曖昧さ回避
もしかして
→ 火炎放射
→ かえんほうしゃ
概要
書籍等によって「放射能火炎」「放射熱線」と呼称が異なる場合もある。詳しくは下記の余談にて。
当初は強靭な肺活量を活かして放射能を多量に含んだ息を吐きかけ、あらゆる物質を発火・溶解させてしまう技であり、名称も白熱光であった。
やがてその設定は変わっていき、体内で核分裂を起こしてそのエネルギーをビーム状にして発射する、いわゆる熱線になった。
ビームのようなまとまった形状になるのは、「反応袋」と呼ばれる核物質をエネルギーに変換する器官(いわゆる原子炉)で生じる電磁気の作用によるものらしい。
ゴジラを象徴する技であると同時に最大の武器であり、この熱線によって多くの防衛軍兵器や敵怪獣を葬ってきた。
使用頻度は作品によってまちまちで、平成シリーズのように戦闘中にバンバン発射していた時もあれば、昭和シリーズやミレニアムシリーズのように格闘がメインでここぞという時にのみ使用している作品、ゴジラの超常性を象徴するような凄まじい一撃として描写される作品もある。
発射の直前に背びれが青白く発光するのも特徴。言い換えれば、ゴジラが背びれを発光させたら放射火炎を発射する気になったということである。作中では背びれの発光から熱線を発射すると予測して次の行動に移った者もいる。
青い発光はX線やチェレンコフ放射光のイメージとも、余剰エネルギーを排熱のように背びれから放射しているとも言われ、『決定版ゴジラ入門』では「放射火炎を吐く時は全身が放射線を帯びるが特に背びれの先に集中するために背びれが光って見える」としている。
作品によっては熱線や背びれが赤などの別の色で光ったり、効果音が異なるなど様々な表現が見られる。
ゴジラファンの中にはこの発光を「これ以上の危害を加えるなら反撃するぞ」というメッセージを兼ねた威嚇の生態ではないかと解釈する人もいる。実際にレジェンダリー版ゴジラは人類の監視施設の前にわざと姿を現し、熱線を吐く状況でもないのに背びれを点滅させていて、劇中でも威嚇行動の一種だと分析されていた。
もっとも、シリーズ各ゴジラとの初遭遇では人類も怪獣も「背びれの発光が熱線発射の兆候」という情報は持っていないため、光る背びれを怪訝に思った次の瞬間には熱線が直撃…というパターンも見られる。
比較的気軽に撃つタイプの作品では殆ど反動や負担なく発射できるため、撃ちながら首を動かして広い範囲を薙ぎ払ったり、対空射撃をしてみせたりもする。熱線の進行速度は明らかになっていないが、特に対空射撃では20~100メートル級の飛行怪獣はおろか、ゴジラからすればかなり小さく素早い戦闘機にすら直撃させて易々と撃ち落とす。
昭和シリーズ
(左側は「vsメガギラス」で見られた熱線に近い)
「ゴジラ」~「ゴジラの逆襲」では「白熱光」と呼称されている。
10万度の熱量を持ち、戦車や戦闘機を一撃で破壊するほどの威力。さすがに怪獣相手に一撃で致命傷を与える程の威力は無いが、射程は結構長く、投石と並んで貴重な遠距離攻撃として使われる。初代モスラ、クモンガ等この技でトドメを刺された怪獣も多い。資料によっては「白熱線」とするケースも。
初代の白熱光は火炎やガス状に撒き散らすような放射型で、一部では「放射噴霧」という俗称もある。
後に高速ビーム状の表現となり、当たった場所が爆発するといった描写に強化された。ちなみに初代の特殊技が絵で表現されたのはガメラも一緒。
ヘドラとの戦闘では、飛行するヘドラを追撃するためジェット噴射代わりに放射火炎を吹き空を飛ぶという荒業を披露。各シリーズの放射火炎は強くても「ゴジラが足を踏みしめる」程度で抑え込める反動だったのに比べて、この時はゴジラの巨体を推力のみで飛ばすという凄まじい反動を生み出した。
「ゴジラの息子」でもあるミニラも吐けるが、当初はドーナツ型で威力も弱かった。
ゴジラから猛特訓を受けたことにより、ゴジラと同様にビーム状の熱線を吐くことができるようになった。ただ怪獣総進撃で再登場した時はリング状に戻っており、瀕死のキングギドラに輪投げのごとく当ててトドメを刺した。
不採用に終わった設定だが、初代アンギラスも恐竜が放射能の影響で変異した怪獣であるため、白熱光を使用する予定だった。また、バラゴンの他、初代ガイガンも設定では熱線を吐くとされる。
平成VSシリーズ
基本的に「青い色のビーム」として描写される。
威力は昭和シリーズとは比較にならない程に上昇し、通常技としてジャンジャン使用しまくるのも他シリーズとの大きな違い。敵怪獣へのトドメにもよく使われる。
例外的に『ゴジラ』ではあまり熱線を吐いていないが、これは『VSビオランテ』以降で特技監督を務めた川北紘一氏が光線技の多用を好んだのに対し、『84ゴジラ』の特技監督であった中野昭慶氏が光線技よりも格闘や肉体のぶつかり合いなどを重視していたという演出の違いによるものである。
84ゴジラでは軽く発射する光球または火球型、最終作では発射不良なのか正式な攻撃なのか不明だが、口から青い光を瞬時に放ち、敵にショックとダメージを与えていた。
発射したまま薙ぎ払う事もできるので、出撃した東宝自衛隊がほぼ一撃で全滅ということも良く見られる。薙ぎ払われる自衛官の姿が明確に描かれた上、本当に一撃で全滅させられた84年版の上陸シーンは特に顕著。
放射するエネルギーはかなり細かく調節できるのか、倒れた同族にうっすらと光る赤いエネルギーを吐いて、体力を分け与えようとするシーンもあった。
