「ようこそ! クダの招きに導かれし迷い人…」
概要
CV:本多知恵子(「地獄先生ぬ~べ~」アニメ)/伊藤静(「霊媒師いずな」VOMIC)
秋田から上京してきた、自称「イタコのサラブレッド」。
初登場時は細川美樹から「お姉様」と慕われていた。
連載当時ブームだったコギャルと引っ掛けて「イタコギャル」と銘打って登場した。(のちに読者から「中学生なら“マゴギャル”じゃないか?」と指摘されたが、語感を考慮した上でのわざとの処置である)
後に「グランドジャンプ」で連載されたスピンオフ作品『霊媒師いずなAscention』(元『現代都市妖鬼考 霊媒師いずな』)では主人公として活躍した(現在は完結)。
※但しラスボスが人間態に転生後が不明等の伏線が残されており、回収出来なかった件について最終巻巻末で言及されている。
名前の由来は葉月里緒奈の葉月と管狐を操ったといわれる飯綱使い(いづなつかい)から。また、イタコといえば青森県が有名だが、管狐が新潟県の伝承妖怪であるため、間をとったのと、色白の秋田美人のイメージから秋田県出身にしたと語っている。
人物像
『地獄先生ぬ~べ~』
明るくノリの良い軽薄な現代っ子。コギャル口調も交えて話すが、性格的には情に厚いスケバン的なタイプである。
世間のオカルトブームに乗っかって、霊能力で大儲けすべく上京してきた。
「イタコギャル」の肩書はぬ~べ~によるもの。
生意気盛りのじゃじゃ馬娘で、まだまだ世の中を舐めてかかっている。
管狐を自在に操る「管使い」であり、作中の描写から察するに家系は口寄せと管狐による霊媒を生業とする、古くからの霊能力一族と思われる。
しかし、実力は玉藻の換算にしてぬ~べ~の普段の1/10に満たないほどであり、身の丈に見合わない除霊や興味本位での霊的儀式をおこなってトラブルを起こすことが間々ある。そのためなかなかの美少女ながら、美樹と同様に三枚目に回ることが多い。
ただし潜在能力は高く、玉藻を一目見ただけで妖狐と見抜いたり、「伝説の管狐」であるゲドの実力を引き出し(ただしこれについては彼女自身の実力ではなくゲドとの信頼関係の構築に成功していたことが大きい)たり、自然発火現象を自分の能力として昇華させるなど、将来性は充分。
普段は伯父の名義で借りたアパートに一人暮らししており、近所の学生たちなどを相手に、自身が使役する管狐を使って情報収集や占いをおこない、その報酬として小銭を稼いでいる。
自宅には10体以上の管狐がおり、普段は口紅やリップスティック等のケースに5〜6体ほど入れて持ち歩いている。
普段こそイマドキの若者だが、根は素直で負けず嫌い。意外と真面目な性格で、自身の野望を叶えるために様々な文献を実家から持ち出し、そこから得た知識でぬーべーが知らない霊障の解決法を掲示したりと、それなりに自主的な研鑽や修行も積んでいる。
また後輩への面倒見も何気に良い。美樹からは「いずなお姉さま」と呼ばれている。恋愛観も割と古風でロマンチストなところが強い。
片想いから来る精神の高揚から「自然発火」体質となったことがあり、失恋後にこの力を操ることが出来るようになった。
また「ボセ」をもらってしまい、リアル妊婦体験をしたこともある。
一度は念願かなって「霊能力アイドル」として芸能界デビューを果たしたが、噂を聞きつけて助けを求めに来た子供から悪霊を祓うことができず無力さを痛感する。そこへ駆けつけたぬ~べ~が適切な除霊を行ったことで未熟さを認め、「霊能力アイドル」の座を辞退した。
始めこそトラブルメーカーだったが、様々な体験を経て精神的に成長を遂げていき、「伝説の管狐」を巡る戦いを経験したことで心身両面で一皮向け、一人前の管使いになることを誓っている。ぬ~べ~の義侠心と奉仕の精神を徐々に学び取っていき、対価をもらっての除霊にも真面目に取り組むようになり、いざという時には命懸けで人を守ろうとする気概も身に着けていった。
