概要
三柱神が一柱、ヴィシュヌの乗り物(ヴァーハナ)。ヴィシュヌから不死性を与えられた神鳥。
人間の胴体に大鷲の翼と頭部と爪を持ち、羽毛一枚で世界を支えられる程大きいと言われる。
インド神話においては、竜の類(ナーガ族等)と永遠に相容れぬ敵対関係にあり、それらを退治する聖鳥として崇拝されている。(ナーガ族からしたら害鳥の類い)
またヴィシュヌの騎乗獣となる過程で、ナーガ族に捕まった母親を救うために(諸事情があったとはいえ)神話の神々全員にケンカを売ろうとしたことさえあり、その勇猛さは並のものではない。
神話
母は女神ヴィナター。ヴィナターには姉のカドルーがおり、カドルーはナーガ族の母だった。
カドルーは1000人の子供の卵を産んだのに対し、ヴィナターはたった2つ、だがあらゆる面でカドルーの子供たちより優れた子供になるであろう卵を産んだ。
それから500年経って、カドルーの卵は全て孵化したのに対して、ヴィナターの卵は一向に孵らなかった。
痺れを切らしたヴィナターは卵の一つを割ってしまうと、まだ体が出来上がっていない息子、暁の神アルナが産まれた。
成長を止められたアルナは怒り、母がカドルーの奴隷になる呪いをかけ、もうひとつの卵はもう500年待てば孵るであろうと言葉を残し、暁の空となって飛んでいってしまった。
ヴィナターはカドルーの奴隷となってしまったが、アルナの言葉通り、500年後にもうひとつの卵が孵化した。
これがガルーダである。
ガルーダは母の境遇を悲しみ、母を助けるため、カドルーの子供であるナーガたちと交渉して、飲めば不死身になるという神の蜜アムリタを交換条件に母を開放する約束を取り付けた。
アムリタを手に入れる過程で天の神々と戦うことになったが、ガルーダは風神ヴァーユや雷神インドラといったそうそうたる面々を次々と突破していったが、やがて維持神ヴィシュヌと遭遇する。
ヴィシュヌはガルーダの事情を知り、ガルーダに自身の乗騎(ヴァーハナ)になることを条件に、彼を不死身にした。
こうしてアムリタを入手したガルーダは、インドラと共謀してナーガたちを騙し、アムリタを与えることなく母を解放した。
叙事詩ラーマーヤナにも登場する。
ヴィシュヌの化身である勇者ラーマが魔王ラーヴァナの軍勢と戦っていた時、ラーマはラーヴァナの息子にして最強の戦士であるインドラジットが投げた、命を吸い尽くすまで決して解けることのない蛇の縄に苦しめられていた。
そこへガルーダが現れ、蛇の縄を啄んで解き、ラーマの危機を救うのである。
息子には二体のハゲタカの王「ジャターユ」と「サムパーティ」がおり、若鳥だった時分に、インドラ神に挑戦しようとして天空に昇っていったが太陽の光で翼を焼き尽くされ、ジャターユはダンタカの森、サムパーティはヴィンディヤ山脈に墜落した。ラーマーヤナにおいてはラーマのピンチを救うために活躍する。ジャターユはシータを救おうとしたが、ラーヴァナに殺害され、残されたサムパーティは千里眼を使ってラーヴァナの居所をヴァナラに伝えた。この功績が認められて、サムパーティは新たに翼を得る事ができたのであった。
仏教にて
後に一部の仏教にも取り入れられ、迦楼羅(カルラ)または金翅鳥(こんじちょう)と呼ばれ(後者の場合は別の存在とされることもある)、天竜八部衆のひとつに数えられるようになった。迦楼羅のイメージは日本の鴉天狗(天狗の項も参照の事)にも多大なる影響を与えている。
また、真言や密教における諸天が背に負う円形の焔や不動明王の炎型の後光を、この神鳥になぞらえて「迦楼羅炎」と呼ぶ。
スリランカでは、宗教上の問題から悪の存在となり、グルルやラクシャサと呼ばれた。
インドネシアの国営航空会社であるガルーダ・インドネシア航空(ガルーダ航空)の社名の「ガルーダ」もこの神鳥からとっている。
ガルーダの名を冠するキャラクターなど
大半が前述の神鳥に由来するものと思われる。
