同じ年から出版され、アニメ第一作の鬼太郎は『ゴジラ』の公開された1954年生まれであるが、この1954年生まれという設定には矛盾している部分があり、複数の材料から判断すると江戸時代には生まれていたと解釈する場合が正しい場合もある。
なお、何かの因果なのか、姿が非常に近い『モンスターファーム』シリーズのグジラは英語では「Zilla」と呼ばれる。
大映特撮
大映特撮と水木しげる作品の関係性は非常に強い(参照)。
漫画版における「鯨神」という呼称とセミクジラかホッキョククジラのような見た目、そしてこのシーンから、大映の『鯨神』がモデルになっている可能性がかなり高い。水木しげるは『怪談かえり船』にも鯨神を登場させている。そして、ガメラシリーズにおいても『鯨神』を意識した描写が見られる。
また、鬼太郎の動物や自然界との絆を描写するという意味では、ゴジラではなくガメラ(やモスラやガッパなど)に近いキャラクター性でもある。
「妖怪大戦争シリーズ」と昭和ガメラシリーズはタイアップして公開される事が多かっただけでなく、同じ俳優が出演していたり、大魔神が吸血妖怪ダイモンに影響を与えたり、劇中でもガメラと大魔神が言及されている。
また、姿こそ違うが大魔神は『悪魔くん』に登場したり、3期鬼太郎に登場した鎧武者のデザインのモデルになっている(大魔神はそもそもガメラの敵としてデザインされていた)。ペロリゴン(4期鬼太郎のEDにも登場している)の腹部のデザインには、昭和ガメラの影響が見て取れる。
『怪獣ラバン』におけるゴジラの登場のシークエンスは、昭和ギャオスのそれとかなり近いが、『怪獣ラバン』の方が先行している。
また、マンモス・フラワーと草体の関連性、ガメラの鳴き声が牛鬼(水木しげるが『化け鯨』の執筆を中止する前は、牛鬼に近いストーリーだった)や野槌に流用されている、ガメラや大魔神と鬼太郎達が『虚実妖怪百物語』で共演している、『妖怪大戦争 ガーディアンズ:平安百鬼譚』でもガメラと大魔神が登場して、『ガメラマーチ』の替え歌と『ゲゲゲの鬼太郎の曲』が関連付けられている事からすると、モデルとなったゴジラよりもガメラとの関係性が強い。
他にも、大映が徳間書店の傘下だった時代にはスタジオジブリと同期であり、『平成狸合戦ぽんぽこ』には水木しげるの影響が強い。また、宮崎駿も子供時代にガメラ作品を劇場で観ていたと著作で書いていたり、ジブリ作品と平成ガメラが配給面で調整し合う関係だったり、『巨神兵東京に現わる』は直接的に平成ガメラからの影響を受けている。
余談
- 水木しげるの世界幻獣事典、には大海獣のような二足歩行をしたセミクジラ科またはコセミクジラのような頭を持つ存在が収録されており、毛や足がない事以外は大海獣にかなり似ている。
- 映画『クローバーフィールド』の怪獣は、公開以前はヒゲクジラ型だったと噂され、「実写版大海獣ではないか」と騒いだ人もいたとかいなかったとか。
- 「ロボット大海獣」はメカニコングよりも先に出た初の巨大怪獣型ロボットである。モデルの生物と戦うのは、後のメカニコングやメカゴジラなどにも見られる。見た目は大海獣よりも元ネタに近い。ちなみに、『ラバン』時代のそれはオリジナルのそれとも全く似ておらず、アヒルのような顔をしていた(参照)。
- 『大海獣』以外にも、『大怪獣』や『ラジコン大怪獣』などいくつかの異なるタイトルがある。つまり、後者の場合は敵キャラの名前が主題であった。
- 海獣化した鬼太郎を洋上で処分する際に使われた護衛艦は、「うらなみ」の可能性があるらしい。
- インドの大怪獣「ゴゴラ」が、ロボット海獣に似ているとの声も。