『ゴジラ』~『ゴジラVSビオランテ』の段階でも直撃に耐えらえるのはスーパーXシリーズぐらいという強烈な熱線だったが、『ゴジラVSキングギドラ』で未来人の策略が失敗した結果、前作までよりも遥かにパワーアップしてしまった。しかも同作品では強化型の「スパイラル熱線」を使用。未来人のコントロール下におかれたギドラには致命打にならなかったものの、コントロールが解かれ戦闘能力が低下したギドラに対しては後述の体内放射との連続攻撃により真ん中の首を吹き飛ばした。また、後述のウラニウム・ハイパー熱線の熱量から『vsキングギドラ』以降の放射火炎の熱量は50万度とされる。
ゴジラザウルスの子供がゴジラ化したリトルゴジラも熱線を吐く能力は持っているが、この段階では泡のような光る球体をポロポロと吐き出す程度だった。
後にゴジラジュニアへ成長した際にはゴジラと同様の熱線状になり、口の周辺に小さな光る粒子が出る独特の表現になっていた。デストロイア集合体を撃退するほどの破壊力を誇るが、まだ未発達でありゴジラの放つ熱線の破壊力には及ばないらしい。
劇中で放射火炎に耐えられた人類側の兵器 | |
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スーパーX | パワーアップ前の放射火炎に4発まで耐えた。 |
スーパーX2 | パワーアップ前の放射火炎をファイヤーミラーで10発まで反射した(7発目でミラーが融け始めている)。 |
スーパーXⅢ | ミラーコーティングが万全の状態で更に飛行していたという好条件もあってか、パワーアップ後かつ暴走寸前の赤色熱戦を受けてなお計器から火花が出る以外まったくのノーダメージで完全に防御した。 |
スーパーメカゴジラ | ミラーコーティングと超耐熱合金NT1で完璧に防いだ。 |
MOGERA | 理論上はメカゴジラ以上の熱線耐久を持つが、ゴジラとの本格的な対決が実現しなかったため、劇中では一撃も喰らってない。 |
放射火炎があまり効き目が無かった怪獣 | |
バトラ幼虫 | 硬い甲殻に防がれてあまり効かなかった。ただし、シナリオ段階では『ゴジラ、とどめの熱線をバトラ幼虫に。』との記述がある。 |
モスラ成虫 | モスラが電磁鱗粉を撒いた為に、放射火炎を発射しても威力が無効化されてしまった |
スペースゴジラ | バリアによってほぼ完全に防御。さらに本体も高い防御力を誇っていたため、バリアが使えなくなるまでは事実上まったく通用しなかった。 |
ゴジラも放射火炎での戦闘に作戦や工夫を凝らすようになり、効かない相手や当たらない相手には色々と頭を使っている。
敵の攻撃でダウンした際や、瓦礫に埋もれた際に、追撃をかける為に接近してきた相手にカウンターで放射火炎をぶっ放す戦法は頑強なメカキングギドラやスペースゴジラ等にも通用していた。
ゴジラ側が多用したため、放射火炎を前提にした防御・反射機能を持つスーパーX2やスーパーメカゴジラ、ある程度なら耐えられるモゲラやスーパーX3など、対策を整えた相手と遭遇する事が多かったのも特徴。
特に反射機能についてゴジラが科学的に理解できたとは考えづらく、撃ち返されながらもゴリ押しで相手の耐久限界を押し切るといった荒々しい撃ち合いに陥ることもあった。例えばメカゴジラは初戦で放射火炎が効かないのを理解し、素早く接近戦を試みてはいるが、プラズマグレネードで吹き飛ばされ、ダウンからの不意打ちも効かなかったので格闘に持ち込めなかったようだ(幕張戦ではメカゴジラがオーバーヒートで飛べなかった隙をついて格闘でフルボッコにしている)
体内放射(エネルギー体内放出)
ゴジラVSビオランテより使用。
放射火炎のエネルギーを全身から周囲全体に放射する技。体のあちこちから細い扇形のビームを発して相手を引き裂いたビオランテ戦の描写と、それ以降の全方位に衝撃波を放つ描写がある。
当時の書籍では「背びれの付け根から放射する」「ビオランテ戦とそれ以降の体内放射では放射形式が異なる」等様々な記述が見られる。
ビオランテの触手に巻き付かれたりキングギドラに首を締め付けられ、拘束された際や放射火炎が吐けなくなった際の起死回生の一撃となっている。成虫モスラとの戦いにおいては電磁鱗粉で放射火炎が反射されて使えない状態から、向かってくるモスラを正面から弾き飛ばし鱗粉を相殺した。これ以外にも、成虫バトラとの戦いでも自身を生き埋めにしたビルの残骸から脱出する際に同様の演出が見られ、使用していた可能性がある。
また、体内放射の応用かメカゴジラにより体に打ち込まれた電流兵器ショックアンカー(Gクラッシャー)のワイヤーからエネルギーを逆流させ、メカゴジラ内部にダメージを与えたり、Gクラッシャーの装置を破壊したこともある。
バーニングゴジラがインフィニット熱線と同時に使用(暴発)した際は威力が格段に上昇しており、熱線との併用でデストロイアがズタボロになった上に余波だけで周囲が炎上している。
ミレニアムシリーズでも『ゴジラ2000 ミレニアム』でオルガを体内から粉砕。『ファイナルウォーズ』では自身のエネルギーを吸い取っていたカイザーギドラに対し、一気に多量のエネルギーを流し込むことで拘束を破った。
ゴジラ2016の背鰭と尻尾からの熱線(後述)も体内放射の一種とする意見がある。
別作品シリーズだが『ウルトラマンX』第15話に登場した古代怪獣ゴメスもダークサンダーエナジーを浴びた影響で体内放射とよく似た技を使用できるようになっている。
