竜使い 十戒
一、常に竜と共にあれ
一、正しき者より盗むなかれ
一、無益に殺すなかれ
一、やられたらやりかえせ
一、やられる前にやれ
一、一日一善
一、常識を疑ってみよ
一、気を付けよ甘い言葉と暗い道
一、小さな予算で大きな仕事
一、あがめよ讃えよ汝の師匠
内容が一部おかしい部分もありますが問題ありません
ゲーム作品としての『サンサーラ・ナーガ』
原作・監督にその道で有名な押井守を、脚本に劇場版『パトレイバー』で有名な伊藤和典を、音楽に押井作品で有名な川井憲次を、キャラデザインに可愛らしい画風で知られていた桜玉吉を採用。
…と、まるで押井守監督の劇場作品のようなスタッフをそろえて制作し、さらに、ゲームシステムに20世紀では珍しい“竜の育成”を取り入れた意欲作である。
…一応、シリーズ作品なのだが…作られたのが、たったの2作品(リメイク除く)だけだったり。
世界観
サンサーラ・ナーガという物語は、押井守テイストあふれる古代インダス文明っぽい世界で竜使いを目指す若者の物語である。
特徴
- 舞台は外縁部が巨大な石像で囲まれた、ウミガメ型のアクパーラ大陸。
- 人間は急に強くならない!なので優れた武器と防具を手に入れるためには、素材となるモンスターを狩り続けるしかないのである。
- 竜はモンスターを食べれば食べるほど強く大きくなる!最初は弱いが時間さえかければ数百m超の災厄級に。ってどうやってダンジョンとかに入るんだ?
- クズレ竜使いなどの悪人も、倒した後に竜の道徳性はだだ下がりはするが、もれなくシャクシャクと音を立てて食べることが可能。
- 地形により出現するモンスターが変化!なので序盤にラストダンジョン級と遭遇し、ズタボロになることも…。
- モンスターは倒しただけでは経験値はなく金銭も落とさない!魔石のような便利なものはないのである。
- なので倒した後は竜の育成のための肉として消費したり、漢方薬や防具の素材として消費・換金するしかないのである。
- 全てのメッセンジャーに戦いを挑むことができる!移動中でも普通に「たたかう」コマンドがあり、メッセンジャーにケンカを売って戦えるのであるが…
ギャグ
…なぜ、押井守テイストかというと…
インダス文明っぽい世界なのに、なぜか立喰い蕎麦チェーン店はらたまが存在すること。その立喰い蕎麦チェーン店に【立喰いのプロ】を自称する人物が居座っていること。
突如として牛丼仮面なる人物が現れ、主人公に襲いかかってくる
…と、押井守テイスト全開なのである。
シリアス
真面目な部分も、しっかり作りこんでいます。
キーパーソンとなる竜使いの少女アムリタに関わるシナリオはもちろん
そして、世界の秘密に人間の倫理…輪廻…さまざまなテーマが渦巻いているのですよ。ふふふ…
結論
まあ、それらを抜きにしても、
『パズル&ドラゴンズ』やポケットモンスターシリーズで有名な“竜使い”を20世紀に発掘したという、この作品の功績は賞賛に値すると思う。
「遊びたい!」と思うなら、サンサーラ・ナーガ1×2(ゲームボーイアドバンス版)からがおすすめである。
一作目は、いろいろと過酷すぎておすすめできないのである…。
余談
今ではマイナータイトルの扱いだが、オリジナル版の1・2の発売時はそれでも結構勢いがあった。と、言うのもこの時期、キャラクターデザインの桜玉吉が、家庭用ゲーム情報誌「ファミコン通信」で漫画『しあわせのかたち』を連載している時期だったためである。
キャラデザとは名ばかりで粗いドット絵の「1」はそれほどでもなかったが、表現力が大幅に向上した「2」では、プレイヤーには『しあわせのかたち』の読者層がそれなりに多かった。
制作サイドに身内がいる故の謙遜か当時の2大ファミコン雑誌レビューでは、「ファミリーコンピュータmagazine」に対し、「ファミコン通信」は相対的にやや渋い評価をつけていた。
当時エニックスの『ドラゴンクエスト 4コママンガ劇場』に端を発する、版権ゲーム題材の4コマ漫画が流行り、専門誌まで発刊されていた。その中には本作(特に2)を題材にしたものもあった。
『しあわせのかたち』は極初期はファミコンブームを風刺した内容だったが、その後全盛期はゲームのギャグパロディ作品が占めた(ほとんど無版権状態だったらしいが、当時はあまり問題視されなかった)。
その桜玉吉が、ゲーム4コマ専門誌の立ち読みをしていたところ『サンサーラ・ナーガ2』の4コマ漫画を偶然見てしまう。まさか自分のやってることがそのまま返ってくるとは思っていなかったのは本人だけらしい。そしてこれを『しあわせのかたち』のネタにするが作中の自身は「死ぬほど人のコト言えない」とか……
桜がキャラクターデザインに抜擢されたのは、『しあわせのかたち』「ゆうめいRPG2」の回でモンスターを食料とする描写をしたことと、特撮・ミリタリー要素が多い当時の作風が押井の琴線に触れたことで、直々に指定されたのだという。
桜は依頼を受けた際、押井のことを全然知らなかったが、悪友デザイナー・サイバー佐藤に「『天使のたまご』見ろバカ!」と叱られたという。
原作者の押井のほうは「ファミリーコンピュータmagazine」を発行していた徳間書店側との結びつきが強く(アニメ「天使のたまご」製作や、アニメ誌「アニメージュ」で「とどのつまり…」の連載をしていた)、誌上で攻略記事が大々的に掲載され、2のときには伊藤和典脚本のアニメコミックが掲載されるなどの優遇されていた。
いなくなった作品のこと、ときどきでいいから、思い出してください。
しかし、発売元のマーベラスAQLが、この作品に見向きもしないのが問題で…
この作品の続編およびリメイクが作られることはゼツボー的に絶望的であることは間違いないだろう。
長年音沙汰が無かったが、発売から27年後の2017年にゲーム音源版のサウンドトラックが2と合わせて発売されることになった(D4エンタープライズの『AC-MALL』にて発売され、2019年2月に再生産されたが、それも売り切れ。⇒販売ページ)。
関連イラスト
この作品を愛してくれる人も、少なからずいるようで、
サンサーラ・ナーガのタグ付きのイラストがピクシブによせられている。
関連タグ
ビクター音楽産業
登場キャラクター
みずねこ:サンサーラ・ナーガを代表する裏のマスコットキャラ。
ダップ パリラ アルシンハ アムリタ(サンサーラ・ナーガ) ケマル