概要
別称 | サイボーグ怪獣/未来怪獣/未来恐獣 |
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体長 | 65m |
体重 | 2万5千t |
ガイガンは別名の通り野生の怪獣ではなく、宇宙人に改造を施されたサイボーグ怪獣である。
これまでの昭和の東宝怪獣は古代生物や既存生物を巨大化させたようなデザインが多かった中、ガイガンは全身を覆う金の鱗、鶏冠の生えた鳥のような頭、眼はゴーグルのような単眼、両腕に取り替えられた鎌状のハンマーフック、腹には巨大な回転ノコギリが備え付けられているなど、一見すると何がモチーフか分からないようなデザインになっているのが大きな特徴である。
背中には魚の背ビレのような黄色い翼が3枚存在し、大気圏内ではこれを利用して飛行することが可能である。
その奇抜なデザインと見るからに凶悪そうな見た目から、ゴジラシリーズにおいてキングギドラと並ぶ名悪役怪獣として知られている。
どこぞのマンガキャラと同じように誰かとコンビを組んで初めて恐ろしい力を発揮する。ガイガンはどちらかといえば格闘戦が得意なので遠距離攻撃ができる怪獣とコンビを組むことが多い。
ガイガンのデザイナーは、長い間メカゴジラやチタノザウルスを担当した井口昭彦であると書籍で紹介されていたが本人は否定し続けており、また講談社の「『ミズキ』がデザインした」との証言と妖怪陰摩羅鬼の姿が似ていたことから妖怪漫画家の水木しげるがデザインしたのではないかというトンデモ説もあった。
しかし近年になってイラストレーターの「水氣隆義」が自ら名乗りを上げ、長年の謎に決着がついている。
水氣はガイガンのデザインを、「鳥の鴈」と「石原裕次郎が映画で付けていたゴーグル」をモチーフにしていたことを明かしており、名前も石原裕次郎の「ナイスガイ」+「鴈(ガン)」であるとインタビュー内で話している。
スーツアクターは後に平成ゴジラでゴジラのアクターとして知られることになる薩摩剣八郎である。
昭和シリーズでの活躍
映画『地球進撃命令 ゴジラ対ガイガン』
本作でシリーズ初登場、ゴジラの敵として活躍した。
M宇宙ハンター星雲人が宇宙恐竜をベースにサイボーグ化して生みだした怪獣で、同じく星雲人が洗脳したキングギドラと共に地球を侵略すべく襲来。
M宇宙ハンター星雲人が設置した「ゴジラタワー」と言う司令基地から放たれる特殊な磁気テープの信号で操られ、キングギドラと共に大規模な破壊活動を展開。
市街地やコンビナートで大暴れをし防衛軍の攻撃も悉く退けるが、そこへゴジラとアンギラスが駆け付け、両者による死闘が展開される。
最初こそキングギドラとのコンビネーションで優位に戦局を進めるも、「ゴジラタワー」を破壊されたことで司令塔を失い、ゴジラとアンギラスの反撃によりキングギドラと仲間割れを始め最後は宇宙へと逃げていった。
サイボーグ怪獣ということで設定上はレーザーや火炎放射器などの遠距離武器が装備されているのだが、劇中では全く使っていない。
防御力にもやや難があり、メーサー殺獣光線車に攻撃された時は逃げ回るだけで反撃すらできなかった。
性格は侵略者の先兵らしく狂暴だが、キングギドラと共にゴジラをいたぶるシーンでは終始楽しそうにしていたり相手を嘲笑う場面も存在するなど、ある程度の感情を有していると思われる。
映画『ゴジラ対メガロ』
シートピア海底王国人がM宇宙ハンター星雲人にコンタクトを取り、メガロに加勢する援軍の役割で再び登場した。
前作と同個体とされており、メガロとは合流時に挨拶したり連携攻撃を繰り出したりと終始仲は良好であった。
最初はメガロと共に2対1でジェットジャガーを苦しめるも、ゴジラの登場によってあっさりと戦局が覆り、前回同様にむざむざと宇宙へ退散していった。
流星人間ゾーン
第9話『間一髪 ゴジラの叫び』にてガロガバラン星人の戦力=未来恐獣として登場。
ガロガの作戦で新型の車に乗るはずがガロガお手製の超パワーの特殊カーに閉じ込められた防人光ことゾーンファイターの身動きがとれない間に暴れまわるが、駆け付けたゴジラと闘い一度倒れている。
しかし、ゴジラが去った後に「ガイガン忍法生き返りの術」で復活。