ゴメスは元々ゴジラの着ぐるみを改造して作られており、この回が放送された日はちょうどゴジラの誕生日である11月3日だったので、狙ってやったものと思われる。
赤色熱線
ゴジラVSメカゴジラより使用。
色が赤くなり、通常の放射火炎とは比較にならない程にパワーアップしている。バーニングゴジラでは常時この状態になってしまっている。
ウラニウムハイパー熱線 | ファイヤーラドンのエネルギーを吸収し発動。ミラーコーティングが融けていたとはいえスーパーメカゴジラの超耐熱合金NT1でも7発までしか耐えられなかった。熱量は100万度と通常の放射火炎の2倍の熱量を持つ。 |
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バーンスパイラル熱線 | 宇宙エネルギーを吸収し発動。スペースゴジラにトドメを刺し、既に満身創痍だったとはいえメカゴジラ以上の防御力を持つMOGERAの頭部を粉砕した。熱量は90万度 |
赤色熱線 | 暴走しバーニングゴジラとなったことで常時熱線が赤色となっている。威力も高まっているのか、メカゴジラと同等の防御力を持つスーパーXⅢが完全に防げず、飛行に支障はないものの計器から火花が散っていた。炉心温度上昇時には高熱への耐性を持つはずのデストロイアのボディを破壊し、血を吹かせた。 |
インフィニット熱線 | 炉心暴走でメルトダウン寸前の異常な高エネルギーに加えて、敵への怒りとジュニアを失った悲しみで全力発射された熱線。発射前は背ビレが融け出すほど身体が過熱し、ゴジラの後方に高温の衝撃波を噴出した。発射中は強化された体内放射も暴発し、ゴジラ自身が燃え尽きるまで無限に熱量が上昇し続ける。再生したデストロイアでさえ手も足も出ずズタボロにされ逃走した。熱量でいえばシリーズ最強クラスの放射火炎だが、貫通力や射程などに関しては後年の作品でより凄まじい描写も出るようになった。 |
VSガイガンレクス・VSメガロ
冒頭ナレーションなどで平成シリーズとの繋がりが示唆されている短編映画シリーズ。
このゴジラは放射能力を器用に操り「応用技」を放つ。
- 張り手での体内放射(仮)
体内放射に似た青い全身発光の後、胸から腕へと光が移動、掌に青い閃光を発生させながら、渾身の張り手をぶちかます。
突進してきたメガロにカウンターで叩きつけ、凄まじい衝撃波とともに吹っ飛ばした。
その後の接近戦でも、腕を青白く発光させながらメガロの腕を払っている。
遠隔分析によれば「熱線の応用技」で「エネルギー効率が良い」らしく、分析官は「こんな手も持っていたのか…」と驚嘆していた。
この時のゴジラは自衛隊の特殊弾(アレか?)の効果により体内の熱核エネルギーが最大値の3割ほどまで減退していたため、効率の良い攻撃技を選択したのかもしれない。
- 衝撃波(仮)
口のみから閃光を放ち、距離と範囲を絞った衝撃波を吐く。劇中では格闘からの連携でメガロの胸板にぶつけて怯ませたり、組み付いて顔面に直撃させている。
- 体内放射ジャンプ(仮)
背びれ全体から体内放射の衝撃波を発して反動で瞬間的に跳躍する。
手足の動きとは無関係にいきなり跳び上がったゴジラが宙を舞い、メガロに強烈なドロップキックを叩き込んだ。
- 白色の熱線(仮)
ガイガンレクスやメガロにとどめを刺した本作ゴジラの奥の手。背びれや胸部を激しく白色に発光させ、眩い純白の熱線を吐く。
量産型ガイガンなら命中した瞬間に跡形もなく爆散させ、パワーアップ状態のガイガンレクスが放った光線さえも上回る威力を持つ。
メガロ戦では組み付かれた状態で至近距離から発射。エネルギー不足だったからか、ほんの一瞬薙ぎ払った程度の発射だったが、その一撃でメガロを胴体から真っ二つに溶断、余波の当たった地面から巨大な爆炎が上がった。
ミレニアムシリーズ
VSシリーズに比べると使用頻度は非常に少なく発射の溜めも長くなっているが、大抵の相手に致命傷を与える高い威力に加えて、貫通力と爆発力、射程と精度など、より強力なビームという描写に変わった。
GMKでの初撃は地震とキノコ雲を発生させた。またバースト効果が見られるようになったのもGMKからである。航空機を狙い撃ちするシーンも増えた。
「ゴジラ2000 ミレニアム」「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」の二作品中でのみ赤色で描写されている。特に後者は初代ゴジラが生存しているという世界観のため、初の襲来から熱線を吐いていたことになる。これらのタイプは、歴代でも特に「炎」感が強い。なお、初期2作の熱線が赤色だったのは東海村の原発事故に対する配慮があったためという噂があるが、真偽のほどは不明。本来なら、こんなカラーリングだったのかもしれない。
パチンコ「CRゴジラ3S-Tバトル」では往年のカラーリングだった。
機龍二部作に登場するゴジラは熱線を放つ際、背びれが光るシーンでは「ボンッボボボンッ」とストロボのような効果音が付いている。また、以前のミレニアムシリーズ作品よりは平成シリーズの熱線寄りになった。威力がかなり変動するらしく、崖崩れを起こす程度からビルを貫通しただけでなく機龍を空中で半回転させながらぶっ飛ばすレベルのケースもある。発射の際には口元から青い爆炎が吹き出す。口を開けて静止したまま熱線を吐き出したこともある。
FWでは、プロレス的な表現が多いためか、ほとんどチャージなし&至近距離で走りながら敵に発射したり、足を地面に踏み入れアンカーとし、大気圏外の巨大隕石を正確に撃ち抜き破壊する、巨大で重い怪獣を撃ち上げて文字通り汚い花火にしてしまうなどの伝説を作った。描写だけなら歴代最強クラスと呼ばれている。
