概要
幻獣は広辞苑には載っていない言葉だが、ホルヘ・ルイス・ボルヘスの文学作品『幻獣辞典(El Libro De Los Seres Imaginarios、1967年刊)』から『ファイナルファンタジー』シリーズまで各所に用いられる。昨今ではUMA(未確認動物)にもこの名称が用いられる事がある。
伝説や民話に登場するような有名なものから個人の創作まで幅広いが、語感から、クリーチャー・モンスター・怪物などよりも好意的あるいは神秘的なものを指す言葉として使われている傾向がある。
ちなみにケツァルコアトルや四神のようにいわゆる神霊の類であっても、完全な獣型の姿を取っていれば幻獣にカウントされる場合がある。
フィクションにおける幻獣
ゲーム上では、単なる変わった動物や架空生物より、通常の生物を逸脱した魔法的能力を持つものを指す例が多い。
「ソード・ワールド」では、魔法的能力を持つ動物のうち、邪悪ではない人間や妖精に対して敵対的でないものを指し、あからさまに敵対的なものは魔獣と呼ぶ。「ソード・ワールド2.0」では、敵対的かどうかは問わずにすべて幻獣と呼んでいる。
創作作品では(どう考えても通常の生態系から逸脱した存在である為、)神や悪魔の被造物や異世界の土着生物として描写されたり、SFの絡む作品では人間が動物を掛け合わせて作り出した存在だったり、純粋に生物が進化したというパターン、古代に出現した怪獣の伝承が時を経ていくうちに幻獣の伝承に変わっていったなどのパターンがある。なお、型月作品のようにかつて実在していた空想の生物の死骸が実在の古生物(恐竜)の遺骸として現代人に認識されたなんて変化球の他、架空の動物の存在が当たり前の世界においても所謂「幻獣」が存在するという例もある。
幻獣の名を持つ存在が登場する作品
五十音順
ARMS(漫画)
敵組織エグリゴリのエージェントキース・レッドに移植されたアドバンストARMSのコードネームが「幻獣(グリフォン)」。
超振動を用いて物質を粉砕する能力を持つ。童話『不思議の国のアリス』に登場するグリフォンに由来。
風のクロノア
劇中に登場する雑魚キャラやボスキャラなどが幻獣と呼ばれている。
ジョーカーのように高い知能を持った幻獣もいるらしい。
仮面ライダーセイバー
敵怪人メギドのジャンル(分類)の一つが幻獣。
その名の通り想像上の動物や怪物を模しており、「幻獣」ジャンルを司る幹部レジエルの怪人態はドラゴンやフェニックスなど様々な幻獣が混ざり合った姿をしている。
からくりサーカス
『真夜中のサーカス』の猛獣使いの自動人形ドクトル・ラーオが使役する怪物たち。
正体は伝説上の生物を模したロボットに猛獣の脳を移植したある種のサイボーグ。
高機動幻想ガンパレード・マーチ
1945年に現れた人類の敵対種族。
突如として出現し、死ねば痕跡も残さずに消え去る幻のごとき存在。
生身でありながらレーザー砲やミサイルを備えている。身体の特徴により6属12科に分類される。
共通の特徴として赤い眼を持ち、強力な種ほど眼の数が多いとされる。
轟轟戦隊ボウケンジャー
古代文明の遺物として遺伝子操作で作られた生物兵器「幻獣(ボウケンジャー)」が登場。
高い戦闘能力を持つ反面、敵味方の区別が一切できない欠点を抱えている。
卵の状態でジャリュウ一族が入手。抑止力となる黄金の剣と併せて世界を征服しようと企むが、剣が手に入る前に孵化してしまい、凄まじい力で暴れ回る。最期は黄金の剣を手にしたボウケンレッドに敗れた。
後に大神官ガジャに改造された別個体が改造幻獣ゴードラムとして登場。
獣拳戦隊ゲキレンジャー
後半の敵組織および敵の使う拳法として「幻獣拳」が登場。
神秘の獣である幻獣を模した獣拳。黄金のオーラ幻気(ゲンキ)により魔法のごとき技を操る。
構成員はリンリンシーと同じく気の力で変異した人間だが、幹部であるロンだけは正真正銘の幻獣である。
TYPE-MOONシリーズ
同世界上では「幻想種」という総称に纏められており、幻獣は魔獣と神獣の中間ランクに位置する。
