「この世には、目には見えない闇の住人たちがいる。奴らは時として牙を剥き、君たちを襲ってくる」
「彼はそんな奴らから君たちを守るため、地獄の底からやって来た正義の使者…なのかもしれない…」
≪原作第一話アオリならびにアニメ版オープニングナレーションより≫
概要
「週刊少年ジャンプ」で掲載された、原作:真倉翔、作画:岡野剛の少年漫画。
1993年38号~1999年24号まで連載。既刊は全31巻、文庫版全20巻。略称は「ぬ~べ~」。特に『るろうに剣心』と並び、暗黒期の週刊少年ジャンプを支えた二大看板作品として評されることが多い。コミックスの発行部数は本作で2800万部、続編などを含め3500万部以上で、連載を終了してからも夏休みなどでアニメの再放送や続編、ドラマ放送などが行われるたびにコミックスが売れていたという(小説版が刊行された当初は約2000万部だった)。
霊能力を持つ小学校教師を主人公とした学園ホラーアクションコメディ。ジャンプ漫画には異色の作風でありながら、幽霊、妖怪、友情、ラブコメなどバラエティ豊かなオムニバス形式の作劇や個性的なキャラクター展開で幅広く支持された。連載後半にはジャンプらしい友情・努力・勝利を押さえたバトル・マルチヒロイン要素が登場するが基本は、一話完結のエピソードである。…特に都市伝説が題材だとトラウマ級に怖い話も多い。あまりに怖すぎて、人気作なのにアニメ化できなかったエピソードも無数にあった。
作品の理念は「人の心が妖怪を創り出す」というものであり、基本は妖怪と人の心の関わりを深く描き、各ストーリーに一つのテーマを設けている。また、一部の読者に「登場する小学生の思考が大人びすぎている」と指摘されていたが、これも「子供は得てして自分がいっぱしの大人と意識しているものである」という真倉の持論に基づいており、小学生読者から一切そのような指摘はなかったことも文庫版のメイキングで真倉が明かしている。
また、日本において小学生は、生徒ではなく児童にあたるのだが、本作では一貫して生徒という言葉を使っている(児童だと大人に守られる子供というニュアンスが強く、自立や人格生成が一つのテーマとなっている本作においてそぐわないと判断された…とかいう、そんな難しい理由ではなく、実際は「俺の児童に手を出すな!」だと、ぬ~べ~の決め台詞として今ひとつしまらなかったからなのだとか)。
作者二人ともエロい漫画を描いていた過去(特に真倉は成人向け漫画を描いていた過去を持つ)があり、当時は規制もそこまで強くなかったことから女性キャラクターの裸(ただし、ある程度の自主規制はしている)が頻繁に登場する。小学生たちの全裸はもちろんパンチラもそれなり。
特に作者をしてやりすぎたという眠鬼登場回は有名。『ハレンチ学園』世代の作者は健全なエロ漫画を目指していたらしく、『ハレンチジャンプ』を刊行しませんかと持ちかけたこともあったが、一笑に付されたという(当たり前だ)。
聞くところによるとアニメ化後は古参ファンに向けた日常回がメインで、バトル回は打ち切り対策として打ち切り会議が入るタイミングになる度に仕方なく挟んだものであったといい、バトル展開は決して好んでいなかった(バトル回はあまりメイキングで語っていない)。
しかし、ホラー、バトル、エロなど少年に受ける要素は盛り込んでいたものの、決して子供だましの作品にはしなかったと作者がメイキングで語っている。なにより、この作品の真骨頂は文庫版のメイキングなどで語られるように「心理学や社会学、論理学などの知識を下敷きにした行動原理に基づいたキャラクターの緻密な心理描写」にある。実際、作者は大の男二人でありながら、少年少女や女性の心理を細密に描き、小学生や女性の読者からも共感を呼んでいた。これは原作者の真倉が心理学において多大な知識を持っていた(原作の解説コーナーやメイキングには妖怪だけでなく、心理学や論理学の専門的な話題が登場する)ほか、少年漫画を読み漁っていた真倉と、姉妹の影響もあって少女漫画を読んで育った岡野がお互いの漫画事情に精通していたことも大きい。また、ゆきめ登場話など女性読者の人気が高かった回、アニメ版の最終回となった「妖怪枕返し」など、少年少女より大人の読者からの反響が高かった回もあったと語っている。
仕事場のアシスタントは半数以上女性が占め、彼女らの意見も多く採り入れていた(脇役だった木村克也がレギュラー化を果たしたり、高橋律子がリツコ先生とカタカナ書きで呼ばれるようになったのも、彼女らの意見によるという)。
また、作者はその時その時についた編集によって路線がコロコロ変わったと後に暴露している。
『ジャンプ』定期連載の前に増刊と本誌で1回ずつ読み切り掲載されていた。
その際は「地獄先生『ぬ~ぼ~』」というタイトルだったが、同名の菓子が存在していた(森永製菓『ぬ~ぼ~』)ことを知らなかったため、アニメ化された場合のスポンサーを想定して現在のタイトルに変更された。
また読み切りエピソードの一つがアニメ版第1話として映像化されている。
その他に、2006年に発売されたアニメのDVD-BOX特典としてアニメでの設定を元にした描き下ろし漫画『一夜だけの復活』が付録としてついていたが、電子書籍として2018年からマンガ図書館Zで2024年7月末まで公開され、翌月より集英社のジャンプコミックスDIGITALで配信されている。