VSシリーズまで放射火炎は光学合成で表現されていたが、ミレニアムシリーズからはCG合成になっており、この表現変更に対しては特撮ファンの賛否両論となっている。
引力放射熱線 | GMKで使用。千年竜王魏怒羅の引力光線を吸収して放つ熱線。通常熱線には耐えた魏怒羅さえ爆散させた。 |
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ハイパースパイラル熱線 | 宇宙から落下してきた隕石(モンスターX)を迎撃する際に使用。普段より長くチャージして撃つ。大気圏外まで射程距離があり、その名のとおり通常の熱線に比べ、螺旋を描きながら放たれていくのが特徴。絶大な破壊力を持つが、前述のようにチャージに時間がかかることや、エネルギーの消耗が激しいのが欠点・・・だが、直後のモンスターXとの戦闘ではバンバン熱線を放っている。 |
バーニングGスパーク熱線 | 尾崎真一操る新・轟天号より、G粒子エネルギーを授けられて復活・パワーアップしたために使用可能となり、発動。人間の助力やエネルギーを使用した唯一の熱線。色は赤色熱戦と同じく赤で、カイザーギドラを大気圏外まで吹き飛ばしトドメを刺した。おそらくインフィニット熱線と並ぶ最強クラスの放射火炎。なお、発射の際にはなぜかゴジラ自身も一回転ターンする予備動作が入った。 |
シン・ゴジラ
作中では「放射線流」と呼称。実態は超高出力の荷電粒子砲とも。日本の発電総量を超えるとさえ言われる体内原子炉で生み出したエネルギーをビームとして撃ち出す。
本作のゴジラは段階を経て二足歩行の巨大怪獣に進化していき、放射線流はメインビジュアルである第4形態になってから使用する。
中間形態では咆哮とともに口から高熱の陽炎だけを激しく噴き上げるシーンがあり、その様相は原子力発電所や火力発電所などの大規模な熱機関も連想させる。
発射の際はまず体内の発光色が赤から紫に変わり、眼球が水銀のような遮光膜で覆われ、下顎の先が蛇のように左右に割れることで頭部が発射口と化す。
この作品のゴジラは歯が摂食に適した構造ではなく、口内に舌も無いことから、口腔は放射線流の発射に特化した器官であると推測されている。
他作品のゴジラのように豪快に口から溢れ出るような太い光線を吐かず、自身の熱線を避けて目や口を守るような構造になっているのも大きな特徴のひとつとされる。
初使用時にはまず口から大量の黒煙と暴風を噴射し、エネルギーが増すことで真っ赤な爆炎を吹き出す。まだ熱線としては不完全な状態であるが、この段階でも高熱を帯びており、広範囲のビル街一帯を猛烈な熱風と炎で焼き払って吹き飛ばすという凄まじい威力を見せた。
- 文字通り、その爆発的な火炎の拡大と威力から、後述のエメリッヒ版ゴジラ同様、吐息に可燃性物質が含まれているのではないかという考えるファンもいる。
この段階の火炎は収束されていない分、SF的な「熱線」としての破壊力は無いが、地面に向けて吹き付けられた大量の炎は洪水の如く爆発的に周囲へ広がる。
これを市街地のド真ん中、さらに逃げ遅れていた多くの都民が一時的に地下鉄に避難していた状態で吐いたため、具体的な描写こそないものの甚大な被害が出た事が示唆されている。
- のちに株式会社カラーより公開された香盤表によると「地下街に熱焔が流れ込む」というシーンがあったことが確認できる。
この爆炎状態では背鰭の発光と吐き出すものの色が一致しておらず、これは実写作品では初のこと。海外の観客の感想は「スペースシャトルの離陸みたい」らしい。
また、普通の火としての「火炎」を吐いたのも今回が初であり、放射「火炎」と放射「熱線」を両方使えるのは異例中の異例。
下を向いてゴウゴウと吐き出す姿から、レジェンダリー版に続く第二のゲロゴジなどと呼ぶ人も。
そしてエネルギーが最大化することで焔は急速に集束し、プラズマジェットよろしく細い紫色の熱線へと変化する。シリーズ屈指の長大な射程と、一辺50m程度のビル数棟をもまとめて一瞬で切断するほどの熱量を有する貫通性と破壊力を併せ持つ恐るべき殺戮光線であり、これをかなりの長時間にわたって持続発射できる。
熱線の太さが約1m、ビルを切断する時間が0.1秒、破壊が熱のみで起こった溶断だと仮定すると計算上は熱線が当たった物体が16万℃に加熱されたことになり、これに耐えられる物質は地球上はおろか宇宙のどこにも存在しない。
さらに、あろうことか背ビレの間からもこのおっかない威力の熱線を針山のように十数本近く同時発射できるように自己進化した。
劇中の観測によれば、皮膚下にフェーズドアレイ・レーダーのような器官が生成されているらしく、全方向を死角なく常時監視し、近づく物体は反射的にどこからでも熱線を出して撃ち落とせる。
熱線が持続する間は大量の航空機による空爆を単独で捌き切るという、生きた広域対空システムと化した。
しかし、その文字通り天文学的な破壊力にともなって莫大なエネルギーを消費し、照射中にエネルギーが低下してくると熱線の集束を維持できなくなって火炎に戻ってしまう。
初使用時には15分弱の間に通常熱線と背部熱線を連続で使用した後は活動を停止して休眠状態に陥り、活動再開可能までのエネルギーチャージに19日という長い時間を要した。
また、反射的な自動迎撃という習性には加えられた攻撃全てを叩き落とそうとするあまり、エネルギーを垂れ流し続けるという欠点もあった。
