概要
社歴
創立~NEOGEO時代
元プロボクサーの川崎英吉が、1973年に大阪府吹田市にて創業した新日本企画を源流とするゲーム会社である。
1970年代後期からアーケードゲーム業界に参入。
『サスケVSコマンダ』『怒シリーズ』『ASO』『アテナ』などの名作ゲームを輩出。家庭用ゲームでも、業務用タイトルのファミコン移植版や『ゴッドスレイヤーはるか天空のソナタ』『里見八犬伝』などのRPGを出していた。
また、1987年発売の『サイコソルジャー』はビデオゲームで"歌を流す"という当時としては斬新な手法を取り入れた草分け的存在でもあった。
当初はタイトルに表示される社名は「シンニホンキカク」表記だったが、1981年に愛称の「SNK」表記に変更。1986年に社名もSNKに変更されたが、当時の商号登録ではアルファベット名が認められておらず、登記上はエス・エヌ・ケイである。
1990年代以降、「凄いゲームを連れて帰ろう(アーケードゲームの興奮を家庭で)」をスローガンに、アーケードゲーム基板並びに家庭用ゲーム機のNEOGEOをリリース。
当初は業務用向けの高難度なアクションゲームやシューティングゲームがメインだったが、『餓狼伝説』で対戦格ゲーブームの波に乗ってからは格闘ゲーム主体のラインナップに切り替え、『ザ・キング・オブ・ファイターズ』『サムライスピリッツ』などの作品を生み出し、ゲーム業界における一流の仲間入りを果たした。
また、格闘ゲームブームに乗る形でキャラクタービジネスにも力を入れており、ドラマCD・スピンオフアニメ、グッズ展開、イベントなどを盛んに行っていた。
多角戦略~倒産
前述の格ゲーとメディアミックスによる驚異的な売上はSNKを急成長させたが、強気すぎる多角経営に乗り出させてしまう事にもなる。1990年代後半からは、以下のような無謀とも言える多角経営が行われ、倒産へ向かっていく事になる(各プロダクトの問題点については個別項目を参照)。
- 直営ゲームセンター
特に本社所在地であった大阪府吹田市の江坂周辺は密集して複数店舗が営業するなど、企業城下町の様相を呈するようになった。これ自体は成功だったのだが・・・。
- レジャー施設展開
1999年、お台場パレットタウンに「ネオジオワールド東京ベイサイド」を出店。
開業当時はフジテレビとのタイアップを行い大々的に取り上げられたものの、すぐに客足が落ち込みSNKにとって非常に大きな負債となった。
- ゲームハード事業への本格参入・迷走
元々ゲーム機としては高価なネオジオを手掛けていた同社だが、据え置き機としてネオジオCDを発売。
携帯機としては1998年にネオジオポケットを発売したが、半年とせずにカラー版のネオジオポケットカラーを発売するなど迷走していた。
- ネオジオからの世代更新失敗
1990年の登場以来、長い間使われ続けていたMVS基板だが、1990年代後半に入ると、世間での3Dゲームブームや海賊版問題等から、新たなプラットフォームが求められるようになった。
こうした状況下で1997年末に後継となる(はずだった)新ゲーム基板ハイパーネオジオ64が投入されたものの、性能面・価格面両方に問題のある製品だった為に失敗。
世代交代するどころか巨額の負債を抱える事になってしまう。
- 格ゲーブームの終焉
1980年代末~1990年代にかけて加熱していた格ゲーブームだったが、2000年を跨ぐと陰りが見え始めSNKの本業である格ゲーのインカムにも影響していた。
当然格ゲーのインカムが下がればオペレーター(ゲームセンター)も基板を買わず、ゲーム開発がほぼ格ゲー一本化していたSNKにとっては大きな痛手となる。
