「ヤダーッ」
プロフィール
人物
ローブをまとい、アンブロシアと名付けた杖をたずさえた、見た目的にわかりやすい魔法使いである。ライオスのパーティーでは魔法を駆使して火力に補助に回復にと幅広い役割を担っている。魔法使いゆえか肉弾戦は不得手ではあるが、歩き茸くらいの雑魚であれば杖の一撃で倒せる。さらに元は研究畑の出身であるためか、一行の中では特にどんくさい描写が目立つ。
ファリン救出メンバーの中では最も普遍的な価値観を持った、いわゆる常識人枠である。このため、異種族や魔物に対しては強い偏見を持っており、魔物食に関しても誰よりも強硬に反対することが多い。ただし、そこは冒険者という立場ゆえか育ちの良さゆえか、出されたものに関しては尻込みしつつもきっちり完食している。
作品中盤に、現在では禁忌とされる古代魔術を研究している黒魔術師であることが判明する。
打てば響くリアクション芸人枠であり、様々な珍事に見舞われる弄られキャラとして今日も悪戦苦闘している。
作中に登場する他のエルフと比べると耳がやや丸い。終盤で明かされるが、これにもきちんと理由がある。以下に比較用のイラストを示す。左がマルシル、右がフレキ&リシオンである。
能力
とても優れた魔法の才を持っている。作中で披露しただけでも爆破魔法に始まり、水上歩行、死霊術、召喚術、防護、回復、蘇生など幅広い魔法を高いレベルで行使できる。所属していた魔術学校では「学校はじまって以来の才女」と評価されていたとライオスたちに語ったが、これも嘘ではない。
ただし、防護や回復術といった僧侶が使うような魔術に関してはファリンのそれに比べてやや劣るようであり、特に回復術は痛覚などの神経系を不用意にいじるリスクを避けているため、回復の際には「回復痛」と呼ばれる、それこそ怪我の痛みよりも凄まじい激痛が生じる。
また、作中ケルピーの脂身から石鹸を調合したことから化学の知識もある模様。
長い頭髪は魔術の行使に重要な役目を持つものであるため、いつも丁寧に手入れしている。加えてエルフとしては若い女性らしく、作中でも話によって度々ヘアスタイルが変わっている。おしゃれ以外に魔術で髪を使用するために切ったりすることも要因である。
元々研究生として学校に招聘された人物でもあるためか、他者に魔術を教えるのも得意である。特に彼女の理論的な手解きを受けたライオスは、素質もあるとはいえ、ごく短期間で回復や灯火などの補助的な魔法を使いこなせるほどにまで成長している。
古代魔法に関しても長年の研究の賜物か図抜けた才を持っており、作中最強格の魔術師である狂乱の魔術師の魔法をその場で解読し跳ね除ける離れ業すらやってのけた。
いずれも研究と努力によって成し得たものだが、そのため理屈が先走って咄嗟の融通が利きづらいことがままあり、あえて言えばそれが弱点である。最初の頃は本に書かれていることが絶対に正しいと盲目的に信じ込んでいたところがあり、そのせいで色々と痛い目にも遭っている。
性格
とても素直で感情豊かである。笑うとなれば屈託なく笑うし、怒るとなれば恐ろしい相手であっても一歩も引かず怒る。特に相手の感情を推し量ることに長けており、相手の辛い境遇を慮って涙を流せる心優しい性格の持ち主である。
魔物食に関しても表情豊かに拒否反応を示すものの、実際に食べる段になると、調理するセンシの腕前もあるが味はちゃんとしているため、誰よりも美味しそうに味わっていたりする。
また、ライオスほどではないにしてもお人好しな類なので、損得勘定や利害関係といった打算で動く相手の感情を理解しづらい部分がある。
嗜好としては年柄ゆえかかなり少女趣味に浸かっている面があり、恋愛小説も相当読み込んでいる。実際の人の恋路についても興味津々。先述の感情の機微を読み取る能力もどうやらそこ由来と思しく、彼女より酸いも甘いも噛み分けたチルチャックをして顔色なさしめる名(迷)推理をして見せたこともある。
来歴
かつて通っていた魔術学校では優れた才能に加え、親が宮廷魔術士だったことも手伝って「学校はじまって以来の才女」と言われていた。ファリンとはその頃からの付き合いであり、落ちこぼれと思われていた彼女の隠れた才能を知って驚き、逆に見識を広められ友達になった。パーティーで同行した際には、身を挺して亡者を救うファリンの姿に尊敬の念を抱いた。そのためファリン救出にかける意気込みも人一倍強い。