ぬ~べ~とは「霊能力者の先輩と後輩」という関係であり、お節介焼きなぬ~べ~を疎んじる一方でその実力を認めており、トラブルの度に面倒を見てくれるぬ~べ~に相応の恩義は感じている。
玉藻のことは一方的な勘違いから危険視していたが逆に自分が助けられてしまい、それ以来ちょっとした腐れ縁のような関係となっている。
『霊媒師いずな』シリーズ
『地獄先生ぬ~べ~』から2~3年後が経過。17歳で女子高生となり、巨乳で妖艶な美少女へと成長した。靴下はルーズソックスからハイソックスに変わっている。
学業の傍ら夜の繁華街で占い屋を営んでおり、そこで霊媒師として活躍している。
原作時点から能力面・精神面ともに成長しており、負けず嫌いで面倒見の良い性格も健在である(後に妹分も出来ている)。一方で若さゆえにまだまだ未熟な部分も大きく、様々な悩みを抱えながら日々精進している。
上記の画像を見ての通り、戦闘中は頻繁に衣服が破れるというお色気要素を担当する。
真面目な面が大きくクローズアップされ、以前のような三枚目な一面は小さくなった。
原作でもお色気担当なことはよくあったが、青年誌に移行したことでより過激なサービスシーンも増えており、悪霊や妖怪にやられて半裸(パンティ一枚)か全裸にされてしまうことが多い。
基本的にどんな悪人だろうと絶対に殺さない不殺主義でもあり、故に呪術で悪人を殺す千佳羅や復讐に手を染める相手を力ずくで制止する行動が少なくない。
しかし、その正義感は悪く言えば「偽善的」であるのも否めず、「自分の環境と常識の範囲内での善意が、無条件に相手に通じる」と考え、「相手の立場では慮れなかった独善」であることを理解していない傾向がある。また、自分自身の思想や信条に相容れない相手に対しては必要以上に敵対心を剥き出す傾向も見られたりと、正義感が強いゆえに融通の利かない固さも欠点となっている(ぬ~べ~にもこの様な面があり、欠点も受け継いでしまったと言える)。
千佳羅とは、霊媒師としてのあり方と思想の違いからライバル関係となり、幾度となく衝突を繰り返している。
「千佳羅の標的とされた悪人を救ったものの、その悪人が殺人を犯して逮捕される」、「改心したはずの悪人が罪悪感から自殺をする」、兄の仇を討つために千佳羅に弟子入りした松江ミサの一件等といった千佳羅が関わったこれまでの事件や自身の正義感から、彼女のことを完全に悪人と認識するようになっていた。
千佳羅に対する敵愾心は回を進むごとに強まっており、千佳羅の仇敵である呪殺師・役権現戸隠厳山による呪殺を(厳山本人も自分が行った呪殺を千佳羅のせいにしていることもあり)千佳羅の仕業と決めつけたり、千佳羅の過去と正体を知る妹分のリンから彼女の真実を教えられても聞く耳を持たず、「千佳羅がリンを誑かした」と思い込み、一方的にリンを平手打ちで殴打して破門を言い渡したほど。
第二部終盤、厳山の罠で千佳羅と争っていたが、厳山に捕まって鈍器で滅多打ちにされたリンが満身創痍になりながらも、厳山の罠だと知らせに駆けつけた際も彼女の話を信じようとしなかったが、リンの話を聞いてすぐに厳山の仕業と気づいた千佳羅に説教されたことで漸くリンの話を信用する。しかし、直後に本性を現した厳山にリンを殺されたことでその怒りと憎しみから自ら呪殺への道へと走り、千佳羅との共闘で厳山を圧倒。
自身の霊力が呪いの力に転化した黒い管狐で厳山を圧倒するも、その余りの狂気を見かねた千佳羅に止められ、最終的に彼女が身代わりとなって厳山を呪殺して死亡。同時に死んで冥界をさまよっていたリンが千佳羅によって救われて生き返ることができた。