また、こうした情勢を受けてかSNKと蜜月だったゲーム雑誌「ゲーメスト」、「ネオジオフリーク」が廃刊した事も痛手となった(両誌のスタッフはその後エンターブレインの「月刊アルカディア」発刊に携わった)。
倒産~SNKプレイモア時代
多角経営に失敗し、経営状況が著しく悪化したSNKはパチスロメーカー・アルゼの子会社となり、資本注入などを受けて立て直しを測るものの、経営再建には至らなかった。
また、アルゼ経営陣との間でも再建プラン・再建後の方針を巡る衝突もあったようである。
民事再生法適用による延命も具体的な再建策を期限内に提出できなかった為、2001年に破産宣告を受けて倒産した。負債総額は約380億円であり、ゲームメーカーとしては国内最大規模の大型倒産となってしまった。
倒産後SNKの知的財産権は競売に掛けられ、子会社だったプレイモアが落札して一括譲渡を受け、SNKの業務を引き継ぐことになった。KOFシリーズ等の続編や「ネオジオヒーローズ」「ネオジオバトルコロシアム」といったタイトルをリリースしている。
更に2016年12月には、SNKプレイモアが社名をSNKに変更した。
2015年8月に中国のゲーム会社37Gamesの傘下となる。
2022年2月、サウジアラビアの投資会社エレクトロニック・ゲーミング・ディベロップメント・カンパニー(EGDC)がSNKを買収(TOB)し、EGDCの傘下となった。
2023年3月、旧会社時代よりを長らく拠点を置いていた吹田市江坂から大阪市淀川区(新大阪駅近く)に移転した。
独特のキャスティング
キャラクターの声には声優事務所に籍を置く本職声優ではなく、SNK本社が大阪にあるためか関西ローカルで活動するタレントやナレーターやラジオDJ、劇団☆新感線等の舞台役者を多く起用している。彼らはスタッフから演劇指導を受けていたり、自分たちなりに工夫したりしてアフレコに臨んでいることもあり、極一部を除いて棒読みにならずに済んでいる。
そもそもキャストの外部起用(芸能人起用)を始めたキッカケは、餓狼伝説リリース直後、スタッフの棒読みな演技に川崎社長(当時)が激怒したからと言われている。
ゲームのヒットでアニメが製作されたのを受けてか、1995年稼働の『餓狼伝説3』にてアニメ版でアンディ・ボガードを演じた難波圭一とジョー・ヒガシを演じた檜山修之がゲームでもその声を当てて以降は前述の声優事務所の本職声優も起用するようになる。
今でこそ信じられないかもしれないが、生瀬勝久をはじめとして橋本さとし、山西惇、橋本じゅん、コング桑田等今日では俳優・劇団主宰として一ポジションを得た方々が声を当てており、果てはさとう珠緒もキャスティングされていた事がある。もっともさとう珠緒に関しては演じたキャラが「毎年アイドルや駆け出しの女優を声優としてキャスティングする」という当時でも特殊な方針が取られていたためだが、こちらも『KOF'98』以降本職声優たる池澤春菜が起用されて以降は池澤固定となった。
この所謂「声優が本職ではない者」を起用し続ける傾向はやがて伝統となり、作品の版権が2代目SNK(SNKプレイモア)に移行後も同様に受け継がれている。長年のファンにとってはSNKゲームの味として受け入れられている。
なお、KOFXIV以降の担当声優ほぼ総入れ替えにより本職声優の割合が更に増えたものの、関西ローカルの本職ナレーターや本職ラジオDJを始めとした声優が本職でない者が担当声優になることは健在である。また、一部キャラの担当声優が有名な本職声優から無名の本職ナレーターに交代した一件では、SNKの伝統を知らない一部のファンからは驚きを持って受け止められている。