本編開始以前に魔術学校から抜け出したファリンの様子を見に島を訪れるも、トーデン兄妹の貧相な身なりに憤慨して彼女を学校に連れ帰ることを決断。ライオスが一計を案じて実際に自分たちの活動を体験してもらうために入った迷宮でスライムに窒息死させられ、蘇生された折に迷宮の謎に感動しパーティーに加わった経緯を持つ。
「ワールドガイド」によれば、実はマルシルが加入する少し前にいた前任者の女魔術師アシビアがライオスに色目を使って金の無心をするなどをしていた。このようなアシビアの言動により、パーティーメンバーたちはライオスに不信感を抱き、彼らは一時仲間割れしかけていた。最終的にアシビアは脱退しているが、後任がまた女魔術師ということで、トーデン兄妹以外のメンバーはマルシルにも当初ぎこちない反応であった。しかし上記の恋愛関連への興味から加入したマルシルは、メンバーと仲良くなってその経緯を聞こうと画策。結果としてマルシル自身の善性もあるが、彼女の努力によってメンバーたちとも打ち解け、ライオスの信頼も回復するに至った。
それからしばらく経過した時点で1話冒頭に繋がる。
人間関係
当初はファリンを連れ去った犯人と看做しており、第一印象は最悪であった。しかし上述の体験を経てからは少しずつ態度を和らげていった。ライオスも彼女の魔法の才を大いに頼りにしている。
それとは別に、ライオス個人はマルシルが怒った顔をしているよりは笑顔でいる方が安心するという旨の発言をしており、彼女の心持ちを軽くするためか、生い立ちをしっかり聞いてあげるなどの心配りを見せている。
「普段は一番大人」と評するように、冷静かつ客観的な意見を持つチルチャックのことを信用している。その割には見た目で子供と侮る部分があるようで、年齢を聞いて殊更子供扱いする場面も。
その扱いが仇となり、彼が既婚であることはおろか3人の娘を独り立ちまで育て上げたことを本人から明かされるまで遂に見抜くことができなかった。
根っからの魔術嫌いであるセンシとは「呪いに軽率すぎる」「魔術にも苦労がないわけではない」と水と油だったが、地下四階層でのある出来事を機に、彼が魔術に対する見方を改めて以降は良好な関係となる。
彼の振る舞う料理を誰よりも美味しそうに食べ、彼の辛い境遇を推し量って寄り添う姿はまるで親子のようである。
自身の身だしなみや性別に無頓着なイヅツミを気遣い、ブラッシングをしたり衣服を見繕ったりと保護者のように振る舞っている。猫側の魂からは強く懐かれているようで、黄金郷で鎮静化した状態の際には終始べったりとくっつかれていた。
本迷宮攻略の最大の動機。エルフの成長速度的に彼女を歳の離れた妹のように見ているようであり、かけがえのない存在としてライオスの救出行にも真っ先に名乗り上げるほどである。
霊の扱いや回復魔法、ダンジョンに対する広い視座などはマルシルでも舌を巻くほどであり、家族のように扱いながらも学友として彼女の才覚を強く尊敬している。
エルフとドワーフ、という種族同士の偏見のせいか良好な関係ではなく、そうせざるを得ない立場だったとはいえ、急場で報酬目当てに足抜けしたナマリには怒りの感情を向けていた。
とはいえお互い一皮むけば情に篤い人柄なので、最終的にはマルシルの窮地に助太刀し、食卓を囲んだことでわだかまりは解けたようである。
- シュロー(半本俊郎)
ファリンに懸想していたことを早くに見抜いており、あまり良い感情は持っていなかったようだ。
別ルートでファリンの救出に向かっていたシュローからは黒魔術を用いた蘇生を強く非難されており、返す言葉もない彼女にしばらくの間暗い影を落とすことになった。
※作中世界では黒魔術は犯罪であり、術者は勿論のこと、術をかけられた者すら大罪人扱いされてしまう。
作中での活躍
パーティでは「魔法使い」として、遠距離の爆破・魔法陣を介した火起こし・失神魔法から水上歩行や回復魔法に至るまでこなすなど優秀である。反面、エルフの種族特性として体力や運動能力では劣る部分があるため、時折パーティーの足を引っ張ることになり、それを気にしている節がある。それでもアンブロシアである程度の格闘はこなし、杖を持たずに攻撃魔法を放つこともできる。
魔法に関する知識が豊富であり、学生のころから将来は自身の手で無害なダンジョンを作りたいと考えており、ダンジョンを構成する生態系について研究していた。そのため、狂乱の魔術師の手になるというダンジョンを「守護の魔物を自動で補充する、何重にも計算された高度な魔術結界」と見抜いている。
