京極夏彦

きょうごくなつひこ

日本の小説家。妖怪研究家。アートディレクター。

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1 概要

2 経歴

2.1 デビューの経緯

2.2 アニメ化

2.3 映画化

3 作風

3.1 新しい推理スタイル

3.2 分厚いページ数

3.3 装幀家

4 主な作品一覧

4.1 百鬼夜行シリーズ

4.2 巷説百物語シリーズ

4.3 古典改作シリーズ

4.4 ルー=ガルー

4.5 その他

5 関連イラスト

6 関連タグ

7 外部リンク

概要

　京極夏彦（きょうごくなつひこ、1963年 3月26日- ）は、日本の小説家、妖怪研究家、アートディレクター。世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員（肝煎）、関東水木会会員、東アジア恠異学会会員。「怪談之怪」発起人の一人。北海道小樽市出身。北海道倶知安高等学校卒業、専修学校桑沢デザイン研究所中退。代表作に、『百鬼夜行シリーズ』、『巷説百物語』シリーズなど。株式会社大沢オフィス所属。水木しげるの弟子。

　漫画に関する仕事としては、有名な小説家が『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の話を書く企画で、大原部長の過去にまつわるおぞましい記憶を扱った『ぬらりひょんの褌』(出版社の関係で「南極夏彦」さんが出てくる。イラストは秋本治)を掲載している他、鼎談集『妖怪馬鹿』(2001年発行)で、赤塚不二夫、いしいひさいち、楳図かずお、川崎のぼる、高橋留美子、諸星大二郎、などのパロディ作品(の他、同書には1ページ内に「山岸凉子、大島弓子、とり・みき他の描くような豆腐小僧」がある)を行い、とり・みきとは共同作品『美容院坂の罪作りの馬』を製作している。

経歴

デビューの経緯

　桑沢デザイン研究所を経て、講師のつてで広告代理店に勤務する。

しかし、ハードな勤務体制で身体を壊してしまい数年で止む無く退職する事に。その後仕事で交遊を持った同じ境遇のデザイン業仲間と共に独立した小さなデザイン会社を設立した。

だが、折からの不況で会社の仕事が激減して手持ち無沙汰となってしまう。

1994年、講談社に投稿した『姑獲鳥の夏』でデビュー。この作品は仕事の合間に暇つぶしに書かれたもので、小説の執筆は京極にとって初めてのこと（ただし同人漫画の執筆経験はある）。

何気なく作成したものの、完成すれば原稿枚数が新人賞の規定を遥かに越えていたため、手元にあった講談社ノベルス版『匣の中の失楽』の奥付を見て、投稿先を決めたという。投稿に至ったのは、仕事も収入も殆ど無い状況に追い詰められ、会社の機材を使って作成した小説だから、せめて原価の印字や用紙代分くらいは少しでも回収できれば御の字かもと、まるでダメ元覚悟の思い付きからとの事。

相手方も、当初はどうせまた変な書きかけ小説を素人が送って寄越す程度にしか思っておらず、講談社としても新人に有力格が見いだせない状況だったことから、一応素人投稿も目を通そうくらいの気持ちで京極の持ち込みを引き受けた。

ところが、原稿を読んだ編集者・唐木厚は、小説の分量と文字数・骨太な内容と類を見ない着眼点・登場人物の存在感や人間と日常についての京極の洞察力などがこれでもかと盛りだくさん且つ整然と込められた作品に驚愕。緊急の編集会議を開いて満場一致で、すぐに講談社ノベルスとしての発売が決定する。

無名の新人であっただけに業界に与えた衝撃は大きく、これを機にメフィスト賞が創設された。そのため、しばしば「第0回メフィスト賞受賞者」と称される。本人曰く、あくまで好きだった妖怪を題材に暇つぶしとして書いた内容で、作品の構想は10年前に考えた漫画のネタという。

アニメ化

　2003年に『巷説百物語』は『京極夏彦巷説百物語』として、2008年には『魍魎の匣』がTVアニメ化した。また、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第4作101話で脚本および自身をモデルにしたゲストキャラ「一刻堂」のキャラクターデザインと声の出演を担当した。

映画化

　『嗤う伊右衛門』は演出家・蜷川幸雄により映画化（唐沢寿明、小雪主演）、第16回東京国際映画祭に特別招待作品部門で出品される。

また2005年 7月、京極のデビュー作を原作とした映画『姑獲鳥の夏』が公開された。本人も傷痍軍人（水木しげる）役として出演している。

作風

新しい推理スタイル

　デビュー作以来続く、京極の代表作と言える百鬼夜行シリーズには、憑物落し（つきものおとし）と同時に推理する、新しいスタイルの探偵が出てくる。

装飾部分やサブストーリーに様々な伝承、オカルティズムをふんだんに用いながらも骨格は論理的な謎解きに徹しているため、狭義の推理小説の王道を歩むと同時に、作者いわくの「妖怪小説」とも呼び得るという、特異なシリーズとなっている。

分厚いページ数

　百鬼夜行シリーズは、極めてページ数が多いのも特徴で『鉄鼠の檻』で826ページ、『絡新婦の理』で829ページ、『塗仏の宴宴の支度』『塗仏の宴宴の始末』で上下巻に分けて1248ページという厚さに達している（以上、全て講談社ノベルス版の数字）。そのため、百鬼夜行シリーズ作品は「レンガ本」「サイコロ本」とも呼ばれており、『猫田一金五郎の冒険』の1話『美容院坂の罪作りの馬』で合作の経験がある漫画家とり・みきには、漫画中の登場人物が京極の本をアコーディオンのように持つと言うパロディをされている(とり『猫田一金五郎の冒険』の1『第3セクター殺人事件』で「狂極冬彦先生」の書いた『毛羽毛現の臍』という「厚みの方がタテヨコより長い」本が登場する　『美容院坂の～』も最後にそういわれるが、この作品も「倒叙」物の説明で登場する)。こうも分厚いのに分冊化しないのは、全ての版で自らindesignで校正をするのが大変なためである。