概要
ナッカー(Knucker)とは、イングランドのサセックス地方において見つかることがある、地面に開いた深さ30フィート(約9~10m)ほどの水が溜まった穴「ナッカーホール」に棲むというドラゴンの一種で、この名は古英語で水の怪物を意味するニコールに由来するといわれ、ベオウルフの叙事詩でも言及されているという。
その姿は翼を生やし、シーサーペントのような「巨大でずるずるした体、鋭く冷たい目、シューという音を立てる致命的な口」を持つ怪物であるといわれる。
サセックス地方では、この怪物が人畜を襲っては喰らい、村人たちを困窮させていたと伝わっているが、特にライミンスターという地区で暴れていたというエピソードが有名である。
村人たちが6つの教会の塔から持ち出した6つの鐘楼を結んでナッカーホール内部を探索しようとしたのだが、どのようにしても水底に達することはできなかったのだという。
この怪物を倒した騎士にサセックス王が王女を娶らせた、またはアランデル市長が退治してくれる者を集った際に、ジム・プルク(ジム・パトック)という誰も期待していなかった農民の少年が、馬に引かせた荷台に毒入りパイをしこたま積み、馬ごと食べさせることで退治したと伝わる。