概要
本来はアメリカのレコードおよび音楽機器メーカー・ビクタートーキングマシンを指すが、ここでは、ビクタートーキングマシンの日本法人として1927年に設立された日本ビクターに関して記す。
先述の通り1927年に設立されたものの、わずか2年後にビクタートーキングマシンがRCA(こちらもアメリカのレコードおよび音楽機器メーカー。なお、RCAは現在はSONYの関連会社だったりする)に吸収されてしまう。結果、RCAの関連会社となった。
その後、RCAの傘下から離れ、一時は東芝の子会社になった。また、当時の軍部主導の政権の指示により日本音響と改名させられていた時期もあった。
さらに1954年から2008年まではパナソニックの子会社だった。なお、社名が日本ビクターだった頃は「Victor・JVC」と表記されていたが、元々JVCは海外で「Victor」としての展開が出来なかったがために設定されたブランドおよびロゴだったりする。
VHS・ベータ戦争に勝利し一躍世界メーカーになるが、DVDの登場により苦戦。2007年にケンウッドと資本・業務提携を行う。その際、「将来的には一緒になろうか」と模索するようになる。翌年には早くも共同持ち株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」を設立、その持ち株会社は2011年4月に「JVCケンウッド」と改名した。そして同年10月に日本ビクターはケンウッドと共にJVCケンウッドに吸収合併され、企業としては姿を消した。ちなみに、JVCケンウッドの本社は、日本ビクターの本社所在地だった所におかれている。
1992年にメガドライブとメガCDの一体型ゲームマシン「ワンダーメガ」を発売させ、1994年にはセガサターンでは「Vサターン」というセガサターンの姉妹機を発売させており、セガハードにも力を入れていた。AV関連はJVCケンウッドに、ゲーム関連は株式会社マーベラス(旧:マーベラスAQL、マーベラスインタラクティブ)社へ引き継がれた(特に牧場物語シリーズ等)。
関連会社としては、後述のJVCケンウッド・ビクターエンタテインメントと、そのアニソン部門が分社化した(様なものの)フライングドッグがある。さらにはパナソニックからテイチクを譲り受け、関連会社としていた時期があったが、2015年4月に名古屋市の事務機器(パソコン用プリンターなど)メーカーのブラザー工業の関連会社・エクシング(英名:XING、カラオケ機器を扱う。ジョイサウンドブランドの方が有名か)に譲渡した。
記録メディアの事業も行っている。それの販売に関して三菱グループと関係を持っていたことがある。
ビクターエンタテインメント
先述の通り傘下にビクターエンタテインメントという音楽事業を抱えている。略称はビクターE。1972年4月に、日本ビクターから音楽ソフト部門が独立する形で「ビクター音楽産業」として設立された。1993年4月に「ビクターエンタテインメント」へ社名変更、2014年4月から2024年3月までの10年間は「JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント」の社名であったが、2024年4月に社名を戻している。
サザンオールスターズとSMAPの強力な二本柱を主軸に、和田宏とマヒナスターズ、橋幸夫、吉永小百合、森進一、三沢あけみ、青江三奈、チェリッシュ、桜田淳子、高橋真梨子、ピンクレディー、石野真子、小泉今日子、松本伊代、荻野目洋子、長山洋子、BUCK-TICK、広瀬香美、Kiroro、19(ソロ以降の平岡健二を含む)、家入レオなどのアーティストを世に送り出した。特に97年ソロデビューした河村隆一の「Love」は280万に迫る大ヒットとなり、男性ソロアーティスト1位の記録を現在も保持している。
なお、上記以外の所属アーティストに関してはこちらもどうぞ。
しかし近年は音楽事業の低迷やJVCの業績不振で他レコード会社との合併なども度々噂され今後が不安視されている。2008年のサザン無期限活動停止のニュースはビクター株の大幅下落を記録し、2013年のサザン活動再開の報道にも、所属事務所のアミューズ株は大きく上げたもののJVCケンウッド株はさほど大きく上げなかった。良くも悪くもサザンとSMAPがいるおかげで企業が成り立っていると言っても過言ではなかった。
そして2016年明けには今度はもう一本の大黒柱SMAPが解散危機に瀕している事が各紙で取り上げられてしまう。解散を阻止したいファンが起こした「世界に一つだけの花トリプルミリオン運動」により、ファンが旧譜含むSMAPのCDを買い漁る程の大騒動となり、この運動にビクター側も便乗しCDのプレスに尽力した。幸い騒動は早期に終結したため、皮肉にもこの騒動のおかげでビクターは再び会社の倒産危機から免れただけでなく少し遠のく事となった。
ただSMAPは結局2016年一杯で解散してしまった。以後は星野源、家入レオ、山内惠介の3人が中心となっている状態である。
そのためか他者に対しては出版される著作権物の許諾に関してはかなり厳しい基準を設けているので、Youtubeで所属アーティストの音源をアップロードすると楽曲(レトロのクラシック曲を除くアニメ会社及び映画やドラマ(テレビ局を含む)の映像制作会社メディアのサントラ等)やアーティストにもよるがブロックがかかるケースが多い。特に会社の主な収入源ともなっているサザンとSMAPの音源はアルバム曲や派生ユニット・ソロ音源ですらブロックがかかるくらい対処が厳しくなっている(もっとも、サザンにしてもSMAPにしてもアミューズ(ただその事務所とレコード会社と本件に関してはユニバーサルミュージック日本法人とも変わらない事情である)やジャニーズの関連会社が最も多い割合で原盤権を所持しているため、ビクターの一存では権利許諾ができない面もある)。現在でも著作権の許諾には厳しいが、過去にブロックを受け事例がある一部のアーティストの楽曲をアップロードするとブロックこそはされないが、ビクターに収益化される曲も存在する。主にビクター側に収益化される申し立てが行われるのはアミューズ所属の俳優の星野源くらいである。しかし、許可設定する可能性は低いものだとしか言えず未だにKiroroや19(一応それぞれ、収益化変更及びジオブロックの解除例あり)等の楽曲の許諾には厳しいままで、ブロックされるのがほとんどだが。ちなみに、芸能事務所のアミューズに所属するアーティストの楽曲についてはユニバーサルミュージック日本法人の事例と同様の事情によりアミューズとして別に管理している模様(ビクター在籍者ではサザンと星野源などがこれに当たる)。なお、海外アーティストの楽曲も日本のアーティストに限らずユニバーサルと同じく共通YouTubeのアカウントで管理しているため、海外のビクターのアーティストの管理楽曲もなくもない。そのため、日本以外の国にあたる海外のアーティストの事務所も含まれるのでこちらも例外ではない。