この燃費の悪さはゴジラ自身も自覚していたようであり、休眠の間にエネルギー効率の改善を行い、活動再開後のヤシオリ作戦の際には「何本もの熱線を乱射するよりも、1本の熱線を砲塔のように動かす方が効率的に多くの敵を攻撃できる」と判断したか、長大な尻尾の先端から熱線を放てるよう身体構造を修正。熱線を自由自在に振り回して複数の標的を薙ぎ払う能力を発現する。
結果、熱線の集束状態を約1時間もキープできるようになり、炎に戻っても20分後にはまた熱線を吐けるほどチャージサイクルも早まっていた。
長射程や破壊規模、熱線発射前などはGMKゴジラに近いが、目黒区一帯を一瞬で文字通りの火炎地獄に変えたインパクトやこれまでにない光線の演出から、与えられる絶望感という点では歴代ゴジラでも随一と評する声も。
GMKゴジラはシンより体格が小さいにもかかわらず清水市を一撃で壊滅、広範囲に人間がよろめくレベルの地震を誘発、着弾時には巨大なキノコ雲が立つ、自らの肉体を破壊できる唯一の手段という歴代でも一番踏み込んだものだったが、その演出は劇中の感想どおり一瞬で吹き飛ばす大爆発であり、シンの方は理論上防げるものが存在しない超常の光線で延々と薙ぎ払うという点でかなり印象が異なっている。
様相が全く違い比較のしようがないためどれがいちばん強いという話でもないが、被害状況にせよ威力にせよ、歴代トップクラスのエネルギーを秘めた放射火炎であることは間違いないだろう。
背鰭からのエネルギーが他の部分に流出するのはレジェンダリー版に、赤熱化するのはデスゴジに似ているという声もある。また、今作での効果音は、爆炎が昭和やVSシリーズの放射火炎のものを、熱線がゴジラVSモスラで使われたもの(もしくはデストロイアのオキシジェン・デストロイヤー・レイのもの)、拡散放射が初代ウルトラマンのスペシウム光線と同じものが使用されている。
特例的な外伝クロスオーバーではあるが、監督つながりでエヴァンゲリオンを引き合いに威力が説明されたことがあるのも特徴。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンにて2019年5月31日から期間限定開催されたアトラクション『ゴジラ対エヴァンゲリオン・ザ・ リアル 4-D』によれば、シン・ゴジラの放射線流は直撃ならEVAのATフィールドを瞬時に破砕、機体まで融解させ大ダメージを与えるという設定になっている。
核弾頭級の爆弾さえ防ぐATフィールドを力ずくで突破できるのは、エヴァンゲリオン劇中でも日本中の電力を一か所に集めたポジトロンスナイパーライフルぐらいであり、同等以上のエネルギーを体一つで生み出すシン・ゴジラのパワーと蓄積能力の凄まじさを物語る。
また、「P(パチンコ)ゴジラ対エヴァンゲリオン」のPVではEVAのコアに放射線流を撃ち込むことでG細胞の力を覚醒させ、ゴジラとEVAの融合体を生み出してみせた。
映画でタッグを組んだ樋口氏と庵野氏が関係している平成ガメラ『大怪獣空中決戦』の樋口氏によるコンテでは、プラズマ火球を吐く際には口が大きく裂け、首元が発光するなど放射線流との共通点が見られる。また、後述のエメゴジのアニメ作品でも首元が発光する。
アニメ映画版
電気や電磁波を伴う熱線という設定になっている。本作のゴジラは電磁波を放出しない肉体構造ゆえに普段はほとんど探知ができないとされるが、熱線を発射する際には強力な電磁パルスを放出するという。
小説やパンフレットでは高加速荷電粒子ビームと説明されており、発射の際には身体と背鰭が帯電し、そうして生み出したエネルギーを鼻先辺りに集束させた後、それをフッと吹き飛ばすような感じで青白い細長い強烈な熱線を放射する。
英語音声の第一章では従来通りに「Atomic breath」と呼称されていたが、口から吐くわけではないことを反映したのか、第二章と第三章では「Heat Ray」という呼称に変更されている。劇中に登場する英語字幕も同様。
そのエネルギー規模たるやコロラドの山を一撃で貫くどころかヒマラヤ山脈の一部を融解させるというなんだかよくわからない威力になっているが、出力および射程の調整は自在なようで小型かつ高速で動くホバーバイクが標的でもかなり正確に射抜くことが可能。最大射程は30kmにも及ぶという。
どの程度の頻度で使っていたはハッキリしないが、今作のゴジラは単独で地球全土の人類社会を圧倒し崩壊させるレベルの能力を持っており、大きな被害にはこの熱線も関わっていたと考える人もいる。
さらに、非常に長期間に渡るエネルギー充填と極圏の低温海水による冷却によって放たれた史上最大規模の熱線は「紅蓮の龍が天に昇っていく」と表現される程の巨大な火柱状で、“直径30kmで月と同等の質量を持った光速の数%で地球へ飛来する小惑星”を一撃で破壊するというとんでもない威力を発揮した。この時の閃光はアイスランドでは「北からの夜明け」として、日本の北海道では「真っ赤な虹」として観測できたと言われる。その際に発生するEMPも半端な規模ではなかったとされ、影響範囲は半径300km以上に及び、異星技術で防護されていた電子機器類を破壊しただけでなく、北半球上に存在する多くの人工衛星にも多大な影響を与えた。
これでもなお最大出力がどの程度かは判明しなかったため、月や火星に移住しても狙撃される可能性を考慮して、人類はゴジラから逃げるために太陽系から脱出するという決断を余儀なくされた。
