CV:小林ゆう
概要
物語の舞台となっているダンジョンの主と言われる魔術師。
褐色肌のエルフの男性で、一見すると子供のような外見だが年齢は不詳。
長大な寿命と「万能」とも言える種族特性、時空間と魂魄に干渉する『禁忌』の黒魔術を自在に行使する、強大な魔術師。魔物を生み出し自在に操り地形を変え、本をめくるだけであらゆる生物を殺す事ができるなど高い魔力を保持している。
その秘密は、迷宮の力の源である悪魔・翼獅子を2冊の"本"に分けて封じているからで、1冊をダンジョン内で拠点にしている自宅に隠し、1冊は肌身離さず持ち歩いている。
陛下と呼ぶ人物を崇拝し探しており、ライオス達と因縁の出来たレッドドラゴンも、彼から陛下探索の任務を受けていた。
冒険者や亜人といった迷宮外から来た者達も害虫として敵視しており、陛下捜索の情報源になり得る為ある程度は渋々黙認しているが、必要以上にダンジョンに介入すると姿を見せ殺しにかかる。
巻末のおまけ漫画ではマルシルに「超金持ち」と言われているが、あくまで彼女のイメージであり、実際には俗世的な富とは程遠い人物である。
人物像
ダンジョンの支配者として千年にわたって君臨しているが、管理者としての気苦労や理想と現実の齟齬に悩まされ続けた結果、大変に情緒不安定で独善的な人物へと変貌してしまっている。
それ故、敵と見なした人間を問答無用で殺そうとする事は勿論、自分の意に沿わぬ者の言うことには一切耳を貸さず、救おうとした黄金郷の民にも理想通りの暮らしを強制するなど、極端に排他的で器の狭い振る舞いが目立つ。
片付けは苦手なようで自宅は超散乱状態。本棚も巻数も関係なく適当に突っ込んであるだけという有様。しかし、日記(ポエム付き)は律儀につけていたようである。
ライオスたちにより部屋を掃除された際には「理由があってそこに置いてある」とブチ切れた。
彼の過去とその末路
本名はシスルといい、ダンジョンに封じられた「黄金の国」の王デルガルの先王フリナグが「エルフ(長命種)を従者にするのは権力者のステータス」という理由で連れてこさせた。当初は音楽を奏でる道化師として仕えていたが、魔法使いの才能があることが分かり、宮廷魔術師として頭角を現すようになっていった。
子供の頃に引き取られたこともあってフリナグ王からは実子のように可愛がられており、デルガルとは幼いころから共に育ったこともあってか王と部下という主従関係というよりも兄弟のような関係であった。
ところが、フリナグ王は政敵に毒を盛られて暗殺されてしまい、それを見て死の恐怖に取り憑かれたデルガルをシスルは陰日向となく支えてゆくことを決意。
そして約1千年前に天災や他国の侵略で国が滅亡の危機に瀕した際に城の地下に封じられていた"本"を手にしたことでシスルは「迷宮の主」となり、膨大な魔力を手に入れた。
当初は国と民を守るという純粋な思いを抱いていたが、数十年に渡る地下暮らしに嫌気が差した住民の反乱を鎮めたり、ダンジョンへの侵入者への対処をしているうちに狂気に囚われていくようになる。
タンスの調査ではダンジョン内で癖の強いエルフ文字の発見と「死が禁じられている」と仮説を立てているが、実際にかつての民の霊が未だに留まっているのはシスルがダンジョンに入った人型生物に「不死の呪い」がかかるよう仕掛けているからである。
本編では第12話にて初登場。生ける絵画の中に踏み入ったライオスに敵意を向け殺そうとするが逃げられる。
そしてレッドドラゴン討伐後に初めて直接ライオスらの前に姿を現し、ドラゴンと一体化し蘇生してしまったファリンを従順なキメラへと作り変え、一行を蹴散らす。
その後翼獅子の導きにより自宅までやってきたライオス一行と対決。
多数のドラゴンを召喚し、ライオスパーティを壊滅に追い込んで、圧勝したかと思ったが、持てる知識を総動員してドラゴンの性質を利用したライオスの計略で本を奪われ、自身は拘束されてしまう。
その後、ライオスと食事を共にし、彼に自身の過ちを説かれ、遂にシスルはライオスの説得に応じた…が、彼の言葉に対してあまりにもぶっ飛んだ誤った解釈をしてしまい、結果的に無力化してしまう。しかし直後に機会を狙っていた翼獅子に千年にわたって醸造された「欲望」を全て食われ、生きる気力を失い廃人となってしまった。
(精神が)完全に事切れる直前に手を伸ばし、触れたマルシルを蘇生。翼獅子を止めてくれと願った。
ネタバレ(最終話のネタバレも記載しているので読んでない方は閲覧注意。)
其の後、しばらく登場する出番が滅多になかったが、最終巻では、崩壊する迷宮にマルシル一同が逃げ出す中、デルガルの肉体にやむを得ず魂を移ったヤアドに抱きかかえられて迷宮の外へと抜け出す。そして新たな王となったライオスの宴が行われる中、ヤアドに献身的な介抱をされるがミスルン同様すべての欲を翼獅子に食われてしまったため、食欲も失い、衰弱状態になっていた。
命尽きかける中、シスルの感情を汲み取ったヤアドはデルガルの振りをし短い会話をする。
そして彼から自分を置いて外へ出たことへの謝罪を聞き入れたシスルはそれを許し、静かに眠りについたのだった。