2000年代からはアニメ事業にも足を踏み入れており、毎日放送(およびTBSほか)の土6・日5枠にはビクターのアーティストの曲も作品によっては使用されていた。また、2014年にはラブライブ!の西木野真姫役で知られるPileがここに移籍したことも話題となった。アニメ事業に関しては2007年10月以降は兄弟会社のフライングドッグに事実上移管しているが『けものフレンズ』など作品によっては親会社のビクターが主題歌制作を行う場合もある。
その他のアニメ関連については元々の所属がソニーミュージックだったロックバンドのサンボマスターがここに移籍した際、アニメ「BORUTO」のオープニング主題歌として例外的にタイアップとなっている事を映像のスタッフクレジットに表示されている。
BMGビクター
1975年9月にRVC(RCAビクター)として設立された関連会社。1987年にBMGビクターに改組された。
1996年10月、ビクターエンターテインメント(および日本ビクター)の傘下を離れ、1997年1月にBMGジャパンと改名した。ただしセールスに関しては引き続きビクターエンタテインメントに委託していた。
1999年には前年に子会社にしていたファンハウス(1984年4月に東芝EMIから分家する形で設立。その後東芝EMIから独立していた)を吸収合併し、BMGファンハウスと名乗る。
2005年10月にBMGJAPANに名称を“戻した”ものの、2008年10月、ソニーミュージック日本法人の傘下となり、完全にビクターエンタテインメントとの縁が切れた。そして2009年10月、ソニーミュージック日本法人に吸収合併される形で姿を消した。
角松敏生やスキマスイッチなどが在籍していたほか、ファンハウスを吸収合併した流れで小田和正も抱えていた。
さらにはディープ・パープルやロッド・スチュワートやサンタナやホイットニー・ヒューストンやアヴリル・ラヴィーンなどといった洋楽も取り扱っていた。
RVC(RCA)時代には和田アキ子、内山田洋とクールファイブ(前川清)、西城秀樹などを抱えていた。BMGビクターに改組後は福山雅治などが在籍していたほか、B'zを始めとするビーイング系のアーティストのCDのセールスも請け負っていた。
フライングドッグ
元々は2004年にビクターエンタテインメントの関連会社4社をまとめた「JVCエンタテインメント・ネットワークス」という会社。
先述の通り2007年10月にビクターエンタテインメントのアニメ事業を引継ぎ、その際CDレーベルとしてフライングドッグと名乗る。
そして2009年4月の機構変更でアニメ事業専業になった際に社名もフライングドッグに改めている。
ただし、JVCケンウッド・ビクター「本体」に所属するアーティストがアニソンを手掛けた場合は、フライングドッグからではなく、そのアーティストが所属するレーベルから出す事になっている(例えば、JVCケンウッド・ビクター「本体」/ビクターレーベルにかつて所属していたコミックソングユニット・はやぶさは、「デュエル・マスターズ」シリーズの主題歌を3度手掛けているが、いずれもフライングドッグではなくビクターレーベルからリリースされている)。
なお、フライングドッグに関しては、実はJ-POPのレーベルとして1976年から1980年代半ばにかけてビクターエンタテインメント(ビクター音楽産業)「本体」に存在していた。
ビクターエンタテインメントゲームズ
2019年に社内カンパニーとして設立された
SNKの「KING OF FIGHTERS」を基にした「THE KING OF FIGHTERS for GIRLS」やCLAMP原作の「カードキャプターさくら」を基にした「カードキャプターさくら リペイントレコード」を運営していたが、どちらも2021年にサービスを終了した(前者は3月、後者は10月)。
しかし2023年6月、「東京リベンジャーズ」のスマホ向けゲームアプリを開発中である事を明らかにした。
なお、ビクターのゲーム事業としてはパック・イン・ビデオ(ただし本業はビデオソフトの企画・販売)→ビクターインタラクティブソフトウェアが存在していたが、2003年にマーベラスに売却している。
実は1973年に関西精機製作所(kasco)との共同開発で『プレイトロン』というクジラが魚を食べるという内容のビデオゲームを開発しAMショーに出展している。AtariのPONGが販売されて間もない頃でありながら、カラーモニターを使用したシロモノであったが、この頃に交代したビクター社長(松野幸吉氏と思われる)が業界に否定的であったため製品化されなかった。
もし製品化されていたら、日本初のビデオゲームで内容的にPONGの亜流であるタイトーの『サッカー』と時期的に同じくする上に、ビデオゲームのモニターがカラー化する1987年より5年も逸早くカラーモニターを用いるという、業界にとって間違いなく多大な影響を及ぼした製品となっていただろうが・・・。
関連タグ
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三菱化学メディア→三菱ケミカルメディア(一般用の記録メディア販売関係)
ゲームメーカー(2003年まで)
ゲーム関係
牧場物語(パック・イン・ビデオから引き継ぎ、マーベラスエンターテイメントに継承)