脱出したゾーンファイターと激突するも、流星風車や流星ミサイルマイトの猛攻の前に散った。
ゴジラ対メガロや流星人間ゾーンに登場したガイガンのスーツは、ゴジラ対ガイガンの流用ではなく新規造形となっている。
詳細は不明だが、前作のガイガンのスーツは腕がとにかく重くアクションがし辛い仕様だったので、映画続投&TVシリーズ登場を踏まえて軽量化が図られたのかもしれない。
全体的にややスマートになったほか、目付きがデザイン画に近い形状に変更されているのが特徴。
平成以降
ゴジラアイランド
本作では凄腕の殺し屋として登場。
ゴジラとは西部劇の決闘を思わせる対決を繰り広げたが、一方でデストロイアやメガロの卑怯な戦法からゴジラを助けるなど時には共闘する場面もあったりとライバルポジションのキャラクターとして描かれている。
目から放つ矢のような光線は、攻撃はもちろんのこと相手にメッセージを伝える矢文としても使用可能。
また、ルーカスは本作のガイガンに対して「20世紀のゴジラと戦った奴と同じ種族」と発言しており過去シリーズとの関係性が示唆されている。
ゴジラ・ザ・シリーズ
大幅なアレンジの入った亜種怪獣フライングガイガンがオープニングの2場面に登場している。本編には登場していない。
コンセプトアートでは、ゴジラと水中戦を繰り広げる様子が描かれている。
ゴジラ FINAL WARS
「ガイガァァァーン……起動ォォォーッ!!」
身長 | 120m |
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体重 | 6万t |
鎌 | 45m |
チェーンソー | 40m |
本作にて遂に、ゴジラ対メガロ以来の本格的な復活を果たす。
地球を侵略しに来たX星人によって、1万2千年前に放たれたサイボーグ怪獣という設定で、当時のモスラと死闘を繰り広げて勝利し、古代文明を壊滅に追い込んだ後に現在の北海道沖でミイラとなって眠っていた。
その後は地球防衛軍によって回収されていたが、X星人統制官の呼びかけに応えて復活し、地球防衛軍本部を破壊。
ゴジラ復活による逆転劇を狙う轟天号の前に立ちはだかり、空中戦を展開して轟天号を一度撃墜している。
そして南極にて復活したゴジラへの一番手を務め、両腕から放つチェーンで捕縛して腹の回転ノコギリ「ブラディ・カッター」で倒そうとするも、それは自身も動けなくなる状態でもあり、ゼロ距離でゴジラの放射熱線をまともに受けて頭部を木っ端微塵にされ敗退した。
その後、最終決戦で頭部を修復され、さらに両腕を二又のチェーンソー「ブラッディ・チェーンソー」にパワーアップ。
現代にてモスラと再戦を果たすことになり、空中戦では互角の戦いを見せたほか、鋭い尻尾でモスラの腹を突き刺したり、チェーンソーでモスラの羽の一部を切り裂いている。
そして胸から発射する「ブラッデッド・スライサー(ノコギリ状のフリスビー)」をモスラが回避した隙に、単眼からの破壊光線「ギガリューム・クラスター」で遂に打ち破ったかに見えたが、モスラの放つ鱗粉で軌道の狂ったブラデッド・スライサーによってうっかり自分の首を落としてしまい、その隙にモスラの特攻(ファイヤヒートアタック)によって爆散し、遂に倒された。
昭和版との違い
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FW版のデザイナーは韮沢靖であり、彼の趣味であるトゲトゲの銀パーツが各部に付けられているなど昭和版より更に凶悪なイメージになっている。
昭和版の体の色が比較的に青銅に近く腹部などの鱗や翼の被膜が金色なのに対し、FW版は全体が濃紺となったほか翼の被膜は赤色になり、全体的にスタイリッシュなイメージに変更された。
GODZILLA(アニメ映画)
GODZILLA(アニメ映画)の前日譚小説、プロジェクト・メカゴジラにおいては、対怪獣用の生物兵器としてまさかの人類の味方として登場した。
シベリア沖の海底にて冬眠状態で発見され、エクシフ・ビルサルド両種族の技術を用いて怪獣兵器として改造を受ける。
その後、メカゴジラ起動までの時間稼ぎを目的としたゴジラ誘引作戦「オペレーション・ロングマーチ」の最中にゴジラへと差し向けられるも、両腕を熱線で吹き飛ばされ惨敗。
