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概要編集

陰摩羅鬼

『積屍気(せきしき)』、つまり人間の死体から立ち込める『気』が凝り固まって妖怪となったもの。

に似た姿をしており、羽毛の色は黒く、目は赤い。人面鳥の如く、人間の様な顔立ちをしている。蒼い焔を口から吐く場合もある。


仏殿に不用意に人が近寄るとけたたましく鳴き叫んで驚かすと言われている。この点ではおとろしに似ているのかもしれない。また、戦場などで死者が出ると出現して騒ぐとも言う。


英語では“Onmoraki”と表記するが、旧ヘボン式のローマ字表記法ではバ行・パ行・マ行の前に「ん」が来た場合は「n」ではなく「m」を使うため“Ommoraki”と表記する事もある。


似た様な出自・姿の妖怪に羅刹鳥”(らせつちょう)と言うものもあるが、此方は陰摩羅鬼よりも遥かに獰猛で、特定の人間に化けてこっそり社会に紛れ込み、虚を突いて人間の目玉を抉って食べてしまうと言われている。ただし、羅刹鳥の伝承は陰摩羅鬼よりも遥かにマイナーな為か、日本の妖怪系創作ではあまり名前を見かけない。


フィクションでの扱い編集

ゲゲゲの鬼太郎の陰摩羅鬼編集

水木しげるの陰摩羅鬼は、蝙蝠と頭の禿げた三つ目の中年男が混ざった様デザインで、鳥山石燕の描いた姿よりもモンスターチックになっている(江戸期に描かれた「化物尽くし」と呼ばれる絵の中に名は無いが似たものが見られる)。


原作での陰摩羅鬼編集

政治家が棲み処を壊して別荘を建ててしまった事を恨んでいた。やがて政治家が亡くなり、まだ学生の息子が跡を継いだのを見て、取り殺して成り代わってやろうと考え隙を窺っていた。跡継ぎ息子に相談を受けた鬼太郎たちが調査に乗り出し、一旦は追い詰めたものの逃げられてしまう。

陰摩羅鬼は跡継ぎ息子の婚約者、啓子が急死した事を幸いに今度は彼女の死体に取り憑き、跡継ぎ息子を手にかけようとした。しかし鬼太郎が扮する「情熱の天才画家」の秘術『魂かなしばりの術』にかけられ、魂を火刑にされる。肉体のみとなった陰摩羅鬼は、それでもしぶとくねずみ男の魂を奪おうとしたが失敗し、結局は行き場を失って消滅した。


アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』での陰摩羅鬼編集

CV:北川国彦1期)、北村弘一3期)、佐藤正治(4期)、中尾隆聖(5期)、檜山修之(6期)

いずれも強力な妖怪として鬼太郎の前に立ちはだかり、原作の『魂かなしばりの術』に該当する搦手を使う事でしか倒せていない。

『死者を蘇らせる』という能力を持つためか、シチュエーションはそれぞれ異なれど陰摩羅鬼が登場する話はホラー色が強いものが多い。しかしその一方で『大切な者との永遠の別れ』がメインテーマとなってもおり、視聴者に怖さと切なさを与えている。特に4期の『怪談!妖怪陰摩羅鬼』と5期の『呪いの花嫁!陰摩羅鬼』はファンからの評価が高い。


4期第24話は「怪談」と銘打たれた通り、幸せな筈の日々の裏に隠された恐怖を描くと共に、悲しい運命を背負ったヒロインとねずみ男の切ない恋が語られ、千葉繁氏の熱演が視聴者の胸を打つ。


5期第50話は切ないストーリーはもちろんの事、途中で目と口を開いた死体が力なくブラブラと動くというニチアサの放送とは思えない5期屈指のホラー演出で、TVの前の子供達を震え上がらせた。

ちなみに本作で陰摩羅鬼を演じた中尾隆聖氏は、後の6期で同じくゲストキャラクターの吸血鬼エリートを演じている。


6期第80話ではまなの同級生の少年・努の母親の遺体に取り憑き、努の母を思う気持ちを利用し彼を始めとする人間の生気を奪い続ける悪辣な妖怪として登場した。目の前にいるのが母のフリをした偽者だと分かりながらも、最後は断腸の思いで『魂かなしばりの術』を完成させた努によって封印された。


女神転生の陰摩羅鬼編集

単独捜査

オンモラキ/凶鳥オンモラキ


地獄先生ぬ~べ~の陰摩羅鬼編集

#140『なまぐさ坊主と陰摩羅鬼の巻』に登場。前日の夜遊びで睡魔にうとついた童守寺の和尚が、葬式で経文を途中からラジカセの音声で済ませたせいで、成仏できなかった死者が化けた妖怪。

襲われた和尚に退治を頼まれたぬ~べ~だったが、事情を知って逆に住職に対して滔々と彼の心得違いを説諭する。そして住職がきちんと改めて供養法要(もちろん住職の自腹で)をすれば問題は解決するとして門前払いにかける。

しかし、そこは面倒臭がりでドケチな事に定評のある生臭坊主。せっかくのぬ~べ~の忠告も「自分と同じで面倒だから断ったのか」と取り合わず、よりにもよって葉月いずなに連絡をとり彼女に陰摩羅鬼を払わせようとした。が、それは余計に陰摩羅鬼を怒らせて、その力(怨念)をいや増す事となる。もちろん未熟にもほどがあるイタコギャルいずなには手の余る事となり、結局は心配になって様子見に来たぬ~べ~がやむなく乱入する事になった。

しかし、ぬ~べ~は陰摩羅鬼の方が和尚のせいで成仏出来なかった被害者であると攻撃する気になれず(当たり前だ)成仏して貰うために、なんとか鎮める方針で立ち向かうも、住職といずなのせいで増幅してしまった怨念によって逆に襲われてしまう。慌てたいずなは「鬼の手でやっつけちゃえよ!」と叫んだのだが、ぬ~べ~は逆に「そんな事ができるか。この人は被害者だ」と改めて諭し、襲われながらも住職に「あんたのせいでこのような事になったのだから、あんたがやらなければならない事だ」と必死に促した。

それでも渋る住職だったが、ぬ~べ~のピンチに焦ったいずなが住職に「あんたがやれる事があるんだったら、なんでもいいから、さっさとやれ!」と住職の心根を一喝し、その行動に活を入れた。最後はそれを受けた住職が反省し改め、きちんと詫びの心を込めた経文を読み上げ、陰摩羅鬼はそれによって怨念を解かされていった事で成仏した。

ドラマ版4話では、ぬ~べ~に叱られた葉月いずな(演:山本美月)が、怠け坊主である童守寺の和尚(演:マキタスポーツ)に唆されて召喚したが、思いのほか強く手に負えなくなってしまう。


侍戦隊シンケンジャーの陰摩羅鬼編集

ヨモツガリさん

陰摩羅鬼の伝承の元になったという設定の、片腕が嘴となった女アヤカシヨモツガリが登場した。嘴から吐かれる炎は志葉家の当主を焼き尽くす力を持つ。


妖怪ウォッチの陰摩羅鬼編集

おんもらき(妖怪ウォッチ)


遊戯王の陰摩羅鬼編集

陰魔羅鬼(未OCGカード)

陰魔羅鬼



関連タグ編集

中国妖怪 日本妖怪 妖怪


古典妖怪 以津真天 凶鳥 インモラ インモウ鬼 羅刹鳥


モデル説もあった。


京極夏彦作の『百鬼夜行シリーズ』の1つ。

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