概要
エリュトライのシビュラ(巫女)が受けた神託で、「ローマ市崩壊」を引き起こすと予言されているもの(ただ後述するようにこれを扱う資料は散逸しており、断片を文法学者が復元した際にこの記述は認められなかった)。
アトランティス大陸に棲むという怪鳥で、地中海でもたびたび目撃されたといわれる。
姿は牡鹿の頭と脚、鳥類の体と翼を持った大きな鳥で、自身の影を持たず光をあびると人間の影ができる。
故郷から離れた場所で亡くなった旅人の化身ともいわれ、集団で人間に襲いかかって殺し、自分の本来の影を取り戻すという危険な幻獣である。彼らは虐殺の後犠牲者の血液の中で転げ回り、力強く飛び立つといわれる。
また正体は亡霊であるので不死身であり、通常の手段では倒せないという伝承もある。
なおカルタゴに出征したスキピオ(小アフリカヌスの方)達ローマ帝国の軍勢が、船で移動中にペリュトンの群れに襲われ、影と同じ姿の兵士が惨殺されたという逸話、ラヴェンナで遭遇した人が「羽毛の色は緑だと思ったら淡い青だった」と言った目撃例が残されている。
実は…
という伝承が残されているといわれるが、初出はアルゼンチンの作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスが執筆し1959年に出版された『幻獣辞典』であると言われている。
ボルヘスは執筆にあたり、16世紀フェズ出身のラビ(は「律法学者」という意味で具体的な固有名詞は不明というか、「多分ヤコブ・ベン・カイム」)が著した論文(ドレスデンの大学に、第二次世界大戦前まであった)を元にしたと記述しており、ラビはギリシアの古典注解学者の著作(散佚した)から引いたとし、さらにその文献の引用元「エリュトライのシビュラ」の神託はアレキサンドリア図書館という、紀元642年ウマル1世に命じられ将軍アムルーが燃やした所にあったとしている。(原典の確認のしようが無いという予防線)
書誌情報
ホルヘ・ルイス=ボルヘス マルガリータ・ゲレロ 柳瀬尚樹訳『幻獣辞典』
晶文社1974年刊p166
同2013年刊p187
河出書房2015年刊 文庫版p267
水木しげる『悪魔くん魔界大百科』p76では、以津真天との類似点と、世界各地で「死者の霊」が鳥の形をする信仰が指摘されている(ちなみに元である『悪魔くんの悪魔なんでも入門』は刊行が1985年で、ここでのこれは4本足)。
創作での扱い
日本では2本足と描写されることが多いが、海外においては翼のある鹿という4本足の解釈もある。
鹿の頭部を持つ猛禽のような姿。第1版のモンスターマニュアルから登場する古参モンスターである。
火之鳥ペリュトンとして登場。名前のみの引用で設定や姿は異なる。
陽炎獣ペリュトンとして登場。炎に包まれた翼の生えた鹿の姿。
フライング・ペリュトンとして登場。ペガサス扱いされることに不満を持っているという。
海種ペリュトンとして登場。
『ファイナルファンタジー3』でワイバーンの色違いとして登場。『ファイナルファンタジー14』では外地ラノシアで対応LV30伝説の巨竜「ペリュトン」が登場。その正体とは…
関連イラスト
2本足
4本足
関連タグ
カール・レーフラー:架空の引用元。こちらはアカデミズムの世界で行ったために問題となった。