リンと再会したその後、リンと共に千佳羅の墓参りにやって来て、自身を呪殺の道に走らせないよう庇ってくれたこと、リンを助けてくれたことに礼を言い、彼女の遺言通り最後まで自分の正義を貫くことを誓った。
関連タグ
ここから先は、重大なネタバレの為に注意。 |
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『霊媒師いずな』の隠された設定 |
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『霊媒師いずな』におけるいずなは、無印ぬ~べ~本編にて体得したはずの自然発火能力が使えなかったりと、ぬ~べ~本編137話で掲示されたパラレルワールドにおける同一人物である可能性が予てより示唆されていた。
そして、後に作品自体が無印ぬ~べ~本編の137話で分岐したパラレルワールドにおける物語である事が正式に判明。いずなが金儲けといった不純な動機では無く真面目に霊媒師として人助けする様になった理由を、「枕返しの悪夢で郷子が見させられた『廃人化したぬ~べ~』」と絡める形で語られ、ぬ~べ~の廃人化の原因の一因としていずなの短慮な行動にあった事実が明らかとなる。
事の発端は、ぬ~べ~クラスのお馴染みの5人組である立野広、稲葉郷子、美樹、栗田まこと、木村克也が抱えた「ある問題」だった。
まことの馴染みの駄菓子屋「げんこつ屋」のおばあちゃんがある日、心臓病によって倒れてしまい、かなりの高齢である以上助かる見込みが無い事に落ち込んでいたまことに、美樹は万病を治す針を尾に持っている神獣・白虎の存在とそれを祀っている白虎神社についてを教える。
しかし、美樹はそこへお祈りするのでは無く、「白虎を直接呼び出して尾の針を奪い取る」というとんでもない事を提案。更にはぬ~べ~に反対される事を恐れて、中学時代のいずなに白虎の召喚を協力してもらおうとし、これが取り返しのつかない事態を招いてしまう。
かつてぬ~べ~が全く太刀打ち出来なかった麒麟にも並ぶ神獣・白虎の恐ろしさを理解していなかったいずなは、浅はかにも白虎神社で白虎を召喚してしまい、金鋸を使って美樹が針を奪うと、心臓病で倒れていたげんこつ屋のおばあちゃんの治療を成功させる。
だが、調子に乗った広達は、白虎の針を使ってニキビやら虫歯、十円ハゲ、イボ痔に至るまでと、くだらない事に次々と使ってしまい、挙句の果てには揉み合った末に川に落としてしまった結果、完全に白虎の逆鱗に触れてしまう事態となった。
白虎「待て…許さんぞ…」
白虎「我が神格を愚弄せし罪人ども…裁きを受けよ!!」
その後、事情を知ったぬ~べ~が傷を負いながらも何とか白虎を追い払うのだが、白虎はぬ~べ~の身体に「業罰爪(ごうばつそう)」による呪いを刻み付けており、それから3年後に呪いを発症させた結果、ぬ~べ~は廃人となってしまうまでに至ったのだった。
この取り返しのつかない顛末を激しく後悔したいずなは、逃げる様に童守町を去り、『霊媒師いずな』のストーリーにまで至ったのである。
なお郷子や美樹達5人は3年後呪いが発現して入院したぬ〜べ〜を見舞っていたのだが看病していた高橋律子が言うには「鵺野先生を見るのが辛くなって最近はあまり来なくなった。」という事だった。恐らく自分達にも一因があると知らされ、会いづらくなったと思われる。いずれにしても郷子や美樹達5人は自分たちの罪から目を背けてしまった。
そんな中、ぬ~べ~無印本編にも登場したチャブクロを偶然発見したいずなは、ぬ~べ~に関する過去を変え様と躍起になって探し求め、何とか過去へ戻る事に成功するも、辿り着いた先は「川に針を落としてしまう直前」で、既に白虎の召喚はされてしまった後だった。