魔獣や神獣に比べると数こそ少ないが、それでも強力な存在として描かれており、メドゥーサの宝具「騎英の手綱」で召喚される天馬やアストルフォの宝具「この世ならざる幻馬」であるヒポグリフ、ケツァル・コアトルの宝具「翼ある蛇」で召喚されるケツァルコアトルス、その他インド異聞帯のガルダなどが該当している。
幻想種も参照。
パスファインダーRPG系列
初代のEidolonの有志訳が幻獣。初代でもこうだったかは不明だが少なくとも2eでは受けるダメージが主人にリンクする。落下ダメージは存在するが緩めたり無効にする手段も存在する。
HUNTER×HUNTER
古くからの目撃談のみで存在を確認されていない生物を指す名称。
第287期ハンター試験の合格者ポックルは幻獣を探す幻獣ハンターだった。
ファイナルファンタジーシリーズ
召喚獣の異称。
召喚士や魔界幻士の魔法に応じて現れ力を貸してくれる。
外見は名前通り獣の姿のものや人間と見分けが付かないようなもの、果ては巨大ロボットにしか見えないものまで様々。
時の流れが異なる世界「幻獣界」が存在し、幻獣は普段はそこに住んでいる。
幻獣王リヴァイアサンと王妃アスラが幻獣界を統治している他、月には幻獣神の異名を持つバハムートが居る。
太古の時代に互いに戦いあう三闘神が自らの手駒とするべく魔の力を与えた生物の総称。
死ぬと遺体はその力を宿した鉱石「魔石」へと変わり、それを持つことで人間は魔法の力を身に着けた魔導士となる。
本編の1000年前に魔導士の引き起こした「魔大戦」終結後、幻獣たちは再び力を悪用される事を恐れ隔絶された空間で暮らすようになった。
RAVE
序盤の敵獣剣のランスが操る、読んで字のごとく幻で出来た獣。
愛用する「獣剣」を振るうことで幻獣を作り出し、ダークブリング「リアルモーメント」の力で実体化させて攻撃に用いる。
通常は狼など肉食獣の頭部を出現させるだけだが、巨大なドラゴンを丸ごと一頭作り出すこともできる。
ONEPIECE
動物への変身能力を与える「動物(ゾオン)系」の一種。これを食した能力者は名前通り幻獣=想像上の動物に変身する。不死鳥ならば再生能力を促進する炎、青龍ならば天候操作や口からの熱線放射といった通常の動物系には無い特殊能力を行使できる。
その希少性は3系統で最も珍しい「自然(ロギア)系」以上とされる。
潜入兄妹特殊詐欺特命捜査官
主人公となる兄妹の復讐相手の最大級の巨悪犯罪組織名として登場。鳳凰をトップに、青龍・朱雀・白虎・玄武の4人の幹部が存在している。
その他の作品での扱い
ドラえもん
大長編を参照してもらえば分かる通り、この世界では既存の生物種が進化した、ゲームのプログラムが現実世界に逃げ出したというように、架空の存在であっても、SF的な解釈をされる事が殆ど。
幻獣とて例外ではなく、作中では遺伝子操作で生み出されたものだとされる。
作中では幻獣は「空想動物」という総称になっていて、植物がベースなものでも同様である。
「のび太の日本誕生」では動物の遺伝子アンプルとクローニングエッグを使ってのび太がペガサス、龍(ただし映画版では西洋竜の要素もミックスさせる為かコウモリの翼がある)、グリフォンを生み出している他、22世紀には「空想動物サファリパーク」なる施設が存在する(日本誕生に登場する幻獣たちも現在はここに引き取られて住んでいる)。安全のためにサファリクラフトに乗って移動する規則になっている(この設定は作品によってまちまちである)。
なお、幻獣たちは物理法則を無視して伝承通りの能力を行使でき、生物なので生殖や排泄もする模様(ここまでできる辺り、遺伝子操作生物の中ではトップクラスの完成度である)。さらに人の言葉を解するほどに知能も高い。ただし、全てが伝承に即しているわけではなく、ユニコーンは男性であっても乗せる事がある。