珍妙な曲タイトル
SNKといえば、収録曲に変なタイトルがついてる事が多い。特に初代「餓狼伝説」は納期の関係でほとんどが適当に付けたとされる。
曲自体は名曲なのにタイトルが変というのがままある為「クリキントン」だの「ターくんと北ピー」だの「馬と僕」だの「ダイエット」だの「ギースにしょうゆ」と全部が全部ではないが珍妙な曲名は伝統(?)になっている。
また、SNKのサウンドチームは「新世界楽曲雑技団」として活動していたがこの珍妙な曲タイトルを付けていたのがこのチームだったらしい。2001年に新世界楽曲雑技団は解散している。
ネタ満載のスタッフロール
特に『餓狼伝説SPECIAL』『龍虎の拳2』のスタッフロールはキャラクターモーションを使ってネタに走っていたり、果てはそれ専用のモーションやグラフィックまで用意していた。
代表作品一覧
この項目では知的財産譲渡後のゲーム作品もこの項目で解説を行う。
※パチスロ作品はSNKプレイモア参照。
対戦格闘ゲーム
餓狼伝説
※海外版タイトル 『FATAL FURY』
SNKのゲーム開発スタイルを格闘ゲーム中心にシフトチェンジさせた作品。
一作目は男性キャラのみ、主人公3人を選ぶ面クリア形式ゲームであったが、『2』以降からは人気キャラクターであるセクシー女忍者・不知火舞が登場し、複数キャラクターを選択可能となった。以降も『リアルバウト餓狼伝説』『餓狼 MARK OF THE WOLVES』等の名作続編が出ている。
初代ラスボス「ギース・ハワード」は、シリーズ通してカリスマ的な人気を誇る。 その人気ぶりからギースは『鉄拳7』、不知火舞は『デッドオアアライブ6』、テリーは『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』等へ他作品のコラボで参戦を果たした。
龍虎の拳
※海外版タイトル 『ART OF FIGHTING』
「超必殺技」をはじめ、以降のSNK格闘ゲームの礎を築いたと言われる作品。脱衣KOなども有名。やはり1作目は餓狼伝説と同様、主人公キャラクター以外は使用できない(対戦では敵キャラクターも使用可能)。
近年、ゲーム本編とは関係ないところで、不破刃の人気が大変なことになっている。・・・・すごい漢だ。
THE KING OF FIGHTERS
他の格闘ゲームと異なり1対1ではなく、3対3のチームバトルを売りにした格闘ゲーム。
『餓狼伝説』、『龍虎の拳』、『怒』などSNK作品キャラのほか、草薙京、八神庵、K'などのオリジナルキャラも登場。この作品はシリーズ化され、現在も続いている。
サムライスピリッツ
※海外版タイトル 『SAMURAI SHODOWN』
江戸時代末期の時代の日本を舞台にした剣戟格闘ゲーム。「盛大に血飛沫が舞う」「キャラクターが真っ二つになる」など、敗者の死を明示する演出が衝撃的。
KOFと並び、現在までシリーズ展開が続いている格闘ゲームである。
月華の剣士
※海外版タイトル、『LAST BLADE』
先述の『サムライスピリッツ』の流れを汲む剣戟格闘ゲーム。こちらは、幕末を舞台にしており、当時の大人気漫画『るろうに剣心』の影響も多分に受けている。”剣質セレクト”(力・技・極)と”弾き”というシステムを搭載している。
アクションゲーム
※ベルトスクロールアクション含む。
怒
ループレバーを使った縦スクロールシューティングの傑作。この当時のSNK作品のお約束として、難易度が高い。ラルフとクラークを動かして、手榴弾やマシンガンを武器に、敵を殲滅せよ!!
