概要
本体価格は49800円。
名前の通り、それまでMVSとほぼ同じROMカセットだったゲームソフトの供給媒体を
光学メディア=CD-ROMに変更する事でコストカットを図ったネオジオのバリアント機種である。
初期ロットでは正面からディスクを挿入するフロントローダー型だったが、
中期以降はトップローダー型に変更されている。
本機種最大のウリは、初代ネオジオ(AES)で1本3万円以上していた
ソフトを7000円前後の価格まで落とす事に成功した事。
また、CD-ROMである事を活かし、ゲームだけでなくサウンドトラックとして
再生できる、ギャラリーモードなどのオマケ機能が付くなど、
作品ファンにとっては嬉しい要素が追加されている。
対応ソフトはCDプレイヤーでもサントラとして再生可能だが、
ゲームデータ部分が格納されているトラックが自動でスキップされず
とんでもないノイズ音声が出力され、スピーカーを痛める可能性もある。
そのため、メーカーとしてはCDプレイヤーでの再生は非推奨としていた。
価格の面でユーザーにとって大きなメリットがあった一方で、
後述するCD読み込み速度がネックとなっていた。
そのため、1995年12月29日にはドライブの倍速化、本体小型化を行った
「ネオジオCD-Z」が更に安い39800円で発売された。
こちらの機種では多少読み込み速度は改善されたものの、
頻繁にロードが入るという点はあまり変わらなかった為
根本的な解決にまでは至っていない。
(もっともバッファメモリ容量は旧ネオジオCDから変更がなかった時点で
小手先の改善でしかなかったとも言える)
マニア向けのネオジオに対し、他ゲーム機と同じ程度の値段でソフト・ハード両方が
購入できる廉価版としてデビューを果たした本機だが、発売タイトルのほとんどが
MVSからの移植でオリジナルタイトルが少なかったこと(※)に加え、
「ゲーセンそのまま」のはずが蓋を開けたら劣化移植だったという難点もあった事などから
同世代CD媒体ゲーム機と比べると知名度が今ひとつ伸びなかった。
そのためか、初代ネオジオが2004年までソフト供給されていたのに対し、
ネオジオCDは1999年の『KOF99』を最後に供給終了。
5年間の短い生涯に幕を下ろす事となった。
※オリジナル以外にも「MVS/ネオジオで発売予定だったものがお蔵入りになりかけ、ネオジオCD版として日の目を見た作品」もいくつか存在している(『クロススウォードⅡ』や『押し出しジントリック』など)。
仕様
ライトユーザー向けに、コントローラーは一般的な家庭用ゲーム機で見られる
コンパクト化・内蔵化が進められ、後発ゲーム機でいうアナログパッド・スライドパッドのような
仕組みになっている。
メモリーカード端子が廃止された為、本体にセーブデータを記録するタイプに変更されたが電源を長く入れなかったり電源コードを外すと記録が消えてしまう。同時に、初代ネオジオやMVSとセーブデータを共有することが不可能になった。
本機最大の弱点として、価格を抑える為に搭載されていたのが等速ドライブだったという点がある。
結果として、大容量のネオジオ用ソフトを読み込もうとすると頻繁&非常に長いロードが
挟まってしまうという事になっており、長い時は3分以上待たされたり、
キャラ選択→ロード→キャラやステージが表示されるデモ→ロード→試合開始前イントロ→ロード…と
あのネオジオが安くなったと聞いて喜び勇んで購入したら、
ローディング画面でサルがお手玉するデモをうんざりするくらい見せられた…という人もおり、
後々のゲーマーの間でも長いロード=ネオジオCDとよくネタにされる。
なうろーでぃんぐ…
尚、これを逆手に取ったのかメーカーごと/ゲームごとにローディング画面の絵やアニメーションは別物だったりするのでそういったバリエーションを楽しむ人も中にはいたりする。
(一例として、ローディング時間が速い部類に入る『ファイターズヒストリーダイナマイト』のネオジオCD版は「溝口がひたすらたこ焼きを口に放り込んでいるアニメーション」がローディング画面として使われている。)
なお、このように語り草になっている長いロード時間だが、
本体のメモリは当時としては多い7MB(56メガビット)搭載しており、
ネオジオ前期の48メガビットROM作品であれば起動時の一括ロードだけで済む。
また、『餓狼伝説』『ワールドヒーローズなど48メガビット以上の
ROMを使っていた作品でも、プログラム上の工夫で一括ロードで済むものもあった。
一方で、少しでも読み込み容量を減らそうとパターンが削減されていたり、
エフェクト・サウンドなどが簡略化されている、
しれっとバランス修正・バグ修正などが行われている作品もあり
「アーケードのゲームをそのまま家で」がウリだったはずのネオジオファミリーなのに
(特に『KOF』筆頭に格闘ゲームが)完全再現になっていないという本末転倒な部分もあった。