なおケンウッドの法人自体は日本ビクター等との合併により平成20年に消滅しており現在は株式会社JVCケンウッドの商品ブランドとして引き続き使われている。ちなみに、子会社だった株式会社ビクター・アドバンスト・メディア(通称:VAM)で販売していたが、現在ではBlu-ray、DVD(DVD-RやDVD-RW等)といった記録用メディアの販売に関しては、Verbatim(旧:三菱)が製造し、そのブランド製品を販売するアイ・オー・データ機器から発売されている。
ブランドステートメントは 「Listen to the Future」。
概説
この会社は第二次世界大戦の終了した昭和21年、長野県駒ヶ根市に有限会社春日無線電機商会として設立された。当初はラジオ部品であった高周波コイル製造画業務であった。その後商標をTrio(トリオ)としてFMチューナー、無線機器にも手を出すことになる。昭和25年には株式会社となり、昭和30年、トリオ商事株式会社に社名変更。
なおKENWOODのブランド名はアメリカ合衆国への進出の際商標が押さえられていたため急遽決定したものであり、当初は海外でのみ利用されたが1970年代後半からは日本でも用いられるようになり、1980年代前半にはこちらに統合されることとなり、昭和61年には社名を株式会社ケンウッドにあらためた。
平成18年ごろより当時松下電器産業傘下であったビクターと経営統合をもくろむが、これが成功したのがその二年後であり、当初は新設立した持ち株会社を親会社とする形式であり、そのため株式上場は平成20年に廃止された。
その後平成23年にその持ち株会社はビクターなどと合併、ためにこの会社は法人として終了し、以後は商品ブランドとしては存在するようになった。
合併後の本社はJVCケンウッド八王子営業所として使用される。合併後も数年間はケンウッドの企業ロゴの看板が掲示されていたが、現在は取り外され、JVCケンウッドのロゴだけになっている。
社名およびブランド
昭和22年2月に採用されたTRIOブランドは、音楽に関係した事業内容にふさわしいブランドとして選ばれたもので、親族による経営が三重奏のように調和するという願いも込められている。昭和35年1月にブランド名に合わせ社名までトリオ株式会社、国内販売会社はトリオ商事株式会社、に変更されている。
KENWOODブランドは、1961年11月に海外向けブランドとして採用されたものであり、アメリカ事務所を設置した際、既に「TRIO」が商標登録されていたため、急遽ブランド名を考えなければならなかった。そこで、よいイメージのあるハリウッドの「WOOD」に、語のつながりがよく高級感がある「KEN」を合わせて「KENWOOD」とした。
当初日本では「TRIO」ブランドのみが使用されていたものの昭和54年10月に最高級オーディオ製品であるLシリーズが導入の際専用ブランドとして「KENWOOD」が初めて使用され多野がはじめであり、その後まったく同じオーディオ製品を両ブランドで並行販売したところ「KENWOOD」ブランド製品ばかり売れたこともきっかけとなり、昭和56年8月には「KENWOOD」がコーポレートブランドとされ、一部製品に「TRIO」を残して、ブランドが「KENWOOD」に統一された。
さらに、昭和61年6月には社名が株式会社ケンウッドに変更されるとともに、全ての製品が「KENWOOD」ブランドに統一された。
平成18年には、創立60周年を記念して、日本国内向けに「TRIO」ブランドを復活した限定モデルが発売されている。
商品等
1970年代のオーディオブーム全盛の頃には山水電気およびパイオニアと並びオーディオ御三家とされ当時の社名から俗に「サン・トリ・パイ」と呼ばれた。
また、長年アマチュア無線や受信機を手がけてきた技術の蓄積を生かし「チューナーのトリオ」とも呼ばれていた。アマチュア無線機器ではアイコム、八重洲無線(現バーテックススタンダード、現在同名会社は子会社で日本国内の販売のみ)と共に、三巨頭を形成している。
なおカーオーディオは富士重工やホンダ等の自動車の純正オーディオとして供給していた。
過去の商品
かつてはラジオ単体、無線用受信機、携帯電話、PHS、コードレス電話、ファクシミリなどの電話通信事業、磁気テープなどの製造、音楽レコードの制作(トリオレコード、昭和44年より昭和60年)を行っていたが、撤退済みである。
またオシロスコープなどの計測機器事業は平成8年より子会社のケンウッド・ティー・エム・アイに移管したもののその会社は平成14年に日本毛織(川西財閥系の会社であり「ニッケ」の商標で知られる。毛織物では日本でトップクラスの実力を持つ会社であるが、現在では不動産事業が主力になっている。)に買収され、社名も株式会社テクシオと変更された。
デジタルオーディオプレーヤー市場には、平成13年初頭にWMAフォーマット対応のCDプレーヤータイプで参入するも事実上失敗に終わり、平成17年にフラッシュメモリタイプで再参入、当初はクリエイティブ社(シンガポールに本社を置くマルチメディア機器製造企業、Sound Blasterが有名)のOEM供給を受けていた。また近年ではMEDIA kegシリーズでリニアPCMレコーダーを発売した事がある。ただし平成13年度をもってこの部門からは撤退している。
かつて、各種記録メディアの製造販売で有名なTDKよりOEM供給を受けコンパクトカセットを出していた。
同名の会社
調理器具を製造する「KENWOOD」という企業がイギリスに存在(同社のロゴは「K」の斜線部分が赤い)するものの関連は一切ない(そちらの社名は同社の創業者に由来。現在はオイルヒーターなどで有名なデロンギ傘下)。そのため、電気機器メーカーのほうのロゴには同社との識別のため「W」に赤い逆三角形が入っている。事業分野および活動地域が重複しないため同じ商標を使用しているとみられる。