2004年と2017年または2018年の映画は『Garuda』と検索すれば良い。
- 『聖闘士星矢』に登場する「冥界三巨頭」の一人、天雄星ガルーダのアイアコス。
- アニメ『超電磁ロボ コン・バトラーV』の敵キャラクター、大将軍ガルーダ。「ロボットアニメの美形悪役」の元祖。
- 格闘ゲーム『パワーストーン』の登場人物。賞金稼ぎのインディアン。
- ゲーム『デジタルモンスター』に登場する完全体デジモン。ガルダモン
- ゲーム『クイズマジックアカデミー』の登場人物、ガルーダ先生。
- ゲーム『妖怪ウォッチ3』に登場する妖怪。→カルラ
- グロゲー『よもまつ』のヒロイン(女主人公)。
- エロゲー『俺たちに翼はない』の登場人物。
- 特撮映画『ゴジラvsメカゴジラ』に登場する大型戦闘機。→スーパーメカゴジラを参照。
- MMORPG『ファイナルファンタジー11(FF11)』の召喚獣のひとつ
- ゲーム『ファイナルファンタジー3』に登場するボス敵のひとつ。→ガルーダ(FF3)
- ゲーム『ドラゴンクエストシリーズ』に登場するヘルコンドル系のモンスター。
- 特撮『鳥人戦隊ジェットマン』の二号ロボ、ジェットガルーダ。
- ゲーム『サンサーラ・ナーガ』のソーマの樹やリタ・サティヤの塔に登場するモンスター。
- ゲーム『エースコンバット6』に登場するエメリア共和国空軍東部防空軍第8航空団第28飛行隊ガルーダ。
- シューティングゲーム『イメージファイトⅡ』、『R-TYPE FINAL』、シミュレーションゲーム『R-TYPE TACTICSⅡ』に登場するプレイヤー機、軌道戦闘機OF-3 ガルーダ。
- FGO2部4章『創世滅亡輪廻ユガ・クシェートラ』に登場するエネミー。元ネタは上記のガルーダと同じだが、シャンタクの色違いとして登場。どうも原典のガルダとは似て異なる存在のようである。
- 特撮ヒ-ロー番組・『超星神グランセイザー』に登場する巨大ロボット・超星神の一つ。
- 討鬼伝に登場する大型鬼の一匹、インカルラ(陰迦楼羅)。
- 激闘!クラッシュギアTURBOの主人公真理野コウヤのマシン・ガルダイーグル及びガルダフェニックス。
- 特撮テレビドラマ『仮面ライダーウィザード』に登場する使い魔であるプラモンスターの内の2体、レッドガルーダとホワイトガルーダ。
- 『ドラガリアロスト』の期間限定イベント「天つ風に願いを」から登場したキャラクター。人型タイプのドラゴン。(CV:甲斐田裕子)
- 『北斗の拳』外伝作品に登場する南斗神鳥拳の使い手、金翼のガルダ。
- ゲーム『ビッグファイト』に登場するインディアンかぶれの男。中ボスの1人だが倒すことで使用可能になる。
- アニメ『ゼーガペイン』に登場する3機のゼーガペインのうち、偵察型のタイプ。⇒ゼーガペイン・ガルダ
ガルーダをモチーフとしたキャラクター
特撮
ゲーム
名前引用
女神転生シリーズのガルーダ
初出は『デジタル・デビル・ストーリー女神転生Ⅱ』で、種族に鳥族が無かったために「神獣」だった。
『真・女神転生』から種族は主に「霊鳥」になり、多くの作品で衝撃属性(あるいは疾風属性)を操る悪魔として活躍。
金色の鎧を纏い、下半身が人型になった猛禽類のような姿をしており、蛇のような尻尾が目を引く。
デビルサマナー版では伝承に則したデザインで登場しており、『D×2』ではこちらが異世界のガルーダとして参戦。両デザインに共通して牙を生やしているが、前者が上向きなのに対して後者は下向きに伸びている。
ペルソナシリーズにおいては『星』のアルカナに属するペルソナとして登場(『女神異聞録ペルソナ』では『SUN』)。
恐らくは『金翅鳥』の異名をとる程の輝きを放つ伝承が由来ではないかと推測される。
なお金翅鳥の原語版であるスパルナは、『真・女神転生Ⅱ』より別悪魔として登場している。