概要(二枚貝説)
蜃を二枚貝とする説は中国の古書『彙苑』『史記』などに確認出来る。それによると「蜃」はハマグリの別名であるとされ、「劫を経たハマグリは春や夏に海中から気を吐いて楼台を作り出す」とある。
鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』の一節「蜃気楼」も前述の『史記』に準拠する形で、二枚貝としての蜃が描かれている。
概要(龍説)
一方で蜃を龍とする説は、同じく古代中国の『本草綱目』に「蛟の一種に属する生き物」とある他、『卑雅』『礼記』にも記述がある。この蛟の一種としての蜃がツバメを捕食する為に気を吐いて幻の楼閣を作り出すのが蜃気楼だとされている。
記述によると(龍としての)蜃はヘビに似て角、タテガミ、赤いヒゲを有し、腰から下の鱗がすべて逆さに生えているとされる。また蜃の発生については「ヘビがキジと交わって卵を産み、それが地下数丈に潜って孵化してヘビとなり、さらに数百年後に天に昇って蜃になる」と言われている。因みに、地下に潜らなかった卵からは普通のキジが誕生するが、これらも何かのきっかけで海に没する事があると蜃に生まれ変わる、と言う(七十二候のうち、立冬の末候の一つ『雉大水に入りて蜃となる』はこの話を基にしたものかもしれない)。
蜃の脂を絞り、それを蝋に混ぜて作ったろうそくに火を灯すと、蜃の吐く気ほど鮮明では無いものの、炎の中に幻の楼閣が見られると言う。また蜃の脂で作ったろうそくは、勉学や勤労の目的で灯すとぼんやりと灯るが、宴会や夜遊びの時に灯すとずっと勢い良く燃えると言う変わった特徴がある。
『礼記』の「月令」では、蜃の文字に「ハマグリ」「龍」と2通りの意味があるのは、ハマグリの蜃が竜族の蜃と同名であるが故に、両者が混同された為だと述べられている。
創作作品において
お化け蛤という名称で登場。
蛟(通常の個体、ダイバダッタの転生個体)や蛟竜も歴代のシリーズに登場している。
朧車に化け、怪気象の原因となっていた他相手を石に変える能力まで持った圧倒的な強さを誇る妖怪軍団の切り札として描かれている。
登場エピソード「朧車」は3期に『激突!!異次元妖怪の大反乱』として映画化され、登場は一瞬ではあるがリアルな作画がトラウマ級であった。
また一度は鬼太郎すら倒しており、漫画版に至っては直接戦闘では倒せず目玉おやじの作戦で異次元に送り返す事でようやく事態を収拾させた程である。
「アニメ版の鬼太郎で最強の敵は?」という話題となると劇場版の代表として挙げられることも多い(そもそも3期はこの蜃以外にも強敵が多いのだが強さと悪役っぷりに惹かれたファンから劇場版代表と挙げられることもある)。
アニメ4期では、夜行さんの妖怪潜水艦に生きた個体?が使われている。歴代のハマグリ船もお化け蛤なのかは不明。
また、水木氏は出世法螺も描いている。
シリーズ初の蜃モチーフである怪人シンマイナソーが登場。原典通り幻を見せる力を持つ。
涙の谷の先にある幻の街「アケルナル」を守る煙の魔神のような竜。不死身でありいくら戦っても倒せないが、涙の谷の最深部にある石碑に書かれたある方法を試すと・・・
続編『サンサーラ・ナーガ2』では、「立喰いの荒野」にある枯れ木の竜の形の影に潜むボスとして設定されていたが、容量不足でその地域ごと幻となった。
根の一族の第三の城「幻夢城」城主で、幻術を得意とするはまぐり姫のモチーフ。
人間の造り出した幻「映画」に魅了され、人間社会では朧孝太郎という名で名画座「幻燈館」のオーナーをしている。幻術が得意で見たことがある映画のシーンを再現でき、戦闘にも生かせる。
ハマグリの蜃をモチーフにしたボス「シン」が登場。貝の中に半裸美女が立っているという際どいデザイン。
迷宮に生息する魔物「夢魔」として登場。
枕の中に潜み、寝ている人間に悪夢を見せることで感情の変動により発生した精神エネルギーを捕食する。
死に際に虹色の煙状の気体を吐き出し、直前に見せていた夢を蜃気楼として映し出す性質を持つ。
外見はただのハマグリにしか見えないがライオス曰く別名「シン」と呼ばれる竜の一種。それを示すように迷宮の主が大量の竜を召喚した際にも炎竜、リバイアサン、ワイバーンなどに混じって一緒に召喚されている。
マルシルに悪夢を見せていた個体は酒蒸しに、召喚された個体は竜同士の混戦に巻き込まれ死亡した緑竜の肉と一緒にアクアパッツァとして料理された。
口寄せ動物「蜃(おおはまぐり)」が登場。
二代目水影こと鬼灯幻月に口寄せされ、吐き出す水蒸気が幻術の媒介となる。
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一刻堂、妖怪城、鵺:スマホゲーム「ゆるゲゲ」における各アニメ世代の強敵。蜃は今の所出てはいないが3期代表としては1番可能性が高い。