概要
サンスクリット語で“魚”という意味の名を持つヒンドゥー教におけるヴィシュヌ神の第1のアヴァターラ(化身)。
伝承によればかつてマヌ(ヴァイヴァスヴァタ)という名の男性が祖先の霊に水を捧げる為に川に入った際に角を生やした小さな魚の姿で現れ、自分が大きな魚に食べられない様に守ってほしいと頼んできた。
この魚こそがヴィシュヌ神の化身・マツヤであり、当初はそのまま魚を川へと放そうと考えていたマヌは懇願する魚を哀れに思い、この願いを聞き遂げると魚を最初は壺の中で育てたが、あっという間に大きくなった為、次は池に移して育てると、直ぐに成長して池に入りきらなくなった為、次は川へと、そして海へと次々に移していった。
そして海にも入りきれなくなった魚は7日後に大洪水が起こりあらゆる生き物が滅び去ると予言すると、彼に船を用意して7人の賢者、薬や全ての生き物、植物の種子を乗せて避難するようにと告げ姿を消した。
マヌは自分が守り育てた魚はヴィシュヌ神であったことを悟り、ヴィシュヌ神の忠告通り、船を用意してそれに避難した。そして7日後、魚の予言した通りに本当に大洪水が起こり、地上はみるみるうちに水に飲み込まれていった。
既にこの事をヴィシュヌ神から教えられていたマヌは準備を済ませて船に乗り込むと背中に角を生やし巨大な魚の姿へと化身したヴィシュヌ神が現れ地下世界パーターラの支配者・ヴァースキをロープ代わりに背中の角と、船の軸先へと巻き付けヒマラヤの山頂まで引っ張り上げた。これによりマヌは大洪水の大災厄から生き残る事が出来き、人類の始祖となって地上に生命を再生させたとされている。
関連項目
ノアの箱舟→類似している神話関連で。