この他に本編第二章では数万年かけてさらに成長を遂げたゴジラ・アースが体内電磁波を重力波振動に変換して周囲一帯に高熱を放つ能力を披露しており、描写は異なるもののこれも体内放射のバリエーションの一種と言えるだろう。
ゴジラS.P
第2形態ゴジラテレストリスと第3形態ゴジラウルティマで使用。
テレストリスは背鰭を発光させながら口の前方に光のリングを形成し発射。突如出現した巨大ラドンを一撃で撃破している。このリングには空間をねじ曲げる効果があり、直撃した巨大ラドンは回転しながら墜落した。
ウルティマは大小七つのリング型重力レンズを射線上に展開、喉の3つの穴から違う化学物質を噴射して口内で融合させ、一気に息を吐くことで化学反応で発火し、重力により熱線を収斂圧縮して「原子ビーム」として発射するようになり、その一撃は戦車やビルを焼き払い周辺一帯を火の海に変える。
第10話終盤で見せた初弾の威力はシン・ゴジラ版のそれを若干マイルドにしたような具合であり、その破壊力が弾着地点の爆発ではなく熱量による溶断や貫徹に由来する点も共通している。また射程距離も長大で、劇中では一点に照射することで東京都庁舎をはじめ複数棟の高層ビルをまとめてぶち抜く様子が確認できる。
その後ゴジラの成長と連動するように威力も上昇の一途をたどり、マンダとの戦闘時にはマンダもろとも廃ビルを一瞬で溶断しているほか、体高100m以上へと成長を遂げた際にはラドンの群れを一瞬で灰にし、紅塵の雲をも切り裂いていた。
ゴジラのテーマのアレンジが流れる中、爆発の中からウルティマに進化した姿を現し、熱線発射からゴジラの眼光を見せつけるようなカットで終わる一連の演出は必見。
また、第1形態のゴジラアンフィビアの時にはリングや熱線の代わりに「マイナス20度のガス状物質」を口から放出しており、それが自衛隊の攻撃で引火すると高温のガスへと変化、それによって自らも巻き込む原因不明の大爆発を引き起こしていた。これは攻撃というよりは更なる姿へ進化するための行動だった模様。
ゴジラが爆発を起こした後の周辺ではまるで前衛芸術のように不自然に同じ形に曲がった街灯などが発見されており、単なる爆発現象ではなくゴジラが空間への干渉能力を持つ可能性に言及された。
この可能性は、テレストリスやウルティマが生み出すリングの重力干渉で立証されることとなった。
また演出上で控えめになっているが、小説版では炎はこの世を灼くという記述もあり、破局の影響力も考えれば恐らく歴代の中でもトップクラスの威力をもった熱線ということになる。
その後のインタビューにてテレストリスのリングはゴジラの息子のオマージュであるほか、今回の熱線やリングの原理は脚本担当の円城搭氏によるものであり、「原子でもビームができる「レーザービームの原子版」」として手掛けたものであり、熱線自体は普段のゴジラと同じであるらしい。
Blu-ray第三巻の付録座談会によると、怪獣デザイン担当の山森氏曰く輪の発案は高橋監督(若干経緯が食い違っているが、円城氏の助言を受けた高橋監督が山森氏に伝達したのかもしれない)。山森氏自身は大きく口を開けて極太の熱線がロケットのジェット噴射の如く出ていくイメージだったが、太いと遠くまで届く印象にならないため、輪っかがレンズとして熱線を収束させレーザーポインターのように照射するイメージになったとのこと。
ウルティマの口内に化学物質が充満するプロセスも山森氏による座談会解説による。劇中描写をよく見るとガス状の煙が口腔に溜まっており、冷凍ガスを吐くアンフィビアからの延長線上の能力であることが見てとれる。
ゴジラ-1.0
劇中では単に「熱線」と呼称されている。
今作ではレジェンダリー版のように尻尾から頭にかけて順番に背鰭が青白く光り出すと同時に、背鰭が尾先から一列ずつ根本から押し出されるように飛び出していき(頭部に近づくにつれ、押し出されるまでのスパンが次第に短くなっていく)、全ての背鰭が飛び出した所で大きく息を吸い込み、インプロージョン方式の原子爆弾のように背鰭を一気に引っ込めることでトリガーとなり極太の熱線を口から放つ。また、『ゴジラ・ザ・シリーズ』と同様に首元の複数のラインが後方から発光する描写もある。
その威力(1発当たりの瞬間的な破壊力)は歴代でも最強クラスと言っても過言ではなく、作中銀座で国会議事堂前の戦車隊めがけて放った際には、国会議事堂はその超高熱で完全に分解され、着弾地点にキノコ雲が上がり、隕石が落ちたかのような巨大な陥没痕ができ、その周辺は消滅し更地と化した。さらに着弾地点から離れた距離にも、遮蔽物が無ければ人などいとも簡単に吹き飛んでしまうほどの爆風が発生し(また爆発による影響か、爆風が爆心地に向かって吹き戻っており、瓦礫も人ももろともいわばミックスにされたと思われる描写がある)、発射後には空に舞い上がった膨大な粉塵によって発生した「黒い雨」が降り注ぐ描写もあり、核爆弾級の威力に達しているとみていいだろう。
小説版によると、着弾地点たる国会議事堂から、半径6kmの範囲(広島原爆の約3倍)が爆風で壊滅したとされている。つまり銀座はおろか、東は江東区、西は渋谷、北は田端、南は品川まで超えた、山手線のほぼ全てに加えてその周辺の地域という超広範囲に被害を及ぼしたことになる。上空600mで爆発した結果、半径2kmの範囲を壊滅させた広島原爆と比較すると、その爆発エネルギーは爆心地が地上であることを考慮に入れて計算してもなんと約23.73倍(TNT換算で約356キロトン弱)に相当するという、原子爆弾すら超えた莫大な破壊力を持っているということになる。(国会議事堂を中心としてこの範囲であるため、皇居もGHQ(第一生命館)も当然被害範囲に含まれる。政府・GHQ・皇室関係者が事前に脱出していない限りゴジラ上陸後の日本は中央の統治機構が一切存在しない本物の無政府状態に陥った可能性がある。)