ストーリー
童守町の童守小学校には名物教師がいる。
彼の名は鵺野鳴介、生徒からは「ぬ~べ~」と慕われる青年教師だ。彼には一つの“噂”があった。
――幽霊が見える、霊能力教師だと。
ぬ~べ~の左手には地獄の鬼が封印され、この世の霊的存在を一撃で無に帰す最強の切り札“鬼の手”となっている。
これは、彼が生徒を守るために妖怪や悪霊を退治する学園オカルトホラーコメディーである。
スピンオフと続編
高校生となったイタコ少女の葉月いずなが主人公のスピンオフ作品
『霊媒師いずな』(第一部は正式には『現代都市妖鬼考 霊媒師いずな』、第二部は正式には『霊媒師いずな Ascension』)が、平成19年から『オースーパージャンプ』、『スーパージャンプ』、『グランドジャンプ』、『グランドジャンプPREMIUM』と場を移し2016年7月号まで連載された。
青年誌掲載のため現代人の悩みを描いた人情話が多い一方で、エロ描写も更に強化された。
『霊媒師いずな』と入れ替わる形で『グランドジャンプ』誌に『地獄先生ぬ~べ~NEO』が連載開始され2019年1月号で終了。
2018年8月号から2021年5月号まで、『最強ジャンプ』で『地獄先生ぬ〜べ〜S』を連載した。
テレビアニメ
1996年4月13日から1997年6月21日にかけてテレビ朝日系列(23→24)局で放映された。またテレビ岩手、北日本放送、四国放送(いずれも日本テレビ系列局、うちテレビ岩手は岩手朝日テレビ開局に伴い途中打ち切り)、山陰放送(TBS系列局)でも放送されている。
全48+1話。なお+1話は、1997年8月7日に放送された「完全保存版!! 地獄先生ぬ〜べ〜超百科」なる特別番組のこと。
シリーズディレクター(監督)は貝澤幸男、キャラデザは大西陽一、
シリーズ構成及びメイン脚本は富田祐弘。
第48話のラストシーンで「俺たちの戦いはまだ続く」的シーンが出てくるので打ち切り作品と誤解されがちだが、元々全48話で作られた作品であり、打ち切りという訳ではない。作画担当の岡野も公式ツイッターでこの件の説明を行っている。その一方で視聴率がかなりよければ放送延長も検討されていたようだが、実現しなかった。また、玩具販売戦略が難しく、スポンサーが付きにくかったことも触れている。
4クール相当の話数ながら放送期間が5クール分なのは、アトランタオリンピックや神宮球場からのプロ野球実況中継をはじめとした特別番組が差し込まれまくったため。
原作との一番の観点の違いとして、脚本家富田のこだわりで、悪人を描かないという方針があった。そのため、同作では原作に登場する犯罪者などもすべて人間に何らかの恨みを持つ妖怪や悪霊の仕業というように書き換えられている。
2024年7月21日、“新アニメ化”と称した、2度目のアニメ化が決定した。2025年中にも放送したいとの事。
主題歌
オープニングテーマ
歌 - FEEL SO BAD
エンディングテーマ
「ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~」
歌 - B'z
「SPIRIT」
歌 - PAMELAH
劇場版
3作品すべて東映アニメフェア内で公開された。
1:「劇場版地獄先生ぬ~べ~」
2:「地獄先生ぬ~べ~ 午前0時ぬ~べ~死す!」
3:「地獄先生ぬ~べ~ 恐怖の夏休み!!妖しの海の伝説!」
OVA
1998年9月と10月、1999年10月に発売。全3巻。
テレビアニメシリーズの続編に当たる。
登場人物
5年3組
童守小学校関連
ぬ~べ~の仲間・妖怪たち
その他
霊能者
妖怪・悪霊・悪魔など
戦死した女子児童の霊(CV:馬場澄江)
図書室の女子児童の霊(CV:西原久美子)
名もなきモブキャラ
関連イラスト
関連動画
実写ドラマ
2014年10月から12月にかけて日本テレビとその系列局(NNN)ほかの放送局にて放送された。全10話。
これにより、テレビ岩手、北日本放送、四国放送は、アニメ版とドラマ版はどちらも放送したことになる。
ドラマ版は「漫画を基にしたオリジナルストーリー」として制作されたものらしく、舞台が童守小学校から童守高校に変わっていたり、鬼の手に封じられている覇鬼が明確に意思を持っていたりと、諸所で原作と違った点が多い。最も高校引き上げの改変はジャニーズ事務所のタレントを起用し易くする為と言われていた。
えっ?あれって土曜版のmoco'sキッチンじゃないの?
なお、オープニングナレーションは毎回違った人物が担当しているが、事前には明かされず、「今回は誰が担当したでしょうか?」という視聴者クイズ形式を取っていた。
ちなみに第1話の担当者は稲川淳二であった。
キャスト
鵺野 鳴介 - 丸山隆平
高橋 律子 - 桐谷美玲
玉藻 京介 - 速水もこみち
ゆきめ(雪女) - 知英
葉月 いずな - 山本美月
余談
学校教育法では、小学生は「児童」と呼ばれるが、劇中では一貫して「生徒」と呼称されている(アニメ版でも同様だった)。『金八先生』等の往年の学園ドラマに由来するものと思われる。
関連タグ
地獄先生ぬ〜べ〜(表記ゆれ、波線文字違い)
地獄先生ぬーべー(表記ゆれ)
users入りタグ
ぬ~べ~100users入り⇒ぬ~べ~500users入り⇒ぬ~べ~1000users入り⇒ぬ~べ~5000users入り⇒ぬ~べ~10000users入り