※わさドラ版で確認できる限りではペガサス、ユニコーン、ケンタウロス、妖精、カラス(種族不明)、九尾の狐、ジャック・オ・ランタン、ホーンテッドツリー(木霊といった方が適切か?)、河童(スネ夫にそっくり)、人魚、龍、クラーケン(ここまで第136話)、ツチノコ、フェニックス、河童(嘴あり)、ドラゴン、コカトリス(ここまで第372話)などこのサファリパークでは有名所からマイナーまで幅広く飼育されている事が確認できる。(他の媒体ではイエティ、ランプの魔神、ナンディ・ベア、ネッシーをはじめとしたUMAが生息している事が確認できる。)
このうち、エンジェルドルフィン、ケシキリン、ミラーライオン、コアライトは完全オリジナル種である。
なお、人魚やケンタウロスは明らかに人間ベースのパーツがある為、人間の遺伝子を使ってるのではないか?と思ってしまうが、劇中では詳しいことは明かされていない。
その一方、孫悟空でおなじみの筋斗雲(作中では『きんとうん』表記)が『山奥に住む雲に似た珍しい生き物』として登場しており、のび太達の世界から数十年後の未来にはツチノコをペットにするのがブームになっていたり、一概に『ドラえもん世界の幻獣は全てバイオテクノロジーの産物』と片付ける事もできない。
関連イラスト
メジャーな種族を描いた作品には「幻獣」タグをわざわざ付けていない事が多く、比較的マイナーな種族や創作種族を描いた作品が、「幻獣」タグの付いた絵の中では多い。
しかし、幻獣の代表のような竜を描いた絵は、「幻獣」タグの付いた絵の中でもかなりの存在感を放っている。
幻獣一覧
東西共通
欧州
アーヴァンク アイトワラス アウズンブラ アスピドケロン アハ・イシュケ アラクネ アルコノスト アンフィスバエナ
ヴィゾフニル ヴァトナゲダ ウォーターリーパー ヴォルパーティンガー 唸る獣 海兎 ウロボロス ウンゴリアント
ガーゴイル カプリコーン カラドリウス カリュブディス ガルム カロパス キマイラ キャスパリーグ クー・シー グーロ クラーケン クリード グリルス グリフォン グリマルキン グリンブルスティ グルファクシ ケートス ケット・シー ケルピー ゲリとフレキ ケルベロス ケンタウロス ゴーゴン コカトリス
サーコス ジズ ジャバウォック スキュラ スクヴェイダー スコル スチュパリデス ストーンカ スプリガン ズラトロク スレイプニル セーフリームニル 双頭の鷲
バイコーン ハティ ハルピュイア バルトアンデルス バロメッツ パンサー バンダースナッチ ヒッポカンポス ヒッポグリフ ヒッポセルフ ヒュドラ ピルウ ファフニール フィアラル フェンリル フェニックス フギンとムニン フレースヴェルグ ヘイズルーン ペガサス ペサンタ ペリュトン ペルーダ ヘルハウンド ボナコン
ラードーン ラタトスク ラミドレウ リンドブルム ル・カルコル レモラ
アジア
アイラーヴァタ アクパーラ ア・バオア・クー イッペラボス ウッチャイヒシュラヴァス 海犬 海狼
カーマデーヌ 獬豸 唐獅子 ガルーダ 九尾の狐 ギリメカラ 麒麟 クールマ グルル 狛犬 コン・トラム・ヌーオーク
犀 サラマー サーラメーヤ シーサー 四凶 四神 四霊 大鮫魚 鳥龍 騰黄
中東
アジ・ダハーカ アルミラージ アンズー イフリート ウガルル ウシュムガル ウルマフルッルー
バシュム バハムート ファラク ブラーク フンババ ベヒーモス
北米/南米
アーウィソウトル アスカトル アミクック アメリカ雷獣 アリカント ウィッフェンプーフ ヴルパングエ エル・クエーロ オセロット
ガアシエンディエタ カーバンクル カクタスキャット カデホ カトシツアシュク カブラカン キブンゴ ギリビーロ クルピラ ケツァルコアトル
サンダーバード ジータースコグ シウコアトル ジャッカロープ スライバーキャット シントホロ スクォンク スナリーギャスター スプリンターキャット
ティーケトラー トラルテクトリ トリポデロ チャク・ムムル・アイン
パルライユク ピグチェン ピアサ ピナクル・グルース フープスネーク フヴッコ・カプコ ホーガ ホーンド・サーペント ホダグ
アフリカ
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