また、「魔術に善悪なんてない」という信念のもと、禁忌とされる古代魔術をも修めている。緊急を要することになったファリンの蘇生においては、ライオスの承諾のもとでその古代秘術を行使し、見事に成功させた。また、その後狂乱の魔術師その人と対峙することになった際には、最悪の強敵に対して術を直接書き換えるという対抗手段を取り、危ういながらもその場を凌いで見せるなど、その研究と実力は本物である。
ダンジョン最奥にて狂乱の魔術師シスルと対決後、翼獅子に欲望を食われ廃人と化した狂乱の魔術師から翼獅子を封じた「本」を奪うことに成功。戦勝ムードもそこそこに、ダンジョンを封じに来たカナリア隊に問い詰められ、本を抱えて逃げようとしたことで「迷宮の主」と見做され殺されかけてしまったが、咄嗟に本の封印を解き、新たな「迷宮の主」となった。
迷宮の主となり、自身の願いである「全ての人類の長寿化」を実現するため「全世界を迷宮化」しようと、魔物の大群を率いて侵攻を開始し、迷宮の結界を破壊する。しかし、再度合流したライオスたちの説得により、迷宮の主をライオスへ移譲する。
迷宮の主になった際に悪魔に「髪を結いたい」という欲求を食われたらしく(マルシルの恐怖心を和らげる呪いとして額にキスした際につまみ食いしたと思われる)、以降は髪を整えることが非常に億劫になってしまっている。
古代魔術の禁を犯したことで西方のエルフの国へ送られることになっていたが、狂乱の魔術師と悪魔を倒したことで黄金郷の王となったライオスの説得と、西方エルフに対しての(割と一方的な)交渉成功により、黄金郷に留まることになった。
王国が復興してからは「ワールドガイド」によれば顧問魔術師の立場となったとのことである。ただ政治はわからないとのことで、王への助けというより気心の知れた冒険仲間及び友人として補佐している。無論、他国からの使い魔を追い払うための魔術除けを城に施したり、城を抜け出したトーデン兄妹の護衛で同行したりもしている。
余談
ドイツ語版の吹き替え声優マグダレーナ・ヘフナーに対する称賛の声は高く、英語の称賛のコメントである「adorable elf loser」が日本語に機械翻訳されることで、マルシル=「愛らしいエルフの負け犬」と言われることも。
関連イラスト
終盤のネタバレ
トールマンの父親とエルフの母親との間に生まれたハーフエルフである。※ハーフトールマンとは呼称されない。
本作におけるハーフエルフは、平均寿命300年程度の純粋なエルフよりも長寿命で1000年程度生きるのだが、身体の成長が不安定で子供が作れないという身体的欠陥を持つ。そのためハーフエルフは一代限りの存在として孤独な生涯を強いられる運命にある。
耳が丸いのも、トールマンとの混血のエルフであるためである。
長すぎる寿命ゆえに同年代の友人に恵まれなかった上、最愛の父親を老衰で亡くしたことで「誰一人として自分と共に老いることは出来ない」という現実を突きつけられたマルシルは「世界中の全種族の寿命を同じにする」ことを夢に掲げるようになる。禁じられた古代魔術の研究やダンジョンの調査を行っていた目的、ライオスについてきた理由もそのためで、その本意は迷宮の力を解き明かし手に入れるところにあった。
「先立たれる」ことに関しては現在も強い苦手意識を抱いており、悪夢を見せられてうなされた際は「自分以外の仲間を次々と食らう死の具現」が夢に現れ、ある事情で死体に囲まれることになった際も弱音をこぼしている。
一応悪意があるわけではないが、その歪な欲望は翼獅子=迷宮の悪魔に魅入られる原因となってしまった。また実年齢を人間年齢に変換するとなんと5歳である。
関連タグ
マルシルの杖・アンブロシア マルシル髪型変更 マルシル顔変化 カエルスーツ(ダンジョン飯) マルシル(漬物石の姿) 北米版マルシル 前衛的なドレス 一番大人しいドレス マルシル(○○の姿)
ヤダーッ やだやだ絶対やだ マンドレイクの収穫に恐怖するマルシル マンドレイクの悲鳴を聞いたマルシル もう魔物食べるなんてこりッごり!! 他のとこも食わせろ!! 学校はじまって以来の才女マルシル チルチャックが妻子持ちと知ったマルシル
タグは「マルシル」が多く使用されているが、フルネームである本項表記の使用が望まれる。
似ているキャラクター
リュー・リオン:「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」のキャラクターで、ポンコツエルフ繋がり。因みに声はファリンと同じで、マルシルの中の人はリューの元仲間だった。