だがこれでは終わらず、欠損した両腕を初め各所を改造され、戦闘の度に欠損部位を機械で補いつつゴジラに立ち向かっていった。
その姿は、当初不審を抱いていた前線の兵士たちからの信頼を勝ち取り、『彼』『戦友』とまで呼ばれるようになり、ヤルカンドでの戦闘において致命傷を負った際には守られていた兵士たちがその回収の為に捨て身の時間稼ぎを敢行するほどであった。
もはや死に体であったガイガンだが、それでも尚改造を受けて生身と機械との比率が逆転した痛ましい姿となり復活。
ヒマラヤ山脈におけるゴジラ埋没作戦「オペレーション・グレートウォール」にて、増殖する機械部分に生身を蝕まれ、足下の味方を飲み込みつつゴジラと戦い、最終的にはゴジラの熱線によって跡形もなく焼き尽くされた。
オペレーション・グレートウォールに従軍した兵士たちは、ガイガンの鱗をお守りとしてその後も大事に携えていたという。
歴代初となる生身の姿は、「猛禽類と鱗とヒレを持った水棲恐竜を合わせたような」「前肢の爪はまるで鎌のように大きく鋭い。」「まるで悪役のような面構え」と、この時点で既に歴代のガイガンと同様のイメージを持つ。
最初の改造では失った両腕に「鋼鉄の鎌」を与えられ、次の戦いでゴジラに抉られた両目は「赤いサングラスのような昆虫の複眼を思わせる義眼」で補われるなどして、従来のガイガン同様の特徴を得ていく。
その後も改造が繰り返され、特に破損が頻発した両腕は超振動鎖鋸、収束型誘導弾(ミサイルマイト)等様々な武器が搭載され、腹部にもメカゴジラに搭載される予定のブレードランチャーなる試作兵器が搭載される。
そしてその最後は、「全身から金属製の水晶が突き出たような」「増殖する機械部品によって頭のようなものが何本も生えようとしている」などおぞましい姿となり果てた(この外見描写は本作のメカゴジラに酷似しており、ガイガンはメカゴジラのプロトタイプではないかと思われる。)。
怪獣人形劇ゴジばん
ファーストシーズン第18話から登場(ちなみに本作で初めて登場した宇宙怪獣である)。
フェス・ゴジラ3 ガイガン来襲
2022年11月3日開催の「ゴジラ・フェス2022」で公開の完全新作映像作品その1。
スーツは「ガイガンスーツ起動プロジェクト」で新たに新造されたものを使用している。
ヘドラと交戦したのち海に戻ろうとするゴジラの前に突如出現。ハンマーハンドや回転カッター、光線を駆使しゴジラを追い詰めるが、トドメを刺そうとしたところゴジラにハンマーハンドを掴まれてしまい、そのまま起き上がったゴジラに至近距離で熱線を浴びせられてしまい敗北した。しかし、現場には爆発を免れたガイガンの爪が残されており…?
昭和では鈍器的に利用していたハンマーハンドだが、今作では建造物をスパスパと切断する刃物のような使い方をしている。
当初は4作目・5作目にもそれぞれ出演する案があったようだが、前者は2作連続で同じキャラを敵として出すのはどうかということで別の怪獣に差し替えられ、後者も予算やスケジュールの関係で登場が難しいということで間接的な出演に留まった。
ゴジラVSガイガンレクス
「ゴジラ・フェス2022」で公開予定の完全新作映像作品その2。
こちらは全編フルCGの作品となる。
ガイガンレクスとその手下ガイガンミレースとゴジラの戦闘を描く。
余談
- そのデザインからゴジラを代表する人気怪獣の一体であり、昭和版平成版問わず商品化が非常に多いキャラクターである。
- アメリカではケーブルTV等で東宝チャンピオン祭りのゴジラシリーズが多く放送された時期があり、向こうでもガイガンの知名度はそれなりに高くファンが集うイベントでも大々的に取り上げられることが多く、グッズによる商品化機会も日本と同様に多い。
- 2022年はガイガン生誕50周年ということで、公式で「ガイガン50」なるイベントが開催。各種記念グッズも発売されている。また、これに合わせてスーツが新造され、上記の新撮映像でも使用されている。
- 鳴き声は後にメカギラスとディノゾールに流用された。
関連イラスト
『対ガイガン』
『対メガロ』
『FINAL WARS』