今作の熱線に関する一連の描写は核の申し子であるゴジラのイメージから、原子爆弾を投影したものとなっており、同じくキノコ雲を発生させたGMKのものより更に踏み込んだものとなっている。
しかし、一撃必殺の強大な威力と引き換えに熱線のエネルギーはゴジラ自身の身体も焼いてしまう諸刃の剣であり、このゴジラの持つ異常な再生速度を以てしても身体の再生に時間を要し、連発する事は出来ない。劇中では専ら怒りが頂点に達した時や、遠方の敵の迎撃の切り札として使用している。ただ海中では海水が身体を冷却する役目を果たしているため、地上に比べて再生が早い=発射間隔も短くなる。
多方面で話題を呼んだ今回の熱線の発射シーンだが、山崎監督は「知人からはカウントダウンがだんだん早くなるようにも見える演出の仕方が『欽ちゃんの仮装大賞』みたいだと言われた」とも語っている。
ハリウッド版
放射火炎の最も一般的な英語表記は「Atomic Breath」であるため、ドラゴンの炎のイメージが文化的なバックグラウンドにあるためなのか感性の違いなのか、はたまた向こうでは昭和シリーズの方がより知られてきたなのかは不明だが、「熱線」というより「ブレス」感が強い感がある。どちらかと言えば昭和の放射火炎に近い。
トライスター社
ヤン・デ・ボン版
デルガドザウルス、通称「ゴジラ」は、地球の古代人が遺した生物兵器であり、口からは高温の水蒸気ブレスを発射する(コンセプトアートの一つ)。
- PS4のゲームでは、初代ゴジラの水蒸気熱線は射程が少ないが最強クラスの威力を持っている。
エメリッヒ版
1998年に登場したゴジラは放射火炎を吐く能力を持っていない。
ただし、火種のある場所に猛烈な息を吐きかけることで爆炎を発生させ吹きつけることができ、ノベライズ版などの一部資料では「パワーブレス」「パワーブラスト」「ホットブレス」等と呼称されている。放射能を含んでいるかは言及されていないが、強靭な肺活量を活かすという点では白熱光の原案にも近い。
ただの吐息で炎が拡大するというのも不思議な話であるため、一部のファンからは「エメゴジの吐息には可燃性物質が含まれているのでは」という空想も出ている。
炎はともかく、その勢いはアスファルト舗装を剥がして巻き上げ、軍のジープを250m吹き飛ばすなど、吐息のパワーだけでも凄まじいという設定であり、物理的な圧力や破壊力では初代の白熱光以上の被害を出すとも考えられる。
劇中では雨天かつ発火物に直撃していない状況ながら、ひと吹きで軽々と自動車を巻きあげ、そのまま圧力だけで起爆させ吹っ飛ばしている。たとえばビルなどに直接吹きかければ、基礎の柱などを残して吹き倒すことすら可能なのではと考える人もいる。
- 製作段階ではしっかりと熱線を吐かせる予定だったらしく、実際にコンセプトアートが複数確認されており(参照)、中には鼻から噴射する物もあった(参照)。また、当時の玩具にもその名残として「熱線ミサイル」を吐かせる物があった。
- 制作予定があった続編ではしっかり熱線を吐けるように進化する設定があっただけでなく、東宝版の初代ゴジラのように海中で積極的に使用する。下のアニメ版同様、武器以外にも生態機能として機能性に優れる。余談だが、ドラゴンの生態を科学的に考察したドキュメンタリーでも、道具としての火炎の応用が描かれている(参照)。
このゴジラの子供である「キング・オブ・モンスター ゴジラ」は突然変異の影響で日本版ゴジラ同様に熱線を吐けるようになり、この熱線も一部資料では「パワーブレス」と呼称されている。
火炎にしては弾速と射程、連射性能、貫通力と質量、寸止めや威力の調整などに優れており、万能性は全シリーズでも随一。これは実写続編の名残らしい。火炎自体が太いので命中率も良い。
ハイパワー型でなくとも、米軍の戦車・ヘリ部隊を一瞬で殲滅する、エイリアンの宇宙船を撃墜する、巨大な怪獣を吹き飛ばすなど、「東宝版の初代以上二代目以下」という強さ設定が果たして生きているのかと思える弾速と威力もあり、使い勝手の良さはかなりのもの。一部の資料ではそのまんま火炎放射や日本のゴジラの熱線を太くした感じだが、色がオレンジ色だったりもする。基本的には明緑色の火炎を纏った白熱光であり、東宝版の昭和と平成の放射火炎をミックスさせた感がある。
背鰭の発光は後方から流れるように波状に一度だけ蒼白などにフラッシュし、目が黄や赤に発光するなどの特徴がある。首元や目まで発光することから、発光のパターンは後年のレジェンダリー版やシン・ゴジラの尻尾熱線に通じるものがある。首元だけが発光する場合もある。
三段階に威力が調整可能で、目の発光と連動する。
- 映画で予定されていたエメゴジの熱線も、線の細さがシン・ゴジラのそれに似ているという意見もある。
「東宝版の初代以上二代目以下」の通常型や「ハイ・パワーブレス」、使用することは稀だが火球バージョンもある。相当な熱量を持っており、鉄を溶かし、砂をガラスに変え、冷気とぶつかれば瞬時に竜巻や嵐を引き起こす。
親が熱線を吐く段階にあったコンセプトアートにも見られたドラゴンハートのドレイコよろしく「鼻からの熱線」は、一度だけジュニアが鼻から火球を発射する事でフォローした。