いずなはすぐに針を持って白虎神社へと戻り、必死に白虎に許しを請うも、自身の神格を愚弄された白虎の怒りは収まらず、事の詳細を聞かされた聞かされたぬ~べ~にも、どこか大人びている自身が未来からチャブクロで転移してきた事実を見抜かれてしまう。
真実を明かしたいずなはぬ~べ~に待ち受ける未来を明かした上で白虎と戦わないで欲しいと頼むが、広達を見捨てられず自らの待ち受ける運命を受け入れようとした彼からは、「過去を変えるのは無意味だ」と諭された上で、本来の時代で今の自分が得た仲間達の未来も歪んでしまう可能性も示唆された結果、一度は全てを諦めかけてしまう事になる。
せめて自分の目で見届けようと、いずなはぬ~べ~の傍に留まるが、実は本来の歴史でぬ~べ~が何とか白虎を追い払えたのは「尾の針が失われた事で力が不完全のままだったから」で、この時代に跳んだいずなが慌てて白虎に尾を返還してしまった結果、「白虎は完全体の状態となっている」という分岐点に突入してしまい、事態をかえって悪化させてしまった事に気付く事になる。
ぬ~べ~に広達を許すよう頼まれても白虎には拒否されてしまい、神獣としての力を全力で発揮する白虎の前に全く太刀打ち出来ず追い詰められていくぬ~べ~を見ていられなかったいずなは、自らも白虎に挑む決意をする。
ぬ~べ~「よ…よせ いずな。過去を変えたらお前の帰る未来が…」
いずな「…もう とっくに変わっちゃってるよ。私のドジのせいでね。それに…」
いずな「今ここであんたに死なれちゃ困るんだ。まだ知らないだろうけどこの中学生の私は、この後あんたに色々教えてもらうんだから…」
いずな「『反魂香』で失敗した時や…調子に乗ってアイドルデビューしちゃった時も…いつも私を叱って正しく導いてくれた…」
いずな「その教えを引き次いで私は霊媒師になった。あんたがいたからこそ今の私がある。あんたがあってこその私だった……そう……」
いずな「鵺野鳴介あっての霊媒師いずなだったんだ」
ぬ~べ~からこそ「霊媒師いずな」としての自分があった…。
その真実と向き合ったいずなは、必死に白虎に挑んだ末、再び白虎から尾の針を奪い霊力を大幅に低下させ、その隙を突く形でぬ~べ~の鬼の手による一撃で白虎を負傷させる。
「人間の何かを守ろうとする意志」を感じ取った白虎は、「ぬ~べ~が3年後に地獄の苦しみを味わう事」を警告した上で彼等の意思に免じ引き下がる。
だが、いずなは奪い取った白虎の針でぬ~べ~の傷を完治させ、それに彼から咎められながらも、「未来がどんなに変わっても、自分が自分である限り、また同じ友達や仲間に出会える」という言葉を告げ、元の時代へと戻るのだった。
なお、白虎が自らの切り落とされた尾の針を回収せずに去った理由は不明。しかし、ぬ~べ~の身に起きる呪いについて話した上で去った事から推察すると、「罪を犯した子供達を守る為に命懸けで挑んできたぬ~べ~の勇気を認め、敢えて治療の手段である『針』を置いて行ったのではないか」と解釈も出来(実際、ぬ~べ~の治療を行った直後、針は役目を終えたかの様に消滅している)、事実とすれば白虎も決して無慈悲な神では無かったと言えるかもしれない…。
帰還後、真相を知る玉藻は「チャブクロは『パラレルワールドの様に元の時間軸から分岐した時間軸を作った』のではなく『高掛橋の様に元の時間軸を覆い隠す形で新しい時間軸を作った』のではないか」と仮説している(言わば、パソコンの更新前のデータに、更新後のデータを新たに上書きする様な物)。
この時間修正によって、分岐した時間軸自体もぬ~べ~無印本編の最終話に収束していく事になり、いずなと仲間達との関係は消滅せずに終わった。
なお、自然発火能力に関しては、特別編3でうっかり酒を飲んで酔った際に服を燃やしてしまっている描写がある。