アテナ
ギャルゲーのルーツとも、ビキニアーマー流行の元になったとも言われる作品。ファミリーコンピュータに移植された(後にプレミアムが付いた)こともあってか、レトロゲームの中でも知名度は高め。彼女の子孫”麻宮アテナ”が活躍する「サイコソルジャー」も作られている。
ATHENA ~Awakening from the ordinary life~
こちらは女子高校生「麻宮アテナ」を主人公とした学園サイキックアドベンチャーゲーム。
メタルスラッグ
『KOF』と同じく、現在も何らかの形で続いているミリタリーアクション。第一作目は旧アイレムの開発者が設立した「ナスカ」が開発したサードパーティ製のゲームで、この会社をSNKが吸収合併したことによりシリーズ化された。前述の通りサードパーティ製のゲームであった影響もあってか、オリジナルであるネオジオ/MVS版における「一部のサードパーティ製のゲームの起動音だけ違う」という点が第4作目である「メタルスラッグ3」まで採用されていた。
マルコ、ターマ、エリ、フィオを操作して、敵の総大将モーデン将軍を倒せ!!ドット絵で描かれる敵兵士のリアクションやメカの描写、そして緻密なグラフィックが魅力的。
同社コラボもしており、怒からラルフとクラーク、KOFからレオナも参戦している。
他作品
キング・オブ・ザ・モンスターズ
巨大怪獣同士が日本の都市でバトルロイヤルを繰り広げるゲーム(と言ってもゴ〇ラのゲーム化じゃありませんよ)。打撃や技などで体力を下げてから対戦相手を3カウントフォールして勝負をつけるというプロレスとよく似た対戦形式。
2人協力プレイも可能だが協力プレイの際は2対2のタッグ戦となる。
なお続編のキング・オブ・ザ・モンスターズ2ではジャンル変更されベルトスクロールアクションとなっている。
余談だが、同社のガンシューティングである『ビーストバスターズ』はこの作品と同じ世界での出来事であることが後付されている。
どきどき魔女神判!
SNK倒産後、SNKプレイモア時代の新規開発主要タイトル。DSのタッチペンを使ったシステムが斬新。このシステムはどこか(こことか)が出すとニンテンドーDS発売当初から言われていたが、まさかのこのメーカー。
その他のタイトル
※ピクシブ百科事典に記事のあるもののみ掲載。
余談
『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』でテリー・ボガードが参戦した際に、SNKタイトルからBGMを厳選して50曲にリストアップしてSNK側に提出したが、契約関係でさらに絞られるだろうと思っていたらなんとSNKは50曲全部にOK!したとのこと。中々の太っ腹である。
関連タグ
キャラクター
餓狼伝説 | テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ 不知火舞 キム・カッファン ブルー・マリー 李香緋 山崎竜二 ビリー・カーン ギース・ハワード ロック・ハワード 双葉ほたる |
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龍虎の拳 | リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア ユリ・サカザキ キング(龍虎) 如月影二 不破刃 藤堂香澄 |
KOF | 草薙京 八神庵 神楽ちづる 二階堂紅丸 大門五郎 ゲーニッツ(ゲニ子) K' クリザリッド クーラ・ダイアモンド 四条雛子 まりん(KOF) アッシュ・クリムゾン 黒咲壬羽 |
サムライスピリッツ | 覇王丸 橘右京 牙神幻十郎 緋雨閑丸 ナコルル リムルル レラ シャルロット(侍魂) 色(侍魂) 真鏡名ミナ いろは(侍魂) |
月華の剣士 | 楓 高嶺響 |
怒 | ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル レオナ・ハイデルン ウィップ |
アテナ | アテナ姫 麻宮アテナ |
企業
- プレイモア/SNKプレイモア:現在のSNK(2代目SNK)の旧社名。
- カプコン:同じく大阪に本社を置くゲーム会社で関係は深い。
- ADK:ネオジオを共同開発したゲーム会社。
- 夢工房:元はサミーの子会社だった開発会社。
- ケイ・アミューズメントリース:ファミコン時代に家庭用移植を担った。
- ディンプス:元役員が設立したゲーム会社。
ゲーム機
NEOGEO ネオジオCD ネオジオポケット ネオジオランド ハイパーネオジオ64
タグ
東京エンカウント:なぜか高い頻度でSNK関連のゲームをプレイする。