エイリアンが親ゴジラの死体を改造して誕生した「サイバーゴジラ」も口から熱線を吐くことが可能となった。この他に二代目の嫁のコモディスラックスは青いパワーブレスを使用している。
ZILLA
『ファイナルウォーズ』に登場した「ジラ」は強酸を含んだ火炎「Acidic Firing Beam」(英名)を吐くという裏設定があり、直接吐いている場面はないものの、発射したと思われる火炎が犠牲者を襲うシーンはある。
レジェンダリー版
2014年公開のハリウッド版に登場する個体も放射熱線を吐く能力を持っている。
体内の放射能エネルギーと生体電気による引火現象であり、演出はビーム状と言うより青白い火炎を勢いよく放出する形。
やはり熱線を放つ直前には背ビレが青白く発光するが、尻尾の先端から背中、首と段階的に光が登っていく、エネルギーの流れを表現するかのようなパターンとなっている。
1作目では、さほど負担なく発射していた日本のゴジラシリーズに比べ、膨大なエネルギーを消耗するというリスクがあり、奥の手として使用していた。劇中でも使用後にゴジラは疲労困憊して倒れこんでしまい、しばらくの間行動不能に陥っていた。
威力は昭和時代の熱線に近いレベルなようで、劇中ではMUTOの雌個体に対する決め技として使われたものの、自身に匹敵するほど硬い外皮を持つMUTOには一時的に怯ませるくらいの効果しか無かった。今作のゴジラはこれを腕力という名の工夫で補ったが、そのトドメの熱線の吐き方から「ゲロゴジ」という俗称が付けられたりした。
2019年公開された続編『キング・オブ・モンスターズ』では、五年の歳月を経て成長・進化したことで熱線を積極的に使用でき、より太く強力なビームとして吐けるようになった。
「友」から核爆発のエネルギーを受け取り、その制御能力を得たヒートウォーク形態では、猛烈な衝撃波と高熱を併せ持つ体内放射型の攻撃も放っている。
『ゴジラvsコング』においても「好敵手」に対する怒りから更にパワーアップし、地上から地下空洞へ貫くほどの史上最大クラスの熱線を発射している。
さらにコングが地下空間で発見したコングアックスの刃にはゴジラの同族とおぼしき生物の背びれが用いられており、これに熱線を撃ち込みエネルギーを帯びさせて斧の威力を上げるという応用も見せている。
『ゴジラxコング:新たなる帝国』では、スカーキングによる地上侵攻に向けた迎撃準備のためフランスの原子力発電所を襲撃しエナジャイズドゴジラへの進化を果たし、莫大な規模の体内放射で無人戦闘機部隊を一掃した。
そして、ゴジラエヴォルヴへの進化を果たした後は熱線も青が混じった赤紫色へと変化し威力も底上げされている。
その他
映画以外の媒体ではホーミング熱線、熱線ソードなどの技も登場しているが、ジェット噴射代わりに飛んでしまった事を思えばそんなに変ではない…だろうか?
こうした応用型への発展はガメラの火球でも、限定的な半公式作品ではあるが取り入れられている。
ハンナバーベラ版
主役の武器だけあって威力はなかなか。ある意味では、原典とも言えるリドサウルスの放射性火炎に近いのだろうか。
火炎とレーザー状の武器の関連性を考えると、もしかするとシン・ゴジラの先行者なのかもしれない…。
また、ゴズーキーも時には火炎や煙を吹くことがある。
水木しげる版
ゴジラ須賀川に現る
2019年1月11日に福島県須賀川市で開館した円谷英二ミュージアムにて上映されている特別映像「ゴジラ須賀川に現る」において描写された放射火炎は、二代目のような炎型で被弾したメーサー戦車を熱で溶解、直後に爆発させるという昭和と平成の中間のような描写となっていた。ゴジラのデザインも初代を再現したものである。
余談
- 「ゴジラの原点」と推測されている『原子怪獣現わる』のリドサウルスが、当初は放射性の火炎を吐く予定だった。
- 当初はゴジラと共通する怪獣化の原因を持つ初代アンギラスも放射火炎を吐く予定だった。
- 「白熱光(放射火炎)」や「背びれが発光する」という設定は最初から想定されていたものではなく、54年版『ゴジラ』の検討段階で「かっこつけ」で生まれたものであるという。だがこれは結果的に核兵器のエネルギー解放時に出る閃光をメタファーとして視覚化するという側面も持つことになり、核の申し子たるゴジラにとって欠かすことのできない設定となった。
- 「放射火炎」という名称は昭和シリーズのゴジラ関連の書籍等で呼称されており、平成以降の書籍では「放射熱線」等と記載されている場合が多く、劇中での呼称も「熱線」のためその頃から放射熱線と呼ぶファンは多い。ただし平成VSシリーズ公開時に発売されていた「てれびくんデラックス愛蔵版ゴジラVS〇〇超全集」シリーズ等では「放射火炎」と記載されていることもあるため、VSシリーズ世代までは放射火炎(または放射能火炎)と呼ぶ場合もある。ミレニアムシリーズでは完全に「放射熱線」で統一されている。
- 資料によっては「白熱光と放射火炎は別物」としているものもあり、白熱光は蒸気型だとされる。『三大怪獣地球最大の決戦』でゴジラが白熱光を使用していたのは先の戦いで負傷していた影響とする説もあるが、客船を攻撃した際は放射火炎だったため、この説には矛盾が生じている。
外部リンク
関連項目
黄金バット:エーアソーラスという怪獣が熱線を武器にしており、ゴジラよりも早い事例だった。
メカンダーロボ:こちらも必殺技として核エネルギー由来の火炎を放つ。